米国関連

第5世代戦闘機F-22Aラプターが墜落、パイロットは脱出して無事生還

米空軍のエグリン空軍基地から飛び立った第5世代戦闘機F-22Aラプターが15日午前9時15分に墜落した。

参考:F-22 crashes on Eglin AFB range

第5世代戦闘機F-22Aラプターにとって2012年以来8年ぶりの墜落事故

現地時間の15日午前9時15分、フロリダ州エグリン空軍基地から飛び立った米空軍の第5世代戦闘機F-22Aラプターが墜落する事故が起きたがパイロットは安全に機体から脱出して収容された。

墜落したF-22Aは第325戦闘航空団の第43戦闘飛行隊に所属する機体で、事故当日は同基地に駐屯するF-35Aを装備した第33戦闘航空団との定期訓練中に発生したと報じられている。

まだ事故原因について詳しく分かっておらず墜落した機体がどうなったのかは不明だが墜落による民間人や建造物への被害はないらしい。

出典:U.S. Air Force photo by 2nd Lt. Samuel Eckholm

F-22Aは1990年代に開発され2005年に運用が開始された世界初の第5世代戦闘機で計画当初は648機を調達する予定だったのだが冷戦終結の影響で必要性が薄れ、さらに2007年の発生した世界金融危機(リーマン不況)の影響もあり187機の調達を持って生産が打ち切られることになり、当初3,500万ドル(※1)を予定していたF-22Aのユニットコストは最終的に1億5,000万ドルまで上昇してしまった。

※1補足:空軍発注分の750機+海軍から546機(米海軍先進戦術戦闘機として)の受注を獲得できた場合の目標単価。因みに2010年時点でF-22プログラムに費やされた予算は計673億ドル

現在、米空軍はF-22のアップグレードは予定しており、AIM-9Xのオフボアサイト能力を最大限生かすためJHMCSの統合、最新の中距離空対空ミサイルAIM-120Dの統合、戦術データリンク「Link-16」の送信モジュールの追加、F-22とF-35がLink-16に頼ることなく戦術情報を共有するためのGatewayOne搭載、F-35が搭載しているEOTSやDASと同等の電子光学式システムの搭載が行われると言われている。

関連記事:生まれ変わる米空軍のF-22A、F-35並のアビオニクス搭載で2060年頃まで運用予定

関連記事:ようやく本領発揮、世界最強の戦闘機F-22Aが「神の視点」を味方に提供

因みに今回の墜落によって機体が完全に失われていた場合、米空軍が保有するF-22Aの残数は182機になる。

 

※アイキャッチ画像の出典:public domain

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コメント

    • 匿名
    • 2020年 5月 16日

    訓練部隊だし、配備されているのは実践機じゃなくて、訓練用に作ったEMDの増加生産機では?

    • 匿名
    • 2020年 5月 16日

    モッタイナイ

    • 匿名
    • 2020年 5月 18日

    日本のF-2戦闘機も、数が足りずに問題になっていますが、F-22も大幅なアップデートして2060年まで使うことにしたそうですが、数が足りるのでしょうか?何かF-2以上に機数が足りない問題がでそうな予感。

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