ダッソーとエアバスは未来戦闘航空システム(Future Combat Air System:FCAS)の構成要素である次世代戦闘機(NGF)について基本的な合意に達したと報じられてる。
参考:SCAF : Dassault Aviation et Airbus ont trouvé un accord de principe sur l’avion de combat (NGF)
新しい信頼関係の下でFCASは再出発する?FCASのエンジンについては依然して主張が食い違う
これまでの経緯を簡単に説明するとフランスとドイツは第6世代戦闘機(NGF)の開発や製造に関するワークシェアを50対50で進めること、主導権争いを回避するためFCAS開発はフランス企業がMGCS(次期主力戦車)開発はドイツ企業が主導権をもつことで政府間で合意に達していたのだがドイツ産業界と議会はこの合意に不満をもっていた。
そもそもフランス企業が開発を主導するFCASのプログラムコストは500億ユーロ(約6.5兆円)~800億ユーロ(約10兆円)だと言われているのに対し、ドイツ企業が開発を主導するMGCSのプログラムコストは15億ユーロ(約2,000億円)程度なのでドイツ議会や産業界は公平な取引ではないと認識しており政府間合意をひっくり返して次世代戦闘機の搭載するエンジンについてフランスと対等な権利を要求、これに関してはフランス側が譲歩して何とか両国間のバランスが保たれていたのだがスペインのFCAS合流によって全てが白紙に戻ってしまう。
新たにスペインが計画に参加したため機体に関する開発や製造のワークシェアを3等分(フランス・ダッソーが33%、ドイツ・エアバスが33%、スペイン・エアバスが33%)することになってしまったため、国家間でみた場合は平等でも企業間の力関係はエアバスがダッソーを上回ることになり、ダッソーの下請けに甘んじていたドイツとエアバスがFCASデモンストレーター開発を要求してフランスとダッソーを困惑させることになる。
当初の計画ではFCASデモンストレーターの開発はダッソーが担当してFCASに随伴して作動する無人戦闘機システムの開発をエアバスが担当する予定だったのだが、ドイツは独自の設計能力維持のためエアバスにも独自のFCASデモンストレーターを開発させろと言い出したため、果たしてドイツ議会が夏休みに入る6ヶ月下旬までに妥協点を見いだせるのか注目が集まっていた。
補足:FCASプログラムはドイツ議会が夏休みに入る6ヶ月下旬までに妥協点を見出してフェーズ1B移行に必要な承認を得られなければ、今年9月に予定されているドイツの総選挙に巻き込まれFCASの取り扱いが選挙の争点に浮上する可能性があり、そうなるとドイツ側からどんな要求が飛び出すか予想もつかなくなるので何としても議会が夏休みに入る前にフェーズ1Bへ移行する承認を取り付けなけれなければ大変なことになる。そもそも6ヶ月下旬まで承認を得るには2月末までの合意が不可欠だと言われていた。
フランスメディアは今月2日、ダッソーとエアバスは未来戦闘航空システム(Future Combat Air System:FCAS)の構成要素である次世代戦闘機(NGF)について基本的な合意に達したと報じており「新しい信頼関係の下でFCASは再出発するだろう」と言っているが合意の詳細については不明で今後の続報を待つ必要がある。
ただFCASのエンジンについては依然として合意に達しておらずフランス側はラファールが搭載していたM88の改良型を主張、ドイツとスペインはユーロファイターが搭載していたEJ200を主張しており果たして6ヶ月下旬までにドイツ議会の承認を得られるのか謎だが、あまりドイツやスペイン側に譲歩してしまうとフランスも2022年に選挙を控えているため譲れないものは譲れないだろう。
因みにはダッソーとエアバスの合意に関してはロイターも報じているが、肝心のダッソーとエアバスは「合意に関する協議は難航している」と言っている。
関連記事:第6世代戦闘機開発FCASに振り回されるフランス、ダッソーが単独開発に言及
関連記事:欧州の第6世代戦闘機開発は山場、6月下旬までにフェーズ1Bへ移行出来なければ悪夢
