ウクライナ軍参謀本部の発表によるとスラビャンスクの攻略を狙うイジュームのロシア軍は前進を続けており、ウクライナ軍の防衛ラインを突破してスラビャンスクやバルビンコヴへ接近している。
参考:Россияне закрепились у Таврического, готовятся форсировать Северский Донец – сводка Генштаба
イジューム方面のロシア軍は1ヶ月の戦いで突出部を大きく前進させている
まず3日前に確認されたイジューム方面の状況は以下の通りだ。
これにウクライナ軍参謀本部が28日に発表した内容を反映させると以下の通りになる。
まずホットスポットだったTors’keやZarichneの防衛ラインはロシア軍に突破されており、ドネツ川の手前に位置するリマンとヤムピリが新たなホットスポットになっている。もしリマンを突破されるとスラビャンスクはロシア軍の榴弾砲やMLRSの砲撃に晒される可能性が高い。
もう一方のヤムピリを突破されるとドネツ川の防衛ラインにロシア軍が到達、ここを突破されるとセベロドネツクやリシチャンシクを防衛するウクライナ軍の背後を突くことが出来るようにため、ウクライナ軍はこれ以上の後退できないだろう。
バルビンコヴを目指すロシア軍部隊もVelyka Komyshuvakhaに到達、ここを突破されて南下されるとバルビンコヴは2つの方向から攻められることなる。
Dibrovneを迂回して南に進んだロシア軍はスラビャンスク~バルビンコヴの鉄道路線を寸断することを狙っており、ウクライナ軍はKurul’kaとPashkoveでロシア軍の南進を阻止していたが、Nova Dmytrivka方向にもロシア軍が進み始めたらしい。
ここを突破されるとバルビンコヴを直撃出来るので何としてもNova Dmytrivkaでロシア軍を食い止めたいところだ。
因みに参謀本部は「バルビンコヴ方面の進軍を強化するためロシア軍はイジュームに空挺部隊と500点に及ぶ装備を移動させた」と明かしており、ザポリージャ州やムィコラーイウ州でもロシア軍の攻勢が強化されてウクライナ軍は後退(どうやらヘルソン国際空港まで約5kmの拠点はロシア軍に奪還された可能性が高い)を余儀なくされている。
追記:これが1ヶ月前(ロシア軍がキーウ方面からの撤退を発表した時期/34日目)の大まかなイジューム方面の状況で、この方面の突出部が目に見えて拡大しているのがよく分かる。
関連記事:ウクライナ軍の反攻、ヘルソン国際空港まで約5kmの地点に到達
※アイキャッチ画像の出典:Генеральний штаб ЗСУ
お知らせ:記事化に追いつかない話題のTwitter(@grandfleet_info)発信を再開しました。 |
ロシア軍が投入している兵力と時間のリソースを考えて、その分の成果は上がっているんだろうか?
あるいはこの1ヶ月での進軍は果たして速いのか、それとも遅いと見るべきなのかどっち?
ロシア本土の防衛すら捨てて、国内中の武器弾薬をかき集めてる事を考えると微妙ですね
今のロシア軍の指揮通信能力では、高度な機動戦とか無理ですし、部隊同士の連絡すら怪しい
そうなると出来るのが指揮通信に依存しない、砲爆撃で更地にしてからのゆっくり前進するという第一次大戦方式に
国内在庫をかき集めないと出来ないのに、それが尽きたら瓦解しかねない作戦に見える
多連装ロケット砲、MLRSで反撃するしかないか
東部戦線での攻勢が始まってから10日くらい経ちましたが、それでこの進捗は「大きく前進」なのかどうか評価の分かれるところですね。今みたいに前線全体を絨毯砲撃する攻勢は長くは続けられないので。
「イジュームから縦深攻撃してスラビヤンスクを経て東部を包囲し、ウクライナ軍を殲滅する」というプランだったはずですが、そうはなっていません。スラビヤンスク付近はウクライナ軍が強固な陣地を築いているのでバルビンコブ方面に迂回しようとしていますが、それだとウクライナ軍の包囲には遠のいてしまいます。
ロシアは東部を占領するだけではだめで、そこでウクライナ軍を殲滅して継戦能力を奪うくらいやらないと勝ったと言えません。そうじゃないと戦争は終わらず、長引くほどロシアに不利になるので。そのためには包囲殲滅戦で派手に勝つことが必要で、じわじわと陣地を奪うやり方では攻撃側のほうが被害が大きいです。
全体に、今までのロシア軍のドンバス攻勢は、見掛け上、
陣取り合戦・消耗戦的な意図に基づいているような格好になっていますね。
ロシア、そんなに余裕あるんですかね???
