露ワグナーのプリゴジン氏は「実質的に取り囲んだ」と主張してバフムートからの撤退を呼びかけたが、ウクライナ軍は3日「シルスキー陸軍司令官がバフムートを訪問して現地部隊の将兵を激励した」と発表した。
参考:Сухопутні війська | UA Land Forces
果たしてバフムート訪問の真意はどこにあるのだろうか?
シルスキー陸軍司令官はソレダル攻防が激化していた1月上旬(8日頃)にバフムートを訪問し「追加戦力の投入」や「砲撃の強化」を指示、露ワグナーにヤヒドネやバフムート北地区を制圧された1月下旬(25日頃)に再びバフムートを訪問し現地部隊を打ち合わせを行ったと報じられていたが、ウクライナ軍は3日「シルスキー陸軍司令官がバフムートを訪問して現地部隊の将兵を激励した」と発表した。
飽くまで「3度目となるシルスキー陸軍司令官のバフムート訪問」を3日に発表しただけで、訪問が3日に行われたものなのかは不明だ。
ソレダルやバフムートで戦っていた戦術航空偵察部隊の隊長(Magyar)は3日「新しい任務のためバフムートから去るよう命じられた」と明かしているためバフムートからの撤退は既に始まっている可能性が高く、チャシブ・ヤールと繋がる00506ルート上の橋も破壊されたためバフムートへの移動は既に難しくなっており(安全ではないというだけで移動が不可能という意味ではない)、この状況下でシルスキー陸軍司令官が訪問したのなら「通常ルート以外でバフムートへの安全なアクセスがまだ可能」という意味になる。
イワニフスキーの裏に広がる畑や森林地帯を通り抜ければバフムートへのアクセスは理論上可能でも、もはや効率的とは言えないルートによる同拠点の維持は兵站に負担が掛かるため「数日以内にウクライナ軍が撤退するだろう」というのが大方の予想だが、シルスキー陸軍司令官のバフムート訪問を発表するということは「まだまだ粘る」というメッセージかも知れない。
果たしてバフムート訪問の真意はどこにあるのだろうか?
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※アイキャッチ画像の出典:Сухопутні війська | UA Land Forces
体のいい死守命令か…
なるだけなら粛々と撤退して来る攻勢の為に再編成して欲しいのだけど
粘れるだけ粘れということじゃないですかね。
1月の戦況マップから見ても包囲は少しづつ進んでいないし、仮に包囲されても、その包囲は薄く弱いから、突破すればよい。その際、後方の砲兵その他の味方の支援を受けられるから、管理人氏の心配しているリマン撤退のような壊滅的な被害は考えにくい。
それに、今すぐ撤退しても来る攻勢には間に合わない。春の攻勢ではいずれにしろ後方で休養補充再編成のステージだと思いますよ。
橋が落ちたとか撤退するとかしないとかセベロドネツクの辺りを思い出すなあ。あの時はしれっと撤退してましたが今回はどうなるか。
バフムートに滞在してたら帰り道が確保出来なくなった説。
あと画像のは「ボフダンフメリニツキー連隊」かな?
地下に抜け道でもあるんですかね?
>「通常ルート以外でバフムートへの安全なアクセスがまだ可能」という意味になる。
郊外へ抜けるバフムト地下坑道があるという話は
随分前、アメリカが撤退を勧めていた位に
渡部元陸将がテレビで言っていた気がする。
バフムトは長い期間をかけて要塞化しているから
抜け道があってもおかしくない。
そう考えると、ウクライナの撤退をギリギリまで
遅くするのもある程度理解できますが
相手のあることですし
そのルートを察知されて
潰されるリスクもありそうなので
ウクライナ上層部の意図はわかりません。
前の記事のコメントでも「ゼレンスキー大統領は撤退の判断が遅い」と指摘されていましたが、多分にこれはウクライナ人という民族が郷土に対する執着の強い人が多いからではないかと思います。いまだにバフムートには5000人近い民間人が地下を中心に留まっていると言われています。留まる事情はそれぞれあるとはいえ、根本的には生まれ育った土地を離れたくないという思いが強いからでしょう。
ウクライナと言う国は地方の独立性が高く、地元のオリガルヒがインフラ整備や公共サービスを管理(支配)し、私設の軍事組織まで作ってきたような国なので、中央から安易に都市の放棄は宣言できないのだと思います。
