19日にスウェーデンを訪問したゼレンスキー大統領は「両国はCV90生産で合意した」と発言、さらにウクライナ人によるグリペンの(運用評価に関する)テストが始まっており、パイロットの訓練開始に向けて1歩づつ近づいていると明かした。
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参考:Tolfte stödpaketet till Ukraina
グリペンに触れたことがないウクライナ人パイロットや地上要員にグリペンを正しく評価するための機会を提供中
ウクライナのゼレンスキー大統領は19日にスウェーデンを訪問、クリステルソン首相との会談後「戦場では近代的で機敏な最新の歩兵戦闘車が必要とされており、主権と自由を求めるウクライナの戦いに連帯を示したスウェーデンは我々にCV90を無償提供してくれた。さらに車輌を扱うための訓練、スペアパーツの供給、メンテナンスなどでも我々を支援してくれており、この取り組みは今後も継続されるだろう。両国はCV90が非常に効果的なプラットホームであると認識し、さらなる相互協力が互いに利益をもたらすと確信して協力強化に関する意向表明書(LOI)に署名した」と発表した。
ゼレンスキー大統領は「本当にCV90はクールな歩兵戦闘車で前線で必要とされており、スウェーデンとは我が国でのCV90生産で合意した」とも述べており、この発表を受けてウクライナメディアは「CV90の共同生産と保守に関するLOIに署名した」と報じている。
さらにゼレンスキー大統領は「近代的な戦闘機の1つであるグリペンに関しても画期的な結果が得られた。既に我々の兵士はグリペンのテストを開始している。一歩づつ交渉を積み重ねながらウクライナの空にグリペンを飛ばすという願望に近づいている。我々はグリペンを使用したウクライナ人パイロットの訓練を開始するため取り組んでおり、この詳細については今後話し合いが行われるだろう」とも明かし、海外メディアは「グリペン提供に向けた協議が本格化した」と解釈しているのが興味深い。
スウェーデンはウクライナへのグリペン提供を否定していたものの「グリペンの運用評価に関する訓練機会をウクライナに提供する(12番目の支援パッケージに含まれる内容)」と発表、ゼレンスキー大統領が言及した「テスト」とは運用評価のことを指しており、要するに「グリペンに触れたことがないウクライナ人パイロットや地上要員にグリペンを正しく評価するための機会を提供する」という意味で、本当にウクライナが必要とするニーズを満たしているのかを判断する材料になる部分だ。
恐らくテストの結果が得られ次第「グリペンを使用したウクライナ人パイロットの訓練=グリペン提供に向けた協議」が本格化するという意味で、スウェーデンがグリペンの提供に応じるのか注目される部分だが、仮に応じたとしても直ぐに戦力化とはいかないだろう。
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※アイキャッチ画像の出典:mashleymorgan / CC BY-SA 2.0
CV90の共同生産にせよグリペンの評価にせよ、これはロシアとの戦いが長期戦になるとの見通しの上での動きですね
今まで米欧側からの支援は今後先細りすると主張していた親露派論者はこれを見てどう思っているのか、知りたいですね
ただでさえ複雑な兵站状況がさらに悪化するなあ、としか思いませんが。。。
自称軍事の天才であるヒトラーの思い付きに振り回されるポルシェのスタッフはこんな感じだったんだろうなと、なかなか感慨深いですね。
兵站が複雑でも航空機の供与は1年以上時間あるんだし対策取るのでは?
CV90は戦場に既にいるから、数が増えるだけで問題になるとは思えない。
>兵站が複雑でも航空機の供与は1年以上時間あるんだし対策取るのでは?
自分ができないことを、他人が簡単にやってくれると期待しないことだね。
F-16供与の件もそうですが、ここでいう兵站には機体の整備・予備パーツの確保も含まれます
整備をするためには訓練された整備士と、機体パーツに対応できる整備施設が必要です
予備パーツも出来るだけ近くにストックしておかないと不具合・摩耗が起きるたびにしばらく飛べなくなってしまいます
これらの環境的な整備・準備を1年でできるかというと、相当に怪しいかと
民間人名目で整備士を送り込む事になるんじゃないかな…
数が増えるのが問題ですよ。
そもそも調達出来ても少数に留まるCV90やチャレンジャーなどは、最初の攻勢の先頭に使ってすり潰す用に使うべき兵器なんですよ。後からいくらでも追加と補修部品が届くM2をその後から使うべきで。
が、何故か少数の兵器を後ろに回して、数の揃うM2を先に使ってしまっているので、これでは中長期的には兵站が混乱して負荷にしかなりません。
外交的に武器を調達する能力があるのに、それを戦略に反映出来てない、というのが批判される一つの理由でしょうね。
凄い戦略眼ですね!元陸自の参謀?
それであっても…国家の存亡をかけて戦うウクライナ軍の選択を尊重するべきではないでしょうか?
