英海軍は艦艇の能力を強化するため戦場を長時間彷徨ける中型の徘徊型弾薬を要求しており、国防省が発行した事前調達通知によればPODS(20フィートのISO規格コンテナ)を活用した徘徊型弾薬の発射システムを取得したいらしい。
参考:Royal Navy seeking ‘loitering munitions’ for ships
特にスペースが限られた艦艇の場合、多用途性が重視されるので「ISR任務」と「自爆攻撃」の両方を実行できる無人機の方が都合がいいだろう
徘徊型弾薬は指定された戦場を彷徨き「発見した脅威に自爆攻撃を仕掛ける」という無人機で、脅威の位置を特定後に使用される誘導ミサイルとは根本的に用途が異なり、兵士が直接リスクに晒されない交戦方法として主に陸上戦で爆発に普及が進んでいるのだが、徘徊型弾薬は脅威を発見するためEO/IRセンサーを搭載しているため「簡易のISR任務」にも使用することができ、前線の兵士にとって徘徊型弾薬は視覚的な戦場認識力を拡張する存在としても重宝されている。

出典:AeroVironment Switchblade600
さらに最近では使い捨てだった徘徊型弾薬に帰還機能(自爆攻撃を実行しなかった場合の回収・再使用)を付与したタイプも登場しているため、もはや徘徊型弾薬は使用者側にとって「ISR任務」「自爆攻撃」「再利用」を兼ね備えた都合の良いシステムに進化を遂げており、陸上戦だけではなく海上戦の分野にも進出が著しい。
イスラエル航空宇宙産業は昨年2月「艦艇発射型の徘徊型弾薬ハロップをアジア地域の異なる2ヶ国に売却する」と発表、艦艇発射型のハロップは艦艇の指揮官に独立した視覚的な情報収集、目標の脅威評価、攻撃手段を提供することが可能でIAIは「艦艇の主要兵器である対艦ミサイルを補完する要素になるだろう」と主張、米海軍も無人水上艦(USV)と無人水中艦(UUV)に偵察、監視、精密攻撃能力を付与するため徘徊型弾薬「Coyote BlockIII(対ドローン迎撃タイプとは別バージョン)」の開発をレイセオンに命じている。

出典:Public Domain Coyote UAVの写真でBlockIIIとは異なる
自爆攻撃に対応していないISR任務専用の水中発射型無人機は既に米海軍の攻撃型原潜に実戦配備(2021年に120機のBlackwing調達が始まっている)が始まっており、インドやイスラエルも水中発射型無人機の開発を発表しているので、これが自爆攻撃に対応した徘徊型弾薬に発展していけば海上を航行する艦艇のリスクは高くなるばかりだ。
つまり英海軍も45型駆逐艦、23型フリゲート、26型フリゲートといった艦艇に徘徊型弾薬の運用能力を付与したいと考えており、国防省は産業界に「徘徊型弾薬」と「PODSで自己完結できる発射システム」のアイデアを要求しているため、艦艇発射型の徘徊型弾薬は今後の艦艇装備において主流になるのかもしれない。

出典:SPEAR 潜航中の潜水艦から発射可能なUAV「Ninox103UW」
特にスペースが限られた艦艇の場合、多用途性が重視されるので「ISR任務」と「自爆攻撃」の両方を実行できる無人機の方が都合がいいだろう。
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※アイキャッチ画像の出典:イスラエル航空宇宙産業 水上艦から発射される徘徊型無人航空機「ハロップ」
技術的にはLCSに積むはずだったNLOS-LSのLAM弾薬が帰ってきたという印象
実用的には積める武装が限られてる小型艦艇には良いかもしれないけどDDとかDDGみたいな大型艦艇にはこんなもの積むスペースがあったらSSMをもっと積んでISR拡張はV-Batとかでやってほしい
ロシアのウクライナ侵攻をきっかけにカンブリア爆発の如く多種多様なドローンが出てきた。乗るしかないこのビッグウェーブに。財源…?まあ私は税金を払うのが三度の飯より好きなので許せますが…
私は目の前に迫る老後と戦っているので、勘弁して欲しいが。
装甲車の件でもそうだが、自衛隊は試作品並べて実戦に対応できないので、なんとかならんか?
日本人には、組織する能力はないのか?
