米国関連

米空軍司令官、アップグレードされたF-22と思われるイメージを公開

米空軍航空戦闘軍団の司令官を務めるマーク・ケリー大将は28日、アップグレードされたF-22と思われるイメージを公開して注目を集めている。

参考:Gen Mark Kelly

マーク・ケリー大将は公開したイメージは「空軍がF-22のアップグレードを諦めていない」というメッセージだろう

米空軍航空戦闘軍団の司令官を務めるマーク・ケリー大将が公開したF-22のイメージ画像には3つの新しい要素が描かれており、1つ目は主翼下に搭載された新型の増槽とパイロンだ。

中国が強化に努めてきた接近阻止・領域拒否(A2/AD)の範囲内=第一列島線内やその周辺空域で従来の空中給油機を使用した航空作戦は難しく、台湾海峡での戦いで最も戦闘機に求められるのは空中給油に依存しない作戦能力=航続距離だと言われており、F-22は600ガロンの増槽を主翼下に携行するとステルス能力が低下してしまう。

F-22は飛行中にステルス性能を回復させるため増槽とパイロンを機体から切り離す方式を採用しているが、接続部分や燃料の配管が露出するためレーダー反射断面積(RCS)が増加してクリーン状態のF-22よりもステルス能力が劣り、この問題を解決するため開発されているのがLDTP(Low Drag Tank and Pylon)と呼ばれる新型の増槽とパイロンだ。

出典:Gen Mark Kelly

新型の増槽のは従来のものに比べて抵抗が少なく超音速飛行を容易にする形状を採用しており、新型のパイロンは従来のものよりレーダー反射断面積の劣化が少なくなるよう設計されているらしい。

2つ目の新要素は主翼下に搭載されたポッドで、イメージに描かれたポッドをF-22が搭載してテストを行っているのが目撃されている。このポッドの役割について赤外線捜索・追尾システム(IRST)や追加の電子戦装置を収納できる多目的なポッド(RCSの増加を最小限に留める形状)ではないかと予想されているが、正確な役割については不明だ。

3つ目の新要素は見たこともないミサイルで、恐らく2023年に実用化されるAIM-260を発射しているのではないかと予想されているが、レイセオンも現行の中距離空対空ミサイルの半分のサイズで、より高速、より機動性が高い、さらに低価格な新型空対空ミサイル「Peregrine(ペレグリン)」を開発しているので、イメージに描かれたミサイルがAIM-260なのかPeregrineなのか、それとも未知の空対空ミサイルなのは誰にも分からない。

出典:Gen Mark Kelly

どちらにしてもマーク・ケリー大将は公開したイメージは「空軍がF-22のアップグレードを諦めていない」というメッセージだと思うが、米空軍は運用・維持コストが高価なF-22Aを186機→153機に削減(2023年に33機のF-22を飛行機の墓場に移送予定)する方針を打ち出しており、まだF-22の将来はハッキリとしたロードマップが示されていないことだけが気がかりだ。

関連記事:米空軍がF-22削減方針を発表、186機→153機へのサイズダウンを予定
関連記事:拡張性に乏しいF-22の設計、空軍の要望が一向に実現しない理由
関連記事:F-35のウェポンベイに12発?米国、新型空対空ミサイル「ペレグリン」開発を発表
関連記事:PL-15との交戦範囲ギャップを埋める米国のAIM-260、実用化に向け順調にテストを消化中

 

※アイキャッチ画像の出典:Gen Mark Kelly

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コメント

    • や、やめろー
    • 2022年 4月 28日

    f22まだ使うのか。費用高いからそろそろ退役かと思ったけど。AIM260日本にも欲しいなぁ。

    まあ、F–22は米軍の最高傑作だし、残しておきたいのかなぁ。

    10
      • 名無しい
      • 2022年 4月 29日

      もったいないお化けが出たんでしょう

      ま、フラッグシップですから

      15
      • けい2020
      • 2022年 4月 29日

      F-22については決めてるのは議会で、ボーイング救済+地元への利益誘導が主なんですよね
      F-15EXとほぼ同じ構図
      なにせすべてF-35で済んでしまうことを、あえて分散させて戦力低下に繋がりかねないのに
      それらは無視して、F-22は残せ、F-15EXを導入しろ、でも予算は増やさないですし

      3
    • ヤメナイヨー
    • 2022年 4月 28日

    ステルスとは一体・・・

    12
    • そら
    • 2022年 4月 29日

    現代では中々珍しい、国を代表するレベルの傑作機だもんなぁ。
    メディアでの活躍も多いし、アップデートできるならして欲しいな。

    18
    • 干物
    • 2022年 4月 29日

    LDTPはF-35にも適応出来そうですね。

    3
      • 7C
      • 2022年 4月 29日

      というよりもF-35用の新型ステルスパイロンとランチャー(SUU-96&LAU-151)が元になってるんじゃないかなぁと思った

      8
    • 2022年 4月 29日

    新しく作るのならまだしも現有機を改修して割に合うのかね?
    フライトコストの関係もあるから、”それ(フライトコスト)がどうなるのか?”という話で、結局F-35、もしくは第6世代のF-Xとの天秤でそちらに流用するだけになるのでは?

