米国関連

BAE、米陸軍に迫撃砲搭載のPatria製砲塔を統合したAMPVを納品

BAEは6日「米陸軍に迫撃砲搭載のPatria製砲塔(NEMO)を統合したAMPVを納品した」と発表、このNEMO砲塔には自動装填装置が組み込まれているため連射性能に優れ、自動化された射撃管制システムよって最大6発の同着攻撃や移動しながらの攻撃にも対応している。

参考:BAE Systems delivers new prototype Armored Multi-Purpose Vehicle with unmanned turreted mortar capability to the U.S. Army
参考:Army Gets 120mm ‘Nemo’ Mortar Turret Toting Armed Vehicle Prototype

これを米陸軍が採用すれば「120mm迫撃砲を砲塔式に搭載する方式」に大きな関心が集まるかもしれない

120mm迫撃砲を搭載した装甲車輌や高機動車は「手軽で安価な火力支援車両」として重宝され、スウェーデン陸軍は120mm迫撃砲を2門搭載した「CV90Mjölner」を、ポーランド陸軍はPatria AMVに120mm迫撃砲を搭載した「M120Rak」を保有し、この2機種は120mm迫撃砲を砲塔式で搭載しているため射撃効率が高く、特に自動装填装置が組み込まれているM120Rakはロシアとの戦いにも投入され、台湾も関心を示している。

出典:1-64 Armor

米陸軍も120mm迫撃砲を搭載したM113やストライカーを保有し、調達を開始したAMPVにも120mm迫撃砲搭載モデルが設定されているものの、搭載方法は従来通り=車体後部に120mm迫撃砲を設置して手動運用する方式だったが、BAEは6日「米陸軍に迫撃砲搭載のPatria製砲塔(NEMO)を統合したAMPVを納品した」と発表して注目を集めている。

NEMOは自動装填装置が組み込まれているため連射性能(12秒で3発のバースト射撃/1分間に最大10発を発射可能)が優れており、Patriaは「高度に自動化された射撃管制システムが搭載されているため、最大6発の迫撃砲弾を目標に同着させるMRSIミッションも可能だ」「強力なネットワーク機能を備えているため外部センサーとのデータ共有も簡単にできる」と述べ、この射撃管制システムは移動しながらの攻撃も可能らしい。

BAEは「AMPVの能力について米陸軍と協議した中でNEMO搭載のAMPVが誕生した」「米陸軍は今後数ヶ月以内に厳しい実戦評価を行い評価を下す」と述べており、これを米陸軍が採用すれば「120mm迫撃砲を砲塔式に搭載する方式」に大きな関心が集まるかもしれない。

因みにHIMARSが初めて失われて件についてウクライナ人ジャーナリストのブトゥソフ氏は以下のように報告している。

“ロシア軍の無人機は前線から約40km離れた地域で移動中のHIMARSを発見した。このHIMARSは攻撃を行うため停止したものの、司令部は何らかの理由で目標の指示に手間取ってしまった。HIMARSは指示が来るまで待機し続けたため、ロシア軍に攻撃を行うチャンスを与えてしまった”

“ロシア軍はウクライナ軍の通信を監視する長距離無人機の数を劇的に増やしたが、ウクライナ軍には前線空域をカバーする防空システムが不足している。そのため前線の後方を飛ぶ無人機を撃墜する手段がない。このような状況下で30分近くも同じ場所に留まり続ければ攻撃を受けるのは当然だ”

“司令部は当該地域にロシア軍の無人機が存在するという情報をHIMARSに与えていなかった。当該地域のセンサーが作動していなかったのか情報共有に問題があったのかは不明だ。何れにしても防空システムがカバーしていない地域を、敵無人機の有無を知らず貴重な武器システムを移動させるのは戦術的誤りだ。さらにHIMARSも指示を待つため留まる必要もなかった。このミスの原因を必ず突き止めなければならない”

ウクライナとロシアの戦争は「移動可能な兵器システムを空からの攻撃で破壊するのは困難」と実証したが、今回の件は「移動を止めた兵器システムが認識力が拡張された戦場で如何に脆弱か」を実証したことになり、狙われやすい砲兵システムは「移動を止めない」「欺瞞や偽装を工夫する」「リスクの高い地域に留まらない」といった運用を心がけなければならないのだろう。

関連記事:ウクライナ、自走式迫撃砲「M120Rak」の調達でポーランドと合意
関連記事:台湾、ポーランドから技術移転を受けて120mm迫撃砲搭載の火力支援車両を生産か

 

※アイキャッチ画像の出典:BAE

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コメント

    • 58式素人
    • 2024年 3月 08日

    素人は、日本がMLRSを用廃するのは、どうかと思いますが。
    どうせ用廃するなら、こうした120mm機力装填迫をMLRS
    の車台に載せて自走迫砲を作ったら、などど思います。
    日本の120mm迫は施条砲だから、簡単には行かないかもですが。
    MLRSにせよ、その車台にせよ、勿体なさすぎると思うので。
    ついでに、M110の車台も有効利用して欲しいものです。
    小松製作所も撤退したのだから、残った車台をもっと大事に使うべきでは?。

    2
      • nachteule
      • 2024年 3月 09日

       要りませんよ今更、装軌式の迫撃砲車両を増やした所で何のメリットがあるんですか?
       似たようなコンセプトの96式自走120mm迫撃砲なんて北海道限定高額装備で運搬するトランスポーターですら数が期待出来ない以上は今なら機動性重視して装輪車両の砲塔式で十分でしょう。
       本州にまとまった数の戦車とか置かない以上は悪路がどうかなんてそこまで真面目に考えていませんよ陸自は。
       悪路でスタックすると言うなら悪路に入らないで済むような航続距離が長いFPVドローンなり使えば良いでしょう。