現場の苦労を考えずに意見だけを言うコンサルタントみたいになってしまいます。
他に選択肢がないのが大きいと思うな>兵站
ウクライナとて出来れば戦前並みに統一された兵站の方が良いに決まってるしね。
“複雑な兵站状況”なんだか、昔のドイツみたいですね。
昔のドイツは鹵獲兵器を活用していましたから。
鹵獲兵器の調査をして分類してドイツでの呼称をつけていました。
優秀と認めた鹵獲兵器は自軍正規軍に使用し、
ドイツにない規格の弾薬類をわざわざ生産したそうです。
必要と思えば、欧州の端から端まで運搬して使用したとも。
ウクライナが、集まった沢山の兵器類をどのように活用し、
最終的にどんな形に収斂していくのか楽しみ(不謹慎ですが)です。
ドイツなら、アルフレッド·ベッカー中佐で検索すると良いです。
二次大戦時にフランスで鹵獲した兵器類の再利用に貢献した人です
ご教授ありがとうございます。
ベッカー生産本部のベッカー少将のことですね。
ちょっと見ただけでも、ネジが外れ(笑)ていて、
有能で、勇敢で、面白い方ですね。
興味が湧きます。
大日本絵画の鹵獲戦車ですね。
少なくともドイツと違って後方に大量の物資を生産出来る絶対的な安全地帯(NATO加盟各国)があるし二正面作戦もしてないのでかなり状況はマシでしょうね
CV90って色々ありますが、どのバージョンでしょうか?
最新バージョンだったら、かなり羨ましいかもしれない
グリペンは購入するのかな?
離着陸性能や整備性でF-16よりグリペンの方が向いているのではないでしょうか。
攻めるのに使用する為に開発された機体と本土決戦をやる前提で開発された機体の違いがあります。
スウェーデンにとってもウクライナでの実戦で戦果を上げる事ができれば、セールス面でメリットがあると思います。
スイスの次期戦闘機選考って競合機F-35以外は双発機じゃありませんでした?
あとスイスの様な平時で仮想敵の遠い国と今のウクライナでは求められる能力がかなり違うのでは。
例えばミサイル喰らった基地に運良く残ってるor取り急ぎ修復した短い滑走路から離陸できるか、という点を問われればグリペンの評価は跳ね上がるでしょう。
まさしく双発のラファール相手じゃないですか。
双発機ってのはエンジンの分だけ運用に金も人も要るんですよ。
滑走路の話も掩体壕に頼る様な状況ならそれこそ滑走路が万全である事は望めないでしょう。
「かろうじて確保できた短い滑走路で運用できるかどうか」の重要性は変わらんどころかむしろ増す様に思えますが。
グリペンの飛行訓練といっても、実際はどうなるのだろうと疑問がある。
なぜなら、
F16の操縦訓練要員として送り込まれたウクライナ人の若者たちがほとんど操縦経験がないという驚きの事実があった。
そうすると運用までには何年もかかる。グリペンも同じでは?
ウクライナの航空要員の実情が分からないんですよねぇ
現役予備役訓練生のパイロットがどれくらい投入されていてどれくらい残っているのか
航空要員の訓練生動員の話は聞きませんし、F16組は学校入学ホヤホヤ一年次組として、二年次組はグリペンに回す、三年次組はポーランドスロバキアミグ組みたいな感じで割り当てでもしてるのだろうか?
ご返信ありがとうございます。
もちろん、おっしゃるような可能性もあります。しかし、この推論はできるだけウクライナにプラスに考えたいという、そうあって欲しいという贔屓が入っている推論かもしれませんよ。
なぜなら、先に話が進んでいたF16のパイロット要員がほとんど操縦経験がない若者たちなら、今後もし、グリペンの話が進んでも同じような可能性が高いからです。そうすると運用まで何年か必要になります。
このグリペンの話も、ウクライナは色々な話に飛びついて可能性を探っているのでしょうが、今の段階では宣伝効果くらいですか。もちろん、後で実を結ぶこともあるかもしれませんが。
それと、飛べるパイロットは、ミグの運用で手一杯なんでしょうね。
航空の情況は、ウクライナ軍にちょっと厳しいかもしれません。
アメリカがF-16供与を色々言って今後も遅らせるでしょうし、中期的にはグリペンを主力にした方がいいと思います。
米(買うならウチの買えや)
型落ちの供給遅らせるような真似しなきゃ独占できただろうに、舐めプ自業自得
さっさとグリペン使えば良いのに、って思ってましたが漸く。
数を揃えるためにはF−16だけで行くより二本立てが現実的?で、用途に合わせて使い分け。
もともとMig-29とSu-27の二本立てだったんでしょうし、そんな感じで馴染まないもんでしょうかね?
あまり詳しくはない者の所見であれですが、色々使える多用途軽戦闘機2機種、使えるカードのパターンが少し違う。
装備と作戦エリアの相性で使い分けすれば、悪くは無い気が…。
ウクライナにはF-16V供給されないのは確定らしいから、間に合わせのF-16使い切ったらグリペンの方が向いてると思う。スウェーデンならばロシアに配慮とか過度にしないだろうし
そもそも各国が足らないで困っているやつで早急には無理だからな
戦争中ですから、供与されるもので使えるなら何でも、使わざる負えないでしょう。
CV90はAPFSDS-Tと3Pの弾種が使え、対戦車ミサイルも装備でき、対戦車、対装甲車から対空までバリエーションが豊富、対空バージョンは大型ドローンの迎撃とかにも使えるでしょう。なので使い勝手良いでしょうね。
ウクライナで自国生産できればロジスティックも良くなるだろうし。
グリペンもウクライナでライセンス生産とか出来るなら、将来的には西側のロジスティック、システムとの統合も見据えるという意味で良いのでは。
一国で設計、生産している航空機、装甲車は他国の同意とか政治に振り回されるリスクが減るのが良い点でしょう。
今ウクライナに必要なのは、ロシア空軍と攻撃ヘリを封じる航空戦力なのだから、AIM-120かそれに匹敵するAAMを運用可能な機体が直ぐに手に入るなら何でも良いと思うけど。