ナゴルノ・カラバフ地域(アルツァフ共和国)とアルメニアを陸路で結ぶラチン回廊の封鎖は27日目に突入、海外メディアは「ステパナケルトの商店や病院から食料品や医薬品が消えた」と報じているが、この問題の出口は誰にも見えてない。
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アルメニア人にナゴルノ・カラバフ地域を諦めさせるためには「究極の手段」しかないのかもしれない
2020年に勃発したナゴルノ・カラバフ紛争の結果、アゼルバイジャンはアルメニアに奪われた土地の大部分を回復、ロシアは両国が署名した停戦協定に基づき平和維持部隊を派遣、ナゴルノ・カラバフ地域とアルメニアを陸路で繋ぐ「ラチン回廊」の通行権の確保に努めていたが、アゼルバイジャンが停戦協定に基づきラチン、サス、ザブフを迂回する新ルートのラチン回廊を提供、これを受けてロシアの平和維持部隊は「ラチンの管理権」を昨年8月にアゼルバイジャンへ移譲した。
しかしアゼルバイジャン側の環境保護主義者は「カシェニ鉱山での違法採掘を停止しろ」と新ラチン回廊で抗議活動を始め、道路上にテントを張って車輌の通行を事実上封鎖してしまい、この封鎖は27日目に突入したため海外メディアは「ステパナケルトの商店や病院から食料品や医薬品が消えた」と報じている。
この問題は「自国領ナゴルノ・カラバフで天然資源の調査を行おうとしたアゼルバイジャン側の立ち入りをアルツァフ共和国が阻止した」のが発端で、独立を主張するアルツァフ共和国側はアゼルバイジャン側が再三要求した立ち入り調査を拒否、そのためアゼルバイジャン側は環境保護主義者を自称する人間を使って合法的=限りなくグレーなやり方で新ラチン回廊を封鎖、アルツァフ共和国側が天然資源の立ち入り調査を受け入れれば「抗議活動を停止する=封鎖の解除」と主張しているらしい。
もうナゴルノ・カラバフ地域の問題は複雑過ぎて「誰が悪いのか」を認定するのは不可能に近く、ここ最近の出来事だけで言えば「パシニャン首相がナゴルノ・カラバフ地域をアゼルバイジャン領の一部だと認める協定に署名する意向を表明」「アルツァフ共和国が反発して独立を主張」「イランも国境変更を伴うような協定締結に反対」「和平交渉に進展がないため痺れを切らしたアゼルバイジャン側がアルメニア側の一部領土を占領(和平協定を締結していない両国は互いの領土を相互承認していないため侵攻と定義できるのか微妙)」など盛りだくさんで、EU・フランス主導やロシア主導の和平交渉も行き詰まっている。
つまりアゼルバイジャンは「ナゴルノ・カラバフが主権を及ぶ自国領である」という点で絶対に譲ることが出来ないため、限りなくグレーなやり方で「天然資源の立ち入り調査」を認めさせようとしており、アルツァフ共和国も「立ち入りを認めればアゼルバイジャン主権を受け入れた」と解釈されるため絶対に容認出来ず、アルメニアも状況を利用して国際社会に「ステパナケルト空港の再開=アゼルバイジャン主権の制限」を訴えるなど、この状況を打開する出口は誰にも見えていない。
因みに現地メディアは「新年を祝う余裕はなく商店にはキャンディ、飲料品やジュース、一部の家庭用品しか残っていないが大きな混乱はない。人々は缶詰などの食料備蓄を持っており、農園や家畜を飼育している農村が都市部に食料を供給している。備蓄された小麦のお陰でパン工場も稼働中で医療品も今のところは不足していない」と報じているため、アルツァフ共和国で人道的災害が直ぐに発生する可能性は低く、この点も同問題を長期化させる要因の一つだと言えるだろう。
結局のところアルメニアが和平協定に署名しない限り「第二次ナゴルノ・カラバフ紛争」が勃発するのは時間の問題で、和平協定に署名しても高い確立でパシニャン首相は政権の座から引きずり下ろされ、強行路線を主張するグループが政権を握ると「武力での打開」を試みる可能性が高く、アルメニア人にナゴルノ・カラバフ地域を諦めさせるためには「究極の手段」しかないのかもしれない。
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※アイキャッチ画像の出典:Aykhan Zayedzadeh/CC BY-SA 4.0
この際、アルメニアから戦争起こさせて敗けさせれば丸く収まるんじゃないの
痛い目に遭わないと判んない奴に説得する意味ないから
すごい無茶苦茶なこと言ってる
ナゴルノ・カラバフをアゼルバイジャンが支配したら、高確率で弾圧や民族浄化が起こるけど
それでもアゼルバイジャンを擁護するのかな
なぜ滅茶苦茶を語るかと言うと、世界はいまそれどころじゃないんだから火事場泥棒的に騒動起こすなよという話
アゼルとアルメニアのどちらが正しいだのどうでもいいこと、戦争で解決を図るのはアホウだ
火事泥やるなといいながら、火事泥やってるアゼルバイジャンにだけ利益を与えるんですか?
