ポーランドに提案されているアルバロ・デ・バサン級フリゲート(F100フリゲート)にイージス戦闘システムが含まれることを確認したと報じられている。
参考:Navantia Showcasing Its Miecznik Proposal in Warsaw. Aegis offered for Poland
海外輸出で装備品の受注を獲得するためには顧客のあらゆる要望に対応できる「柔軟性」と「統合経験」も重要な要素の一つなのだろう
バルト海に面したポーランドは海軍近代化と戦力拡張に取りんでいる真っ最中で、米国製のペリー級フリゲート、旧ソ連製のキロ級潜水艦、国産のガルドノ級掃海艇を更新する計画が進んでいるのだが、3隻調達を予定している新型フリゲートには英国(アローヘッド140)、ドイツ(MEKO型フリゲート)、スペイン(アルバロ・デ・バサン級フリゲート/F100フリゲート)の3ヶ国が名乗りを挙げている。
個人的に注目しているのは米国製のAN/SPY-1Dとロッキード・マーティンから技術移転を受けて開発したスペイン製戦闘管理システム「SCOMBA(イージスシステムと一部共通性があるらしい)」を採用したF100フリゲートを技術移転や現地建造を要求しているポーランドに提案(豪州に同級ベースのホバート級駆逐艦を輸出しているため不可能ではない)できるのかという点だったが、ナバンティアの提案にイージス戦闘システムが含まれることを確認したとポーランドメディアが報じている。
ポーランドメディアの内容を要約すると「ナバンティアはロッキード・マーティンと共同でF100フリゲートにイージスソリューションを組み込む作業を進めており、レーダーとイージスはスペイン製戦闘管理システムに統合される」と言っているので、恐らくロッキード・マーティンのAN/SPY-7とコレに対応したSCOMBAを統合するF110フリゲートのシステムをF100フリゲートに移植する作業が進んでいるという意味なのかもしれない。
ただナバンティアはイージスソリューションを組み込むF100フリゲートについて「幾つかの要素をポーランドが直接米国から調達する必要がある=イージス関連の技術移転やAN/SPY-7の調達はポーランド自身が対外有償軍事援助経由で調達してナバンティア側に支給する必要があるという意味」と述べており、米国次第でポーランドの要求が満たせないリスクを避けるためナバンティアは「F100フリゲートには幾つかのバリエーションが存在するためポーランドは別のソリューションを選択することも可能(恐らく欧州製のレーダーや戦闘管理システムを選択することも可能という意味?)」と付け加えている。
因みに「F100フリゲートは米国製に限らず顧客が指定するあらゆる種類のミサイルを統合できる」ともナバンティアは主張しており、ここまで手厚い内容の提案を行うのはオフセット提案以外にも「顧客の要望に対応できなければ競合に負ける=英国はポーランドにシーセプターの技術移転を前例のない規模で行い製造参加を認めアローヘッド140採用を後押している」からで、海外輸出で装備品の受注を獲得するためには顧客のあらゆる要望に対応できる「柔軟性」と「統合経験」も重要な要素の一つなのだろう。
伝統的な装備品供給国も市場に新規参入した国も受注を獲得するため政府と企業が連携して必死に提案を行っているニュースを眺めていると、本当に武器取引(一部の先端兵器は除く)は完全に買い手市場なのだと痛感する、、、
もがみ型護衛艦の調達は解決すべき問題が多いためインドネシアと日本の交渉は現在も続いている
余談だが日本の護衛艦輸出について元ジェーンズ・インドネシア特派員のアルマン・ヘルヴァス氏(今年11月に発表されたインドネシアのA400導入も正式発表前に情報を掴んでいた)は「インドネシアは当初もがみ型護衛艦を6隻調達したと考えていたが国防省が最終的に提出した資金要求案では調達数が4隻に縮小されており、この資金調達が今後承認されるのか注目したい」と今年9月に明かしていたが、同氏は今月17日に「もがみ型護衛艦の調達は解決すべき問題が多いためインドネシアと日本の交渉は現在も続いており、同艦初の海外顧客になるのは容易ではない」と発言している。
Indonesia is still negotiating with Japan for the possibility to procure 30FFM class frigate. It seems need more time since there are many pending matters. To be first foreign customer isn’t easy. We shall see whether Ministry of Finance will allocated foreign loan for 30FFM.
— Alman Helvas (@AHelvas) December 16, 2021
解決すべき問題が何なのかについては不明だが、もしかするともがみ型護衛艦が採用している垂直発射装置Mk.41をカルロ・ベルガミーニ級(今年6月にインドネシアと契約したとフィンカンティエリが発表)が採用するSylverに変更してアスターシリーズのを統合しろとでも要求されているのだろうか?
