ウクライナ軍の砲弾不足を解決する最も効果的な方法は「調達先を制限しない資金で生産能力に余裕がある企業から砲弾を買ってくること」だと個人的に思っているが、こんな都合の良い資金は何処にもないため、当該国の増産が軌道に乗るまで耐えるしかないのだろう。
ウクライナ軍が砲弾不足に陥った原因は調達先を制限しない資金の不在
NATOに加盟する東欧諸国には152mm砲弾の生産ラインが残っているものの、旧ソ連規格からNATO規格への切り替えが進んでいるため生産量が少なく、欧米はウクライナにM777、FH-70、M109、AS-90、PzH2000、KRAB、Caesar、Archer等を提供することで砲兵装備の一部を西側規格に移行させ、米国を中心に250万発以上の155mm砲弾を供給したものの、ロシアとの戦争に必要な砲弾ニーズは莫大で欧米の備蓄分を食いつぶす結果となってしまった。
現在のウクライナ軍が直面している砲弾不足は「①武器支援の資金」「②砲弾生産への投資」「③労働条件に関する規制」に起因しており、①は「米国とEUの軍事支援資金が尽きている(尽きかけている)こと」「軍事支援のための資金は思っている以上に柔軟性がないこと」で構成されている。
ウクライナ支援という表現は軍事支援、財政支援、人道支援の総称であり、米下院がブロックしているウクライナ支援(約600億ドル)は軍事支援と財政支援が含まれ、EUが2月に承認した約500億ユーロは4年分の財政支援で軍事支援に転用することは出来ない。
EUは通常予算を軍事支援に割り当てることが出来ないため、通常予算外の基金=欧州平和ファシリティ(EPF)を通じて56億ユーロ相当の軍事支援をウクライナに提供してきたが、加盟国はEPFの資金補充や規則改正で立場が異なるため合意が難航しており、資金補充に関する最大の相違点は「ウクライナに対する二国間の軍事支援」をEPFへの拠出金として認めるかどうかだ。
EPFに最も多くの資金を拠出しているドイツは直接支援を増やすため「EPFへの拠出金から直接支援にかかった費用を差し引きたい」と提案、ウクライナ支援に積極的なチェコもドイツ案を支持しているものの、EU当局は「この提案は連帯の精神を損なう」と反対している。
さらにフランスはEPFの使用用途について「EU域内からの調達に限定する条項を設定すべきだ」と強く主張しており、チェコのパベル大統領が「砲弾80万発をウクライナに供給するため資金」をNATO加盟国に呼びかけたのもそのためだ。
EPFの資金は「EU域内の産業基盤強化に該当しない案件=EU域外からの調達」に使用することが出来ず、ポーランドやバルト三国が「ウクライナに約束した砲弾100万発を期限内に届けるため域外調達を行うべきだ」と訴えても実現しなかったのはそのためで、フランスは明確な条項を設けることで域外への資金流出を阻止したいと望んでいる。
ラインメタルは南アフリカに155mm砲弾を製造する子会社(Rheinmetall Denel Munition)を所有しているものの、この砲弾をウクライナのために購入してもEPFの償還対象から外れ、フランスは域外から砲弾本体や炸薬などを調達して域内で組み立てた砲弾についても償還対象外と主張していたが、これについては議長国のスウェーデンが調整に奔走して最終的にフランスが譲歩した。
要するに「ウクライナへの軍事支援」は「国内もしくは域内への投資」とセットでなければならず、これは日本のODAに近い考え方で「支援と利害は別もの」「無条件の支援は存在しない」と思っておいた方がいい。
②砲弾生産への投資についてエストニアの国防次官は「砲弾ニーズが急増しているにも関わらず産業界は『契約を結んで初めて朝を迎える』という姿勢のままだ」と苦言を呈したが、一般企業と同じように防衛産業に関わる企業にも株主が存在し、誰もが「どれだけ壮大な調達計画も契約は単年ベースで不安定」「調達量も議会審議で増減し調達自体のキャンセルも珍しくない」「調達計画が途中で打ち切られても補償はない」と知っている。
だからこそ企業は「口先だけの計画ではなく予算を確保して契約書(複数年など長期契約がベスト)をもってこい」と主張するのだが、潜在的な顧客の予算は要求→審議→成立→執行と手順を踏む必要があるため柔軟性がなく、③労働条件に関する規制も増産に影響を及ぼしている可能性が高い。
