ポーランドメディアのGazeta.plは6日、国防省は秘密裏に米国からM1エイブラムスを購入する計画を進めており「早ければ夏以降に契約が結ばれるかもしれない」と報じて注目を集めている。
現地メディアの報道通りブラスザック国防相が入札プロセスを省略して米国契約を締結すれば国内の防衛産業界は黙っていなだろう
ポーランド陸軍は旧式ソ連製のT-72M1×358輌、T-72M1ベースで開発した国産のPT-91×232輌、ドイツ製のレオパルト2A4×142輌/2A5×105輌を保有しているのだが2000年以前に取得したT-72やPT-91は時代遅れ状態が悪く、比較的新しいレオパルト2A4/A5も使い込まれて消耗が激しく半数程度しか稼働状態を保てていないらしい。
この800輌近い戦車戦力を2040年代までに刷新する必要性からポーランドは次期主力戦車調達計画「ウルフプログラム/ProgramWilk」を立ち上げ複数のプランを検討してきたが、国内の業界関係者は国防省がM1エイブラムスの購入に近づいているという話題で慌ただしくなっており現地メディアも「M1エイブラムスの購入話は単なる噂ではない」と報じている。
現地メディアのGazeta.plが入手したM1エイブラムス購入に関する複数の情報は内容(数量や調達内容)が完全に一致していないものの、アクティブ防護システム「トロフィー」を統合したM1A2/SEPv3(50輌~250輌)を調達するため米国側と水面下で協議が行われており「早ければ夏以降に契約が結ばれるかもしれない」という内容なのだが、これについてGazeta.plは否定的な主張を展開してM1A2/SEPv3はポーランドにとってベストな選択肢ではないと批判しているのが興味深い。
Gazeta.plは能力的な観点からトロフィーが統合されたM1A2/SEPv3について「本当に素晴らしい戦車だ」と評価しているが、この戦車は最悪に近い燃費の問題を圧倒的な資金力や兵站能力でカバーできるリッチな国を想定した設計なのでポーランド軍の兵站担当者や納税者にとっては「素晴らしい戦車とは言えない=ソ連製のT-72M1や同車の設計を受け継ぐPT-91、ドイツ製のレオパルト2A4/2A5と全く異なるロジスティクスを一から構築しなければならずインチ、フィート、ガロンという独善的な測定方法はcm、m、リットルを採用するポーランドに混乱を招くという意味」と主張。
さらにM1A2/SEPv3購入に関する取引にはオフセットやポーランド産業界に対する再投資義務が含まれていないため、この取引を実行すれば国内の防衛産業に回すための資金が何年も途絶えることに繋がり産業基盤が失われる可能性があり、そもそもポーランド陸軍の需要(700輌~800輌)をM1A2/SEPv3で満たすだけの資金がどこから出てくるのかも謎で現状のロジスティクスを活かしながら兵站担当者や納税者を満足させる唯一の選択はレオパルト2A7+だけだろうと述べている。
最も興味深い指摘はブラスザック国防相の下で進められている軍の近代化政策自体への批判だ。
ブラスザック国防相主導の近代化政策は本来複雑で時間のかかるプロセスを素早く解決して見せることで一定の支持を得ているように見えるが、このような成果は「限られた人間のみで秘密裏に計画立案が行われている」という意味なので多様な意見や批判に晒されていない軍の近代化計画が本当に機能(国内産業への配慮も含まれる)するのか「怪しい」とGazeta.plは指摘しており、仮に近代的で強力なM1A2/SEPv3を購入すれば「パレードや数字上の見栄えは最高でも、我が国が抱える後進性や海軍の近代化といった課題の解決には全く役に立たない」と主張している。
因みにポーランドのウルフプログラムは正式なRFI(情報提供依頼書)発行すら行っていない状況で入札開催がいつになるのか明確になっていない。
韓国の現代ロテムは政府融資+親会社の現代自動車グループによるポーランドへの直接投資をセットにしたK-2(K-2PL)の現地生産案をポーランド側にアピールしながら正式な入札開始を待っている状況なのだが、もし現地メディアの報道通りブラスザック国防相が入札プロセスを省略して米国契約を締結すれば国内の防衛産業界は黙っていなだろう。
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※アイキャッチ画像の出典:US Army Photo by Mark Schauer ユマ性能試験場でテスト中のM1A2C
航空万能論ですwロシアに接する平原国家ポーランドにはなんといっても空軍、そして陸軍
海軍の近代化が後回しにされたとて、戦略的にほぼ損失は無かろう
>インチ、フィート、ガロンという独善的な測定方法は
>cm、m、リットルを採用するポーランドに混乱を招くという意味」と主張。
ヤーポン滅ぶべし
ヤードポンド法滅ぼす公約の大統領出てこんかな
単位の違いで困るとしても他国に輸出する企業ぐらいなもので、世界一の経済規模の国内では支障ないでしょうからね。何なら世界がステイツに合わせろぐらいなもんでしょう。