※アイキャッチ画像の出典:JohnNewton8 / CC BY-SA 4.0
安定のヨーロッパ
動的平衡ってやつだな
仮の話だが、シリア問題で手を組んでるロシア、トルコ、イランの3国が軍事同盟を結成したらヨーロッパ情勢は一気に流動化する。アメリカもハワイ以西が中国の勢力下なんてことになったら国が傾きかねないし、今後しばらくはアジア重視になり、欧州中東へのアメリカへの関与は低下すると思われる。現在の安定のヨーロッパはそう長くは続かないだろう。
それについてだけど、ロシアとトルコはシリア問題では手を組んでいてもそれ以外の問題では対立している(一例を挙げるとトルコは、現在ロシアとの関係が緊迫化しているウクライナへ戦闘用UAVを売っているし、リビア内戦では両国が対立関係にある)し、イランとの関係もどこまで親密なのか今一つ分からない所があるので、この三か国が軍事同盟を結ぶかどうかはちょっと微妙な感じだ
むしろ現状で一番ヤバイのは、先日外相がイランとトルコを相次いで訪問した中国が、この二カ国と軍事同盟を結ぶ可能性だと思う
特に中国は、先日のイラン訪問で25年間の包括協力協定に調印していて、その中には安全保障上の分野での協力も含まれているから、ここから同盟関係に発展してもおかしくない
もしも、この三か国が軍事同盟を結んだら、欧州情勢どころか中東やアジア情勢にも一挙に流動化しかねない…下手をすれば米国はハワイ以西とイスラエル以外の中東地域が全部中国の勢力下となると言う悪夢に直面する事となる
むしろアメリカ的には国内に引きこもる口実が出来て嬉しいのでは…?
少なくとも、バイデンの後継者に内定してるカマラ・ハリスはアメリカの覇権主義を維持する事には否定的だから自身の施策を実現していくには好都合だろう
以前も投稿したのだが、中国と日本筆頭に東アジアの裕福な国が米国債手放したらアメリカは持ち堪えられないんじゃないの?その他の地域の国々も米国債の一部を手放すだろうし、アメリカ全土がデトロイト化する可能性すらある。経常収支の大幅な赤字を国債を海外から買わせて投資で埋める体制の現代のアメリカが引き篭もるってのは無理があると思う。
予定調和
もはや様式美
タイフーンとラファールの開発時もエンジンでの対立が喧嘩別れの一因(エンジンの大きさと推力差が機体規模にも影響を与えていた)だったから、今回もこれで喧嘩別れ確定と見て良さそうだね
特にフランスがエンジンの国産に拘って居るから妥協点が無い所が致命的
最終的にはラファールの時と同じく、フランスとダッソーが席を蹴って独自開発に走る結末になるだろうな……
結果的にフランスの危惧した通り、イケイケだった西ドイツ案の大型機がコスパ的に割に合わなかった
当時よりさらに経済的につらい状況の今、ドイツ案はどうなんだろね
ドイツ自身は欧州で経済的に独り勝ちしてるから大型機でも良いんだろうけど
やっぱりこれは致命的に見えるよねぇ。
せいぜい「MTUとセネルをM88改良事業に参入させろ」という話になって
スネクマとのワークシェアを50:25:25と34:33:33の間で綱引きする、くらいの揉め方になると思ってたよ。
最後の一文からまだ飛ばし記事の可能性もあるのか、個人的には機種が増えるのは見てる分には楽しいから成功して欲しいが不安だなぁ
>ドイツとスペインはユーロファイターが搭載していたEJ200を主張
マジか。
てっきりMTUとITPだかセネルだかをM88改良事業に参加させろ、って言うもんだと思ってた。
EJ200じゃ利益の半分以上はテンペスト陣営に持ってかれるし、
フランスにとっては技術的にも経済的にもメリット0。
M88よりEJ200の方が推力はあるが、RR抜きでEJ200をまともに改良できるとも思えんし
FCASの仕様(特にサイズ)に合わせて最適化できるかどうかも怪しい。
いくら何でもこの条件はフランスが呑めないんじゃないのかね。
それですよね
EJ2000はロールス・ロイス(イギリス)の技術が入ってるからねえ。
どっちをベースにするにしても推力のアップ、発電能力のアップ(これは必須でしょうね)、ステルス(赤外線)は・・・どうなの? とも思う
(改修的な作業は膨大?)