マクロン大統領は侵攻直後に「戦時経済への移行」を産業界に要請、そのため仏産業界は武器・弾薬の生産にかかるリードタイムを大幅に短縮、ノルウェーのNamoも砲弾生産をフル操業に移行させたが、まだ通常操業に留まっている企業も多く、BAEは「工場のシフトを増やして24時間操業している」と語ったが「週5日」しか稼働しておらず、ロシアの戦時体制と比較すると西側諸国の取り組みは民需や労働者を犠牲にしない範囲だ。
因みに砲弾不足を解決する最も効果的な方法は「調達先を制限しない資金で生産能力に余裕がある企業から砲弾を買ってくること」だと個人的に思っている。
但し、米国も有権者に「ウクライナ支援に費やした資金の大半が国内への直接投資もしくは産業基盤の強化に役立っている」と、EUのフォンデアライエン欧州委員長も「加盟国が増やした国防予算の大半が域外に流出している。その原因はウクライナ支援による備蓄分の不足を補充する緊急性から来ているが域内での共同調達を増やすべき」と訴えているぐらいなので、政治的に調達先を制限しない資金を許容するのは難しく、資金を拠出する国や地域の増産が軌道に乗るまでウクライナは耐えるしかないのだろう。
追記:砲弾生産に自信がある韓国メディアは「155mm砲弾は世界で最も切望される高付加価値な商品となった」「欧州は増産に取り組んでいるもののニーズを満たせていない」「戦争が長期化して砲弾飢餓が深刻になれば韓国企業が恩恵を受けるだろう」「韓国製砲弾が世界市場で人気を集めるのはNATO規格との互換性があるからだ」と報じている。
※この記事内容は完全に管理人の主観なので注意が必要です。
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※アイキャッチ画像の出典:Генеральний штаб ЗСУ
日本も155mm砲弾の全力生産と並行して増産体制の確立を急ぐべき
気になるのは陸上自衛隊から2023年度末に退役予定の自走203mm榴弾砲用の整備部品が今になって調達が再開されていること。
台湾ないしギリシアへの玉突き支援でウクライナへ間接的にでも203mm砲弾とM110A2を供給すべきだ。ウクライナが苦境にある今こそ欧米に比べれば僅かでも日本の支援の存在感を出せる。侵略国家ロシアの暴挙を許さない姿勢を見せなければならない。
アピールするためにも87式砲側弾薬車やホークのウクライナ直接供与も検討すべきだ
その辺りは対ロシア用として北海道に抑止力として置いて欲しいかな
用廃する予定のMLRSと共に…
現在ウクライナでのみ採用の”GLSDB”も
使用状況を見て一緒に採用して欲しいものと思います。
航空優勢が無い場面で使用できそうな気がします。
文谷氏と清谷氏によるとロシアは(ソ連時代を含め)上陸用船舶が足りておらず、ソ連の最盛期(1960~70年代)でも日本侵攻計画は存在しなかった。北海道をロシアから防衛するには戦車や大砲を増やす必要は無く、海岸線に対船舶ミサイルを並べ機雷を敷設すれば充分とのこと。
上陸用機材の不足は中国も同じであり台湾ですら攻略できないので、南西諸島辺りが戦場になると想定される。自衛隊も中国も上陸用船舶と輸送機が不足しているので、島嶼に投入される陸上戦力は水陸両用車と歩兵程度である。島嶼は狭く大砲では移動及び秘匿が困難であるため、迫撃砲の方が遥かに運用しやすい。(迎え撃つにせよ対船舶ミサイルの方が射程が長く、接近阻止には向いている)
文谷、清谷ご両人のお名前が出ているのはツッコミどころですが、まぁ仰っている所は正しいでしょうね。
日本は専守防衛で、基本的に外征はあり得ない。
個々人の財産や所有物に対する権利保護が徹底しており、国自治体が裁判所の許可無く(たとえ有事であっても)勝手に壊す事や、踏み入ることができない。
国内の土地に、まして住宅があるような場所に155mm砲弾なんか打ち込めるはずもない。(当然、敵は拠点としてコンクリート建造物を拠点にするでしょうけどね。)
