チェコが発見した「155mm砲弾50万発」と「122mm砲弾30万発」を購入するためカナダ、英国、ドイツ、フランス、ベルギー、ノルウェー、フィンランド、ラトビア、リトアニアなどが資金提供を表明、パベル大統領は7日「砲弾購入に必要な資金集めが終わった」と明かした。
参考:Pavel: Částka na nákup munice pro Ukrajinu je shromážděná
契約させ締結すれば「数週間以内に砲弾80万発がウクライナに到着する」という意味ではない
チェコのパベル大統領はミュンヘン安全保障会議で「購入可能な155mm砲弾50万発と122mm砲弾30万発を発見した」「米国、ドイツ、スウェーデンなどのパートナーから資金が得られれば数週間以内にウクライナへ届けられる可能性がある」と言及、Financial Timesは関係者の話に基づいて「これを購入するには15億ドルの費用が必要になる」と報じ、カナダ、英国、ドイツ、フランス、ベルギー、ノルウェー、フィンランド、ラトビア、リトアニアなどが資金提供を表明した。
パベル大統領は7日「我々が発見した砲弾80万発を購入するための資金を集め終わった。後は我々の手腕にかかっている。次のステップはチェコ政府が契約を締結することで、この取り組みに参加した全ての国に今後のスケジュールや状況を報告する」と明かしたが、ポジャール首相補佐官はメディアの取材に「大統領の発言はイニシアチブ全体ではなく初回バッチをカバーできるという意味」と述べたため、チェコメディアは「砲弾購入に必要な資金が調達できるかどうかを補佐官は疑問視している」と報じている。
この手の砲弾は顧客からの発注に基づいて生産されるため、チェコが発見した購入可能な砲弾とは「企業の倉庫に眠っている現物」ではなく、欧州以外の地域で「155mm砲弾の生産能力に余裕がある企業」と「122mm砲弾の生産能力に余裕がある企業」を見つけたという意味で、契約させ締結すれば「数週間以内に砲弾80万発がウクライナに到着する」という意味でもない。
フィアラ首相も「必要な支援を提供するため多くの国と協力出来たことを嬉しく思う。今年中に数十万発の砲弾が届けられることを保証する」と述べており、首相補佐官の発言も加味すると「155mm砲弾と122mm砲弾の発注は複数バッチで構成された契約になる」「第1バッチの契約に必要な資金は確保された」「第1バッチ分は発注から数週間以内=3ヶ月以内にウクライナへ到着し始めるかもしれない」「発見した砲弾を全てウクライナに届けるには36週間近くかかる」となる。
仮に155mm砲弾50万発を36週間で引き渡すには月5万発以上を生産する必要があり、チェルノホヴァー国防相も「西洋や東洋で生産された砲弾の入手方法を探し続けている」と述べているため、チェコは「生産能力に余裕がある企業」を複数見つけている可能性が高い。
因みに155mm砲弾の価格についてバウアーNATO軍事委員長は2023年10月「155mm砲弾の価格は侵攻前の2,000ユーロから8000ユーロに上昇している」と、米陸軍の報道官は「砲弾の購入に3,000ドル(砲弾、装薬、信管を含む)を支払っている」と述べたことがあり、米メディアは欧州の武器生産について以下のように指摘したことがある。
“米国と異なり欧州が生産する155mm砲弾は商業市場の手に委ねられている。つまり欧州諸国は調達を通じて増産を促すことが出来ても、生産設備への投資、ダブルシフトの導入、工場の新設を企業に命じることができない。さらに欧州の防衛企業は銀行に対する規制の影響で民間から資金を調達することが出来ず、受注増を期待して増産に投資するのが難しい状況だ。欧州外交問題評議会のラファエル・ロス氏も「産業界に増産を命令できる政府は存在しないが、米軍は砲弾を増産するための直接的な手段を持っている」と述べた”
米国の155mm砲弾生産は政府所有の施設を民間企業が運営する形なので、米陸軍は設備投資の費用を予算に計上することができ、第二次大戦時代の建物と設備を近代化するため数十億ドルの投資を発表済みだ。
欧州と米国が調達する砲弾価格の差は「設備投資の資金の出処」に関係があるのかもしれない。
Many thanks to all the countries that have joined the Czech initiative to purchase ammunition for Ukraine so far. We have managed to raise enough money to buy the first batch of 300,000 artillery shells. However, our goal is to deliver much more!