実情、時間はロシアの味方じゃないと思うんですが。
戦争指導方針の現実との乖離、政治的意図の相乗り等で合理性が酷く薄まっている印象があります。
>イジュームから縦深攻撃してスラビヤンスクを経て東部を包囲し~
25個大隊以上をイジュームに集中してる時点でそう思いますよね。
しかし、全土から掻き集めた筈の砲兵火力はドンバス全域に万遍無く…
ドンバス全域の平定とイジュームからの包囲攻撃が重点の無い同時進行になっていて、
結果、戦力の分散になってしまっているような?
イジューム戦線での動き~ウクライナ側の脆弱点・間隙を捜して溢出と書けば具合良さげですが、
その攻撃も非常に機会主義的で、断固とした突破への意志が欠けているように見えます。
>ロシアは東部を占領するだけではだめで、そこでウクライナ軍を殲滅して
>継戦能力を奪うくらいやらないと勝ったと言えません。
プーチンの最終目標の実現と、段取りとしての南部での次回作戦の為にも、
ドンバスのウクライナ軍を無力化しない事には、その後の自軍主力の転進もままなりませんからね。
高度に機械化されたロシアBTGですが、その突破力を生かす戦術は兵士のモラルや指揮官の能力に依存すると思えます。砲兵の物量で面制圧して歩兵をちょっと進めるという戦術は誰でもやれます。結局、今のロシア軍にはそうする能力しか無いということかもしれません。それで間に合うのかが問題です。
>>ドンバスのウクライナ軍を無力化しない事には、その後の自軍主力の転進もままなりませんからね。
そうですね。あとプーチンは東部で勝てば有利な条件で停戦できると考えているようですが、そのためにはウクライナ軍に決定的な損害を与えて諦めさせる必要があり、土地を取っただけでは無理でしょう。
ウクライナ側の発表という点で、まだ楽観視してしまうが、実情はどうなのだろう?
住民の避難を促すために、不利な戦況でも公表しているのか、ロシア軍を油断させて待伏せでもするために発表してい?のか。
湾岸イラクの時、アメリカはわざと不利な戦況をメディアに報道させイラク軍の油断を狙ってましたね
東部は比較的平坦と聞いていたけど、この一か月近い期間の推移を見ていると、まるでWW1の陣地戦のようですね。
突破や迂回にこれだけ時間がかかっていると、ウクライナ側が新たに陣地構築する時間的余裕もあるでしょう。
もはやそうさせないためのOMG等の片鱗も無いですね。
こうなってくると5/9の戦勝宣言は不可能で、一部で噂される5/9に特別軍事作戦から戦争・国民の動員への切り替えが現実味を帯びてきそうです。
平坦だけれど、ドネツ丘陵っていうくっそ長い丘が東西に貫いてるから、突如として見通しが効かなくなる
マリウポリの北でなぜかロシア軍の進軍が止まってるのも、ドネツ丘陵が壁になっているから
今、火砲の提供が相次いでいるのも、そのドネツ丘陵の稜線を超えて砲撃をするって思惑あってのこと
曳下射撃でロシア戦車を守る機械化歩兵と戦闘車を一掃したところで、ジャベリンで殲滅ってことなんだろう
ロシア軍がこれより進もうとするとスラビヤンスクの周囲にある丘陵地を取り合うことになります。当然ウクライナは強固な陣地を築いているでしょう。だからこそイジュームにいる虎の子の部隊もまっすぐ来れないわけで。
ロシア軍は5月9日の戦勝記念日までにプーチンにお土産を持ってい行ける速度で行軍中なのだろうか?まあ間に合わないほうがこっちとしてはいいけど。
俺の生え際も、リアップ軍の増援を得て前進する時が来たな!