ちなみにその155mm砲を据える場所も、現状地主の許可要ります。有事法制が無い現状では、砲弾を増産しても備蓄しても、文字通りの宝の持ち腐れです。
それに有事法制クリアしても、そこいら中更地にする様な155mm砲による砲撃が必要になる状況に、即応出来る体制じゃ無いです。
まぁ、実際一番いやらしいのは、空母いぶきGGでやられたロシア民間人を装った占拠でしょうね。
今から増産ですと停戦後に需要ガタ落ちになった際は設備投資の償却が間に合わないので民間企業ではやるメリットが無いですね
欧米企業の増産が遅々として進んでないのもこれで少なくとも10年近くは特需が進む保証が無ければ安全保障どーたらこーたら言っても儲かるビジネスが成り立たないので既存工場の休眠ライン再稼働か一部機器の刷新止まりで生産量が従前より少し伸びる程度で不足は補えないでしょう。
正直今すぐ不足の抜本的な解決に向かうには国営兵器廠みたいな組織や公的資金で全て賄う国立工場みたいなのが必要ですがこんなアカみたいな事を西側の議会や選挙で認められるかというと…
2022年9月の時点で、国営の弾薬工場を設置すると
新聞報道がありました。
2023年に稼働を目指すとありましたから、
現在は既に稼働しているのかな。
その後の続報には接していないので、
その後のことも知りたいものですが。
国営ではなく企業のラインを買い取る形ですね。呉の日本製鉄跡地を防衛関連で取得するらしいので、国営の兵器・弾薬工場は呉になるかもしれません。
ご教授ありがとうございます。
多分203mm砲は展示用の部品調達ですよ
完全に個人の感情ですが、反転攻勢の目的がぶれまくってる上に、能登半島地震の時に北朝鮮に遅れて見舞いのメッセージを出したウクライナを支援して欲しくないです。
どうしてそんなに勇ましいのですか?私はウクライナの支援なんてまっぴらごめんです。
私ならウクライナには最低限の医療支援や食料支援程度で適当にお引き取り願って、ロシアとも国交を続けて、天然ガスや漁業資源で揉め事にならないようにしますけどね。
砲弾だって自国分がそもそも足りてないのに、チェルシーじゃあるまいし分けてあげる分なんてありませんよ。
「日本は、大陸や半島との関係を絶ち、先進国と共に進まなければならない。
ただ隣国だからという理由だけで特別な感情を持って接してはならない。
この二国に対しても、国際的な常識に従い、国際法に則って接すればよい。
悪友の悪事を見逃す者は、共に悪名を逃れ得ない。
私は気持ちにおいては「東アジア」の悪友と絶交するものである。」
明治18年3月16日 福沢諭吉
130年以上前の福沢諭吉の慧眼にもある通り、侵略国家ロシアの蛮行を見逃すことは共に汚名を逃れられない。これを許さないことは来たるべき台湾有事において世界へ軍事援助を求めなければならない日本に死活的に必要な行為である。
戦争に核兵器が存在しない時代の話ですね
福沢諭吉が言ったからどうなんです?あなたには意味があるんでしょうけど、1世紀以上まえの人の前提とした状況もないただのスローガンなんて何の役にも立たないと思いますが。
逆に、そのお題目を実践した暁にはどのような国際的なポジションと利益が我が国にもたらされるのでしょうか。
自分が助けてほしいときだけ支援を頼って相手が大変なときは知ったことでないなんて都合のいい話は存在しないので。
あくまで日本は西側陣営であって中立を取れるような立場でないことを考えないと。
それこそ地理的に遠い欧州からしたら中国の太平洋戦略なんか他人事だから、軍事的結びつきがゆるいと有事にあなたの言う様な態度を欧州に取られる可能性もあるわけで。
マクロン大統領が、中仏首脳会談の後に『台湾海峡問題の中立を明言』して中国を喜ばせており、蜜月関係が続いています。
NATO・EUは、全会一致が原則ですから、これでは速やかな介入は何も期待できないですよ。
日本は20世紀後半~21世紀前半にかけて、ヨーロッパに対中脅威論を散々妨害されてきました。
独仏を中心に経済的利益を重視してきましたから、遠い国が大きな対価を払って何かするという事に(Far Eastの話の為)、期待しない方が現実的ですかね。
