フランスのサフランとドイツのMTUは未来戦闘航空システム(Future Combat Air System:FCAS)プログラムのエンジンについて新たな合意に達したと報じられている。
参考:accord entre Safran et l’allemand MTU sur le moteur mais sans l’espagnol ITP
スペインを無視して進められたエンジンに関する合意、新たな火種になるか?
フランスとドイツは第6世代戦闘機(NGF)の開発や製造に関するワークシェアを50対50で進めること、主導権争いを回避するためFCAS開発はフランス企業がMGCS(次期主力戦車)開発はドイツ企業が主導権をもつことで政府間で合意に達していたのだが新たにスペインが合流したことで参加国の権利やワークシェアの比率などFCASプログラムの枠組み事態が白紙化してしまう。
これまで経緯を繰り返し説明すると長くなるので興味がある方は下記記事を参照して欲しい。
関連記事:第6世代戦闘機開発FCASに振り回されるフランス、ダッソーが単独開発に言及
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今回はFCASプログラムの構成要素である次世代戦闘機(NGF)が搭載するエンジンについての話で、フランス、ドイツ、スペインの3ヶ国はNGFが採用する技術要素の実証テストのためデモンストレーターを製造する予定なのだが、このデモンストレーターに搭載するエンジンを巡ってフランスとドイツ・スペインが対立している。
フランスはラファールが搭載しているサフラン製「M88」の採用を主張、ドイツとスペインはユーロファイターが搭載しているユーロジェット製「EJ200」を採用を主張しているのだが、フランス側のエンジン担当企業サフランとドイツ側のエンジン担当企業MTUはデモンストレーターにM88を採用してアップグレードすることで合意、プログラム参加国の政府に対してエンジンに関するフェーズ1B関連の契約書を提出したらしい。
問題はスペイン側のエンジン担当企業ITP(ロールス・ロイスの子会社)がM88採用に関する合意に参加していない点で、各国の政府に提出された契約書にもITPの署名が入っていないためスペイン政府がどのような対応に出るのか注目が集まっている。
この問題に詳しいスペイン側の情報筋は「公平ではない状態での開発開始には絶対に同意しない」と言っているので再び揉めそうな予感はするが、ドイツ議会が夏休みに入る6ヶ月下旬までに妥協点を見出してフェーズ1B移行に必要な承認を得られなければ今年9月のドイツ総選挙に巻き込まれる恐れがありフランスとドイツは何とか力技で押し切ろうとしているのだろう。
なぜフランスとドイツは合意を急いでいるかと言うと議会審議の時間を考慮すると合意形成のリミットは今年の2月末と言われていたためで、サフランとドイツが共同で契約書を提出することでスペイン側に「同調しろ」と圧力を加えているという訳だ。
自分達抜きで進められた合意についてスペイン政府やITPはどの様な反応を示すだろうか?
※アイキャッチ画像の出典:Ejército del Aire Ministerio de Defensa España / CC BY-SA 2.0
デモの採用をテコにそのまま既成事実で押し通す方針?
まぁ、話し合いでまとまらんならゴリ押してくってのもわからんではないが
すごく不穏な感じだけど独仏からしたら後から入ってきたから文句言うなら排除するくらいに思ってそうだな
デモンストレーターだけで実機に何積むか決まってないじゃん
これ後からドイツが「デモ機はフランスに譲ってやったんだから実機のエンジンはドイツに譲れよ」とか無茶苦茶言ってくるパターンじゃね
後から、つーか既に何かしらの代価は要求してるのでは?
むしろその「代価」を独り占めするためにスペインを外して合意したんじゃないかと邪推。
三者いる場で「しゃーねぇデモ機は譲るわ。代わりに○○な」って言うと
スペインにも利のある○○しか要求できないからね。
一応、デモ機にアップグレードしたM88を積むってことでいいんだよな。ラファールだって試作はF404積んでたし、あんまり拘るとこじゃないとは思う。
EAPもRB199だしな。
ホントそんなとこで揉めてもしょうがない上に
結論としてわざわざM88改造すんのか、と。
あり物で済ませろよ。
本気で「揉めるのが目的で共同開発してる」って説が
正解に見えてきたわ。
これはスペインも不快だろう
FCASはホントネタに困らないな・・w
独が折れれば西も従うしかなかったと思うんだが、
なんで西を蚊帳の外にして話進めたんだろね。
何か見返りの密約でもあったのかな?