Our work and our help to Ukraine…
— Petr Fiala (@P_Fiala) March 8, 2024
追記:ポジャール首相補佐官は「大統領の発言はイニシアチブ全体ではなく初回バッチをカバーできるという意味」と言及していたが、フィアラ首相も「最初のバッチである砲弾30万を購入するのに十分な資金を集めることが出来た」と表明した。
追記:このイニシアチブにルクセンブルクも参加すると報じられている。
関連記事:ウクライナ軍が直面する砲弾不足の原因、問題は何処に潜んでいるのか
関連記事:米陸軍は155mm砲弾の生産量を朝鮮戦争の水準に戻す、2年以内に月産9万発
※アイキャッチ画像の出典:Petr Pavel
日本も設備は政府が保有して運営は民間企業が行うなら砲弾の製造能力を飛躍的に向上させる事が可能になるかもしれませんが、その場合の問題は予算をどう確保するかでしょうね。
防衛省の令和6年度の概算要求の資料ですと、155㎜砲弾の確保に53億円の予算とのこと
砲弾1発が8000ユーロするなら,1ユーロ160円で計算して128万円として
手に入る砲弾は約4000発/年 1日15発 1時間2~3発程度の生産能力で十分ということになるので
有事に大量生産が可能なラインを作るのは、企業の力では困難ですし
政府が所有しても、量産試験を年1回すれば1年分の必要量ができてしまうので能力増強は中々難しいかと
余剰生産分を輸出できるなら設備の保有や民間企業の協力も得られやすいでしょうけど、共同開発の戦闘機を輸出出来るようにするかどうかでこれだけ揉めていては砲弾などを輸出出来るようにするかの議論が始まるのは当分先になりそうですね。
いまならアメリカとかが買い取ってくれそうだけどね。
企業なので仕方がないというのは判るんですが、今回の戦争が火力戦になっているのを見ると正直ゾッとします。
弾薬以外の軍需品も全部同じなんでしょうね
価格の情報ありがとうございます、勉強になります。
日露戦争~、弾薬不足が常々指摘されてきましたが、変わらないですね。
現代日本でも、ウクライナ戦争初期にロシアと戦争するべきという勇ましい声はありましたが、どうやって戦うつもりだったのか。
どういった準備ができていると考えていたのか、疑問に感じています。
次は砲兵の機械化と主に突入ドローンに対する補給路含めた防空能力と偵察能力とー勝つためには後何個改善すれば…
ウクライナにとって朗報ですが、やはり海外からの弾薬運搬はロジスティクスに負担が大きいですね。
半年先に前線に行き渡るようですが、それまでは厳しそうだなと。
砲弾1発約30万円も高価ですね…
管理費用、運送費用は別ですから、ロジスティクスのコストが凄そうです。
ウクライナ軍の戦車、弾薬が不足している報道が目立っており、これの解決策もあるのか注目しています。
現物があるもんだと思ってたら違った
というか写真イケオジが過ぎるこんな歳の取り方したい
チェコ国内には、元々ソビエト規格の152mmと122mm砲弾も製造しているSTVという銃器メーカーがある。
まだ噂の段階だが、西側規格の155mm榴弾の製造設備を新設したとの話も。
勿体ぶって言っているけど、蓋を開けたらチェコ企業でしたとなるだけな気がしています。
歳の取り方は兎も角、チェコ大統領も相当な狸な気がしますよ。
リンク
>勿体ぶって言っているけど、蓋を開けたらチェコ企業でしたとなるだけな気がしています。
だとして何の問題が?
まあ在庫管理システムに関わった事のある身としては大型砲弾80万発なんて在庫を手元に置いて値段釣り上げ?交渉とか正気の沙汰とは思えませんが…。
あちこちの記事を読みますが。その一つに。
「当該砲弾は、チェコ国内にストックされている。(つまり、チェコ軍用?)
