フランスのマクロン大統領は今年の夏までにウクライナを公式訪問すると発表したが、この訪問の最大の目的はラファール売り込みにあると報じられている。
参考:Race on between Rafale and FA-18 to replace Ukraine’s MiG
参考:La France pousse la candidature du Rafale en Ukraine
フランスと米国が争うウクライナ空軍の次期戦闘機需要、ギリシャでの勝利を再現できるか?
ウクライナ空軍は2014年に発生したクリミア危機と東部紛争で10機以上の航空機を作戦中に失い、侵攻してきたロシアの地上軍にMiG-29を45機以上も鹵獲されてしまい返還された機体はパーツや電子機器の一部を意図的に抜かれていたため飛行可能な状態に戻すのに苦労したが、最終的にウクライナ空軍は30機程度(情報源によって21機~45機とバラツキがある)のMiG-29とSu-27を33機を運用している。
さらに戦闘機は別にSu-24Mを15機程度、Su-25を25機程度を運用しているが対峙するロシア空軍と比較した場合、能力的に劣勢で老朽化した機体の運用コストも高額なため西側製戦闘機による更新が計画(空軍ビジョン2035)されており、現地メディアは米国製のF-16Vブロック80とスウェーデン製のグリペンE/Fを有力な候補に挙げている。
勿論、ウクライナ空軍は何を導入するかについて公式に言及していないため上記以外の戦闘機も交渉のテーブルに挙がる可能性があるのだが、ここに割って入ろうとしているのがフランスだ。
フランス政府はマクロン大統領が夏までにウクライナを訪問して安全保障問題や幾つの新しい経済プロジェクトについて協議を行うと今年1月に発表したが、この訪問の最大の目的はラファール売り込みにあると報じて注目を集めている。
複数のメディアが報じている情報を総合するとウクライナは能力の高いツインエンジンの戦闘機にするか運用コストの安価なシングルエンジンの戦闘機にするか迷っており、同国への対外軍事援助を強化しているバイデン政権はF/A-18E/Fを近い内に提案するつもりでフランスもマクロン大統領がウクライナ訪問時にラファールを提案する可能性を指摘、特にフランスはウクライナが戦闘機更新に必要な資金の85%に相当する15億ユーロ(約2,000億円)の融資を用意しているらしい。
まだふわふわした話なのでアレだがウクライナ空軍の次期戦闘機を巡る駆け引きが水面下で進んでいることだけは確かで、果たしてウクライナは何を選ぶのだろうか?
ウクライナは旧ソ連/ロシア製戦闘機のみしか運用してこなかったため西側製戦闘機を選べば空軍内のインフラを一から構築する必要があるため導入コストは非常に高くつくことが予想されるが、機体単価だけで見れば恐らくF-16Vが最も安価(初期発注分の機体単価は推定5,490万ドル:約58.5億円)だろう。
グリペンは機体単価が安価だと言われているが、それはグリペンC/Dまでの話で発展・拡張型であるグリペンE/Fは相当高価(運用コストについては依然として安価らしい)だと言われており、同機を導入したブラジルのグリペンEは1億ドル~1億3,000万ドル(推定)だと言われている。勿論、ブラジルの場合はライセンス生産を行っているため1億ドルに関連費用が含まれているのかもしれないがシングルエンジンの第4.5世代機としては非常に高価な部類に入るのは間違いない。
補足:ただスウェーデンはインドに提案しているグリペンEは現地生産に関連する費用を含めてもラファールの半値で提供可能だと言っているため、同じ現地生産でも量産規模(インドは100機以上導入を想定した金額でブラジルは36機導入)が増えれば劇的にコストが下がる可能性を示唆している。
ここに平均生産単価が約8,250万ドル~1億1,1700万ドル(関連機器やサポートなどを含めた平均導入コストは1機あたり250億円以上)のラファールが食い込めるのは謎だが、バイデン大統領はウクライナ疑惑に基づく政治的な懸念があるのでフランスのような大胆なアプローチ(十数億ドルもの購入費用融資)は取りづらいので導入条件等で融通が効くラファールの方がウクライナにとって魅力的に映る可能性もある。
まぁウクライナ空軍の次期戦闘機選定が正式に始まるのは先の話なので、当分は様々な噂話で我々を楽しませてくれるはずだ。
関連記事:戦闘機導入の相場、フランスのラファール導入が高額になる理由
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※アイキャッチ画像の出典:mashleymorgan / CC BY-SA 2.0
ベラルーシと同じくmig29の最新型やmig35とsu30を調達すると思う。選定過程の価格交渉で有利に持ち込むために米国製や欧州製と競合させるだろうけど、結局予算の都合でロシア製(近代化改修)に落ち着くと思う。
どんな国際感覚でコメントしてんの?ロシア製戦闘機なんて両国の置かれた外交関係を考えれば1番ありえない選択肢でしょ?