さらに国防省が提出した調達資金案=軍がもがみ型護衛艦を購入するため必要な資金を海外の金融機関から調達する計画に財務省が承認を与えていない(借入に必要なインドネシア政府の債務保証を発行する許可を与えていないという意味)とも付け加えており、日本の護衛艦輸出が契約に辿り着くにはまだ時間がかかるのだろう。
関連記事:英国、ポーランドに前例のない規模での技術移転を認めシーセプター売り込みを後押し
関連記事:インドネシア国防省、もがみ型護衛艦×4隻調達に必要な資金要求案を提出か
※アイキャッチ画像の出典:Armada Española
日本はその手の経験が少ないから苦戦するよな
自衛隊みたいになぁなぁで買ってくれない
アメリカだってオーストラリアだって
なぁなぁで買ってるでしょ
なぜ根拠のないことで日本を貶めることがそんなに楽しいのかわからん
>日本を貶めることがそんなに楽しいのかわからん
本当の意味で他人事だからでしょ。
日本の戦力は自衛隊より在日米軍のほうが圧倒的に多いんだから、いざというとき弾薬やパーツを融通できる同系統の武器兵器をアメリカから購入したほうが都合がいいからでは
米国規格以外のものを買っても独自規格を増やしすぎても、有事の際はWW2の陸軍と海軍みたいに規格が違って苦労することになるだろうし
日本の護衛艦は顧客が装備を例えば欧州製の物にしろって言われたら対応できるの?
運用実績ないから無理じゃないの?数十年かの日本艦船での欧州装備なんて76mmと127mm、MCH-101、ESSM誘導用のイルミネータ位でしょ。無い物の重量とか性能は完璧には把握出来ないし、提供元が協力してくれる保証も無いから安請け合いなんて出来ないでしょ。
適当にポン付けなら船体重心や船体余裕重量とか色々やり直す必要があるだろうし、最初から統合された物よりは割を食う感じになるのは避けられないと思う。
レーダーとかソナーが絡むならまだ韓国の方が欧州製使っているイメージあるし、柔軟に対応しそうだな。
本来なら機密の塊の兵器がなぜ、こんなに買い手市場になっているのか?考えてみた。
一つは技術の陳腐化で、通常兵器だと構造さえわかれば作れてしまうから。(汎用のマザーマシンの性能向上)
もう一つは、大きな戦いが無くて、兵器産業が疲弊しそうになっているから。
また、新製品の開発費もうなぎ上りに高騰してきてるのも、一因だと思う。(特に航空機)
ここらで一発、ドカンと起これば情勢は変わるかも。(起こって欲しくないけどね。)
皆さんどう思われます?
それもあるだろうけど、東側軍事力の増加率やハイテク化の勢いが止まらずアメリカの独壇場ではなくなった現状では西側にも対抗できる兵器をできるだけばらまいておきたいんじゃないかな
中台の戦争前夜みたいな雰囲気があるし、大国がかかわった戦争が起こればそれが極地で済むのか世界的に余波が広がるかわからないし
>通常兵器だと構造さえわかれば作れてしまうから。(汎用のマザーマシンの性能向上)
通常兵器って大量破壊兵器以外の意味ですか?
技術移転が無いと無理なカテゴリーが多いと思います。
現地生産を条件にする国も多いけど、売り手だって全てを晒すわけじゃ無いからね。
言うてレーダーと周辺ソフトやミサイルと誘導装置、機関くらいでしょ。陸にしろ海にしろ空にしろ、現代の兵器に必須でどうしようもなく開発が難しいもんなんて。
それに筐体を作る技術なんてこだわんなきゃたかしれてんだから、あとは部品集めて組み立てるだけ、メンテナンス部品くらいライセンス生産できれば良い、となったらそりゃ人件費と物価が安い国が有利になるさ。
部材用に素材作れますか?
