トルコはギリシャのラファール導入に対抗するため独創的な手段を考案、これにギリシャメディアが懸念を表明しており注目を集めている。
参考:Qatar can temporarily deploy fighter jets, military personnel for training in Turkey under new deal
ギリシャのラファール導入に対抗するためトルコが選択した手段はカタール空軍の国内誘致
トルコはロシア製防空システム「S-400」導入の影響で第5世代戦闘機F-35Aの調達がブロックされてしまい、国産の第5世代戦闘機「TF-X(推定調達コスト1億ドル/プロトタイプの初飛行は2023年予定)」が実用化するまでF-16C/Dでしのでいくしかないのだが、東地中海の排他的経済水域(EEZ)で対立するギリシャはトルコとの軍事的衝突に備えラファール×18機導入とミラージュ2000-5Mk.2のアップグレードを行う契約をフランスと締結したためエーゲ海上空の優位性はギリシャ側に傾きかけている。
そのためトルコは国産AESAレーダーや独自の電子戦装置をF-16C/Dに統合する計画も進めているのだが、最も効果的な対策はラファールを研究してF-16C/Dとの交戦時に有効な戦い方を開発することなのだがラファールを保有していないトルコがこれを実践するにはラファールを保有する国の協力が必要だ。
先月21日にトルコ空軍主催の軍事演習「Anatolian Eagle 2021」にカタール空軍のラファールが参加したためトルコ空軍のパイロットはラファールと対戦する貴重な機会に恵まれたのだが、数日間の演習期間でラファール対策を編みだすことなど所詮は絵空事でギリシャ側も大きな反応を示していなかった。
しかしトルコ政府はカタールと締結した新しい軍事協定を議会に提出して状況が一変、ギリシャメディアが懸念を表明しており注目を集めている。
トルコ政府は「訓練目的」でトルコ国内の空軍基地にカタール空軍の軍用機36機の駐留を最大5年間(+1年間の延長オプション付)認める協定を議会に提出、これが承認されればカタール空軍はトルコにラファール×12機、ミラージュ2000×9機、C-17A×4機を派遣することを予定しているため、トルコ空軍のパイロットは日常的にラファールやミラージュ2000と対戦することが可能で有効な戦い方をじっくりと研究することが出来るようになるという意味だ。
ギリシャメディアはラファール導入がもたらす質的優位性が事前に研究されることを懸念して「協定が承認された場合、ギリシャはトルコとカタールの共同訓練がもたらす効果を徹底的に分析して対策を講じる必要性がある」と主張しているのだが、ギリシャ側が講じられる対策といっても特に思いつかないので話が止まっているF-35A導入を急ぐぐらいしか選択肢は残されていない。
国防予算を増額して軍の近代化を進めているギリシャにF-35Aを急ぐだけの余裕が残されているのは不明だが、何も対策を講じなければエーゲ海上空の優位性は担保できないだろう。
本当に良い意味でも悪い意味でもトルコは強かで、よくもここまで次から次に絶妙な対抗策を持ち出してくるものだ。
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軍事的に優位になったところで国際社会での立場も優位になるとは限らんのですよ
by大日本帝国
技術がコモディティ化して、トルコやインドのような中進国でも軍事上の存在感が急拡大してきた。
言い換えればこれまで先進国が国際社会で無双できたのは、理系人材の業績(科学・技術)のおかげで、文系人材が優秀だったからではない。
日本の明治以降の躍進を支えてきた原動力は理系人材。
その日本で理系進学率が低下し、最近では工学部の卒業人数が人口が半分以下の韓国を下回った。
大企業の社長はほとんどが文系卒で理系だと出世しづらい日本。
専門職の技術者の給料が、専門技術を持たない一般社員と変らない日本。
博士号持ちは使いづらいと企業から敬遠される日本。
理系人材の挙げた成果 / 理系人材へのリスペクト
という値を計算できたら、日本はダントツの世界最下位ではないだろうか?
アメリカも中国も、ITをはじめとした技術革新で躍進している時代に、理系を冷遇する「技術立国」に未来はあるのだろうか?