アルメニアに戦争起こさせて、アゼルバイジャンに勝たせるとはそういうことです。
アルメニア、アゼルバイジャンの是非以前の問題です。
逆に聞きたいですが、なんでそんなにアルメニアの肩を持てるんです?
ソ連崩壊直土のドサクサに紛れてナゴルノ・カラバフ地域をアルメニアが占領したのは良いことで、コロナで世界が混乱している中でアゼルが取り返しにかかったのは悪いことなんですかね。
それとも40年たったからアゼルは諦めるべき?それこそ”アルメニアにだけ利益を与える”ことだと思いますが。
世界がコロナの中で混乱中に軍事的に奪回することが良いのかと問われたので端的にお答えいたしますとは悪いに決まっています。
もちろん、アルメニアが侵略により不当に占領したのは同様に悪いことです。
しかし、2020年に一応の停戦がなっている中、さらに軍事的に解決を図るのはどっちもどっちとは言えません。
国際関係は合意がある場合、現状維持を良しとするのが原則です。
ナゴルノカラバフがアゼルバイジャン領であっても、合意を違反して軍事的に解決など肯定しようがありません。
正直肯定する・しない、良い・悪いの問題じゃないと思いますよ。「もうナゴルノ・カラバフ地域の問題は複雑過ぎて「誰が悪いのか」を認定するのは不可能に近く、」という管理人様のコメントの通りだと思います。
そりゃ平和的に解決するのが良いに決まってますよ。しかし、1994年も2020年も所詮は無期限の停戦合意だけ。戦争状態を解消したわけじゃないので、重大な違反があったとアゼルバイジャンが主張した場合、合意破棄自体を法的な問題とするのは難しいと。
そしたら、単にアルメニアがアゼルバイジャンにやり返されている、としか言いようが無いと思うのですがどうでしょう。
そういう意味ではアルメニアはアゼルバイジャンに和平合意を飲ませられなかったのが痛かったとしか言いようが無い。和平合意があってもアゼルは”侵攻”したでしょうけど、あったら西側諸国も応援しやすかったでしょうね。
まあ普通にソ連編入以降の動きを見てると、アゼルバイジャンか滅茶苦茶やってる印象しかないですけどね。
アゼルバイジャン側の残虐行為が多発してたのは事実ですし、基本的にユダヤとトルコ以外はアルメニアの肩を持ってますよ。
どっちが支配してももう片方が殺される土地で先に軍隊突っ込んだのアルメニアですからねえ。
アゼルバイジャン人にお前らが支配したら虐殺起こるから駄目だよと言っても聞きませんよ。
逆も然りなんですから。
えっ、アルメニアは虐殺しなかったの?
(アルメニア側が)戦争を起こせば、(アゼルバイジャン側にとって)丸く収まるという話ですが、アルメニアがアゼルバイジャンの為に行動する動機がありません。
パシニャンが敗北しても、アゼルバイジャンに妥協的でもまだ首相でいられる理由は、アルメニア人がそこのところを理解できてるということでしょう。
戦争すれば「丸く収まる」だの「痛い目に合わせないとわからない奴ら」だの言ってしまう発想のヤバさを自分で客観的に振り返ったほうがいい。
小学生の国定教科書にアルメニア人の頭を斧でぶっ叩く話が載ってる国だからなぁ
一歩間違えればアルツァフのアルメニア人の浄化が起きかねない
ロシアが頼りなき現在唯一頼れるのがイスラム教国のあのイランというのも皮肉で悲しい話
そういえばイランは先週zulfiqur1401演習やってたけどかなり武装の貧弱な部隊が映ってましたね
G3A4小銃にM1ヘルメット、防弾ベスト無しとは…
話変わるけど今夜のポーランド国防省の発表気になるぅ~
レオパルド2の噂で持ちきりすね
イランも人口の20~25%がアゼルバイジャン人だから下手に介入すると国内に民族問題が起きかねない
なので声明くらいなら出すけど、本当に戦争が始まったら結局何も出来なさそう
文末の【アルメニアが和平協定に署名しない限り】に続くのは第二次ナゴルノ・カラバフ紛争ではなく第三次ナゴルノ・カラバフ戦争じゃない?
