中国の航空機開発を主導する中国航空工業集団も珠海航空ショーで新しい無人航空機を3機種(Wing Loong-1E、Wing Loong-3、Wing Loong-10)を発表して注目を集めている。
参考:New drones of Wing Loong family debut at Airshow China
中国航空工業集団も新型UAVを発表、中国電子科技集団はTB2にそっくりなUCAVを公開
中国航空工業集団(AVIC)が珠海航空ショーで発表したWing Loong-1EはWing Loong-1ベースのUCAVで、オリジナルはMQ-1に相当する機体(離陸重量1,100kg、滞空時間20時間、航続距離4,000km、高度5,000m、速度280km/h)だが、完全に再設計されたWL-1Eは機体の素材を複合材料に変更することで軽量化に成功、主翼もウィングレット付きのものに変更され、滞空時間が35時間~45時間、航続距離が7,500km、高度が10,000mに向上しており、性能的にはGrayEagle-ERに近い。
2000年代の技術で構成されたWL-1のシステムやセンサーもアップグレードされており、新たに自律的な飛行能力やAIによる目標の識別機能なども追加され、標高の高い拠点でも海抜4,000mまでならスペック通りの離陸重量で運用することが可能なためエンジンも変更されているはずだ。
Wing Loong-3はMQ-9Bに相当する新型UCAVで、中国のネット上に流出している資料によると本機の最大滞空時間は40時間(飛行距離に換算すると約10,000km)、最大離陸重量は6,200kg、ペイロードは2,300kg(ハードポイントは9ヶ所)らしい。
さらに展示機には短距離空対空ミサイルのPL-10E、子機として機能すると思われる徘徊型弾薬、ソノブイ・ディスペンサーポッドなどを搭載しており、Baykarの「バイラクタルAkinci」に匹敵する重UCAVだと指摘する声もあるが、輸出向けなのか人民解放軍向けなのかは不明だ。
Wing Loong-10は推力約1トンのターボファンエンジンZF850を搭載した大型UCAVで、高度1万2,500mを650km/hで飛行することができ、空対空ミサイルや空対地ミサイルを搭載した状態で4,000km以上(滞空時間に換算すると約8時間)を飛ぶことが出来るらしい。

出典:CCTV-13
人民解放軍は本機をEW-UAV(無人電子戦機)として正式採用(中国空軍名はWZ-10)したらしいが、AVICによると本機のラインナップはWL-10A(海外市場向け)とWL-10B(位置づけが不明)が存在するらしい。
その他
他にもFH-95から徘徊型弾薬(FH-901)を8発発射してクロスドメイン・ミッション能力を実証
1/2
🇨🇳CCTV showed a demostration of the FH-95 UCAV launching FH-901 loitering munition in a coordinated way in a cross-domain mission.The video was released as par of the Zhuhai Airshow 2022 and was recorded in an undisclosed place of Inner Mongolia pic.twitter.com/feosbxqj6h
— Jesus Roman (@jesusfroman) November 9, 2022
安価で垂直離着陸に対応したUCAVによる運用例、精密誘導兵器を使用しないことでミッションコストを大幅に小さくできる
China 🇨🇳 shows several new cheap ISR & combat UAVs at the Airshow 2022. Loong 5: pic.twitter.com/FKQn2Lbnqa
— Felix Woessner (@FeWoessner) November 7, 2022
中国電子科技集団(CETC)が発表したTB2そっくりのUCAV
Is it me? Or does this CETC’s UAV model in the 🇨🇳Zhuhai Airshow 2022 seems suspiciously similar to a 🇹🇷Bayraktar TB-2? 🤔 pic.twitter.com/myPlZ89WFS
— Jesus Roman (@jesusfroman) November 8, 2022
中国航天科技集団(CASC)が発表したWJ-700
🇨🇳WJ-700 UAV System video from Zhuhai Airshow 2022.