      3
        • 58式素人
        • 2024年 3月 09日

        なるほどですね。
        ”北海道限定高額装備で運搬するトランスポーターですら数が期待出来ない”
        トランスポーターが足りないのは同意です。
        ”悪路でスタックすると言うなら悪路に入らないで済むような
        航続距離が長いFPVドローンなり使えば良いでしょう。”
        同意できないです。
        ウクライナでも判明しつつあると思いますが、
        FPVドローンは面制圧は向いていないと思えるので。
        でなければ、砲弾不足でこれほど騒ぎはしないでしょう。
        現在でも、おそらく使い将来でも、迫撃砲とその弾薬は
        前に出る必要があるでしょう。
        不整地踏破能力も当然必要と思います。
        それは車体が軽ければ良いと言うものでも無いと思います。

        9
    • 無印
    • 2024年 3月 08日

    陸自はAMV採用と同時にNEMOを採用してたら迫撃砲の運用が一変してたかもしれないのに、もったいない事したよなぁ…
    機動迫撃砲でも100両の陸自だと、何からでも撃てて、走っても船からでも当てられるNEMOはお高い装備になってしまうのかな?

    7
      • Natto
      • 2024年 3月 08日

      確かにカタログ性能が発揮できるなら三菱の自走迫より価値は高いですね。直射もできる筈なので普通科の戦闘力が段違いになります。

      3
      • 2024年 3月 08日

      この迫撃砲は迫撃砲の利点である安価、構造が単純、運用が簡便、軽量の要素が全く無い
      現状の様なヘリコプターでスイングで輸送などまず不可能
      興味深い兵器ではあるが流行するかどうかは分からない

      20
      • Minerva
      • 2024年 3月 09日

      パトリアのNEMOと自衛隊の120mmRTの弾薬には互換性がありません
      NEMOの役割が16式と被る部分があるため自衛隊での採用は複数の理由からありえないでしょう

      2
      • 2024年 3月 09日

      もしドローン迎撃できるならすごい

    • nimo
    • 2024年 3月 08日

    高いし整備上の問題も増えるので
    数をそろえたり消耗戦で交換を繰り返すには不都合

    4
    • jimama
    • 2024年 3月 08日

    開発がこの戦争前だろうから仕方ないのかもだけど
    前線は24時間リアルタイムでドローンに監視されていて
    勢力圏に入り込んだらありとあらゆるドローンが突っ込んでくる上に
    中古の野砲ですらドローンその他の連携でMBTすら食えるようになってしまったのに
    その射程内にえっちらおっちら乗り付けないと攻撃機会すら得られない短射程の自走砲って
    実際に戦場にコレに乗っていったとして生きて帰れるんだろうか?
    書いてあることは確かにすごいんだろう
    ただ精度他は大きく劣るけどコレ、ドローン+テクニカル()でも同じこと出来るよねと
    お金かかりすぎでキャデラックテクニカルとかテクニカルシボレーとか陰口叩かれて終わりそうな気が

    13
    • NHG
    • 2024年 3月 08日

    30分も待機ねぇ
    逆にデコイじゃねーのと鼻をほじりながらやじりたくなるレベル

    1
    • 高機動型ボール
    • 2024年 3月 08日

    陸自AAV7にもNEMOを搭載した火力支援型があれば水陸機動団の戦力アップに繋がると愚考しますがどうでしょうかね。

    • ページ
    • 2024年 3月 08日

    無人機の能力や発展には驚くべきモノがある
    が、何万機の無人機も有人機も飛び交う中でHIMARSが爆撃されたのはこの2年で初めて
    無人機を含めた航空機の有用性と限界を示す話だと思う

    6
    • j9diaw
    • 2024年 3月 09日

    中国とロシアは以前から砲塔式の自走迫撃砲を運用していますな(PLZ-10や2S31ヴェーナ)。
    そして中国は数年前に空挺向けの砲塔式自走迫撃砲を開発しています(TKUP-201)。

    1
    • ルイ16世
    • 2024年 3月 09日

    ハイマースは30分も指示を待って留まる必要は無かったと現場の責任にしてますがちゃんと何分以上司令部から指示がない場合、現場指揮官の判断で移動、撤退して良いと権限が与えられていたのですかね?
    31分後に攻撃指示が来て何で勝手に撤退して攻撃位置にいないんだとサボタージュや敵前逃亡の容疑をかけられても困るのですが

    • あああ
    • 2024年 3月 09日

    陸自の場合は最新で高額の後装直射迫の砲塔よりコスト優先の既存型自走迫で正解でしょうね。MCVっつう105mm戦闘車があんだけあるのにあえて少数で後方の重迫部隊を直射投入する必然はありません。その上で機動しながら撃ち続けられて高い残存性というのは陸自に運用ニーズには合致しない思う。
    即応機動化改編がされてる現状の陸自の自走迫で重要なのは数ですから単価倍増はご法度と思いますね。7D専用ではもはやありませんし、それを続けるべきでもない。
    本邦でも軽量戦闘車とかいうこれに近い研究をしてましたが装輪改の小松案で重迫搭載するなら適当だったかも。車幅がミニマムで手動装填の作業導線で不足なら自動化しかありませんから。しかし積載ザコのグニャ足ではない16式車体ならこんなもんいらんのです。

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