現在のスネマクM88の直径はEJ200より小さいけど・・・
>M88よりEJ200の方が推力はあるが、RR抜きでEJ200をまともに改良できるとも思えんし
技術面もだけど、権利面でRRが絡むから、
そもそも勝手に改造型創れるの?、となりそう。
順調にタイフーンの轍を踏んでるな
ゆうてEJ200も6割が英伊で独西の分担は4割程度だから、M88の改良型を仏と独西で二等分するのと製造割合は大して変わらんやろ。
今度はイギリスがいないから、空中分解かな?
ドイツもスペインも戦闘機開発の技術ないと思うが、なんでこんなに強気?
ドイツには経済力があるし、ラファールが思うように売れなかったと自ら認めてるからそこに付け入る隙があるからね。それにしても無茶苦茶言い過ぎじゃねと思うけど。
地上で空中分解、さすが未来の戦闘機。
マンホールに堕ちると言うよりも フランスが地上でベイルアウト!?
もういっそF100とF110みたいに採用国でのエンジン選択式にすればいいんじゃね。
両者の発展型がどれくらいの大きさのエンジンに不明だけど、M88とEJ200ならM88が若干小さい程度のサイズ差だし、推力大きい方に合わせて設計して、弱い方の時は性能制限で。
FCASってgdgd具合にしか興味なかったがエンジンがM88/EJ200クラスだったのか
ステルスで嵩張りがちな次世代機用なんだしF100かそれ以上のサイズだと思い込んでたわ
航続距離の要求があんまり大きくない欧州機とはいえ、M88やEJ200だと苦しくないかなぁ。
推力5~6tしかないエンジンベースじゃなぁ。
F135で13t、F9で11tあるわけで、こねくり回したとしても全然推力足りなそうだし時代遅れ・・・。
エアバスがヨーロッパで戦闘機開発統一しろ、イギリス入れろっていうのはエンジンの技術的問題もありそう。
サイズが全然違うからね。インレット面積≒空気流量で比較したらXF9-1はM88の約2倍、F135は2.8倍。空気流量をM88に揃えればXF9-1が5.5t、F135が4.7tで大きな差は無くなる。
もちろんサイズが大きくなるとフルに性能発揮するのは難しくなるしM88改で高圧系まで大改造するとも思えないんで、この計算にはあんまり意味はないんだけど、単純に推力だけを比べるのはそれ以上に乱暴だよ。
M88改の開発に3国の金と技術を全力で突っ込めばF100サイズで10t級のエンジンは技術的には十分可能だと思うんだけど、政治的には無理だろうねぇ…。
特にフランスは艦載機にするんだから推力に余裕が欲しいはずだよね。
モックアップ見る限り比較的大きめのFCASにスパホと大差ない動力で足りるのかねぇ。
問題は、フランスの持ち札の方が低推力な点だね。
仏の持ち札はM88「の改良型」、独西の持ち札はEJ200「」になってるんだよね。
まあ英伊抜きの独西にEJ200の本格的な改良は技術的にも権利的にも難しいだろうし。
FCASがモックアップの通りの大型機ならエンジンはEJ200より大きくできるだろうから、
FCASに合わせて最適化・大型化したM88と、そのままのEJ200だとEJ200は分が悪いんじゃないかな。
しかしステルス機が主流になると
どこも似たり寄ったりのデザインになって航空ファンには退屈な世の中になりそうだな
欧州の2機はデルタ機だし他のステルス機とは違う独自路線進んでると思うけどな
そこでテンペスト(英国面)に期待ですよ
本邦F-Xのイメージ図には十分な独創性を感じるけどなぁ。
ちゃんと合理性も伴ってるし。
個人的にはドラケンを産んだサーブがどんなステルス機を作り上げるかが気になってる。
何十年も前の旧型エンジンの改修版で第6世代って大丈夫か?推力とかもあるけど、レーザーやマイクロ波等の電力を大量に喰う装備を使うことが予想されてるけど発電量足りる?