ストックされた砲弾を放出する代わりに、早急にストックを補充したい。
EUの砲弾の供給が遅く、自国のことも考えれば、簡単に砲弾を放出はできない。
そして、EUの砲弾を待つと、ウクライナは時期を失する可能性がある。
そこで、補充分の砲弾を欧州限定ではなく、欧州の内外から求めたい。
補充する砲弾には自国(チェコ)企業も含まれる。」
と言う説明をしたものがあります。
そんなものかな、と思って読みましたが。
そうか、資金は用意できたか
砲弾が80万発届いたら起こしてくれ、死ぬほど疲れてる
永眠フラグ
ポンと払ってくれたぜでありますように。
あれはウソだになりませんように。
取り敢えずは提供した国名が明らかになることに期待
EUの外から買ってくるのは禁止じゃなかったのか
禁止だから別にやるしかないということなのか
EUの言い分は、EUの資金を使用しての購入はEU域内に限定と言っているので、EU内の個々の国が自国の資金で購入するのはEUの立場からは問題ないです。
ヨーロッパ圏で需要と供給、生産と消費を回すのがEUの理念であることが伺えるルールなのに
抜け道通されて現状わりとどうでもよくなってる実態が見えて面白いです。
急騰した砲弾ビジネスが熱いですね。回り回って北朝鮮やロシア製の砲弾がよく分からないルートから届くまであるかもしれない。
話がトーンダウンしているのか、最初から報道がおかしかったのかよくわからなくなってきた
「80万発の砲弾がどこかにあって、それの輸送のために費用が必要」という話だと思っていたのだけど、いつのまにか「EU域外のどこかの企業と生産契約を結んで支払うための費用を集めてた」という話になったように感じてしまう
結局、いつになったらどれだけの砲弾が届くのかがさっぱりわからない。年内に80万発全てが揃うのかも怪しい?
EUが今年の3月かな?までに届けると約束()した100万発の砲弾も結局全然足りてないから「そういうもん」だと見た方が良いのかもしれない
今回の戦争で日本が観察しなきゃならない事は、ロシアの物持ちの良さ。
古い装備もそうだが、古い生産設備もちゃんと?保持している事。
日本は、装備品から外れると保管もしないで破棄する・・・mrs?だってクラスター禁止条約に署名したから破棄でしょ!
弾頭部分は破棄しても(ウクライナでは小爆弾を取り出してドローンにつけているけど)ロケット部分は別の用途に使える。
コノ様な、装備品から外れる装備も工夫によって利用する発送がない。(予算処置の関係だと思うが)
湾岸戦争のときだって地中貫徹爆弾を作るのに”廃棄処分された203MM砲の方針を利用したり”
70MMロケット弾だって水道管を利用して制作した。
生産設備(砲弾とか作る機会など)だって、まさか固定資産税掛けてるという馬鹿な話はないよね。
国防に関する生産設備などは、固定資産税免除(そうすれば企業は生産設備を保持しやすくなる)。
「防衛に詳しい」と言われている議員からとか、軍事評論家から防衛装備品生産設備と税の関係は聞いたことがない。
安価な保管に適した乾燥した広大な平地が日本にはほとんどないのです。
日本の美称は豊芦原瑞穂の国、というぐらい日本は湿原地帯が多いです。
限られた平地を有効活用する為には古い設備や装備を廃棄して
そこに新たな空間を生み出し利用するのが日本では一番低コストなのです。
いつ使うかわからない旧式設備を安価に保管する余裕はなく、
限られた条件で敵を迎え撃ち友軍(米軍)を待つのが一番低コストな国防になります。
核兵器システムを保有するなら別ですけど。
アメリカの砂漠を借りて保存するとかするなら別だろうけどね。
素人の、全くの想像?ですが。
中東諸国で死蔵?されている戦車などは貰えないものでしょうか。
先日、クウェートがM84を出したようだけれども、
他にも死蔵された戦車は結構あると思います。
いろんな理由で死蔵されているようですが。
イラクのM1A1とか、ヨルダンのチャレンジャー1とか、エジプトのラムセスII世とか。
お金で解決するものなら、またどこかの国が音頭をとっても良いのでは。
解体業者のレオパルト1はどうなったんでしょうね