クレミンナ方面では奪還に向かっていた軍が、アメリカの指示通り大人しく後退していることからも、正規軍は被害を減らしたいけど、郷土防衛隊のような地元の軍が撤退を拒否しているような構図があるのではないですかね。
>私設の軍事組織まで作ってきたような国なので、中央から安易に都市の放棄は宣言できないのだと思います。
これを聞くとアフガニスタンやイタリアのことを思い出します。
これらの連邦政府って弱く、各部族単位、分国単位の方が強いんですよね。
アフガニスタンの場合連邦軍の配置で自分の所属部族の支配領域に配置されないように
ワザと配置したのが、あのヤル気のない軍隊に繋がったみたいです。
その立場になって考えると外国(他の部族支配地域)に行って命をかけて守れと言われても
その気になれなかったでしょう。
ウクライナも連邦軍として戦う段になったとき強さが発揮できるか心配になってきました。
以前に話題になったオデーサでの強制動員も、オデーサ市民からすれば
「ヘルソンは奪還できたのに、なぜ自分たちがバフムートに行って戦わないといけないのだ」という反発があるからかもしれませんね。縁の薄い土地で不利な防衛戦まではやらされたくないと言うのは、人の心情として分からなくもありません。
西側の戦車が揃い、ロシア軍を圧倒できるようになれば参加する兵士も増えると思いますけどね。
どこの国でも程度の差の話で郷土愛はあるでしょう。反対に全くこだわらない民族を寡聞にして思いつかないです。日本の首相だって北海道の戦況が不利になったからといって、青函トンネル以北から撤退するなどとは最後まで言えないのではないでしょうか。
半年も期間あるから、後方の畑を潰してセメントで道路つくり補給線いくつかつくっていそう。まだウクライナ軍が空爆しているので、バフムトの制空権は持っていますからね。
道路を三年ぐらいしか使わない考えて突貫でつくれば1ヶ月ぐらいで道路作れますからね。
陸軍司令官が訪れられるぐらいには、安全な道残っているでしょうからね。
昔のハンニバル将軍みたいですね。
”道がないなら、作ればよい”
或いは陸自の施設科の人たちみたいに。
”橋がないなら架ければよい”
上手く撤収できればよいですね。
周りが全部平地というならそういうことも可能かもですが、バフムート西部は高台や川が錯綜していて簡単に道路を敷設出来る箇所は限られており、実際そこにはすでに道路が通っています。
道路がない場所にはないなりの理由がありますからね。
もし施工するとしたら現実的なのは保険的に農道を拡幅舗装するくらいでしょう。
何より今現在で言えば、もう包囲されてない箇所の幅が狭すぎて、それこそ安全なルートなんて坑道道路が作られてない限りないでしょうねえ…作ってたら面白いのだけど
未だにバフムート市内に残っているのは「解放」を待っている親露派住民ですよ。これはウ軍兵士側発の情報です。元々東部は親露派住民が多いですし。また同じような理由で郷土防衛隊=士気が高いという図式も成り立たなくなっています。開戦書記は文字通り国家滅亡の瀬戸際でしたので彼らの士気の高さにウ軍は大いに助けられましたが、現在彼らは地元から離れた戦場に送られています。地元でもない縁もゆかりもない土地では士気が下がるのは当然です。
その解放を待っている住民に水や食料を送っているのは誰ですか?
ロシア軍の侵攻は進んでいるとは言え、まだ市の中心部には到達していません。
まさか、ウクライナ軍が裏切り者の住民のために水や食料を運び入れてるとでも言うのでしょうか?
一部には親露派もいるでしょうけど、そんなに解放を心待ちにしているのなら
ロシア軍もマリウポリでやったように「ロシアへ繋がる人道回廊」をまた作ればいいのですけどね。
あの時は欺瞞だと批判されましたが、バフムートでは何千人もの住民がロシア軍を待っているのだから
いいアピールになると思いますけど。
T0504道はまだ補給路して使えると推測している戦況図がありますね。
先日破壊された00506道に架かる橋は数日以内に修理する予定とのこと。
また、ロシアの軍事記者は「(農道が)環状道路網のおかげで、ウクライナ軍は殆ど妨害されることなく援軍を送っている」と話しています。
ワグナーのプリゴジン氏は「実質的に取り囲んだ」と主張していますが、本当に実質的に取り囲めたのかどうか怪しいですね。
バフムートのウクライナ軍はまだ粘るつもりみたいですし。
ワグネルが道路を敷設しようとしていると言ってるからこれは橋やら農道の整備やらを指してるのかな?
と同時に妨害の為の砲撃も実施してると言ってるのでやはり厳しそうだねえ。