アルメニアのパシニャン首相は22日「ナゴルノ・カラバフを含む86,600km²をアゼルバイジャンの領土として認める用意がある」と発表、国内の反対意見を押し切ってでもアゼルバイジャンとの和平協定締結を目指す意向だ。
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国内の反対意見を押し切ってでも和平協定を締結し、正式に二国間の国境を策定することで国境紛争を終結させたいのだろう
アゼルバイジャンとの和平協定締結を目指すアルメニアのパシニャン首相は先月「パシニャン首相も18日「マドリッド原則(2007年に発表されたナゴルノ・カラバフ紛争解決のための基本原則)を受け入れ、ナゴルノ・カラバフ地域がアゼルバイジャン領の一部だと我々は認識していた」と議会で発言して注目を集めた。
パシニャン首相は「ナゴルノ・カラバフ人ではなく『ナゴルノ・カラバフの住む全人口』という概念が重要で、国民は憲法の主体であるが人口は憲法の主体ではなく『主権の主体』に該当しないため、ナゴルノ・カラバフの住む全人口は自決権の対象外だ。我々はこの矛盾に向き合わなければ(ナゴルノ・カラバフ問題の解決は)上手くいかないだろう。そもそもナゴルノ・カラバフの人々はアルメニアの選挙に投票権がないため私はナゴルノ・カラバフに対して何の権限もない」と発言。
つまり「民族自決の原則に基いてナゴルノ・カラバフ地域はアゼルバイジャンから独立した」という主張は「ナゴルノ・カラバフ民族」という概念が存在しないため成立せず、この根本的な矛盾を無視し続けれても「上手くいかない=アゼルバイジャンとの交渉はもちろん国際社会から支持も得られない」という意味で、自決すべき民族がいないアルツァフ共和国が成立していないなら「ナゴルノ・カラバフ地域は現在もアゼルバイジャン領の一部」と認めているのと同義だ。
パシニャン首相は「我々はマドリッド原則に基いてナゴルノ・カラバフ地域の地位調整に同意したが、アゼルバイジャン領の一部と認めないなら何を調整するのか?我々はマドリッド原則に基いててナゴルノ・カラバフ地域をアゼルバイジャン領の一部だと既に認めているのだ。それなのに交渉内容と公の発言が一致しないのは問題だ。我々は認識した事実を口にしないことで自身とナゴルノ・カラバフの人々を欺いたのだ」とも述べていたが、22日の記者会見で「ナゴルノ・カラバフを含む86,600km²をアゼルバイジャンの領土として認める用意がある」と発表した。
パシニャン首相は「アルメニアの現政権が何と言おうと政府はアゼルバイジャンの領土保全を認めており、もっと具体的に言うとアルメニアは86,600km²(ナゴルノ・カラバフやヒチェヴァン自治共和国を含む範囲)の土地をアゼルバイジャン領と認める用意がある。アゼルバイジャンも29,800km²(国際的に認知されたアルメニア領と一致する数字)の土地をアルメニア領と認める用意があり、この問題について適切に理解しあえれば領土の相互承認が実現する」と説明。
但し、和平条約から切り離されたナゴルノ・カラバフに住むアルメニア系住民の安全問題は「ステパナケルトとバクーとの話し合いを通じて解決されるべきで、この対話を保証するため国際的な枠組みを作ることが重要だ」と付け加えており、国内の反対意見を押し切ってでも和平協定を締結し、正式に二国間の国境を策定することで国境紛争を終結させたいのだろう。
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※アイキャッチ画像の出典:The Prime Minister of the Republic of Armenia
バシニャン首相、どうかご無事で最後まで頑張って下さい。
ダメコン要員の鑑パシニャン、弊社に欲しい。
なお評価されないどころか首を切られる模様。
さすがパシニャン、キリスト教国の主。全ての罪を背負って十字架に架けられるやつや。
いや、これはパニシャンが首切られるか暗殺されるかして和平案が無かった事にされかねないんじゃあ……
賢明である
自身はほぼ関係していなかった歴代首脳部のつけを不運にも任期中の爆発で対応する事になり、敗戦処理を任されるという意味では山一證券の最後の社長の野澤正平と被る
野澤氏は有名な「社員は悪くないんです」という記者会見の後、多くの社員の再就職に奔走し、日本の企業清算対応としては模範的であったとされている
パニシャン首相は後世に敗戦処理の模範とされる対応を完遂できるか正念場だ
パシニャン首相の息子さんこないだ拉致未遂事件にあってたし
一族ともども無事に何とかしのいでほしい
イランの動きが気になるなぁ
仮に和平が無理でも現状軍事的にはアルメニアだけでどうこうする事はまぁ難しいし
みんな首相の名前間違えすぎじゃね?
そりゃそうだろって話だけどこれは殺されるだろう…
頭に血が上ったアルメニア人「天誅!国賊パシニャン覚悟!」
パシニャン「待て。話せばわかr」
頭に血が上ったアルメニア人「問答無用!」
パシニャン「!………」ドサッ
こんなことにならなきゃいいですな…。
かつての日本では国民が軍の背中を押した側面がありましたが、アルメニアではどうなんでしょうね?
アルメニアはディアスポラしたことで在外アルメニア人と各国要人とのコネクションで影響力を増した類の国ですから、今のように国際社会が完全中立という名の無関心を貫いている状態では勝ち目なしと考えたんでしょうね。自国民のナショナリズムの沸騰を放置して停戦をアルメニア側から破棄するような事になれば、それこそ南オセチア紛争におけるジョージアのように余計な領土まで失いかねない訳ですし、本当に苦難の時代の指導者という感じですね…。
双方に言い分がって客観的な道理が入る余地がない場合、領土紛争は力づくでぶんどった側の主張が通ってしまうというのはちょっと腑に落ちない部分ではありますが、三方に(事実上の)領土問題を抱える我が国としても重く受け止めなくてはいけないんでしょうね。
力づくでぶんどった側ってのはアルメニアの事だよね?
アゼルバイジャンが国際的にアゼル領とされる国土を侵略者アルメニアから奪還した事を力づくでぶんどったとか言うならウクライナも侵略者ロシアから力づくでぶんどった、力づくでぶんどろうとしている側って事になるものね
実現すれば他の係争地にとっても解決に導いたケースにはなりそうではある。けど、ロシアに変わる調停役というか睨みを効かせる国が必要になりそう。
例えをあげれば韓国の大統領が「朝鮮戦争の最中に獲得した竹島を、ラスク書簡やヴァン・フリート特命報告書に基づき変換します」と言うようなものだし、その結果どうなるかなんて考えなくとも分かる。
問題は勘違いしてるアルメニア人が多すぎて、まともな議論が成立しないことなんだよな
冷戦後に国粋主義ポピュリズムをし続けたツケがでかい
これについては仕方ない側面もある。
アルメニア人の自国紹介やルーツに出てくる話を見るとシュシャ自体が、聖地としての側面が大きい。
まあ、上の話はアルメニア側に偏向してるから話半分に疑う必要があるけど、この地域がアルメニア人にとって精神的にデカすぎるんだよね。
虎の威を借りる狐だったな。
虎が腑抜けになったんだからあきらめるしかない。
ロシアなんて当てにするからこんなことになる。