(via wb/中国航天科工) pic.twitter.com/fQQyozIikv— Jesus Roman (@jesusfroman) November 8, 2022
もう無人航空機関連の発表が多すぎて全てを網羅することは出来ないが、主要な発表だけはほぼ抑えられたと思う。
関連記事:中国が改良したCH-7を公開、対称戦で求められるハイエンドUAV
関連記事:中国が発表した無人戦闘機FH-97A、艦艇運用や空中給油にも対応
※アイキャッチ画像の出典:军迷天下
日本は大型のUAV(MALE/HALE)については、現時点では中国に比べて装備化は遅れていると言わざるを得ない。
今はスタンド・オフ・ミサイルなどの早期配備で忙しいのは分かるけどね。
ただ、無人アセットにも力を入れると言っているから、国産のMALE/HALEの早期実用化や早期配備などにも期待しておこう。
日本は要素技術は十分に持っているから、今から巻き返すことに期待したい。
中国の無人機開発熱は凄いな。
ただ、いずれの無人機も渡洋攻撃を行うには安定した衛星通信が必須だから、
台湾侵攻はともかく南シナ海や東シナ海でこれらの無人機群が米軍と雌雄を決するには、
中国版スターリンクのような高抗堪性通信衛星コンステレーションを整備できるかにかかってくるな。
台湾へは無人UAVで波状物量攻撃をしかけて、南シナ海などへは有人の艦隊を振り分けるのでは
中国はホントにUAVに(にも)金つぎこんでんだなあ。輸出でもアメリカみたいな変な制限ないし大層な稼ぎになりそう。
翼龙(翼竜)なんて贅沢な名前やなと思ったらプテラノドンのことなのね
漢字ネーミングの兵器は個人的には台湾の”雲豹“装甲車が好きです(告白)
これからは大型UAVによる空域侵犯でスクランブル挑発することが増えるんやろか?
一番近くの台湾はこの無人機問題で一番頭抱えてそう
自国で開発してるからか 機体名に漢字を使えるのは羨ましいよね
F3は心神みたいなカッコいい名称を付けられると良いなぁ
艦艇みたいに平仮名じゃなくて 漢字で!
中国の装備についてはあまり詳しくないけど、中国軍の領域横断作戦能力は自衛隊よりも上なのだろうか?
日本は領域横断作戦を「非対称的に優勢を確保できる」と位置付けて、かなり重視しているが。
まあ、日本が重視する領域横断作戦とは、米国のマルチドメイン作戦に近いんだけどね。
領域横断作戦とは、クロスドメインシナジーを狙ったうえでのマルチドメイン作戦に近い。
管理人さんの更新には感謝しかないです。
それにしても主要な無人機だけでも「もう勘弁してくれ、お腹一杯だ」となりますね…
この航空ショーで展示されたデモ機が全部、北朝鮮が軍事パレードに
引っ張り出して来る様な中身無しのハリボテ機ならいいんですが
そうじゃないでしょうからねえ
しかも中国ですから、トルコのTB2の比じゃない数を生産できるでしょうし、するでしょうね。下手すりゃ日米で仮に同等規模のUAVの機体設計があったとしても、生産能力で対抗できないなんじゃないでしょうか。
取り上げてくれた無人機のいくつかはサウジアラビアやアフリカ諸国とかに輸出もするだろうから多少はペイできるだろうけど、半導体とかも含めてどこまで中国の独力でやれるんだろうか。だからこそ企業の国営化を進めてるんだろうが、巨額の開発費や維持費をどこまで強権で抑えられるのか。労働者が従順な国でもなかろうに。
ウクライナ戦争を見ていると
無人機がウクライナの銃後のインフラに大打撃を与えてます
私の近所には関東の住民にとってかなり重要度の高い大規模なダムや浄水場が無防備に横たわっています…少なくとも素人目にはそう見えます
有事の際はウクライナ戦争と同じくこうした施設は高度に防御された軍事施設より優先的に攻撃されると思うんですが、案外ダムや浄水場といった何百万人という市民が生きる上で欠かせない重要施設は最近はそれなりに無人機対策とかされてたりするんですかね?
やっぱ中国は景気ええな
まぁ、運用能力まで持ってるかは未知ってとこやけども
無理な話やけど、現場の情報がほしいわ