ウクライナ人ジャーナリストのブトゥソフ氏は13日「攻勢初日の対応に問題があったためハルキウ方面の指揮官が交代した」と明かし、ロシア軍は今後、ボルチャンスク市内への侵入、スタリツァ方向への前進、リプシやテルノバの確保に動くだろうと予想した。
参考:БУТУСОВ ПЛЮС
参考:Голова МВА: Фортифікації навколо Вовчанська будували, але не так щільно через постійні обстріли
参考:Ціль – взяти Харків у напівоточення. Що треба знати про новий наступ РФ
参考:На тлі наступу рф змінили командувача угруповання військ “Харків”
ハルキウ攻撃に参加している戦力と結果を比べると敵は成功している
ウクライナ人ジャーナリストのブトゥソフ氏は13日「ハルキウ方面の敵はライボケとスタリツァで戦闘を開始した。まだ両拠点とも完全に占領されておらず歩兵同士の戦闘が続いている。敵はリプシに進もうとしているが集落自体に到達出来ていない」「敵はボルチャンスク郊外の食肉加工工場と外周の道路に侵入したが、市内の主要部分はウクライナ軍が支配しているため敵はそれ以上前進出来なかった」と報告。
ボルチャンスク方向の状況について「我が軍の大砲とドローンが効果的に攻撃しているためロシア軍の損失は多い。私は現地で状況を直接見ているため間違いない。街の防衛は強化されつつあるが、敵の攻撃も非常に活発で様々な方向から突破を試みている」と述べ、ブトゥソフ氏は「自身がボルチャンスクにいる(前日にボルチャンスクから避難する住民の写真をTelegramに投稿していた)」と明かした。
実際の戦場を見たブトゥソフ氏の言及は非常に興味深く、戦場の霧に包まれているハルキウ方面について以下のように述べている。
“攻勢初日の対応に問題があったためハルキウ方面の指揮官が交代した。新しい指揮官は経験と能力を備えた人物で指揮統制とモチベーションが向上しているものの、この改善スピードは望まれているほど早くはない。態勢を立て直した我が軍の反撃で敵は機動力を失い損害が急増している。12日に初めてボルチャンスク近郊に地雷処理戦車が投入されたが失敗に終わった。ハルキウ方面の部隊には弾薬が供給されているが、相変わらず異なる部隊間の協調性に問題を抱えている”
“ロシア軍は建設された要塞ラインまで到達していない。どういうわけか現在の防衛ラインも戦術的に有利な高台と結びついておらず、主要な戦闘は陣地が用意されていない場所で行われている。この地域の部隊は必要な場所に陣地がなく自ら掘り進めないといけないことを理解していない。特にボルチャンスク方向では防衛態勢が整っておらず、広大な戦線が直面している混乱も完全に克服されたわけではない。ロシア軍は数的優位と事前に準備された計画によって戦場の主導権を握っている。状況は依然として厳しいものの我々も決定的な突破を許していない”

出典:Генеральний штаб ЗСУ
“ロシア軍は今後、ボルチャンスク市内への侵入、スタリツァ方向への前進、リプシやテルノバの確保に動くだろう。戦闘は続いており、敵も活発な活動を続けているため状況は非常に緊迫している。この地域の全部隊は無人機を早急に必要としている”
ブトゥソフ氏は詳細をぼかしているので「何となく」しか伝わってこないが、恐らく「この危機は弾薬不足によるものではなく指揮官が初動対応に原因がある」「ウクライナ軍は指揮官を交代して態勢を立て直している」「その効果でロシア軍に損害を与えているものの広大な戦線が直面している混乱は完全に収まっていない」「要塞ライン前に設定された防衛ラインは戦術的に有利な高台と結びついていない」「戦闘が起こっている場所に準備された陣地がなく自ら掘らなければならない」と言いたいのだろう。

出典:Генеральний штаб ЗСУ
因みにボルチャンスクの軍事当局者も「あらゆる努力を行って街の周囲に要塞を建設したが、ロシア軍の絶え間ない砲撃のため厳重なものになっていない」と明かし、RBC-Ukraineも軍事アナリストの話を引用して「ハルキウ攻撃に参加している戦力と結果を比べると敵は成功している」と報じている。
“今回の戦闘に直接関与している敵兵士の数は2万人程度と少なく、ベルゴロド州とクルスク州に残っている戦力を加えれば最大4万人に達するだろう。敵の目的はハルキウ占領ではなく北、西、東の3方から都市を半包囲することで、コザチャ・ロパンやヴェリカ・ピサリフカ(人口3,000人程度のスームィ州の村)への侵攻が懸念されている。これを達成するのに十分な戦力をロシア軍が持っているのかは不明だが、これを阻止できるかどうかは増援の投入スピードにかかっている”

