米国はスイスの次期戦闘機に提案されているF-35AとF/A-18E/Fの販売を承認したが興味深い値札が付けられているため注目を集めている。
参考:SWITZERLAND – F/A-18E/F SUPER HORNET AIRCRAFT AND WEAPONS
参考:SWITZERLAND – F-35 JOINT STRIKE FIGHTER AIRCRAFT AND WEAPONS
スイスの予定予算に最も近いのはF-35A、ボーイングはオフセットの内容で勝負か?
スイスの国民は先月27日の国民投票で約64億ドル相当の次期戦闘機調達プログラムを承認、これによりスイス政府はF/A-18C/Dの後継機として提案されているF-35A、F/A-18E/F、ラファール、ユーロファイターの中から1機種を選び2022年までに契約を結ぶ予定だ。

出典:Aldo Bidini / GFDL 1.2 スイス空軍のF/A-18C/D
米国務省はスイスの国民投票の結果を受けて先月30日、F-35AとF/A-18E/FをスイスにFMS(対外有償軍事援助)方式で販売することを承認したと発表したのだが、両機種に付けられた値札に注目が集まっている。
米国務省が発表した両機種の契約には機体の調達費用、スペアパーツ、各種搭載兵器、訓練費用、メーカーによるサポート等のあらゆる費用が含まれており、40機調達のF-35Aに要求された金額は約65億8,000万ドル(約6,950億円)で40機調達のF/A-18E/Fに要求された金額は約74億5,200万ドル(約7,860億円)となっており、第5世代戦闘機F-35Aよりも第4.5世代戦闘機F/A-18E/Fの方が導入費用が高い。
F-35Aの機体単価は7,790万ドル(ロット14)なので40機調達時のコストは約31.2億ドル(約3,300億円)となるが、F/A-18E/F blockIIIの機体単価は約5,130万ドルなので40機調達時のコストは約20.5億ドル(約2,160億円)となりF-35Aよりも安価であるはずなのにスイス向けのF/A-18E/Fの契約総額はF-35Aよりも高価に設定されている。
なぜこのような金額になるのか頭を悩ませたが、恐らくF/A-18E/Fの機体単価が異なるのだろう。

出典:U.S. Navy photo by Mass Communication Specialist 3rd Chris Cavagnaro/Released
F-35Aの機体単価は導入国に関係なく同じ価格が提示されるが、今回の計算に用いたF/A-18E/F blockIIIの機体単価は米海軍がコスト削減のため78機を一括で発注した2019会計年度予算の数値を元に算出しているので、40機しか発注しないスイスとは機体単価が異なる可能性が高い。
そこでF-35Aの機体調達費用と関連費用の割合を参考にF/A-18E/Fの機体単価を大雑把に推測すると約9,000万ドル程度になり、如何にF-35が規模の経済によってコスト削減を実現しているかが良く分かる。
そもそも米国務省が発表したF/A-18E/Fの契約金額はスイス政府が予定している64億ドルの予算を端から超過しているため、仮にスイス政府がF/A-18E/Fを選択しても搭載兵器や導入数を削らないければ予算内に収められないためボーイングにとっては非常に苦しい戦いになるはずだ。

