ポーランドのマリウス・ブラスザック国防相は6日、陸軍の砲兵部隊を強化するため「グラディウス・システム」と呼ばれる無人機システムに20億PLN/約580億円を投資すると発表した。
参考:Gladius uderzy na 100 km. Polskie bezzałogowce dla wojska za miliardy
あくまでグラディウスUAVは自走砲やMLRSが届かない部分を安価にカバーする手段、砲弾やロケット弾の代わりになるものではない
ポーランドのマリウス・ブラスザック国防相は6日、陸軍の砲兵部隊を強化するため複数の無人機で構成されたグラディウス・システムに20億PLN/約580億円を投資すると発表、現地メディアは「ポーランドが実行したUAV/UCAVプログラム史上最大の投資額だ」と報じて注目を集めているが、グラディウス・システム自体も中々興味深い点がある。

出典:WBGROUP FT5
ポーランドのWBGROUPが開発したグラディウス・システムとは、実用化済みの情報収集・監視・偵察(ISR)向けUAV「FT5」と詳細不明な自爆攻撃用のUAV「BSP Strike(便宜上グラディウスUAVと呼称)」で構成されており、一言で言えば「観測用UAVは対砲兵レーダーよりも遠距離の敵を検出することができるのに、自走砲(榴弾砲を含む)やMLRSが使用する砲弾やロケット弾だけでは折角の情報が活かせない=射程距離が不足するため、このギャップを埋める攻撃手段=グラディウスUAVを追加する」という意味だ。
このグラディウスUAVについてWBGROUPは「一般的な徘徊型弾薬(UAV)とは異なり戦場を徘徊する能力やセンサーを搭載していないが、その代わりに安価で調達することができる」と説明しており、グラディウスUAVの運用にはFT5とのチーミングが必要不可欠になる。

出典:Ministerstwo Obrony Narodowej グラディウスUAV
シンプルに言えば目標指示が必要な精密誘導兵器の劣化版的存在だが、高価なGPS誘導式の射程延長弾や誘導式ロケット弾よりも安価に100km先の敵をピンポイントで攻撃できる手段は砲兵部隊にとって魅力的で、ロシア軍と戦うウクライナ軍もセンサーとシューターを分離した安価な攻撃用UAVを使用して効果を挙げており、この原始的なUAVのチーミングは実戦で証明済みと言っても過言ではない。
勿論、有り余る国防予算があるなら一般的な徘徊型弾薬(UAV)を使用すれば良いだけなので「革新的なアイデア」というほどではないが、砲兵部隊の観測手段に数百km先まで飛べるUAVを使用するなら、これを生かす攻撃手段も安価に追加したいという話だろう。