違うと思うな
明治以来、理系でも文系でも官僚や専門家タイプしか育成してこなかったツケ
幅の広い教養を持った指導者を育てる教育をしてこなかった
戦略や安全保障に政治史、哲学倫理などの理念等の教育は軽視されてきた
なんか菅総理が120兆円投資して技術研究開発を促進してさらに人材も育成するらしいんで、割と大丈夫だと思います。もしかすると今以上の地位になれるかも?
分母が小さくなるからその値は上位になるのでは。揚げ足ごめん
額じゃなくて使われ方が問題だろ。
???
実機を使って新しい戦術を生み出すなんて
その辺は以外と原始的なんだね
原始的というか、まだまだ戦争は人間の感覚の領域があるということですよ、
それにしてもトルコには軍師でもいるのかね、次々に秘策を立てるから驚く
かたーるのメリットは?
この派兵で、対サウジアラビア協力で『貸し』ができるのかも。
もともと、トルコ/カタールはイスラム諸国で異端派扱いされてるムスリム同胞団に理解があるし、共にサウジアラビアと利害が一致していない両国。
自軍の兵器の弱点を研究・把握できるのは
それだけでもメリットだと思うよ。
自軍の装備以外の機体と他流試合出来るのもメリットだと思います。
ありふれたF-16C/D(とF-4)しかないトルコ空軍ではそっちのメリットはかなり薄くないかな。
もちろん0ではないだろうけど。
カタール空軍の装備には、そのありふれた機種が無いようだから、
ありふれた機種との他流試合は、むしろメリットでは?
カタールがサウジ等から国交断絶されたときに、トルコは直ぐに支援を表明した。
その貸しがあるから、喜んで協力するだろう。
トルコもよく考えつきましたね。知恵を感じます。現にギリシャは嫌がってるし。
実現はものすごく困難にせよ、日本と台湾が相互に基地を設ける関係になれば中華大陸は発狂するだろうねw
この流れからしてすでにカタールにはトルコ軍が入ってて、中東が緊張下に入ればトルコによる軍事干渉の選択肢が増えたって見ていいと思います
在沖縄米海兵隊の台湾への移転駐留なら実現のハードルは低いか。
公式には国外移転による沖縄の負担軽減だから、
基地建設費用は日本側が持ってもいいよね。
中東産油国軍の傭兵化が進むのか?
石油以外に取り柄のない彼らの新たな使いみちとしては、ありですかねぇ。
西側兵器を仮想敵として訓練、データ取りするなんて面白いな。
まぁ、フォークランド紛争(ミラージュvsハリアー)や、トルコギリシャ間の過去の衝突(ミラージュvsF-16)を見るに、西側兵器同士の衝突は珍しいことでは無いんだろうな。
中東戦争たけなわな頃は、イスラエルのみならず一部のアラブ側にもミラージュが配備されてたからフランスはウハウハ
そのうちF-15J vs F-15Kとかある可能性も0ではない。
舞台裏でほくそ笑んでいるのはフランス ギリシアもカタールもお得意様だ
トルコ側に傾くのはフランスの望むところではないよ
>ギリシャメディアはラファール導入がもたらす質的優位性が事前に研究されることを懸念して
ラファールとF-16となら、多少の優劣は兎も角、「質的優位性」と言うほどの差は無いのでは?
未知な故の情報面での優位性なら話しは別だけど。
現代では戦闘機同士の空中戦の機会が極端に少なくなっているから、1日や1回でも優位に立てれば戦争自体の行方すら左右出来るかもしれないので、ステルス機の様な圧倒的優位でも確保できない限りは無視出来ない要素かと
もうなんでもありだなぁ…
これでフランスが表立って文句言わなかったら裏でトルコと通じてるんじゃないかと疑うわ
ギリシャの面目丸潰れだろ
ギリシャに面目というものが残っているのかな?
むしろ、過去の栄光と面子だけだったりして。
オリンピック開催後に財政破綻がバレてメンツを失ってたが、次は俺たちの番かもよ