日本には和を以て貴しとなす気風が強いが、だからと言って別に組織化が上手いわけでもない
大規模組織よりむしろ個人や少人数の方が上手く機能してる
集団戦に強いイメージがあるが空気に合わせるのが得意なのであってシステム構築は不得手に思える
何を偉そうに。貴方もその「日本人」ですよ?
現実世界で立派な人間でしたら問題ありませんが。
辛辣ですが、未来を切り開く気概がなくなってしまったのなら黙して去るのも社会の構成員としての役割かと。
今後の指導者は我々を踏み台により良い未来を描いて欲しいものです。
軍事費の負担が大きくなると経済的・景気的には不利益になりますね
民主主義の連合国は金を持っているから上手く
分散して兵器開発して
領土的野心を抱きやすい全体主義の枢軸国をけん制したいですね
民主主義国同士はどうやら、いまさら戦争しなそうなので
すくなくても基礎研究分野はお互いに共有したほうが経済的に思えますが
センシティブな分野だから難しい面もあるのでしょうね
ドローン配備=省人化なので、自衛隊員の雇用には貢献しない。ドローンメーカーなどの社員は儲かるかもしれないが、このまま国民の負担増が続けば兵器や軍備といったものが増税の元凶としての忌まわしいイメージを纏いかねない。増税の根本原因である中国への感情も確実に悪化するだろう。お金持ち以外はミリタリー趣味から離れていくんじゃないだろうか・・・。
増税とインフレを同時に起こすとかどちらの陣営化と疑うレベルなんですけど?
徘徊型弾薬の開発と同時に、敵の徘徊型弾薬を発見して破壊する防御兵器の開発も進むのか?
戦闘機型が出てくるのも時間の問題ですね
徘徊型弾薬が対艦用途で普及するようならCIWSやRAMも増備する必要があるかな?
一々対空ミサイル撃ってたら弾薬費で溺れるし。。。って使わずにいると着弾 艦艇がパァ!になりかねんか。。。
やっぱ日本が研究中(!)のレールガンかな
長射程で弾薬費も対空ミサイルよりかは安く済むよね
先ずは徘徊型弾薬や巡航ミサイルと言った比較的遅い兵器に対処出来るタイプのを早期に実用化して頂いて
もがみん他に積みましょう
黒海でウクライナが用いた小型無人挺、テロリストの搭乗した武装漁船とか、そんなのを徘徊型で警戒し発見確認の上でそのまま突入、自爆させる流れかな。
対艦ミサイル以前の戦闘には重宝だね
要は「徘徊型弾薬」というよりは、すでに偵察に用いている回収型のUAV、USV、UUVに爆薬を装備させて体当たり攻撃にも使える、と考えた方が解りやすいのではないだろうか。
ただ1発喰らえば要修理ではあるが、航空機や戦車などよりも防御を固めやすいのが艦艇の特徴(小型のミサイル艇などは除く)。
劣化対艦ミサイルとも言える空中徘徊型と、すでに特攻ボートで対策が取られている水上型(半没型)徘徊弾薬の効果は薄いのでは無いかと思われる。
しかし探知と迎撃が困難なUUV型に関しては、非常に厄介な存在になる可能性がある。
ただし、これはもはや水中徘徊型弾薬と言うよりは、ロボット潜水艇や自立行動魚雷、自立行動機雷と呼ぶべきのようにも思える。
これらに対して有人ユニットで挑むのは効率が悪いことから、排除用無人戦闘兵器が開発され、AI同士が戦う無人の戦場が実現するかも知れない。
・・・どこかで見たSF映画の世界だねw
まだ霧がかかっているので定かではないが、モスクワ撃沈のときにバイラクタルを囮にしてネプチューンを命中させたというはなしもある。
必ずしも劣化対艦ミサイルでもないと思う。
野球で言うと対艦ミサイルは直球の豪速球、ドローンは癖玉の変化球に例えられるかもしれない。
ドローンだとモニターで命中するまで臨機応変に軌道を変化させられる。
しかも安いので飽和攻撃をかけやすい。
相手の防御ミサイルの弾切れを誘ったり、兵站へのコスト的な嫌がらせができるメリットはある。
対艦ミサイルは高く付くだろうし。
どう転んでも防御側のコストが高く付くだろう。
仮にミサイル一発のコストとドローン10機のコストが同じだとすると
(1)ミサイル二発
(2)ミサイル一発とドローン10機
(3)ドローン20機
どれが一番有効なのだろか?