出典:Rob Schleiffert / CC BY-SA 2.0 ドイツ空軍のユーロファイター・タイフーン
因みにラファールとユーロファイターの提示金額は明らかになっていないが、過去の取引契約から推察するとラファールを40機導入するのにかかる費用は推定103億ドルで、ユーロファイターを40機導入するのにかかる費用は推定107億ドル程度になると思われるためスイス政府の予定予算に最も近いのはF-35Aとなるが、今回の契約にはオフセットが絡むため必ずしもF-35Aが選ばれるとは限らない。
そのため第4.5世代戦闘機の中で最も安価な金額を提示したボーイングとしては、何とかオフセット内容で巻き返しを図ることを考えていることだろう。
参考:1機たったの56億円?米海軍が導入する新型「F/A-18E/F blockIII」は超リースナブル!
参考:高価過ぎる? 1機240億円も必要な日本のF-35追加導入は正しいのか
参考:戦闘機導入の相場、フランスのラファール導入が高額になる理由
※アイキャッチ画像の出典:U.S. Air Force Photo by Senior Airman Justine Rho
いつの間にかグリペン脱落したんですね
当初グリペンE/Fに決定したのが国民投票で否決されて再選定になった所までは記憶にあります。
脱落じゃなくて、サーブが「やってられっか!」って撤退したらしいよ
正確に言うと、2019年4~6月にかけて候補機の飛行試験と地上施設との相互運用性確証試験がスイス国内のバイエルヌ航空基地で行われたんだが、この時スイス国防省の装備局がいきなり「今回の試験の参加資格は2019年時点で運用準備が整っている機体のみである」として、装備局がサーブに対してグリペンE/Fの試験参加を辞退するよう勧告したのが事の経緯
と言うか、装備局が提示した参加資格を満たしていないのはグリペンE/Fだけなので、ハッキリ言ってサーブは狙い撃ちされたとしか言い様が無い
グリペンE/Fはかなり高価らしいからね
最も高性能な機体が最も安いってよく分かんねぇな
ソレな
大量生産って面白いですね
F-35が40機つったら共同開発国のオランダより多い調達数だが剛毅な話じゃのう
F-Xは単価いくらになんのかねえ。クソ高いのは目に見えてるけど。
スイスと言えば領空侵犯時のスクランブルは平日日中のみで、夜間や休日のスクランブルは他国任せという話を聞いてとてもショックを受けた覚えがある。中世から近代にかけては傭兵稼業が盛んで第二次大戦は大陸の列強相手に武装中立を貫き通した武闘派なスイスさんが目を覚ますのだろうか。
いまさらスイスがどこと戦争を想定するのやら
少なくとも、現状では心配がないもん
西ヨーロッパは軍事的に緩みまくってるね。
それより移民の問題の方が大きかったりして。
スイスはF-35A 40機も購入するんだ!? 凄いね。 スイスより危険地帯かつ領土も広い韓国より多いんだ・・
一応韓国は元々は60機を導入予定で、予算から先に40機導入して、後日20機追加することになっていた。
アメリカ議会次第だけど、今は間にF-35Bを20機を導入する予定で、計80機になる予定。
これ逆にF-16Vとかじゃダメなのか?
グリペンEとおなじで「2019年時点で運用準備が整っている機体」に引っかかったのでは。
仕様は公開されているけど、アップデート完了又は新規製造の完成機はまだないし。
F-16Vってブルガリアに提案されたときは機体単価2億ドル、バーレーンで1.7億ドルとかじゃなかった?
それならF-35Aの方がいいかなぁ・・・。
F-35Aって、山間部の合間にある短滑走路で運用できるのか?
スウェーデンが方針やや変えたみたく、極端なSTOL性能は求めないほうが運用しやすいって悟ったのでは
大量生産でコストダウンされる国際的なステルス戦闘機、これこそF3計画への最大の壁になるよ
これからF35はバージョンアップしながら幾十年も第一線を保つ、しかも安価に。
どう考えてもお高くなりがちな国産ステルスのコスパの悪さが際立つことになる
コスト面を含めたらF-35に対抗できる機体はこの先数十年はないよね
By情報館
言うても、航続距離や兵器搭載量でF-35が日本に適しているかって言われれば疑問符がつくわけで、予算と人員の問題から運用で欠点をカバーする事も難しい。
たとえ高価になったとしても、日本に最適な戦闘機の開発は必要になると思うよ。
一切実戦を想定せず形だけでも空軍の一画を形成できるならF35A(ダウングレード)が適任。本国仕様さえ要求しなければ高地運用に少しエンジンを弄るだけで対処できる。前線に位置してないスイスだから稼働率が低くても問題ない。今の生産能力だと40機調達するのに10年以上は掛かるだろうが、まぁスイスだから問題ないだろ。