ラインメタルは昨年「ドイツ空軍は約400機のウイングマンを要求している」と述べていたが、独ディフェンスメディア=hartpunktは20日「ドイツ空軍はCCAベースの無人戦闘爆撃機を導入して対地攻撃能力の獲得を目指している」と報じ、MQ-28AやXQ-58Aを含む3機種が検討対象になっている。
参考:Jagdbomberdrohne: Auswahlprozess offenbar noch nicht abgeschlossen
無人戦闘爆撃機は「敵地深部に侵入して危険な任務を自律的に遂行する能力」が求められているため、CCAとは根本的にコンセプトが異なる
米空軍のNGAD、米海軍のF/A-XX、仏独西のFCAS、英伊日のGCAPには有人戦闘機に随伴可能なウイングマン(自律的飛行が可能な無人戦闘機)が設定され、有人戦闘機の代わりにリスクの高い任務の一部を肩代わりしたり、有人戦闘機の認識力や戦場に運搬するペイロードを拡張したり、価格高騰で減少傾向が続く航空戦力の量を補完できると期待されているが、ウイングマンとの協調能力は次世代戦闘機のみが利用できる固有要件ではなく、既存の第5世代機や第4世代機向けに実用化が相当前倒しされている。

出典:U.S. Air Force
米空軍は有人戦闘機に随伴可能な協調戦闘機=Collaborative Combat Aircraft(CCA)を1,000機調達する予定で、CCA第1弾調達=Increment1としてYFQ-42AとYFQ-44Aの生産を2026年度に決定する見込みだが、フランスもラファールF5と協調可能なステルス無人戦闘機を2033年までに実戦配備すると発表、ドイツも「次世代戦闘機の実用化前に有人戦闘機と協調可能な無人機が必要になる」と表明、英国も「空軍の優位性に革命をもたらす自律型協調プラットフォーム=ACPファミリーの第1弾としてTekever AR3にBriteStormを統合したStormShroudの運用を開始した」と発表した。
有人戦闘機に随伴可能な無人戦闘機=ウイングマンの呼称は国やプログラムによって異なるものの、期待されている役割や能力は概ね一致しており、ウイングマンは有人戦闘機が行使できる能力、状況認識力、ペイロードを間接的に拡張し「有人戦闘機1機あたりの効果を大幅に向上させるもの」「減少が続く航空戦力全体の量を補完するもの」で、米空軍以外で特に関心を集めているウイングマン需要はドイツ空軍向けのものだ。

出典:General Atomics
アンドゥリルとラインメタルは昨年6月「欧州市場に参入するため両社は提携する」「YFQ-44Aの欧州バージョンを共同開発する」と、クラトスとエアバスも昨年7月「エアバス製ミッションシステムを組み込んだXQ-58A開発で提携する」「2029年までにドイツ空軍向けの準備が整う予定だ」と、ゼネラル・アトミックスも「欧州製ミッションシステムを搭載したYFQ-42Aをドイツで生産する」と、ヘルシングも昨年9月に有人機との協調と単独運用を想定した無人戦闘機=CA-1 Europaを発表。
ラインメタルのパッパーガー最高経営責任者は「ボーイングともMQ-28ベースの無人戦闘機に関する協力について協議を行っている」「ドイツ空軍は約400機のウイングマンを要求している」「これは本当に巨大なビジネスチャンスだ」「まだ供給契約を誰が勝ち取るのかは分からない」と述べていたが、ドイツのディフェンスメディア=hartpunktは20日「ドイツ軍は数年以内に敵地深部で危険な任務を遂行可能な無人戦闘爆撃機の導入を計画している」「この無人戦闘爆撃機のベースとなるCCAは主に空対空任務に焦点を当ててきた」「ドイツ空軍は無人戦闘爆撃機の導入で対地攻撃能力の獲得を目指している」と報じた。

出典:Boeing MQ-28
“無人戦闘爆撃機は有人戦闘機と編隊を組んで飛行するCCAとは異なり、指揮機や地上ステーションとの通信が途絶した場合でも自律的に任務を完遂し、可能な限り無傷で帰還できる設計が求められる。この計画における課題は技術的要件だけでなくタイムラインにもある。ドイツ空軍は無人戦闘爆撃機の初期作戦能力(IOC)を2029年にまで達成する計画だ。ゼロからの開発は時間がかかるため、ドイツ軍は海外のCCAを対象とした市場調査を実施した”
“数週間前までの内部情報によれば、限られた時間を背景に「特定のCCAを直接調達した上でドイツ軍のニーズに合わせて追加開発する方針」が有力視され、その最有力候補と目されていたのがボーイングとオーストラリアが共同開発しているMQ-28Aだ。一連の高度な試験の成功、高い技術的成熟度、独自のミッションシステム実装が可能、さらにオーストラリアの広大な無人地帯もドイツ空軍の訓練を行うのに有利で「MQ-28A調達」を後押しする要因とされていた”