アルメニアがナゴルノ・カラバフを分捕ってアルツァフ共和国を立てたのが第一次
アゼルバイジャンがアルメニア・アルツァフ共和国連合に勝利してナゴルノ・カラバフの大部分を取り戻したのが第二次
だから次に発生した場合は第三次ナゴルノ・カラバフ戦争だと思う
そうそう、みんな何を今更懸念してるんだか。第二だか第三だか第四だかしらないですが、ここは昔から民族が入り組んだ地域。そこに近代国民国家を置こうとしたら揉め続けるのは自明でしょう。
当事者二国とその国民が”理解”するまで殺し合いするしかないんじゃないでしょうか。
富野が脚本書いてるのか?って位ごちゃごちゃしだしたな
欧米のアルメニアロビー団体すら手に負えなくなりだしてる
ウクライナ侵攻の時にアルツァフ共和国側の一部がロシア側を支持したもんだから、下手に活動できなくなった
ぶっちゃけアルメニアがアルツァフを見捨てて難民を国内に受け入れ、残った独立派がアゼルバイジャン軍に鎮圧されるという結末しかなさげ
結局のところ、落ち目の側をケツモチに選んでしまったアルメニア側の戦略的敗北としか言いようが有りませんね
ロシアが駄目でもイランなら、としたところで、イランもロシア側に付いたのでハブられるのは確定的ですし
イランと対立しているというアセルバイジャンですが宗派はイランと同じシーア派なんですね
世俗的でイランの主教指導部とは思想が真逆で一安心
アルメニアの西側諸国への影響力が減って関心がウクライナ紛争にシフトしている現状からすれば、ロシアの支援がない以上国内の過激派の面子の為に再戦して上手く負けるしかないかなとは素人考えでした。
ウクライナの領土として国際的に認められてるけど住んでるのはロシア系住民
アゼルバイジャンの領土として国際的に認められてるけど住んでるのはアルメニア系住民
こういうのは争いが終わらない地域になる
・国際的に認められた国境線を維持して民族浄化の正当化
ウクライナの土地かつ住んでるのはウクライナ人
アゼルバイジャンの土地かつ住んでるのはアゼルバイジャン人
・住んでる住人を重視した上で領土侵略の正当化
ロシアの土地かつ住んでるのはロシア人
アルメニアの土地かつ住んでるのはアルメニア人
どちらも大問題だけど
残念ながらそのどちらかに収まるまで争いは終わらない
アルメニア本国と旧アルツァフがバングラディシュとパキスタンみたいに違う道を歩んで独立してくれればまだ解決の余地があるのかもしれませんが、ナゴルノ・カラバフはどうみてもチェチェンの道に通じる流れですよね。現在の先進国も多くは過去にエートスクレンジングを経て単一民族社会に転身した元コスモポリタンですし、現代でも国境と民族の問題に答えがあると信じたいですね。
まあその壮大な実験でもあったオーストリア-ハンガリー帝国が上手くいかず、ある意味共産主義のイデオロギーのもとで民族性を否定したソビエト連邦・ユーゴスラビア連邦が、壮絶な最後を迎えた結果が現在進行形の紛争の原因ですからねえ。
ただ単一民族社会って言っても、日本にしろ西欧諸国にしろ一定の地域性は存在しているわけで、特に日本やドイツみたいに近世の実質的な連邦制の構造の影響を残している国だってあるわけですから、結局は殺し合いはもうコリゴリ、と思うまで戦争するしかないんじゃないかと。
これからの時代、このような紛争が世界中のあちらこちらで繰り広げられるだろう。まるで他人事のコメントが後を絶たないが日本も例外ではないことを肝に銘じていただきたい。
何様?
日本はこういった民族紛争とは無縁ですが?