(APRIL 9, 2023 Europe must resist pressure to become ‘America’s followers,’ says Macron POLITICO)
(2023年11月20日 中国、仏企業からの投資拡大望む 中仏首脳が電話会談 ロイター)
>自分が助けてほしいときだけ支援を頼って
とは私はいっていません。
>日本は西側陣営であって中立を取れるような立場でない
西側陣営かどうかは私は?ですが(もう東西って言い方やめませんか?)、中立を取れる様な立場ではないということに関しては同意します。だからといって、アメリカが要求してきたことや、先進諸国の協調に過剰に配慮した政策は、いかがなものかと思います。
日本は日本なりの立場で、利用できるものは利用して、うまくやっていくほうがいいんじゃないかというのが私の意見です。
どの資金調達も、『資金使途』が厳格に決められており、これを破ると信義則違反になります。
資金拠出の取り止め・一括返済要求などもあり得るだけでなく、関係者が背任などにより糾弾・処罰される可能性もあり、極めてリスクが高い行為という基本原則があります。
管理人様の仰る通り、資金使途が自由であればよいのですが、政治的・経済的にかなり難しいハードルを乗り越える必要があるのでしょうね…。
第三世界に金払ってまで買い集めたくないということか
前にも管理人さんが言っていた
「どれだけ壮大な調達計画も契約は単年ベースで不安定」「調達量も議会審議で増減し調達自体のキャンセルも珍しくない」「調達計画が途中で打ち切られても補償はない」
その辺りがクリアされないと欧州の軍事産業のような多国籍企業としては設備投資に躊躇してしまいますよね。
国家安全保障よりは株主の意見の方が強いですので。
>国家安全保障よりは株主の意見の方が強いですので。
中露の国家資本主義経済が戦争に向いているのはまさにそこでしょうね。
主要産業の多くが50%以上の株主が国家である国営企業を中軸に据えていますから、規格の決定も、外交との関係性も国家が主導できる。当然、弊害として平時でも国家の統制が強く、“民間的な効率的経営”が妨げられる点はあるのでしょうが。
それぞれの体制に一長一短はあるでしょうが、「戦争が苦手になった旧ソ連経済」、「自由貿易が苦手になったアメリカ型経済」というのは同じレベルの短所しかない体制に思えます。(制裁を乱発しすぎれば自由貿易を妨げる)
急激な需要増大に供給側が対応できないのはコロナ禍のマスクや大阪万博での建設労働者と同じだが、砲弾は金属の加工や火薬製造など初期投資が大きく、マスクや建設労働者と異なり他分野に転用が効かないのが困難なところだ。この前の「パルスジェット動力ドローン」が実用化されれば大量の炸薬を安価にロシア軍に叩き込むことができますが、このような大砲に変わる安価な炸薬投射手段を見つけたいところです。
砲弾って、価格弾力性の低い穀物みたいなものなんだなとしみじみ感じますわ。
1パーセントの危機時には必要量より不足して危機直結=価格も高騰だが、99パーセントの平常時は必要量を超えると、転用も出来ないから余りまくって壮大なゴミに。
日持ちはするけど、保管コストも掛かる(盗まれ放題の野積みという訳にもいかない)から、在庫過剰に持つこと自体がコスト。ひいては政治問題にすらなりかねないレベルのやつ。
危機時の不足がイヤだからと、過剰に生産する体制作ると、人手・資本・設備など、国家のリソースを低付加価値の生産事業に張り付けることになるから、平常時には国家全体としての繁栄を妨害するものになってしまう。
・・・まんま、コメじゃんw
大規模を含めた実弾演習を定期的に行わないとダメですよね
管理人様、とても面白く参考に記事をありがとうございます。
>※この記事内容は完全に管理人の主観なので注意が必要です。
とのことでしたが、今どきの記事は大半がメディアの属する団体に都合の良い解釈ばかりに偏っていますので、非常に中立的な視点からの問題点の指摘だと感じました。
どの国が悪いとも、足を引っ張っているとも糾弾しておらず、それぞれに当たり前の事情があり、政府が口先だけで支援すると言ったところで実体がそのまま動けるわけではないということが、非常に分かりやすかったです。
