フランス海軍は6月12日、ル・トリオンファン級原子力潜水艦から潜水艦発射弾道ミサイル「M51」の発射に成功したが、リュビ級原子力潜水艦で火災が発生、8時間経っても鎮火できず懸命な消火活動が続いている。
フランス海軍が潜水艦発射弾道ミサイル「M51」の発射に成功、飛翔距離は約6,000km
フランス海軍の戦略ミサイル原子力潜水艦「ル・テメレール」は12日、フランスが開発した潜水艦発射弾道ミサイル「M51」の性能テストを行うため大西洋に面したフランス北西部に位置するブルターニュ近海でM51を発射、約6,000km離れた西インド諸島の東の海域に着水した。
参考:France Just Test Fired A Submarine Launched Ballistic Missile In The Atlantic
この潜水艦発射弾道ミサイル「M51」は三段式の固体燃料ロケットで、先端にエアロスパイクと呼ばれる突起を展開することで空気抵抗を減らす構造になっており最大射程距離は9,000km(搭載される核弾頭の数によって変化)だ。さらに今回発射されたM51は初期型のM51.1ではなく改良型のM51.2か現在開発中のM51.3ではないかと噂されているが、フランス海軍は今回発射したM51のテストは成功したとだけ説明して、どのタイプを発射したのかは明らかにしていない。
So, France did a #SLBM-test early today, launching an M51 SLBM from an area south of Brest near the French coast, towards the Caribean.
Based on navigational warnings, I created this map. Line is a simple ballistic trajectory. Range aimed for ~6000 km.https://t.co/Fe6Y4sLLoM pic.twitter.com/A0QIphkPGL— Dr Marco Langbroek (@Marco_Langbroek) June 12, 2020
今回、M51の発射を行ったル・トリオンファン級原子力潜水艦は16基のM51を搭載することができ、それぞれが6基の核弾頭(最大10基)を搭載しているため複数の独立した目標に核攻撃を行うことが可能だ。
ここまでならフランス海軍にとって喜ばしい日となったのだが、同じ日に最悪の火災事故が発生した。
リュビ級原子力潜水艦で火災が発生、8時間経っても鎮火できず船体へのダメージは甚大
原子力潜水艦「ル・テメレール」が潜水艦発射弾道ミサイル「M51」の発射を行っていた同じ頃、地中海に面したフランス南東部トゥーロンでオーバーホールを受けていたリュビ級原子力潜水艦6番艦「ペルル」で火災が発生して、一時は造船所が煙で覆われる事態に陥った。
参考:Incendie toujours en cours à bord d’un sous-marin nucléaire français
火災はペルルの前部区画で午前10時35分に発生して午後1時時点でも消火活動が続けられていたため広範囲に燃え広がった可能性もあるが、火災による被害状況や火災発生の原因については不明のままだ。しかしオーバーホールを受けていたペルルは原子炉や核燃料はもちろん魚雷などの武器も全て降ろされた状態だったので最悪の事態は避けられただろう。
[#InterventionSNAToulon] Intervention en cours sous coordination VAE Isnard, commandant arrondissement maritime Mediterranee.
Équipes marins-pompiers @MarineNationale et sapeurs-pompiers @SDIS83 se coordonnent pour lutte contre incendie à bord SNA Perle. pic.twitter.com/xe37RolJ81— Préfecture maritime de la Méditerranée (@Premarmed) June 12, 2020
[#InterventionSNAToulon] Suite remplissage des fonds en tranche avant SNA Perle par de la mousse, et intervention équipes de marins-pompiers, le feu est maîtrisé.
Recherche éventuels d’autres foyers se poursuit, compartiments de propulsion n’ont pas été touchés. pic.twitter.com/BKpRk7Vw2m— Préfecture maritime de la Méditerranée (@Premarmed) June 12, 2020
リュビ級原子力潜水艦は基本排水量2,300トンと他国の原潜に比べて非常に小さく、推進方式の非常に珍しい原子力タービン・エレクトリック推進(原子炉で発生させた蒸気でタービンを回して発電した電力で電動機を回してプロペラを回転させるため静寂性に優れるが推進システムが複雑になる)を採用しているなど独自色の強い設計が特徴だ。

出典:CC BY-SA 3.0 リュビ級原子力潜水艦
現役の原潜で原子力タービン・エレクトリック推進を採用しているのはフランス海軍と中国海軍(漢型)のみである。
午前5:00追記:現地メディアの報道によれば火災は8時間経っても鎮火しておらず、オーバーホールを担当しているDCNSによれば火災の状況は深刻だと言っている。ここまで火災の鎮火に手間取っているのは火災発生場所がアクセスが困難な前部区画の下層で効果的な消火活動が難しいためらしい。
現在も100人の消防士が消化活動を行っているが、ここまで長時間火災が続けば仮に鎮火できても船体へのダメージは甚大なものになることが予想される。
※アイキャッチ画像の出典:Val Traveller / stock.adobe.com
オーストラリア(おっ、火災に弱いのは採用できないとか難癖つけてキャンセルチャンスや!)
軍事機密の塊である潜水艦の設計図をもらっておきながら
軽いノリでキャンセルする国に武器・兵器を売るなんて怖くてできませんね
かかわらないでおきましょうか
焼き鈍って艦体強度が下がると潜れなくなるから、廃艦かな。
そんなに長時間燃えてるんじゃ廃棄処分かね
>「M51」は三段式の固体燃料ロケット
ってISASのM-Vロケットみたい。
以前、リュビ級エメロードが原子炉事故を起こしている。
ドック内作業みたいだし、扉を開いて注水すれば良かったかも。
中の機器はともかく、船体への影響は最小で済む。
まあ原子炉が無事なら再建は可能だし、切り替えていこう
リュビの原子炉は出力が小さすぎて他の艦艇には転用できない
今さらリュビ級の船体をまた作り直すぐらいならシュフラン級の就役を待つ方が遥かにマシだろう