新世代機なのに旧世代の改良発展型エンジンってのが意外
新世代エンジンの開発しないんだ
旧世代エンジンだと大きすぎてウェポンベイが狭くなるから大型化してエンジン出力不足になりそうだよね
正直今のドイツ(政権)と組むと全てがグダグダになると思う
フランス単独開発が正解だと思うよ
M88もEJ200もXF9-1より小さいぞ?
問題は推力不足だ。
XF9-1、ハイパースリムって謳っている割に、直径はF100クラスで、意外と太いよね。
「ハイパースリム」じゃなくて「ハイパワースリム」ね。
ハイパワー(F119並)な割にはスリム(F100)って事。
「戦闘機はエンジンだよ、アニキ」
まてまて、どちらもエンジンサイズからして中型戦闘機じゃないか。
どんどん大型しつつある空対空ミサイルの搭載数を減らして無理矢理に格納させる未来しか見えない。
上のモックアップ写真とか予想図にも見られるように、基本的に無人機と連携して運用する思想の機体だから、有人機は司令塔に徹して同伴無人機をウエポンキャリアとして運用する構想かもしれん
アーセナルシップが没った原因の一つに「データリンクきれたら只の火薬庫」って批判あってだな、故障以外にもECMぶちまけられるであろう戦場でデータリンク切れたら何もできませんじゃあと。
ということである程度の搭載力能力は必須だと思うのよね。
なのでM88にしても多少はでかいEJ200にしてもちょっとやそっとの改良じゃきついかなって。
F414の最新型のライセンス生産で決着とかなら笑える
M88は最悪ラファールベースで改修は続けられるしね
国防上どうしても必要だからというよりカネになるから作ってる感じが強い。平和なのはいい事なんだけど商売っ気出しすぎでしょ…
国防上の必要性もあるが、戦闘機やジェットエンジン開発を続けないと先進国の集団ら振り落とされ二流国に転落してしまう事が大問題。
技術力維持の為に国防にガン振りして経済を低迷させる羽目になるよりはマシじゃないですかねぇ…?
これは日本にも言える話ですが
>国防にガン振りして経済を低迷
そこまで予算回して貰えないので大丈夫
独りでやれないから二人、三人で組んでるのにケンカを始める
ドイツは対等を要求してるつもりだろうが、単独開発には技術も資金も足りないんだろ?
ならばいっそドイツ主導のプランでメンバーを募集してみろよ、
誰が参加するのか見ものだよ
やっぱりみんなエンジンで驚いているみたいだな
新型開発で主導権争いかと思ってたのに、
よもやの従来エンジンの改修で、
しかもベース機を廻って揉めてるとはね。
急に関心が薄れてしまった・・・俺テンペストに行くわ
まず政府間合意を無視するな
どなたかFCASの読み方を教えてください。
えふしーえーえす
えふかす
えふきゃす
わかりません。
6ヶ月下旬とはいつ頃を指す言葉なのだろうか…。
せっかく最先端ステルス戦闘機開発するんだからそれにふさわしい大型大出力エンジン開発するものとばかり
機体規模も想定よりかなり小さくなりそうだなあ