その増援、本当に期待していいんですかね…🤔❓
自分からの忠告
やめとけ
全面攻勢に移ってないのに、ウクライナ既に敗色濃厚な気がするんですが…
重装備支援が遅すぎた。最悪支援した装備や金が丸々ロシアのものになりかねない。
ロシア軍が今回以上の規模で攻勢に移ろうとするなら、ロシアは国家総動員を実施するしかありません。
ウクライナ軍を包囲できるほどの戦力は今のロシア軍にありませんし、今のロシア軍はウクライナの防衛を突破するのに苦心している状態ですね。
いいえ、上の方々の書き込みを読んで居るとソ連軍…いや、ロシア軍の攻勢は予定よりも明らかに遅れ気味で成果も思う様に上がっていない事が分かります。
もしも本当にロシア軍が有利なら、トランスニストリアで偽旗作戦をやって同地に駐留する1000~1500人程のロシア兵でオデッサを狙うと言う意味不明な第二戦線を開くと言う行為なんてやりませんよ。
今はロシア軍得意の砲兵で第一次世界大戦張りの弾幕射撃をやって漸く地歩を固めて居る所ですが、対するウクライナ軍は無理をしておらず、強いて言えば「作戦的に多少困っている(油断していると包囲される危険が有る)」程度の状況だと思います。
恐らく、ウクライナ軍は西欧諸国から送られてくる武器や補給物資の流通状況を睨みながら次の戦い方を考えている段階だろうと思われます(ロシア軍はその前に敵陣突破が出来れば良いのだが、肝心の機甲部隊がボロボロの現状では……)。
>西欧諸国から送られてくる武器や補給物資の流通状況
ただロシア側も当然この点には注意を払っているはずなので、線路や鉄橋などといったインフラを弾道弾や戦闘爆撃機を出し惜しみせず破壊してきた場合、広大なウクライナ国内で西から戦場に送るまでの手間や時間が酷いことになり、最悪届いたことには現地の大局が決しているかもしれないのが怖いところですね
>線路や鉄橋などといったインフラを弾道弾や戦闘爆撃機を出し惜しみせず破壊してきた場合
ロシア軍の手元にそれが出来る程の弾道弾と戦闘爆撃機が有れば良かったんですけどね…弾道弾はウクライナ国内のインフラを潰せる程の数も無ければ西欧からの制裁で電子部品が不足しているので追加生産すら出来ない有様だし、戦闘爆撃機を出そうにもウクライナ軍のS-300SAMを始めとする防空網が未だ健在なので出撃しても撃墜されるのが現状なので……。
電子部品などはインドなど制裁に参加していない国を通して迂回輸入しているようで、それらの部品枯渇が予想ほど期待できそうにないのが何とも…
ロシアへの迂回輸入ですが、インドと中国もやり過ぎると米国から報復制裁を受ける恐れが有り(特にインドはS-400SAM輸入を巡る制裁の件が保留になっているのを忘れてはいけない)、大規模にはやっていないと思います(そうでなければロシア軍は大量の精密誘導兵器をコンスタントに使えるはずだが、現実にはそうなっていない)。
それに対してウクライナはMLRSを貰って使用したと公表しましたし、欧米各国から着々と兵器や弾薬の供給を受けているのを考えると、今後の行方は火を見るよりも明らかでしょうね。
ロシア軍はかなりハイペースで兵員と車両をすり潰してるけど5月9日まで戦線維持できればいいって考えなのか?
ゲラシモフ参謀総長がイジュームの指揮を直接執っているらしい
リンク
ウクライナ軍の4月28日18時(現地時間)のレポートによると、今日はかなり「ロシア軍を撃退した」という表現が多かったですね。
イジュームの南のBrazhkivkaとDovhenke、イジュームの西(バルビンコブ方面)のVelykaKomyshuvakha、ドンバス地方南部のSolodkeやNovomykhailivkaに対する攻撃を撃退したと。東部のルビージュネではロシア軍が完全支配を試みているが今日は失敗して元の位置に戻った。ハルキウ付近で集落を1つ解放し、ドネツクやヘルソン周辺の町で敵を襲撃して撃退したとあります。
さらにドネツク付近のロシア軍の攻撃をいくつか撃退し、今はドネツクがロシア軍の最大の活動だと言ってます。イジューム周辺や東部はさすがに息切れしましたかね?だといいのですが。今日はこのところ続いていた「ロシア軍は激しく砲撃している」という報告が無かったですし。
レンドリース法が下院で可決されたそうです
ロシア占領地を奪還するには兵器が不足していたウクライナ軍に大いなる希望の光
う~んって感じでロシアが押してる云々の記事見てたけど
ロシアはウクライナの誘導に従ってただただひたすらに
死体と残骸を積みに積み重ねてるだけだったようですね
Velyka Komyshuvakhaもスラビャンスク北岸も一方的に砲兵に叩かれているはずなのによく耐えてますね。
結局ロシア軍はスラビャンスク攻略のための重要目標を確保できていません。