出典:EGLIN AIR FORCE BASE
“しかし、有力な情報筋から得た最新の情報によると調達プログラムに急遽変更が生じたという。事実上、直接発注の計画は白紙に戻された模様だ。関係者は「追加の検討プロセスが導入されることになった」と明かし、無人戦闘爆撃機の候補として3機種が改めて精査される。MQ-28Aに加えてクラトスのXQ-58A、未確認の第3候補機が検討対象となっている。エアバスはクラトスと共同でエアバス製ミッションシステムを組み込んだXQ-58Aを提案し「2029年までに配備が可能」と発表していた。すでに2機のXQ-58Aがマンヒングに到着している”
“提案内容の審査方法や、それに伴うタイムラインの詳細は依然として不明である。さらに無人戦闘爆撃機が1機種に絞られるのかも分かっていない。アナリストは「仮に1機種に絞られたとしても、長期的には重量級や異なる能力を持つ多様なCCAが必要になる」と予測しており、これが事実なら他の無人機メーカーにもドイツ軍納入の機会が残されている”
パッパーガー最高経営責任者が言及した「約400機のウイングマン」は有人戦闘機と編隊を組んで飛行するCCAのことを指していたのか、それともhartpunktが言及した無人戦闘爆撃機のことなのか、CCAと無人戦闘爆撃機を合わせて約400機のかは不明だが、未確認の第3候補機はYFQ-42A、YFQ-44A、XQ-67A、Gambit、Vectis、CA-1 Europa辺りで、特にヘルシングはCA-1 Europaについて「単独運用も可能」「低空を音速に近い速度で飛行し敵地の奥深くを攻撃できるよう設計されている」と説明している。
hartpunktが説明する無人戦闘爆撃機は「敵地深部に侵入して危険な任務を自律的に遂行する能力」が求められているため、一般的なCCAとは根本的にコンセプトが異なり、どう見てもヘルシングのCA-1 Europaは無人戦闘爆撃機を意識した設計に見えてしまう。
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※アイキャッチ画像の出典:Boeing





















そりゃ、巡航ミサイルや自爆ドローンが自律的に突っ込んでる的に、有人機の支援無しに誘導爆弾を切り離して帰って来れない無人機って想像出来ませんからね。
XQ-58Aの予想価格なら3回再使用出来ればトマホーク、10回使えれば低価格巡航ミサイルにコストで勝るのですから誰でも思い付く使い方なんじゃないでしょうか?
欧州の方の無人随伴機の開発も中止とかが重なって絞られて来ましたね。
GCAP組でもイギリスがモスキートの開発中止を発表したので開発し続けてるのは日本だけになってますし。
モスキートを開発中止にしたのはLANCA構想が変更されたからで、F-35やユーロタイフーンとの連携も前提とした、より小型低コストのものにするとされました。
当時、イギリスはLMとの共同開発について協議していると報じられたかと思います。LMは使い捨ての小型単能低コスト機を数種類組み合わせて運用するプランを提言していましたが、米空軍はCCAにおいてそれを採用しなかったわけで、イギリスとの提携もその後音沙汰無しですね。現在はどうなってるんでしょう。
恐らくですが、LANCAとロイヤル・ウィングマンは独立した別計画なんじゃないかと。
イギリスはロイヤル・ウィングマンについてドイツとの共同開発も模索してるようなので、現在でも日本とは別途の計画を検討中と思います。
なるほどこれはボーイングが悪い(偏見)
少量ずつ採用して、出揃ってから改めて決めるんじゃアカンのかな。その辺は各社が契約で縛ってはくるだろうけど。
しかしまあ第4世代機が長生きするのは眺める分には良いことではあるが、寿命や性能は足りるのか心配になる。
”「ドイツ軍は数年以内に敵地深部で危険な任務を遂行可能な
無人戦闘爆撃機の導入を計画している」”
敵地深部とはどのくらいの距離だろう。
先日、ウクライナのFP-5が約1,650km(推定)のOWAを成功させ、
これは深部攻撃と評価されていました。FP-5は3,000km飛行可能とされています。
参考にF16C Block 50は、航続距離3,980km、戦闘行動半径 1,760kmです。
であれば、ドイツの求めるところは、”F16C相当のステルス無人機”なのかな?。
なんとなく、記事の候補のMQ-28A/XQ-58Aでは小さいような気がします。
FP-5の弾頭は1,150kgとされ、F16C Block 50は7,070kgを運ぶそうだし。