電子機器の世界とかは正にそれですね。
ハーフピッチの1.27mmは0.05インチから来ている等。
学校ではメートル法も学習するそうですよ。ヤードポンド法も並行して学習するけど。
だから、アメリカの小中学生は計量の概念が苦手だとか。
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ヤードポンド法は数え上げの単位が、12進数と16進数などが混在しているのが問題だと思うがどうだろうか。
たまにヤードポンド法とメートル法を間違えてロケットや飛行機が落ちたりしてるよな
ポーランド国内で作れるものはPT-91やその派生型がせいぜいだし、最早自国でどこまで戦車に関してやる気があるのかわからないドイツや、自国でも260両しか製造が予定されていないK2よりも、今後数十年間、大規模なアップグレードと数千両の整備が続くことが確実なM1を選んで、アップグレードの計画にのっかるのは合理的な気がする。
アメリカとドイツと韓国、どこと一番仲良くしたいかと言えば、アメリカだろうし。
> 今後数十年間、大規模なアップグレードと数千両の整備が続くことが確実なM1
本当ぉ?
SEPv4は少なくとも2030年代を通じて運用予定で、将来的にSEPv5(仮)の開発が始まる可能性が高い。
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M1の後継車両(仮)は2030年代ではないかといわれているので、その後10~20年はM1と併用されるだろうし、そもそも本当に開発されるのかも不明な状況だし。
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50年後はわからないけれども、少なくとも30年後は普通に使っている可能性が濃厚。
中古で、それも実戦でダメージを受けたりしてるのに、そんなにもつのか。
凄いね。
M1の場合は、そもそも「中古」というのがミスリードで、実際には補修のための部品をたくさん製造していて、交換が必要な部品はその都度入れ替えているから、実質新造と変わらないようなのですよね。
なので、資料の上ではM1の平均年齢は「8.3年」程度(その都度部品を入れ替えてリセットされるので)で、実は滅茶苦茶新しいです。
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去年には軽量化に関する論文や、2040年以降も使えるようにするための燃費や信頼性の改善を含めたエンジンのアップグレードが発表されていて、準備を着々と整えているようで、後継車両は改善に改善を重ねたM1を超える必要があるので非常にハードルが高いのかなと。
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横から失礼します。貴重な情報ありがとうございます。
ところで、M1A3はどうなったんでしょうか?
あと日本では、次の新しい戦車(次世代戦車)は考えられているのでしょうか?
もし次世代戦車が作られるなら、いつ頃に配備されると考えられますか?
10式戦車は74式戦車の後継であり、90式戦車の後継ではないと聞いたのですが、これは本当でしょうか?
それと、10式戦車は改修が行われているのでしょうか?
10式戦車も制式採用から10年以上が経過していますが、改修が行われたとは聞きません。
そろそろ改修も必要になってくるかと思うのですが、その辺どうなのでしょうか?
戦車にお詳しいようなので、長々と質問してしまいすみませんが、もし知っておられたら教えてください。
最近米国がM1用自動装填装置を開発したが、いつ新しい主力戦車のコンセプトが発表されてもおかしくはないぞ(陸軍参謀総長が2017年に新型主力戦車の開発に意欲を示した)
現在、将来の戦車に適用できる技術やコンセプトの検討を行っている段階と伝えられていて、開発にゴーサインを出すかどうか決めるのが2023年の予定。
検討過程の将来戦車のイメージ的なものはすでに公開されてる。
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そこから10年単位の時間をかけて2030年代になんとか完成したとしても、2,000両以上あるM1を一度に置き換えることは不可能で、やはり10年単位の時間がかかりそう。
(一両 1,200万ドルのM1A2 SEPv3ですら年間70両揃えるのでやっとなのに、それより確実に高価になるであろう将来戦車はもっと数をそろえるのに時間がかかるはず)
そもそも何年も前からエイブラムスのAGT-1500を2050年まで使えるように対策を行ってるし。
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横から失礼します。貴重な情報ありがとうございます。
ところで、M1A3はどうなったんでしょうか?