出典:Сухопутні війська ЗС України
まだハルキウ攻勢の意図や規模が明確になっていなため何も断言できないが、少なくとも今回の攻撃を甘く見るウクライナ人や現地メディアはほぼ見当たらない。
追記:ウクライナメディアは「ハリコフ作戦・戦術グループのユーリー・ガルシュキン司令官が更迭された」「後任はミハイロ・ドラパティ副参謀長だ」と報じているが、突然の交代理由には触れていない。
関連記事:ロシア軍がアウディーイウカとハルキウで前進、ボルチャンスクに取り付いた可能性
関連記事:アウディーイウカ方面、ロシア軍がウマンスキー制圧に成功した可能性
関連記事:ウクライナ軍参謀本部、ロシア軍はハルキウ方面で戦術的成功を収めている
関連記事:ハルキウ方面の戦い、予備戦力を投入しなければ状況は悲惨なものになる
関連記事:ハルキウ方面の戦い、ロシア軍が国境沿いの集落を占領した可能性
関連記事:ロシア軍がハルキウ州北部で大規模な砲撃を開始、幾つかの集落に侵入か
※アイキャッチ画像の出典:24 ОМБр імені короля Данила
指揮官交代となれば、引継ぎなどで命令系統が止まります。
ウクライナ軍の複雑な命令系統なうえに、このタイミングで指揮官交代するのは、大丈夫なのかと心配になりますね。
追記です。
ボグダンさんの指摘通りの事を、ウクライナ軍またやってる気がしますね…
(1)軍本部内の人事再編が、ごちゃごちゃしている
(2)前線部隊の隊長クラスの引継ぎ
(3)部隊移動に指令を出す機関の大量設置
(2024/05/05 【ウクライナ防衛線の危機】勢い衰えぬロシア軍、厳しい状況にあるウクライナについて解説します。 Youtube 23:15~)
通常は、わざわざ罷免しなくても、単に上位の階級の将官を送って実質的な指揮権を取り上げて仕舞えば良いので、ちょっと奇異な感じがします。
1.撤退を具申してため、政権幹部の怒りに触れて見せしめの更迭
2.敵と内通していた疑惑があったから更迭
この辺が可能性としてありますかね。
まさに仰る通りで、違和感があります。
撤退具申、責任問題なども大いにありそうですね。
陣地構築、誰の責任だったのか気になります。
ゼレンスキー大統領御一行、4月に視察してるの何だったの…とは思ってしまいますね。
酔っ払っていて当日、指揮を撮れなかったとか?
やっぱ攻撃戦となると簡単には突き崩せないものなんやな。前線部隊を倒したとしてもドローンと砲の部隊は無傷だしそれらが健在な限り連続的な前進は難しいよね。
やはりロシア軍の主目的は緩衝地帯の構築と北部方面のウクライナ軍兵力の誘因、ただ一方で現地のウクライナ軍や防衛線が予想以上に弱体であればハリコフを狙うといったところでしょうかね
ただ投入している兵力の割には進軍速度が速く、元々国境周辺はグレーゾーンな上にウクライナ側は防衛線まで後退しているとしているものの、それでも予想以上に捕虜になったウクライナ兵の映像や写真が多数出てきているので、恐らく後退が間に合わないところが幾つも出るほどロシア軍の進撃スピードが上だったのかなと
あと時折日本のニュース番組にも出演しているボグダン・パルホメンコ氏曰く、防御陣地の70~90%で請負業者が予算や物資を中抜きしたり汚職することによって、構築されても雨が降っただけで陣地が流されてしまうほど杜撰だったり、或いはそもそも陣地自体がまともに構築されていなかったりしている上に、前線付近では兵士たちが構築作業を放棄して逃亡するといった事例も続出しているとのことで、ハリコフ方面もそういった要因があったりするのかなと思いますね
ただそうなると国境から10km地点にあるというウクライナ軍の防衛線がまともに機能するか、それ以前にそもそも構築されているのかとなりますし、この期に及んで根絶には程遠い底無しの汚職と腐敗を何とかしないともうどうにもならないんじゃないでしょうかな
しかもこれらの問題に関してもしっかり報道して問題提起するメディアやジャーナリストと、ゼレンスキーらキエフ首脳部の意に1から100まで従ってプロパガンダを垂れ流すメディアやジャーナリストの間で対立が発生しているとのことでしたし
自分が重箱の隅をつつき倒すような性格なのが悪いんだろうけど、あの規模の砲撃に対して有効に反撃できるぐらい砲弾の備蓄あったんだったら少しぐらい弾薬不足であえいでたほかの地域に回してやれよ・・・と思ってしまう
それと攻められてるウクライナの部隊の動画見たけど1分少々の動画で1分間ず~っと複数の砲撃音が途切れることなく響いてたんだが、アレに反撃できたのか?
