米ディフェンスメディアは1日、英陸軍が予定している次期自走砲の入札に英BAEのArcher、仏NexterのCaesar、独KMWのRCH155、韓HanwhaのK9A2が応じるだろうと報じている。
参考:British government sounds out arms makers on new howitzer risks
走行方式に拘りがないのなら性能、調達コスト、英国経済への貢献度合いを加味した総合評価の勝負になるだろう
英陸軍のAS90は39口径155mm榴弾砲を採用しているため、52口径を採用する西側諸国の自走砲(PzH.2000、K9、Archer、Caesar)やロシアの自走砲(Musta、Koalitsiya-SV、А-222)と比べて通常弾の射程距離が短く、52口径155mm榴弾砲への換装計画「AS90 Braveheart」も被弾した際の誘爆を防ぐ要求要件が満たせず、防衛計画の見直しで「AS90退役」と「次期自走砲の調達計画」が発表された。
まだ次期自走砲の調達計画は正式に動き出していないが、米ディフェンスメディアは情報筋から得た情報を基づき「英国の次期自走砲の入札に関心を示す企業は最低でも4回の情報提供要請に応じた」と報じており、英BAEのArcher、仏NexterのCaesar、独KMWのRCH155、韓HanwhaのK9A2が入札に応じる可能性が高いと予想、勝者に選ばれた企業との契約は2025年~2026年、引き渡し開始は2028年頃を想定しているらしいが、ウクライナ侵攻を受けて計画が前倒しされる可能性があるらしい。
今年6月にウォレス国防相は国防委員会で「AS90の射程は23km~24km(BB弾使用でも45km)に過ぎず、遠距離攻撃能力の欠如は陸軍にとって深刻な問題だ」と発言しており、英国王立防衛安全保障研究所のアナリストも「次期自走砲の調達を加速させるのが最もベストなアプローチだ」と述べているが、陸軍の遠距離攻撃能力の強化は自走砲の調達だけではない。
英国防省はMLRSのアップグレードをLockheed Martinに発注済みで、米国とオーストラリアがATACMSの後継として開発を進めている「Precision Strike Missile」への協力も表明しており、アップグレードを受けた英陸軍のMLRSはER GMLRS弾(推定射程150km)による地上静止目標への遠距離攻撃と、PrSM(推定射程499km/将来的に700km~800kmまで延長予定)による地上もしくは海上を移動する目標への遠距離攻撃が可能になる見込みだ。
新規調達する自走砲とアップグレードしたMLRSの能力を最大限引き出すためには無人機による「戦場認識の拡張」で不可欠で、無人機と砲兵戦力に搭載された火器管制システムとの統合が最も重要なポイントになるだろう。
英国よりも先に砲兵戦力の大胆な増強に乗り出したポーランドでは今年5月、砲兵戦力向けの無人機システム「グラディウス」に20億PLN=約580億円を投資すると発表、着々と砲兵戦力の射程を活かす戦い方の導入を進めており、英陸軍も何らかの形で同様のシステムを導入してくると管理人は思っている。
少々話が脱線したが、果たして英陸軍の次期自走砲(現時点で正式に次期自走砲に挑戦すると名乗り出ているのはHanwhaのみ)に何を選択するだろうか?
