米国は中高度を長時間飛行できる無人機の海外輸出でイスラエル、中国、トルコに圧倒されており、その原因の一旦はミサイル技術管理レジーム(MTCR)の解釈にあったのだが、Reutersは5日「トランプ大統領はMTCRの解釈を変更して軍用無人機を海外に売却する見通しだ」と報じた。
参考:Exclusive: Trump to reinterpret 1987 missile treaty to sell heavy attack drones abroad
米国製のMQ-1やMQ-9が敬遠される理由は別のところにもあるため、MTCRの解釈変更だけでは輸出市場のシェア回復には繋がらないかもしれない
米国は中高度を長時間飛行できる無人機=MALE UAVの先駆者としてMQ-1やMQ-9を実用化し、継続的な投資のお陰で関連技術も成熟し「実用性の高い無人機」という地位を築いたが、このクラスの海外輸出はイスラエル、中国、トルコに圧倒され、ミッチェル航空宇宙研究所は2020年「なぜ同盟国は米国の無人機を購入しないのか」「それは拘束力のないミサイル技術管理レジーム(MTCR)の合意に縛られているからだ」と指摘したことがある。

出典:U.S. Air Force photo by Airman 1st Class William Rio Rosado
MTCRは核兵器の運搬手段であるミサイルや関連技術の輸出を規制した国際合意で、米国はMQ-1やMQ-9といったクラスの軍用無人機を「MTCRが規制する核兵器を運搬可能な兵器」と解釈しているため「やむを得ない安全保障上の理由」と「軍用無人機を国際法に従って運用することへの同意」が揃わない限り「輸出を許可しない強力な根拠」となるため、特定国にしか輸出(NATO加盟国を中心に約10ヶ国程度)を許可しておらず、潜在的な顧客も面倒な手続きや審査が必要なMQ-1やMQ-9ではなく、MTCRに参加していないイスラエルや中国、MTCRの解釈基準が異なるトルコからの無人機調達を選択することが多い。
そのためミッチェル航空宇宙研究所は「無人航空機は航空機であった巡航ミサイルや弾道ミサイルとは異なる」「無人航空機の扱いは航空機と同じ扱いにするべきだ」と指摘、GA-ASIもトランプ政権(2期目)が誕生すると「政府の不十分なポリシーと官僚主義的な意思決定の遅さにより中国、トルコ、イスラエルといった競合に潜在的な顧客を奪われている」「輸出機会が奪われれば研究開発や設備投資に活用できる資金が少なくなる」と訴えていた。

出典:Baykar
GA-ASIは政府効率化省(DOGE)に宛てた手紙の中で「国防総省のタイムスケジュールに制限を設けて要求要件の策定から初期運用能力の獲得まで5年以内にしろ」「曖昧なFMSの管理責任を明確しろ」「MTCRの時代遅れな解釈を見直して無人機輸出の障害を取り払え」と要求していたが、Reutersは5日「トランプ大統領は38年前に締結したMTCRの解釈を変更してMQ-9などの軍用無人機を海外に売却する見通しだ」「この解釈変更によってサウジアラビアに100機以上のMQ-9を輸出できるようになる」「これは5月に発表された1,420億ドル規模の武器取引の一部だ」と報じている。
MTCRの解釈が変更されるとGA-ASI、Kratos、Andurilが製造する大型無人機を対外有償軍事援助(FMS)として扱うことができるため、Reutersは「これが製造する大型無人機(恐らくYFQ-42A、YFQ-44A、XQ-58Aなどの無人戦闘機のこと)の海外輸出が容易になる」とも報じたが、MTCRの解釈変更がいつ行われるのは不明で、今年後半に予定されているFMSの見直しの「無人機輸出の新ガイドライン」が含まれる可能性を示唆している。