出典:Sejm RP / CC BY 2.0 AHS Krab
因みにポーランドは20億PLNを投資してグラディウス・システム用のUAVを数百機取得すると報じられており、現地メディアは「圧倒的な火力とピンポイントで敵を破壊する精密性を兼ね備えたシステムを陸軍の砲兵部隊は手に入れる」と述べているが、あくまでグラディウスUAVは自走砲(榴弾砲を含む)やMLRSが届かない部分を安価にカバーする手段なので、砲弾やロケット弾の代わりになるものではない。
追記:米陸軍はオーストラリア、カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、オランダ、英国と共同で史上最大のドローンスウォーム演習(先月25日~12日)を行っており、約30機の異なるUAVのチーミングによる戦場認識力の拡張をテスト、ヘリ部隊、地上部隊、司令部がネットワークで結ばれUAVが収集した情報を元に作戦を実行する内容の演習(ネットワークのボルトネックを特定、複雑な意思決定のプロセスを検証するため同盟国が参加しているらしい)を行っているらしい。
オーストラリアが参加しているのでNATO縛りの演習ではないと思われるが、それなら陸自も招待してくれたらと思ってしまう。
関連記事:ウクライナ国産の小型無人機、ロシア軍の燃料・弾薬集積所を焼き払う
関連記事:UAV開発が盛んなポーランド、1,000セットも導入した国産カミカゼドーロンの実力
※アイキャッチ画像の出典:Ministerstwo Obrony Narodowej
お知らせ:記事化に追いつかない話題のTwitter(@grandfleet_info)発信を再開しました。 |
ドローンに消極的過ぎて演習からハブられる日本くん。。。
果たして今後挽回出来る機会はやってくるのか?
呼ばれてないのか、ついていけなくて辞退したのか
、どちらにせよ陸自が世界から取り残されつつあるのは隠しようもない
やられ役として呼ばれれば目が覚めるかも
消極的だからってのは想像でしかないでしょ。それなら世界でも有数の兵器輸出国でドローンに熱心な韓国が何故ハブられているの?実績あるトルコだって参加してもいいはず。
条件なんかウクライナ支援に熱心とか、ドローン運用や対策に長けた国か、海外派兵に協力的とか色々考えたけどこれと言った共通項が無い。せいぜいが白人中心ぐらいとしか思えない。
傾向としてはUAVとのチーミング出来る攻撃ヘリの採用国か予定国が集まっている感じはするが。
出番があるかもしれないNATOと、WW2から朝鮮・ベトナム・湾岸・イラクと共に戦ってきたオーストラリアと一緒に「地上戦におけるドローンとの戦い」を優先しただけでしょう。
上陸作戦や離島でのドローンとの戦いを想定した演習に日本がハブられたら、その時こそ問題ですが
管理人に防衛装備調達させたらいいと思う。(絶対無理)頭の硬い国会議員よりかは何倍もいい
政治家ももちろんだけど
・財務省
・学術会議
・自衛隊上層部
さっさとこれらだけでも刷新、もしくは解体しないとダメでしょうね。
近頃ワイドショーでよく出てくる防衛省防衛研究所の高橋氏や兵頭氏は戦況分析でドローンの有効性を評価しているけど、彼らはこの戦争前も同じ認識だったのだろうか。
それとも防衛研究所の提言は省内で軽んじられていたのか。
評価はしてるが優先度は低いと考えてるのでは。
今回はS300等の旧ソ対空兵器のせいで、ロシア•ウクライナ共に有人機による制空権が全く確保できていない一方で、この手の対空レーダに引っかからない中型サイズの無人機が活躍できているように見えます。まあロシアのオリオンでしたっけ、あっちが活躍している話を聞かないので、TB2やウクライナの運用が優れているんでしょうけど。
日本の場合、有人機の性能と数共に中国軍有利に偏っている中で、正面装備を揃える方が重要だと考えているのではないかと思うのですがどうでしょうか。
陸自管轄となる性能とサイズのドローンですと陸自より空自・海自が優先されている現状ではリソース的に積極導入は難しいですからね
かといって空海戦力が自衛隊+在日米軍より中国のほうが強力化しつつある(あるいはもうなっている)現状では空自・海自より陸自装備を優先しするわけにはいきませんし、空海で先端レベルの対空能力を相手にできるドローンとなると調達費も運用脾も桁違いになってくる上、その有用性は未実証という
ごく最近まで攻撃用(になりうる)兵器ってだけでケチがついたし
元々の滞空型無人機も弾道ミサイルの監視を態々目的にしてたし最近言い出した衛星コンステレーションと並行して極超音速兵器の監視に使うって話も純粋に防衛用ですよ~って逃げ道を用意してる感がある
自衛隊の攻撃型無人機運用は自主規制です。訓令で次のごとく規制してます。
「防衛省訓令第54号 平成27年12月10日
無人航空機の飛行に関する訓令」抜粋
>当該無人航空機により爆発性又は易燃性を有する物件
その他人に危害を与え、又は他の物件を損傷するおそれ
がある物件で航空法施行規則第236条の5で定めるも
のを輸送しないこと。
>地上又は水上の人又は物件に危害を与え、又は損傷を
及ぼすおそれがない場合を除き、当該無人航空機から物
件を投下しないこと。
また、有事(災害出動含む)外に自衛隊が自由に無人機を飛行させ得るのは、基地・駐屯地・演習場敷地内、訓練海空域内だけで、これらの外では 統幕長・陸海空幕僚長・防大学長・防医大学長・防衛装備庁長官、又はこれらより権限の一部を委譲された防衛大臣直轄直轄部隊等の長の承認が必要。
攻撃型UAVの取得に動くようですから、この訓令も今後改訂されることになるんでしょう。
どうも陸自自身はかなり評価していて多数の研究や購入計画が動いてるけど予算の関係で毎年少数の調達に留まってるぽいな
今ウクライナで見られる観測や無線中継などおこなう無人機は陸自が2001年から運用してるんですが、まあ知られてないですね。おっしゃる通り数が限られてるのも問題です
財務省を納得させられるバイラクタルみたいな『決定版!』みたいなのが出るまで発言が軽んじられてたしれませんね。軍事って興味が無い人からすると、目に見える結果以外は魔法か何かにしか思えませんから。対戦車ミサイルもスローで見ないと何が起こったか分かりづらいですし。
あとはかつての無人対潜水艦ヘリコプターDASHが何か尾を引いているのかも。時代が早すぎたんや・・・
プレデターやリーパーとか民間人虐殺の道具みたいに言われてたし
リンク
榴弾砲ってそのうち消えるんですかね?
動画観ててもほとんど当たってないから
むしろUAVによる認識拡張の恩恵を一番受けてるような
そんな貴方に誘導砲弾エクスカリバー。
でも今回の侵攻を見ていても、やっぱり安価な砲撃って有効なんですよ。
誘導兵器は高価で数が限られますし。
敵の砲撃が届くということは、それだけで脅威ですからね。
命中精度は自爆ドローンや誘導兵器が勝るのは当たり前だねど、低コストで大量の火力を送り込めるのは榴弾砲だから間違いなく活躍してるはずです。
そもそも、ドローンなら画像を撮れるけど砲弾は着弾の映像を撮れないので、そのように錯覚してしまうのだと思います。
アイアンドームが進化するか、榴弾砲の弾を無力化するバリアみたいのが出てくるか、更に安価で破壊力があって扱いやすいのが出てくれば、いつかは消えるかもしれませんね。
グラディウス・・・
なんか隠しコマンドがありそうw
↑↑↓↓←→←→BA
SFC版「かかったなアホが!」
俺「ギニャァァァァ!」
— 先日、TB2の(ゆっくり地上が動いていく)動画を見ていて、ゼビウスのBGMが脳内で一瞬かかりました。
— 古くて申し訳ない。
陸自なんてほぼ駐屯地の芝刈りor演習場整備が仕事だし(俺の部隊は)気にしたら負けだと思ってる。ドローン?見たことないどころか噂で聞いたこともない。本当に運用されてるのだろうか。。
あと競技会と訓練隊廃止して欲しいですね~
一般部隊に満遍なくドローンが配備されてるくらいじゃないとこういう演習には参加すらできないだろうな
まぁあんな国が自国のすぐ近くにいるんだから国防の増強は当たり前だよなぁ? 伸び代のある部分はどんどん伸ばしていかないとね
あっそうだぁ(唐突)ポーランドは早く司法の問題解決してEU予算のブロック解除すんだよ、
ウクライナの件で国防面は評価上がってるけど他の面ではハンガリーよりちょっとマシ程度だぞオイ
「ボルトネック」=どこにもくびれがない。。。
……ごめんなさい、単なる誤植なのはわかってるんですが、妙にツボったものでw
他の記事だけどドツネ川も気になる