あと日本では、次の新しい戦車(次世代戦車)は考えられているのでしょうか?
もし次世代戦車が作られるなら、いつ頃に配備されると考えられますか?
10式戦車は74式戦車の後継であり、90式戦車の後継ではないと聞いたのですが、これは本当でしょうか?
それと、10式戦車は改修が行われているのでしょうか?
10式戦車も制式採用から10年以上が経過していますが、改修が行われたとは聞きません。
そろそろ改修も必要になってくるかと思うのですが、その辺どうなのでしょうか?
戦車にお詳しいようなので、長々と質問してしまいすみませんが、もし知っておられるようでしたら教えてください。
>それと、10式戦車は改修が行われているのでしょうか?
アーマーモデリングの記事などを見ると、10式戦車の量産形態が安定したのはC4ロット以降の様です。
それまでロット毎に少しずつ改修が行われていたとの事です。
ちなみに最近は、C1ロットなどの初期車両も整備点検の時などを利用して、C4相当にアップデートされてるとか。
次期戦車関連だと、セラミック装甲についてプラズマ焼結とかでの防御力向上について実験していましたね。
あと日米共同での戦闘車両用ハイブリッド動力技術の研究は、次期戦車関連に入れて良いのかな?
近々だと、90式戦車の改修﹙90戦車と10式戦車の共用防弾の開発と、恐らくそれに連動した90式戦車の主砲換装とFCSアップデート﹚が目玉で、
10式戦車やその後継﹙の要素開発﹚については大きな動きが無いと思います。
>90戦車と10式戦車の共用防弾の開発
共用砲弾の誤変換です。
回答ありがとうございます。
>次期戦車関連だと、セラミック装甲についてプラズマ焼結とかでの防御力向上について実験していましたね。
これは、
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のことでしょうか?
>あと日米共同での戦闘車両用ハイブリッド動力技術の研究は、次期戦車関連に入れて良いのかな?
これは、リンクのことでしょうか?
>90式戦車の改修﹙90戦車と10式戦車の共用砲弾の開発と、恐らくそれに連動した90式戦車の主砲換装とFCSアップデート﹚が目玉
すみませんが、ソースを教えてください。
それにしても、10式戦車はFCSとデータリンクが連接されており、これは画期的なことだと聞きます(リンク)が、90式戦車はどうなるんでしょうかね?
90式戦車には広帯域多目的無線機の搭載によりC4I機能が付加されているとはいえ、より充実したC4I機能などが付与された10式戦車には、改修しても及ばないのでしょうか?
エイブラムス廃止の流れで新戦車作るって話じゃなかったっけ?。ポーランド、ヒトマル買おうよヒトマルwww
狭い10に向の人耐えられるのかな?
それとも旧ソ連戦車で免疫あり?
目立ったアップグレードもしていないし、長距離でロシア戦車と撃ち合いするにはどうなんだろう?
専守防衛のガラパゴス戦車だからね。
無意味に10式推しする人もアレだけど、無知丸出しのコメントを平気で書く人もあれだよなぁ
エイブラムスはメーカーが手を引いて、整備と改良修理の公営兵器工廠がそれぞれあるんで、口で言ってるほど、メーカーに開発を任せる気は無いのかも。
本来ならドイツ戦車を導入してドイツやEUとの軍事一体化を進め欧州軍を作るべきなのに、ドイツなんて当てにならない感じが凄いから仕方ないのよね。
アメリカ兵器を積極導入してアメリカの参戦を期待した方がいい、とドイツは見限られている。
ドイツとの間にはまだまだしこりが残ってるのを察してな
ロシアという共通の大敵が存在しなければ、こちらの日韓関係並みに荒れてるって
ドイツの外交と安全保障政策がことごとく
ポーランドへの嫌がらせになってる気がする
なんならドイツ的には東プロイセンを返せくらい思ってるんでは。
まあロシアと国境を接していないから、ロシアの脅威よりも隣の国が盛り上がることのほうが脅威と思っていても不思議じゃない。緩衝国家は生かさず殺さずが基本。
ポーランドの地理はサッパリなんだが63tあるM1A2は日本みたいな問題は起きないのか?