もし装輪タイプの自走砲を選択すればArcher、Caesar、RCH155の戦いになるが、軌道式を選択すればK9A2しか選択肢がなく、走行方式に拘りがないのなら性能、調達コスト、英国経済への貢献度合いを加味した総合評価の勝負になるだろう。
#K9A2 has arrived in the UK! For the first time in Europe, Hanwha Defence will be exhibiting the most up-to-date version of the K9 Thunder Self-Propelled Howitzer at #DVD22 #UTACmillbrook. pic.twitter.com/eK3HZJTlcW
— Team Thunder (@K9TeamThunderUK) August 30, 2022
Team Thunder is a long term commitment to the UK. By proposing the world’s most proven self-propelled howitzer – #K9A2 – for the British Army, Hanwha and Team Thunder partner companies are expected to create and sustain thousands of jobs in the UK. pic.twitter.com/slYaujsyWO
— Team Thunder (@K9TeamThunderUK) August 31, 2022
因みにHanwhaは今月21日に英国で開幕する防衛装備品の見本市「DVD2022」に実機のK9A2を出展する予定で、Hanwhaと英国企業で結成されたコンソーシアム「Team Thunder」は英国にK9A2が到着したことや、K9A2が採用されれば国内に数千もの新たな雇用が生まれるとアピールしている。
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※アイキャッチ画像の出典:Ibaril/CC BY-SA 3.0、KMW、©Marie-LanNguyen/CC-BY 2.5、Republic of Korea Armed Forces/CC BY-SA 2.0
もう英国は自走砲の国内開発をしないのか
海空でリソース使い果たしてる感じなんですかね?
どちらかと言えば少量しか生産しないのに自国で賄おうとする方がおかしいと思う
AMX30の様に単一車体のバリエーション展開にすれば良いのだが、それすら不可能になっているのか。
BAEはなにやっているんだ?
問題はBAeじゃなくて防衛省ですよ。FRES(後のScout SV、さらに後のAjax)やらでBAe裏切ってるんで。
自衛隊「・・・」
BAEが絡んでるからArcherじゃないの?
自動装填で車出ないって、冬は寒くなくて良いよ♪
でも補給艦は韓国製を採用しているから必ずしもそうなるとは限らないと思う。
ずいぶん前にイギリスがAS90の後継に99式自走榴弾砲の自動装填システムを使えないか興味を持っているというニュースを見た記憶があるのですが、立ち消えになっていたんですね
まずは装輪式か装軌式か決まってからだな
英国でもK9が採用されれば、国産マンセーの軍オタウヨ共の自尊心がズタボロに破壊されるだろうな
その前に要求仕様がおかし過ぎる。
トラック自走砲と装軌式重自走砲が候補に並んでいるのが、仕様がふらつき過ぎる。
BAEがしっかりしないと、英国面だけが発揮されそう。
K9が採用される根拠ってどんなのがありますかね。本土防衛やNATOの前線部隊としてなら分かりますが、昨年からのイギリス陸軍の再編成では縦深防御に主眼を置いているようですが。
野外で155mm砲を人力装填するより楽しいことはない。カエサルを操る楽しさに比べればK-9は味気なく、アーチャーや99式に至っては砲兵の楽しみは完全に消えている。嘆かわしいことだ。
電車で腹抱えさせられたので、悔し紛れにコメント。
できるならハートを連打したかった。
最新の自走砲は無人砲塔が出始めているので、搭乗員の少ない車両がえらばれそう、英BAEのArcher(4人)、仏NexterのCaesar(5人)、独KMWのRCH155(2人)、韓HanwhaのK9A2(3人)との事、無人化対応可能なRCH155かキャタピラのK9A2が選ばれそう、時代が変わりつつあるようですね。
装輪式と装軌式の実戦評価はどうなんでしょうね
自動装填の程度も関係してくるな
イギリスの場合、展開能力を重視して装輪式かな
迎え撃つ国の場合は自動装填と装甲重視で装軌式かな
欧州みんなウクライナを見てますからね、現実問題、英本土への上陸作戦なんて想定しにくいので、自走砲も海外展開が主とすれば、やはり輸送が容易で生存性の高い装輪式に傾くと思う
国産にするならArcher、Boxerと合わせるならRCH155,装軌車にこだわるならK9だな。選ばれなさそうなのはフランスのCaesarだけど、英軍は伝統的に遠征軍だから、同じ戦略思考の仏軍の装備を調達するのもありかと。
一種類だけ装軌式が混ざっているな。
仕様要求どうなっているんだか。
というか、コレ、当て馬じゃね?
日本の遺憾砲は?
遺憾砲は武器輸出三原則に引っかかるため輸出できません
なんせいくらでも弾がうてるすごいテクノロジー使っているからね
遺憾砲は、敵軍に効果がないからなぁ。