独仏にとってはスペインが格下扱いなのか、嫌ならばテンペストにでも行けばって強気の交渉なのかも。
いや、怒るスペインが方針転換してテンペストへ行ってしまっても不思議はない
そうなればまた予算から組み直しですなwww
いや正直後から来たスペインは下の扱いでいいと思うんだよね。
その分出資額とか初期生産割り当てとか少なくすれば良いだけの話で。
何故かそこの負担を平等・均等にしつつ、そのくせ主導権やらワークシェアやら握ろうとするからおかしくなる。
素直に仏独7:3とか仏独西3:2:1みたいな出資比率にして、主導権もワークシェアも比率相応にすりゃ良いんだよ。
そうすりゃ独西がゴネたら「ならもっと金を出せ」で万事解決する。
まあ仏にそんな余裕がないからこんな事になってるんだろうけどね。
ドイツはEUの盟主だと思い上がりが激しいからね
下に見ているのは間違いないだろう
また余計な火種を抱え込んだ様にしか見えないな。
とはいえ独西の間にヒビが入るのは計画全体にとっては
むしろ好材料かな?
仏vs独西だと独西に振り回されるが
仏vs独vs西なら仏がちゃんと主導権握れそうだ。
三人寄れば文殊の知恵のはずなのにこの体たらく。
どうして喧嘩してしまうのか。
むしろ「3人いれば7つの派閥」目指してまっしぐらですからね。
現在5つめ(仏・独・西・独西・仏独←New!)かな?
”船頭多くして船山に登る”だからだろ
政治的にも企業的にも主導権を握りたいのはどこも同じだし
仏独がスペインいなくてもいいんじゃね、って思ったんだろうね。
むしろ、この場合はドイツだけに「会議は踊る。されど進まず」の方が合ってるんじゃないでしょうか。
なぜこうも協調性がないのだろうか・・・
またダッソーが抜けて、空中分解してもおかしくないなぁ
軍事に関しては支離滅裂なドイツ議会に協調性を求められても(汗
ドイツ議会は一体何者なんでしょうね
本気で国防を考えているとは思えません
このままではNATO全体の利益も損なわれるというのに
日本人から見たらそう思えるが、仮に日本、韓国、台湾のトリオで何かの開発を始めてうまくいくだろうか(笑)日本人が調整役として疲れて損をするばかりになるだろう。
エゴ丸出しの自己主張こそが世界のスタンダードだと知るべし
美しいとは思わんけどね
なるほど。
しかし、その日本、韓国、台湾のトリオで何かの開発を目指そうとは各国も思わないでしょうし、そこまで無茶だとわかっているなら、なぜ欧州は共同開発するのでしょうか?
やはり資金と技術力ということかな・・・
ご存じとは思うが、戦後ジェット軍用機に手を出した国は少ないない。五大国以外にもユーゴスラビア、アルゼンチン、いろんな国が飛行機の開発をやっていたのがほぼ全滅して、北欧の雄だったスウェーデンも米英から技術供与を受けるに成り下がってるのは、非常に高度化した戦闘機開発技術に追いつくのと、それに見合う資金力を兼ね備えた国が数えるほどという現況ね。戦前戦後と軍事力で世界をリードしてきた国々は技術保持とプライドもあるから、なんとか開発を続けたくて不本意な共同開発をやってるんだろう。
なるほど、解説ありがとうございます。
そうなると日本が次期戦闘機をほぼ国産で作れそうなのも、つい最近XF9-1という実用性のあるエンジンを開発できたからなんでしょうね。これで戦闘機を作るための技術的な穴がふさがった・・・。
もしあのエンジンがなければ、アメリカとのそれこそ不本意な共同開発になっていたんでしょうね。
>仮に日本、韓国、台湾のトリオで何かの開発を始めてうまくいくだろうか(笑)
日本人が調整役として疲れて損をするばかりになるだろう。
そんなん迷わず韓国を蹴り出して、日台で程々に揉めながらどうにかこうにかやり遂げ、韓国は二度と誘わないだろう。
今回フランスが懲りずにドイツと組んで、案の定揉めてるから不思議がってるのでは?
むしろ真っ先に蹴り出されるのは日本なのでは?
一向に構わんよwww
その後、台がどこまで我慢できるかだねw
その場合、調整役をするのは兵器開発・販売に数多くの実績を持ち国際信用度も高い韓国なのでは?