ないすね、地面は平坦で堅いし湿地も少ない
強いて言えば橋の強度設定と舗装の程度ですな
ポーランドは、まだ大丈夫だと思うが。
leopard2のオーバーホールと7+化が優先だろう。
その上で、PT-91に新型砲塔を載せる。
ドローンの勃興期なので、落ち着く迄は無理に新型を入れない方がいい。
アクティブ防御装置ってそんなに凄いんだろうか
デメリットはあるけど、戦車の馬力と装甲の進化に比べて、攻撃側の砲弾やミサイルの威力上昇が速いので。
当たらなければどうということはない
エイブラムスって輸出用のディ―ゼルエンジン型とか無いの?
一応、ユーロパワーパックが東海可能かも、という話ですが、輸入した国でエンジン換装まで要求した国はないみたい。M1を輸入したのは台湾を除けば産油国ばかりで、燃料の心配はないのかも。
換装したとしても、その開発費から運用、維持まで全部換装した国で面倒を見なければいけなくなるから、よほどのことがないとやりたがらないでしょう。
結局、ガスタービンにしたのは他にはT80系列とルクレールくらい、スウェーデンS戦車は退役したし。
即応性が高くメンテナンスが容易って言っても、油食い虫じゃ使えない
そしてその内のルクレールのエンジンは、ディーゼルとガスタービンの複合機関ですね。
「インチ、フィート、ガロンという独善的な測定方法」
ポーランド頑張れ!
ドイツが戦車保有200輌ちょっとでポーランド800輌てそういう事で理解していいんかね
21世紀に入って20年くらい経つのに未だにヤーポン法が各国を悩ませる
レオパルド2A4 → レオパルド2PL改修
レオパルド2A5 → レオパルド2A7改修
が妥当なところとして、T-72/PL-91の後継にレオパルド2A7の新車か、K2PLの開発かを選べば国内産業にも旨味は出るだろう
しかし、歴史的に通り道なポーランドは、近隣諸国の事情と無縁なM1A2を購入する可能性もある
ポーランド陸軍の戦車配備数は冷戦期シフトを引きずってて、T-72M1(G型のような極端なモンキーモデルではないがどっちにせよ時代遅れ)とPT-91だけで600両ほど保有している。
これを定数圧縮しつつレオ2で置き換えるにしても、金もメーカー在庫もないし、かといって72/91全廃すると残るは200両ちょっとのレオ2のみで装甲戦力がガクッと落ち込む。タイミングは悪いが厳しい立場なのも確か。国情を考えるとK2はいい選択肢じゃないかな。(そもそもEUが欧州防衛の軍備負担をポーランドに押し付けるのをやめればこんなことには
M1A2シリーズは末長く使われそうな雰囲気ですが、M1A3はどうなったんでしょうか?
あと日本では、次の新しい戦車(次世代戦車)は考えられているのでしょうか?
もし次世代戦車が作られるなら、いつ頃に配備されると考えられますか?
10式戦車は74式戦車の後継であり、90式戦車の後継ではないと聞いたのですが、これは本当でしょうか?
それと、10式戦車は改修が行われているのでしょうか?
10式戦車も制式採用から10年以上が経過していますが、改修が行われたとは聞きません。
そろそろ改修も必要になってくるかと思うのですが、その辺どうなのでしょうか?
戦車にお詳しい皆様、長々と質問してしまいすみませんが、もし知っておられるようでしたら教えてください。
性能は未知数だが自国仕様に出来て国内産業考えるなら韓国、既に運用実積あるなら国内インフラが整っているだろうからある程度の安牌はドイツ、実積は申し分無いがコストがダンチの米国って感じ?
比較的新しいレオですらボロボロにしてるって言うなら、M1導入したらランニングコストだけで予算結構食い潰すんじゃないのかね、大丈夫かな。