改めて、感謝を。
そもそも東欧やウクライナ軍の装備を、特に榴弾砲を旧・ソ連軍規格の152㎜榴弾砲から、NATO軍の標準である155㎜榴弾砲にわざわざ切り替えさせたこと自体が完全な失敗、致命的な失敗であり、意味のなかったことだったと言えるでしょう。
元々すでにあった152㎜砲弾の工場をそのままずっと残していれば、まだマシだったと思いますが、無理に155㎜榴弾砲に切り替えたことで自国で砲弾が生産できなくなり、また他国でも155㎜砲弾を生産する設備も、投資も減らしていたことから、ロシア軍よりも先にタマ切れになって勝てないという結果になってしまったのです。
152㎜榴弾砲を無理に155㎜榴弾砲に切り替えさせたのも、西側企業のための近視眼的な商売、金儲け、利益のためともいえ、決して長期的な視点、実戦を想定した判断とは言えません。とにかく何から何まで見通しが甘すぎた、ロシア、中国の経済力、政治力を過小視しすぎたのです。
実戦の戦場において155㎜榴弾砲は152㎜榴弾砲に決定的に優るような性能はなく、無理に切り替える利点や長所はなかったのです。
東欧のNATO加盟国の砲弾規格をNATO標準に合わせるのは至極当然のことであり、そうでなければNATO軍が機能しないと思いますが。
さらにその状況でウクライナが152mmの砲弾を使っていた場合、アメリカを含め現在のウクライナ支援国のどこからも榴弾を提供できなくなり、ウクライナ1国の生産力でロシアと砲撃戦するなんてどう考えても今よりひどいことになるのでは?
ウクライナ軍は152mm砲を運用しているし、砲弾工場もロシアに空爆されていなければ稼働しているはず。
ロシア軍に対抗するための砲兵戦力の急速な拡充には西側兵器が必要だったということでは。
ウクライナがドローン用にやっているクラウドファンディングは砲弾用にはやれないのかな?
カネの制約は、結局、①ウクライナ支援をしたいのと同時に、②ロシアからのターゲットになりたくない、③(資金を国内向けじゃなくウクライナ向けに使うことに)国民の理解を得る必要のバランス。
それならウクライナ支援に前向きな個人の寄付を募る方がダイレクト。
資金そのものや砲弾の調達も含めて開戦直後からあらゆる分野で行われています。
国家による寄付の募集は民間や当事者のウクライナ政府ならともかく多くの支援国政府が大々的にやるようなメリットはないでしょうけど。
グローバルサウスならお金さえだせばいくらでも砲弾作ってくれそうだけど
域外ダメだから買いにくいわけよね
「ウクライナに軍事支援はしたい」のと「でも支援金での産業振興はEU内でないと許さない」という思想と実利(儲け)が相反してる時点でどうにもならんですな
どちらかを譲歩するか、EU内での生産体制が整うのを待つかしかない
こんなにも欧州諸国は実利に冷徹なのに、日本では感情論が優先されて実利度外視で支援しろと叫ぶ人がいるから困る
せめて実利と自国の国防について深く考えてから声を挙げて欲しいと切に思います
ある程度は仕方ないと思いますよ
今サプライチェーンうんぬんでゴタゴタしてるように、下手にEU域外に生産サプライチェーンを広げたらいざって時に有効に働かないかもしれないし、今回のもウクライナのため以上に自分たちのための生産力強化だろうから(ドイツなどNATO加盟してる国の軍人がロシアと10年内に戦争になる可能性を指摘してる)
国内政治の関係・資金使途のロジックもあるでしょうね。
EUや各国政府は、EU分担金や税金で徴収したものから予算分配しており、常にフリーで使える訳ではありません。
仰る通り、日本は感情論が非常に強いですよね。
日本の少子化は、自衛隊の充足率・自国経済にダイレクトに影響してガタガタになっていますから、他国を心配する余裕はないんですよね。
日本は昭和後期~平成前期のように、経済的・人口的に余裕のある時代でなくなったのが、難しい所だなと。
構造的にはマスクの問題と同じでして。
コロナ禍の中、世界中がマスク不足でパニックを起こし。
日本はマスクを買い負けてしまい、日本のために国内での大増産の必要性が叫ばれて、何社かの有志が日本国内にマスク工場を立ち上げました。
それが今、どうなったか?