少なくともかつて周辺諸国に侵略を働き信用度ゼロな日本政府にはとても務まらないでしょう
そうだね、事実インドネシアとの調整は順風満帆だもんねwww
現在進行系で竹島を侵略している韓国に、国際信用度があるわけない。
そういう態度だからこそネシアとも空中分解しそうなんだって、君が教えてやれよ
M88採用と引き換えにデモンストレーター制作の約束を取り付けてたりして
フランスのM88になったら成仏だな
この問題、スペイン側のエンジン担当企業ITPがロールス・ロイスの子会社と言う点がミソだろう
つまり、エンジンで揉めた理由がそこだったのかも知れない訳で、そこに気付いた仏独がスペイン抜きで合意したって所なんだろうね…恐らく、仏独は最悪スペインが席を蹴ってテンペスト計画へ行っても構わないと言う覚悟で合意したんじゃないだろうか
子会社では無いのでは?
インドゥストリア・デ・トゥルボ・プロプルソーレス S.A.(Industria de Turbo Propulsores S.A.)
セネル・アエロナウティカ (スペイン)が53.125%、残りがR&R
M88を発展させても推力不足で、双発でもF-135単発以下の推力なのでは・・?
M88を搭載するのはあくまでデモンストレーターの話
技術要素の実証テストとあるのでX-2のような概念実証機なんだろう
X-2も随分小型だったがああいうものならM88の推力でも問題は出ないんだと思われる
だとしたらそんなのどっちでも良い、というかEJ200そのままでいけるなら、
改修してまでM88をねじ込む案件じゃないだろうに。
そんな開発リソースあるなら本番機用の開発に突っ込めよ…。
M88の発展と言っても、ラファールのサイズやM88のサイズ・出力は小型のド・ゴールによって制限されていた部分が大きいでしょうから、フランス次期空母が大型化する以上ミラージュ2000のM53と同程度かそれ以上に大型化するという選択肢が取れるのではと
スウェーデンを拒否してスペインを参加させるってのが、スペインならマウント取れるぜ、と意図が見え見えだったけど、それでもやっぱり揉める。
揉めるのが目的じゃあるまいか?
いやFCASだかNGFのやり方で露骨に要求仕様の違うスウェーデンを入れる訳にはいかんやろ。
仏独どちらも
「相手の金で自国の戦闘機を作る」
「自国設計、生産はまあ分担可」
のが目的と言うか要望だからなあ
揉めないわけがない
ちゃんと揉めたほうが良い結果を出せるという西欧思考と、
揉めずにすんなり運びましょう理論の我々との壁を感じるな
揉めた結果きっちり決め事が決まってその後スムーズに進んでるなら
その言説にも頷けるけどさぁ…。
ラファールのデモンストレーターはF-404エンジンを搭載して実機よりも一回り大きかったですからね。 実機は新規のエンジン開発になるのか、M88やEJ200の発展型になるのかどうなるんでしょうかね。シャルル・ド・ゴールに搭載することを考慮するとラファール規模の機体になり、ステルス性能や航続性能、ウェポンベイのサイズに制約が生じるでしょうね。
フランスが第6世代戦闘機に対応した次世代空母を発表、2038年までに就役
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シャルル・ド・ゴール後継となるフランス次世代空母は、全長300mの7万5000トンの大型艦となって2038年までに就役する予定。FCASの艦載機型もこれを前提に設計されるのではと
クレマンソー級の運用インフラなどに縛られてイマイチの性能になったシャルル・ド・ゴールの反省でしょうし、逆に空母の方が「フランスが構想しているFCAS」に合わせて設計されているかもと
ただスペインのエンジン会社がRRの子会社だろ?
エンジンに関与すれば間接的にはテンペストも関わるわけで、テンペストとFCASってはとこ位までの関係性はあるだろうな。
スペインは自分から押しかけてきたお邪魔虫だったの、それとも資金目当てに呼び込まれたのに都合で切り捨てられようとしている被害者?
後から合流したのに三者対等という設定にされてる成り行きを知りたいとこ
エアバスが多数決で勝つために呼び込んだ刺客…だと思ってたんだが
何故かドイツに梯子を外されてるw
仮にも米国の第5世代機よりすごい第6世代機を作るといってるのに
第四世代機のエンジンの改良程度で済ますのもどうかと
エンジンの性能差が期待の性能差の決定的なものでもない…とはいえ
エンジンのパワー=機動性や武装がいくら詰めるかに直接かかわってきますから
というかフランスのサフラン、ドイツのMTUは知ってるがスペインにその手のがあるのかと思ってググったらあったわ