野球と同じでケースバイケースで意表を突いたほうが勝ちか?
何となく(2)が厄介な気がする。
嫌がらせだと(3)か?
素人が偉そうに言うと。攻撃される側から見ると。
①対空レーダーに映る、低RCS目標の識別能力の向上
これは、発振する電波の種類/出力/その他、の再検討と、
検出された目標を評価/判断するコンピューターの能力向上かなと。
②シースキミングを行う目標を検出する能力の向上
これは、対水上レーダーを固定式(フェイズドアレー?)にして
目標を常時検出し、また、シースキミングSSM/安価な無人機
と海象とを区別出来るようにすることかなと。
③飽和攻撃に対処する能力の向上
これは、単純に時間当たりのタマ数を増やすことかと。
中長距離のSAMに加えて。76mm砲/CIWS/SeaRAMなど。
④輪形陣の採用(WW2で米海軍がしていた陣形)
これは、個艦では飽和攻撃に対処しきれないことを見込んで
艦隊を組み、指定された空域に対処するように各艦を配置すること。
⑤”沈黙の艦隊” の整備
これは、艦隊の水中に複数の潜水艦(できればSSN)を配置し
敵潜/敵UUVの検出と攻撃をすること。米海軍はとっくにしてますね。
水上艦との連絡は、今はバースト式のデータ通信しかないと思いますが、
将来的にはレーザーを用いた光通信ができるでしょうか。
連絡がつけば、潜水艦は味方艦隊の前投兵器をあてにできます。
以上、素人がテキトーなことを言っていますが。
火砲やミサイルではコスパが悪いので、
廃止予定のコブラやアパッチを対空哨戒ヘリとして艦載しましょう
母艦より離れて進出し、高度なセンサーと機関砲で低速のUAVなんてイチコロですよ
一つ気になる
塩害は大丈夫だろうか?
塗装だけで対処できるものなのか
最初から海上での使用を想定して設計されてない気がする
陸上で居場所のなくなりそうなAHを、
天敵のいない海上で運用するのは、一つの提案でしょうか。
低速UAVの迎撃のみならず、AHがソノブイや
対潜魚雷を運んでも別におかしくはないですね。
航法装置の増設は必要でしょうけれど。
AH1Sは海兵隊でも使っていたから、
塩害対策もマニュアルがあったりして。
これが効果的ってなると徘徊型弾薬運用に最適化された船がでてくるのかな?
疑問なのが空母形状じゃない船からコンテナから射出できるといってもハロップはかなり大きいから回収どうやってするんだろ?
空中にワイヤーとかネットを張って引っ掛けるという方法もあるみたいです。
日本の企業が離島に荷物を運ぶ固定機ドローンをその方法で回収してるのをニュースでみました。
トン超えレベルの機体じゃなければイケるんじゃないでしょうか。
DARPAもSideArmという名前で開発してるそうです。
>最大重量400kgまでのドローンを、トラックや船、地上の施設から水平に放出して回収できる、自立型携帯装置
なるほど
そのぐらいの大きさのを使えるなら索敵範囲も広いし便利に使えるのかもね
基本は偵察機代わりだろうし、突っ込ませるオプションがある感じなんやろうけど
あくまで個人的推測ですが、海上型の徘徊無人機は自爆機能を除いたISR特化型が主力になると思います。
対空ミサイル、ECM、艦砲対空射撃、CIWS(+RAM)の4重の防空網を対艦ミサイルより遅くそこそこの高度を飛ぶ無人機が突破できる確率は相当低いはず。なんならECMとCIWSだけでも十分そう。
そして仮に命中しても、威力の低さ故大型艦だと当たりどころによっては特に戦闘能力に影響がでない。それなら弾薬の重量分燃料とセンサーを増やして目標の補足能力を向上、そこに対艦ミサイルを撃った方が攻撃の成功確率は上がる。
もちろんハラスメント的な攻撃には有効でしょうが。
搭載するなら対応力の低いコルベットやフリゲート等の小型艦が目標になるだろうから、自爆型は後進国を中心に広まりそう
いうて艦橋構造物に被弾すれば通信設備、レーダーの損壊は免れないので戦闘力は大幅ダウンでないですかね
艦橋に当たればね。
逆に言えば艦橋以外だと戦線離脱を強いるほどの損傷は与えられません。もちろん何かしら活動の制限等は強いる事ができるかもしれないけど、それも小破程度。そして近い将来レールガンやレーザー兵器が実用化されたら遅い徘徊型弾薬ではまず敵艦に到達できない。
それなら徘徊型ドローンは敵艦を近距離防空圏外から補足できるISR特化にして、矛はどこに命中しても確実に中破以上が見込める対艦ミサイル積んだ方が良いのでは。
ECM圏外から敵艦を捕捉できるなら敵艦としても中遠距離の対空ミサイルを使って撃墜するしかなく、その分対空ミサイルの残弾を奪う事ができる。
なんか対艦ミサイルの一撃必殺を前提にして話してるように見えます
たとえばモスクワもネプチューン一発で撃沈できたのだろうか ?