    3
    • 折口
    • 2022年 4月 29日

    まさかドロップタンクぶら下げたF-22を見る日が来るとは。F-22の航続距離問題が解決してくれて日本に前方展開してくれるなら願ったり叶ったりですが、これ大丈夫なんですかね…。ステルス機のRCS計算って、それこそ機体表面に一箇所突起があるだけで全部狂うようなシビアなものだと思うんですけど、果たしてこれはどの程度ステルス性が残るのか。

    22
      • あなほりほりほり
      • 2022年 4月 29日

      正面だけならなんとかなるんじゃないの?

        • 匿名
        • 2022年 4月 30日

        機体に当たったレーダー波が、増槽の前方傾斜部に当たり、到来方向に返す成分を生む事がありそう。

    • 匿名
    • 2022年 4月 29日

    >米空軍は運用・維持コストが高価なF-22Aを186機→153機に削減
    つい先日のF-15EX調達数144機が「中途半端」扱いだったのですが…いいの?

      • あばばばば
      • 2022年 4月 29日

      米空軍がもういらないと言っているのは、第五世代以前の非ステルス機とF-22の初期生産機
      まだ次の戦闘機ができてない以上、つなぎの改修が必要なだけで、いずれは墓場に送る予定

      5
    • k
    • 2022年 4月 29日

    ここの人達って日本のF‐15のアップグレートには肯定的なのにF‐22をアップグレートして使うのには否定的な意見が多いのが面白い

    1
      • 無無
      • 2022年 4月 29日

      自分の姿だけは見えていない、これだけは世界共通

      モノにこだわっても何時かは棄てねばならない日は必ずやってくる、単に早いか遅いかだけ
      でも現実にはこだわりの多い奴ほど自滅するよ

      • ブルーピーコック
      • 2022年 4月 29日

      持ってない(売ってくれなかった)F-22より、自国が保有するF-15の改良を求めるのは当然では。

      18
      • や、やめろー
      • 2022年 4月 29日

      いやだって、日本F–22持ってないもん

      18
      • けい2020
      • 2022年 4月 29日

      ほぼすべてF-35で十分できる事を、高コスト掛けてF-22にさせる意味が無い

      F-22アップデートで目標としてることは、全部F-35で良くない?ってなる

      9
      • 匿名
      • 2022年 4月 29日

      F-15Jは一応第四世代戦闘機だけど、首降りレーダーなど陳腐化している面もあるから、アップデートしないと第4.5世代機相手でさえ厳しくなるかも。

      Pre MSIP機の場合は、現状だと戦力的な価値がF-4EJ改と大同小異だった上に、
      アップデートするにも大掛かりな工事が必要でコストも跳ねあがるみたいだから、
      F-35置き換えがコスパ的にも良かったのでしょうね。

      MSIP機の場合は、対空戦闘能力がF-2と一長一短だろうし、比較的アップデートし易い造りの様なので、見捨てるのには微妙な位置付けかな?
      老朽化の問題もあるから、余計に判断が難しそう。

      2
      • 匿名さん
      • 2022年 4月 29日

      >日本のF‐15のアップグレートには肯定的
      日本には、選択肢が少ないからね。

      F-15Jのアップグレードより、F-15EXやF-35へ入れ替える選択肢もあるにはあるけど、どちらも今から注文してもいつ手に入るかわからない。それに、新規導入数を増やすと、将来的にF-3の導入時に余剰になる。

      F-3導入までの繋ぎとして、戦力の空白を生まないためには、F-15Jをしばらく使うのが一番合理的に思える。

      >F‐22をアップグレートして使うのには否定的な意見が多い
      アメリカも第六世代戦闘機までのつなぎで、F-22のアップグレードを検討しているんでしょう。日本もアメリカも理由は同じだと思う。

      ただ、アメリカはF-35導入のお金(ランニングコスト含め)も足りない印象がある中で、機密が高く作戦に使いづらく、少数しかないF-22のアップグレードに費用出せるの?って疑問を感じてるのだと思われる。

      1
        • 名無し
        • 2022年 4月 29日

        >ただ、アメリカはF-35導入のお金(ランニングコスト含め)も足りない印象がある中で

        贅沢は敵だ!!

    • ハンジャール
    • 2022年 4月 29日

    以前アビオニクス系アップデートするととんでもない価格がかかって空軍も苦慮しているという報道を思い出しました。
    解決したのでしょうか?

    • 1.44スキー
    • 2022年 4月 29日

    いやーやっぱカッコいいねぇ。
    しかも初飛行から大分時が経ってるのに未だにカッコいい。

    9
      • 匿名
      • 2022年 4月 29日

      真横のF-22は、機首まわりがちょっと。
      航空機は角度によって印象がかなり変わる、というのを改めて実感しました。

    • 成層圏
    • 2022年 4月 29日

    この技術はF-35や4世代機にもつかえるんだから、いいんじゃないの?

    1
    • 匿名
    • 2022年 4月 29日

    「超音速飛行を容易にする形状」ってのが今一?
    超音速での空気抵抗は、超音速エリアルール﹙音速エリアルールが機体の断面積で処理するのに対して、対応速度のマッハコーン+その鏡対象なコーン合計二つの円錐と機体との重なる部分の面積で処理﹚によるから、
    増槽単体だと形状の良し悪しは判断出来ないような気が。

    1
    • F/A-117
    • 2022年 8月 21日

    自分も機首周りのアウトラインの流れが…って感じてる!
    風防直前の凹みというか、機首の一部が盛り上がってから風防に繋がるって流れがちょっとなぁ…

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