需要が過ぎて仕舞えば、ただの過剰生産でしかありません。
現在はどこも悲惨なほどの赤字ですね。
砲弾もそうなることが見え見えの上に。
増産しなくても,去年の2倍の価格で5倍の利益が出るんですよ。
リスクとって砲弾生産して価格と利益を減らすインセンティブがどこにも働きません。
しかもマスク工場と比べて砲弾工場はさらに広く、多額の設備投資が必要な上労働者の数も桁違い
場所の制約がある(住宅地のそばとか無理)以上用地取得だけでも時間がかかるし、そこで直接働く人間にある程度専門教育しなきゃいけない
整備、維持にも人員がいるし警備や福利厚生に関わる人間だっている
そして軍需産業だからその家族を含む全ての身元の確かさまで保証されなければいけない
そこクリアしても納入される設備、使用する治具その他に専用のものが多々ある以上それ用の工場その他が必要で
その全ての確保が短期間でクリアできるという奇跡が起きるのか?
必要がなくなったとき(おそらくウクはあと数年ももたない)その生産能力を維持し続ける根性と予算があるのか?
そこで働いていた人間はどうするのか?
と問題しかないわけで
それ以前にまだウクライナに100万発も砲弾を消費できるほど砲と砲兵が残ってるの?という問題もあるけど
アメリカが自国用に砲弾を大量に生産して、それをウクライナに供与するしかないのでは?
ロシアも自国で生産していることが、安定供給できている要だと思います。取引よりも、まず生産ですね。
砲弾についてのメディア報道も、2年間を通して見ると、変なことが多かったと思います。
2022年中は、メディアはロシアが砲弾不足になるとずっと報道していました。例えば2022年末の米軍の発表でも、2023年の初めにロシアの砲弾は枯渇するとか宣伝していました。しかし、ロシア側の砲弾は枯渇していないのですね。事実は逆でしたね。
例えば、西側のメディアは、ロシアがクラスター弾を使用してきると非難してきました。
ところが、逆にアメリカの砲弾の備蓄がなくなり、アメリカはクラスター弾の供与に突然に踏み切ったのです。そうしたら、メディアでもネットでもクラスター弾への非難はなくなったりとかしたのですね。
日本でもメディアでは、冷静な議論が出ることがなかったと思うのです。
パベル大統領の言う「砲弾80万発をウクライナに供給するため資金」、集まったらしいですね。
念願の調達先を制限しない資金ということでしょうか。
どこから調達したのかは分かりませんが、それが本当ならウクライナとしては相当大きいが…。
韓国は平時に砲弾生産能力をどのように生かしているのだろうか?
演習や稀にある北朝鮮とのドンパチでは、砲弾そんな消費しないと思うんだけど
ホントかウソは知らないけど10年以上前に韓国で砲弾備蓄が少ないって問題になってたみたいだし
普通に国内備蓄を満たす分だったんじゃないかな?
韓国&北朝鮮の砲弾需要
まさか地球を半周して桶屋が儲かる的な展開。
元々は紐付きの資金であってもそれで必要量か近い量の調達は可能であると見込んでいたのでしょうが、域内の防衛産業が想像もしなかったレベルで弱体化しており現在の危機に対応できてないことが問題です。
それならば想定外の事態に対応するため域外からの調達を含めて調整するのが政治の役割のはずですがやれていないという民主主義プロセスの欠陥に行き当たります。これが欧州の民主主義体制だけなのか他国もなのかは私は分かりません。
欧州の硬直化と弱体化こそ想定外のレベルに及んでいたのだと思います。
それを何とかしようと動く政治家もいるのは救いですが、なお力及ばず。