流石に全体の状況が分からないし、そこは責めるところか?
砲弾はある代わりにドローンの配備が少ないとかあるかもしれないし、装甲車両の配備も少ない代わりにもあるかもしれん。流石に部隊まではわかっても戦力構成の詳細までは追えない。
少なくとも全然離れていないハルキウ東部に北部とは比べ物にならない規模のロシア部隊が居るのに他に砲弾回せってのもな。
榴弾砲の反撃に関してはロシアがBM-30みたいな長距離MLRS使わずに主力の榴弾砲を使う。ウクライナ側が供与された52口径榴弾砲か自国のボーダナ、39口径砲であってもエクスカリバー使うなら充分にアウトレンジ出来るし不可能なことじゃない。
現地を見てきたと言うが、ロシア軍側の損害を本当に確認できたとは思えません。まだ戦闘中なのですから
にも関わらず、砲とドローンで大きな損害を与えたと主張するのが不思議です。東欧文化としてとりあえず「相手に大きな損害を与えた」と主張するような風潮があるんでしょうか?
ハリコフ戦初日にもウクライナ側の主張として「全て撃退した、大損害を与えた」旨の主張がありましたが、こういう根拠不明の主張を繰り返すからウクライナは発表の信頼性を損なうのでは
ジャーナリストの記事でウクライナ軍の発表じゃないのに、ウクライナの発表の信頼性に疑問を抱く人のために、ウクライナ軍は勝利で示してほしいね。
言ってる意味不明
この方面、まだ安定していないのか、なんか違和感を感じますし、しばらく様子を見ないと分からないですね。とりあえず攻守共に、人事に変化がありますので、どのように動くのか?に注目でしょうか?
ハルキウにしてもボルチャンスクにしても、陽動なのか威力偵察なのか攻勢なのか外部者からすれば結果がでるまで判らないという。
ウ軍次第でロ軍の行動も変わるでしょうし。
〉ロシア軍は建設された要塞ラインまで到達していない。
〉因みにボルチャンスクの軍事当局者も「あらゆる努力を行って街の周囲に要塞を建設したが、ロシア軍の絶え間ない砲撃のため厳重なものになっていない」と明かし
ゼレンスキーラインかはともかく、(ボルチャンスクの?)最前線の後方に自称要塞ラインは建造してると。そして北部も前々から攻撃受けてた、と。
市街戦で足止めに成功したのか?
流石に「この裏切り者ォ」案件だよなぁこのgdりっぷりはと思いたい
まあでも生き残るためならば何だってしてほしいしロシアに逃れるんならプーチンが大統領であるうちにじゃないとね
ハリコフ市外戦誘導の為にわざと道を開けたと思っていたのですが、指揮官更迭なら普通に失敗だった?
ここからベルゴロドに何度も攻撃してて反抗を全く想定していなかったとは考えにくいのですけど
正直重要なポイントはハリコフ攻勢の成否ではなく、現在において戦争の主導権がロシア側にあるってことでしょうね。
今回のハリコフ攻勢を行ったことで、キエフ再侵略も決してあり得ないとは言い切れなくなりました。
もし今後ベラルーシなりブリャンスク州なりにロシア軍が再配置されたら、キエフ首脳陣はどう動くでしょうか?
ただでさえジリ貧な東部から引き抜くでしょうか?
侵攻は無いと見て市民の避難もなくいつもの日常を過ごすのでしょうか?
道路で渋滞をしていたロシア軍はもういません。
この記事によると、RBCウクライナの報道では、ハルキウ方面に侵攻したロシア軍は2万人だそうだが。
もし、ロシア軍が、ハルキウやキエフ陥落を狙うなら、ロシア軍は20万とか10万で侵攻するのではないか。それが出来ないのは、ロシア軍には弱点がある。
ウクライナ軍の方は、このような場合、今までなら良好な旅団を4個か5個、すぐ増援したはずた。しかし、このハルキウ方面でもウクライナ軍の後退は止まっていないようだ。今のウクライナ軍には、ロシア軍より大きな問題があると思う。
やはり、
作戦では、予備戦力がない。
現場では、まだ砲弾と兵士の不足が解消されていないのではないか。
例えば、チェコで発見した?とかの砲弾は今どこにあるのだろうか。アメリカが約束した砲弾は?
進展が早すぎて全部の記事を読み切れてない