釣りだろうが、あえて否定はすまいw
あの辺の国々はスホーイだのミグを並べてて欲しい願望だけはありますから
陸続きだからこそ現代は制空権が防衛の肝なのに(笑)
ウクライナが東西の立ち位置で悩んでいても、今さらロシアは絶対にないよ。
それならば中国から導入する可能性のほうが高いくらい
「両国の置かれた外交関係を考えれば1番ありえない選択肢でしょ?」
その両国の力関係と国力を考慮した結果、ウクライナはロシアの武器輸出圧力に負けると判断した。そもそも黒海周辺国家がロシアと対等だと本気で認識してるなら脳内お花畑だと言いたい。
なによりウクライナが本気で装備更新を目的としているなら、尚更運用性と能力面でロシア製に限定される。ウクライナには日本や台湾の様な地政学上の利点(海)が無いので昔から主権が限定的。
その意見こそお花畑そのものなんだけど
情報を読み込む最初から間違ってるよ
>武器輸出圧力に負ける
言葉が足りませんな、ウクライナがロシアから装備を輸入するといいたいのでと解読しましたが・・・
この3月にもウクライナの大統領がクリミア奪還を公言してるのに?東部紛争も継続中ですが?
そして後半、ウクライナはクリミアこそ奪われて東側がgdgdしてますが、まぎれもなく海である黒海に面しており、エーゲ海・地中海へとつながります。
「言葉が足りませんな、ウクライナがロシアから装備を輸入するといいたいのでと解読しましたが・・・」
そのとうりだよ、
「この3月にもウクライナの大統領がクリミア奪還を公言してるのに?東部紛争も継続中ですが?」
だからなに?ゼレンスキー大統領はアメリカやEUを巻き込んで政治的奪還を目指してるけど、核戦力も無く旧式装備が多いウクライナにロシアが負けるとでも? 逆に国境圧力や制裁を口実にプーチン大統領がウクライナ東部に政治介入を始め、対欧州名目で更なる軍拡に走りそうだ。
「まぎれもなく海である黒海に面しており、エーゲ海・地中海へとつながります。」
そうだね。そしてウクライナはロシアと陸続きで接する国なんだが。海軍力も脆弱で有事の際にはカスピ海の海上戦力(ロシア海軍)も投入されるのは必然。ボスポラス海峡や隣国から西側の救援が来ても首都キエフを守れるか怪しい。
今の時点で軍事力による奪還は不可能だし、ウクライナの経済・軍事力を考慮しても時間が解決するとは思えない。
ウクライナによる奪還が難しいということと
ウクライナがロシア製戦闘機購入することの間にはとっても大きな差がありますな、
ウクライナ政治は独立以降ロシアと欧州の間で揺れ動いてましたが、その時からまぎれもなく国土であったクリミアをロシアに占領されたため、大統領が誰になってもロシアとの安易な妥結は政治的に死を意味するので短期的には不可。
いくらロシア式の装備体系にあったとはいえそんな状況でスホーイだのミグの戦闘機を買う決定は下せませんな、いつ発火するかわからん相手から主要装備買うとか無理すぎ。
というか後半概ね同意をされてるみたいですがそれでなんでミグかスホーイの調達に行くという結論になるのか・・・
日本も中国の殲を採用すべきだな(テキトー)
某評論家がやたら主張しているね。
実際にロシアと戦闘中だからな。
自国で改良出来るならするだろうが、駄目ならライセンス生産だろうね。
惜しむらくは、核兵器を手放した事だね。
ロシアは長期計画にウクライナ黒海沿岸、ルーマニア黒海沿岸、ブルガリア黒海沿岸、トルコ黒海沿岸を併合する計画が
あるとしか思えない行動してて、ウクライナとは戦争中なんだよ。10年後にはルーマニアに到達してるのでは。
イギリス退役のタイフーントランシェ1だったりして
機体タダでもアップグレードしなきゃ使い物にならん。それに許可出てもいくらかかるかだよな。
2008年4月にブカレストで行われたNATOのサミットにおいて、ウクライナはNATO加盟のための行動計画への参加を申請しましたが、独仏の拒否権発動により実現しませんでした。その結果が2014年のロシアによるクリミア侵攻です。いったいどの面を下げてフランス大統領はウクライナに行くのか。まあ世界屈指の国際政治強国ですから、勝算はあるのでしょう。
軍事的合理性はそうでも、国民が納得しないと思う
クリミア半島のある限り
ダッソー自身も「NATOやEU加盟国の戦闘機市場から自社の第4.5世代戦闘機ラファールが排除されている」って記事にされてましたしね。
他の地域で積極的に売り込むしかないんだろうな。
正直単発機のF-16VかグリペンE/Fがいいと思うけどな
実績からF-16かな
ウクライナは遊んでる余裕なんて無いから真面目に一番必要なものを調達して欲しいもんだ
空物を生産できるインフラはアントノフのライン位で他にはもう無いだろうから全品輸入かな?