出典:Elbit Systems
但し、米国製のMQ-1やMQ-9が敬遠される理由は別のところ(競合機種に比べて高価、技術移転や現地生産に消極的、顧客が要求する弾薬やシステムの統合拒否など)にもあるため、MTCRの解釈変更だけでは輸出市場のシェア回復には繋がらないかもしれない。
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※アイキャッチ画像の出典:U.S. Air Force photo by Senior Airman Victoria Nuzzi





















日本はTB2で行くんで
変な押し売り止めてくださいね
MQ-9Bならば既に海保で4機運用中で今年5機目導入予定の上に今後さらに4機追加予定、将来的に海自で23機導入予定なのでMQ-9系列をこれ以上本邦のどこに押し売りするかなって思いますね
空はRQ-4Bと将来的には無人戦闘機でしょうし、陸はおっしゃる通りTB2に関心がある様子なのでMQ-9がこれ以上入る余地となると純粋に海保と海自の哨戒戦力の増強位しか思い浮かばないんですよね
現状トランプ大統領のせいでアメリカ兵器離れが起きてるのに、解釈の変更だけを行なっても意味無いでしょうね
まあトランプ大統領の事だからアメリカ製兵器を購入しなければ関税を上げるとか言って購入を迫りそうですけど。
アメリカ製武器、値段が高いだけでなく、使い勝手の悪さが面倒くさいですね。
MQ-1・MQ-9が、核兵器運搬可能な兵器なら、なんでもかんでも運べるだろうって感じだなあと。
開発当初は、世界最先端クラスだったのかもしれませんが、(価格が高くなりすぎているわりには)表面スペックでは分からない縛り(外交マター)が多くなりすぎて現場からも嫌がられそうだなあと。
>MTCRは核兵器の運搬手段であるミサイルや関連技術の輸出を規制した国際合意で、米国はMQ-1やMQ-9といったクラスの軍用無人機を「MTCRが規制する核兵器を運搬可能な兵器」と解釈しているため…
追記です。
ウクライナ戦争の戦訓に、武器開発国の権限の強さが顕在化したわけですから、わざわざアメリカ製にするメリット減ったなあと感じています。
有事にあれこれ注文されたり、他国から兵器譲渡を受けてようとして、横槍入れられたら面倒くさいでしょうから。
本記事とは関係なくて申し訳ないんですがNYタイムスがとんでもない記事出しましたね……
イラクでは民間人を殺害しないで失敗した作戦もありましたね。
問題なのはこれをお漏らししてしまう事だと思うんですけど。
Navy SEALsの北朝鮮上陸作戦失敗の件ですかね?
関係ない話をするつもりはないですが気になって調べたら軍事関係のニュースだとそれくらいかなと思ったので。
やってる内容で言えば完全に不法で拉致と同程度の酷さなんだよなあ。
クソ高いのがなんともかんとも
数を揃える今のトレンドからは外れてますなあ
何が何でも米国製兵器を買えって言われたら時の言い訳グッズとしてはアリかな
バカ高い上に使い勝手が悪い
とどめにいつ納品されるか不明
誰が買うんです???
日本…
結局最後の部分に集約されている気がしますね。
UAVの利点は消耗を許容できることで、これには安価性はもちろん(軍事機密管理の観点から)レガシーな技術だけで構成されるといった要素も含まれているんだと思うんです。そこへいくと安全性や高度なテクノロジーによって付加価値をとることで価格と釣り合いを持たせてきた米国製はあまり優位に立てないフィールドなのではないでしょうか。対テロ戦争時代の技術的蓄積も、戦争中に世界中に売り始めていたならともかく、今はトルコやイスラエルあたりも同様に技術的蓄積があるし…。
シーガーディアン用の保守部品が納期早く・安く・長い期間出るようになってくれればそれでいいけどなあ
FPVや徘徊弾薬みたいな無人機界隈のワークホースが現れて、大型UAVも今までみたいな接敵して攻撃する運用が必要なのか?個人的にはヘリよろしく後方での任務に特化すべきでないのかと思います。ウクライナで示された新しい戦場に適した物なら、外交問題関係なく売れるだろう。