集計を見ていませんが。
ウクライナの保有量は、少しずつ増えているようです。
一説では100輌近くになったとか。
業者さんからの買取が続いているのでは?。
現地では装甲防御力のある自走砲みたいな扱いのようですが。
ゼレンスキーがイスラエル側に立つと言ってしまうまでは可能性あったでしょうね
でもほとんどの国で国民感情が許さないのでもう無理かと
ロシアと敵対している国々からは買えるでしょうが
、ロシアへの配慮がある国からは買えないと思いますよ。
そして、グローバルサウスは、アメリカの取り込み工作が失敗した結果、ロシアへの配慮がある国だらけですぜ。
中東には詳しくはありませんが。勝手なことを言うと。
ハマスやフーシ派の活動の結果、エジプトとヨルダンは迷惑を被ってますね。
この両国は、以前から、パレスチナ人対策に苦労をしています。
ヨルダンは、パレスチナ人と内戦まで行って自国から追い出していますし、
エジプトはガザ地区とは対立しているし、イエメンに軍事介入したこともあります。
米国のやり方が下手なのかもしれませんが、やり方によっては
戦車を譲ってもらえそうにも思えます。
英国などを仲介に立てても良いような気がします。
政府と国民世論は別ですよ
エジプト人の大半はハマス支持です
不買運動も最も盛んです
軍事クーデターをおこした軍部がムスリム同胞団系の政府を打倒して国民を押さえつけて、親米親イスラエルやってるだけなので。
ヨルダンにしても王政府と国民は別ですからね。
ヨルダン人とパレスチナ人に違いなどありませんし、あえて分けるなら過半数はパレスチナ人になります
ヨルダンとエジプト両国とも、サウジアラビアと
アメリカに財政の首根っこを掴まれているようですから、
どうかな、とは思いますが。
イラクのM1A1はもうisisが持って行ったのでは。
中東はむしろ戦車を欲してると思う。昨今不安定だし
ね
たかが砲弾一発が俺の額面給料より高いことに泣いた。
こんなものを毎月数万発撃ってるのか。。。。
ロシア側のは安いそうですが、多い日は1日で1万発らしいですね
戦艦の主砲一発が高級車1台分、酸素魚雷が一発で家が一軒建つと言われてましたよ、昔から。
サラリーマン月給分なんて安い部類でしょう。
金さえだせば北朝鮮だって売るだろうに
ケチるからいかんのだ
すまんが北朝鮮からの購入は安保理決議に引っかかるのでng
後、その金で核やミサイル開発するからng
初期に供与を躊躇したせいで長期化したせいでロシアが北に頼って結局「その金で核やミサイル開発する」事態になってて草も生えねぇ。
ロシア軍のミサイルで送った先から弾薬庫を吹き飛ばされるでしょうから、いくら提供しても足りないでしょう。
去年まではロシア軍のミサイルやドローン攻撃で核弾頭レベルの爆発を起こす弾薬庫の映像をよく見ましたが、あれでかなりの弾薬が無駄になったと思います。
空爆に耐えられる保管場所も作る必要が有りますね。
砲弾ではないのですが 米陸軍工場製の銃弾が国内に販売を許可されるかわりに 米軍は割引価格で銃弾を購入できることになってます 20億発近い銃弾が売却されてるそうで法執行機関も購入者に含まれるそうですが それを考慮しても多すぎです
ウクライナ支援が止まってるので国内に溢れでるかも
素晴らしい制度かって言われるとちょっと
西側が口先だけだという事が晒されつづけている。
紙(金)は持っていても物がない。GDPと国力は全く別物だった。当初ロシアのGDPは韓国程度とバカにされ継戦能力は3か月程度と報道され日本国中納得していた。
砲弾不足は火薬の生産がネックだという話が出ている。中国綿花を使用するらしいが数か月前から中国が輸出を停止したらしい。北欧で代替品が見つかった?とか書いてあったが果たして砲弾はウクイラナイに届くのだろうか。
GDPは、輸入原料を加工したり、金融取引や公共事業でも、膨らます事ができますからね。
ロシアや中国のように、資源国や食料輸出国、基礎工業品を作っている国は仰るようにGDP以上に強い面があります。
日本は、エネルギー資源や食料は輸入依存、基礎工業品も輸入に依存してますから、全面戦争に弱い国と言えます。