決定の期限がまだ先の話ならKFXもあり得るのね。
仮に間に合っても真正面からスホーイの戦闘機と殴り合うのにKFXは力不足だろう
あれは本国でも問題提起されるくらい搭載兵器の種類が少なすぎる
ウクライナとはエンジン技術で協力してて、自前で無人機や搭載機器まで開発してるTF-Xの方がまだ目があるな
しかしウクライナまで西側になるとは
ロシアはいまだに強気だが実質的に見るとかなり抑え込まれてる
ポーランドがメイン盾になってるんだし
実のところはプーチン政権も苦しいんだよ、原油のおかげでかろうじて経済をしのいでるだけで、出口が見えない。だからこそ国民には欧米の脅威を強調して軍拡をやるしか人気のとりようがない。
今どきどこのバカがロシアに侵略だの仕掛けるもんかよ(笑)
うーん先進国が脱石油に動く理由がわかるねw
中東とロシアが弱る。アメリカと欧州にデメリットないもん
日本の自動車産業は死ぬけど
欧州は天然ガスで首抑えられているでしょと
だからといってスホーイは買ってないしw
上のほうには世界をまるで誤解してるのもいるから驚く
まぁロシア目線で見たらベラルーシを残した以外はバルバロッサ作戦で大きく押し込まれた1941年当時位の感覚でしょうし
ハリコフからバルバロッサが始まれば普通にモスクワ陥落したでしょうね
ラファールでもグリペンでも構わないけど、Su-57へはどう対抗するんだろうか
F-16VとF/A-18E/Fでできる事の差異って艦載機であることと、バディポッドでの給油位?
これってウクライナ的には大同小異な気がするんだが。
これでスパホを提案するとみられてるとか露骨なボーイング救済すぎないか
レーダーの能力でもF-16Vが圧勝ですよね。
そうなの?
海兵隊のレガホの近代化改修でAN/APG-83 SABRの搭載試験した上で
AN/APG-79派生型を選んでるから、少なくとも大差はないと思ってた。
AN/APG-79(V)4ですね。
はい、それが載ればAN/APG-83が載ってるF-16Vと同等程度になるんじゃないかと思います。
ですが、現状ではレガホの改修機などが優先されていて、F/A-18E/FブロックⅢでもAN/APG-79のままだったと思います。
タイフーンは半分ドイツ製だからポーランドは導入しずらいか
ポーランドはF-35A導入ですよ、32機予定なのでウクライナも同じ様にF-16VとF-35Aコンビの可能性が高いと思いますよ、取り敢えずはポーランドでMig-29のオーバーホールは可能なので誤魔化しながら更新していくのでは?旧ワルシャワ条約機構諸国のお古かき集めておいてステルスはF-35A導入する作戦も考えられますけど・・
武器商人おフランス暗躍中
何でロシアは鹵獲したMiG29をわざわざ返還したの?
そのまま戦利品として持ってれば良かったのに
元の宗主国がウクライナのお古なんて使うと世間への聞こえがよくないだろ
どうせ機体の程度もそんなもんだったんだよ
ウクライナのmig-29やsu-27の維持って数年前に大量に退役させた機体のパーツの在庫で何とかしているのかな?ポーランドはmig-29維持に熱心だけど、そこで何とかしてもらってるの?歴史的に仲良くない国だからどうなんだろう?早かれ遅かれ航空戦力はロシア製からの脱却をするしかないのですね。
実際の所、値段もだし納期も絡むとF-16ってすんなり納入されるのかね。F/A-18E/Fだとペイロードだけはとにかく大きいし、米海軍並の値段に近いなら西側一安い双発だと思う。ボーイング救済もあろうけどF414のエンジン作っているGE救済も兼ねている気もするね。
搭載兵器に関してはラファールってほぼ自国内の兵器で選択肢が一番狭いから実際の所ネックにはなりそうな気がする。