囮がなければ迎撃できたのではないだろうか?
100発単位で同時攻撃されたら全て撃墜できるのだろうか?
対空ミサイルを消耗させるだけでも
撃沈確率増やせそうなので
徘徊型ドローンが意味がないとは言えないと思う
なんと言ってもドローンはミサイルより安いので
徘徊ドローン100機をどこに積む気だ?
ドローンがミサイルより安いってのも語弊があるぞ。ハーピーなんかはミサイルと変わらんレベルの値段とサイズになる。
海上を数百キロを飛んで敵を索敵できる飛行性能を持ちつつ低コストで水上艦に多数搭載可能な小型徘徊ドローンなんか存在するのか?
例に出てるハロップは元々が敵防空網制圧のために開発された機体なのでステルス性高いしECMで無力化どころか電波発信源に吸い寄せられるんで逆効果だし、とりあえず当たればよかろうもんな対艦ミサイルと重要区画をモニターで確認しながら精密に狙える徘徊型弾薬で十分住み分けできるっしょ
程度にもよるが、一発艦橋にダメージ負った艦船は速やかに離脱して修復しないともう対空戦はできないから、徘徊型弾薬で戦闘力を喪失させ→対艦ミサイルでトドメをさすって使い方もできるだろうし
局所的な視点で見た戦闘だけを切り取っても警戒・哨戒・監視・照準・攻撃・効果判定とこれだけのステップが必要になる
この殆どをスタンドアロンで可能になる上に安価で使い捨ても出来る装備と言えるのが回収機能付き徘徊型弾薬
そりゃ用兵者から見たら喉から手が出る程欲しいわな
ゲームやアニメで語る解像度の低い軍事だと凄い射程!スピード!破壊力のミサイル!攻撃ー!ドカーン!!凄い威力!!!で完結するが現実はそんなに温くはねぇんだわ、これが…
2022年6月以降、防衛省とイスラエルのハイレベル交流が増えているので、防衛省も導入しようとしているのかもしれないません。
低速長時間巡航する徘徊弾薬がイージス艦を沈められる訳ではないと思いますが、敵方がこれを大量投入した場合は
・(防空艦の護衛なしの)軽武装艦艇や民間船舶の被弾リスクが増大
・防空能力のある主力艦も対空警戒をしなければいけない時間と領域が増大
あたりは覚悟しなきゃいけないんだと思います。使うにしても対処するにしても、将来的な艦艇は24時間シフトを長時間続けられるだけの乗員と一定数の徘徊偵察弾薬を搭載する艦艇容量、つまり排水量の増大って事に繋がるのかなあと。あと水平線を超えてISR弾薬の索敵情報を受け取るためには衛星通信網が殊更重要ですから、電子戦やASAT兵器の重要性も増すでしょうね。そして電子戦の手段としてもこの手の徘徊型UAVは有効であり…
俺も死んでから徘徊続けてるが、今の無人兵器のドローンの先駆けだったのか!
「スペースが限られる→多用途性が必要」という論理はどうなんだろう?
「スペースが限られる→小さく軽くしたい→爆弾は積まずにISRに専念」という方向もあるんじゃないかという素人考え
本文はISR機器と対艦ミサイル(or 攻撃型ドローン)
両方積むのはつらいので
1機で両方できる機体を使用して
スペースを半分にするのを
狙っていると言っているようです
これにも一理あるかと
我が国が製造するならオホーツク海の哨戒制海艦からだな