確実にモノづくりを知らない人のコメント。
プラモデルじゃないんだから。
日本は経験がないと言うよりやる気がないだけでしょうね。
どうせ売れないなら一生懸命やっても無駄、みたいな。
日立製作所を見習ってほしい。
Mk41とシルヴァーVLSってどう違うんだろ
イギリスがシルヴァーからトマホークが撃てないって困ってたような
VLSが違うとミサイルも全く変えなきゃいけないのか、悩ましいな…
多分トマホークが収まる規格(高さ)のシルヴァーVLSなら撃てると思う、知らんけど
規格だけの問題ではなくて戦闘システムとの統合の兼ね合いもあると思うで
A70のシルヴァーVLSだとトマホークの運用可能だとwiki先生が言ってましたよ
イギリスはA50のシルヴァーVLSだからトマホークがコンテナに収まらなくて
撃てないっていう話なんじゃないですかね?Mk41のタクティカルモジュールで
Mk41のストライクモジュール用のトマホークを撃てないと騒いでるのと
同じ話なのではと個人的に解釈しました。間違ってたらごめんなさい。
>>ロッキード・マーティンから技術移転を受けて開発したスペイン製戦闘管理システム「SCOMBA(イージスシステムと一部共通性があるらしい)」を採用したF100フリゲート・・・
恥ずかしながらこの話は初耳ですた
交渉次第でできるんじゃん
イージスシステムと共通性のある国産戦闘管理システムの開発とか
米国製兵器システムと国産システムの「柔軟性」ある「統合」ってやつ
何もできない理由さがしを続けて数十年のなんちゃって専門家気取りのコメントより
こういう何気ない情報の方がずっと役に立つな
実にありがたいサイトであります
この手の話はこのサイトの過去記事で何度もでてるよ。
ただ、自衛隊のイージスと統合してないのは、コストなどの関係だったと思います。海外と一緒にしないでね。
海自はハイ・ローミックスのローの部分を自前で開発。(ハイはイージスシステム)
イージスシステム数十年間丸投げの何のいいわけにもなっていないっていう
>>海外と一緒にしないでね
何の参考にもならないという意味で実に含蓄ある出来ない理由ですねw
日本のイージス艦は弾道ミサイル迎撃に対応するという目的があるのを無視して、国産化出来ないのは怠慢というのはちょっと。
BMD技術をわざわざアメリカと並行して開発するよりも、一緒になって共同開発したほうが早いし得でしょ。そのプラットフォームがイージスシステムだったというだけで。
スペインと日本では置かれている状況が違うのに一緒にされても….
有事には日米で一帯となって作戦遂行するのに一部異なる部分が出てきたら面倒だし、イージスBMDシステムの開発や統合でのコスト増大やSM-3とかの兼ね合いもある。
僚艦防空とはいえあきづき型の同時交戦数はイージスシステムを上回っているし、日本も開発しようと思えば出来るよやらないだけで。
じゃぁ、アメリカ海軍とイギリス海軍の共同作戦なんて面倒の極みだね。
NATO軍とアメリカ軍の武装なんて、同じものなんてないだろうに(弾薬は共通だけど)。
カンボジアの記事のイージス艦のコメントツリーにいた人?
>何もできない理由さがしを続けて数十年のなんちゃって専門家気取りのコメントより
あれが専門家気取りのコメントに見えたのならすまんけど、あれウィキペディアに書いてある事で辿り着ける事しか大半書いてないと思うから、ウィキペディアの項目を知ってる人はそうは思わんと思うぞ
ちなみにSCOMBAもウィキペディアに載ってるし、そこにどんな構成のシステムかも簡素ながらに書いてあったから、大体どんな事が出来るのかもわかると思うよ
失礼ながら基本的事項すら認識せず、専門家気取りの一言で片づけてる事こそ「日本がダメな理由探しを続けてる」事に他ならないのでは?
ちなみに俺は日本がダメな所はちゃんとダメって言うぞ
丁度後述でも言ってるし
>イージスシステム数十年間丸投げの何のいいわけにもなっていないっていう
FSC-3系列作って発展させてるし、別に日本はイージスシステムに丸投げはしてないと思うけどなぁ
兵器輸出で日本が他国の兵器の統合でまごついてるのは別にイージスシステムに丸投げしてたからではなく、単純に日本が輸出のためのノウハウ面で実力不足してるからだし(それはそれで改善しないと駄目な部分なんだけどもさ
ちなみにスペイン海軍は将来水上艦艦艇はアルバロデバサン級とボニファス級になるからSCOMBAを搭載するとはいえイージスシステム絡みの部分で相当依存してる状態だと思うよ
俺は別にその状態が問題だとはあまり思わんから気にはせんが
その依存度合いの観点で言うなら日本はイージス艦+FCS-3系列艦+もがみ型の艦隊構成でCEC、リンク22、洋上無線ルーターで米軍のイージス艦とも連携しつつイージス艦への依存も減らしてるぞ
ある意味これも米国製兵器システムと国産システムの「柔軟性」ある「統合」ってやつだと思うけど
あまり関係ない話ですけど、スペイン艦のデザインは洗練されてますね。
また大きさと兵装のバランスが護衛艦近いのは、主な作戦海域が大洋に面した外洋海軍だからなんでしょうね。