フランス、ドイツ、スウェーデンの3ヶ国はC-130とCN235に代わる新たな中型戦術輸送機の開発で合意、老朽化したC-130の更新需要を巡る争いに火が付き始めた。
参考:France, Germany, Sweden launch future transport aircraft
C-130Jを破ったC-390、中型戦術輸送機の開発に乗り出した欧州、KF-21に続く事業確保のため輸送機開発に乗り出すKAI
中型軍用輸送機のシェア(1,500機前後)は米ロッキード・マーティン製のC-130が独占しているものの平均機歳は30年を越えており、特にアフガニスタン撤退やウクライナ侵攻を経験した欧州の国々は「旧式化した輸送機によるロジスティックシステムが時代遅れ」だと気付かされ、エンブラエルは「ウクライナ侵攻で大規模な武器や物資の輸送が始まると欧州の国々は軍用輸送機の更新に目を向け始め、我々が提供するC-390に多くの関心が高まってる」と6月に述べていたが、オランダ空軍がC-130Hの後継機にC-390を採用して世界中を驚かせた。
オランダ空軍はC-390を採用した理由に「平均稼働率、運用性、メンテナンス性、技術要件の全てでC-130JよりC-390の方が優れていた」と明かしており、エンブラエルは「これまでC-390の潜在的な顧客と考えていなかった国からも引き合いある。ウクライナでの戦いが終わっても世界は過去に戻ることはない」と主張、マーケティングを強化するため各地域に戦略パートナーを設定(アジア地域のパートナーは韓国航空宇宙産業が有力視)してC-390の売り込みを図る計画を進めている。
この潜在的なビジネスチャンスに欧州も動きだしており、フランス、ドイツ、スウェーデンの3ヶ国はC-130とCN235に代わる新たな中型戦術輸送機の開発で合意した先月末に発表、このプログラムには他の欧州諸国も参加する予定で2026年頃に本格的な開発(実用化は2040年頃)に移行することを目指しているらしい。
韓国航空宇宙産業(KAI)もKF-21の量産を終えたあとの仕事を確保するため中型軍用輸送機「KC-X」開発を2021年に発表、国内需要に加えて海外輸出も視野に入っているため「C-130よりも優れた性能の軍用輸送機をC-130よりも低コストで実現する」と述べており、ここまで中型軍用輸送機の需要が活性化してくるとKC-Xの輸出にも可能性が出てくるかもしれない。
因みに昨年ドバイ航空ショーに参加したC-2の関係者は「アラブ首長国連邦との事前協議が実を結びつつある」とジェーンズに語っていたが、MENA地域の防衛市場分析を専門に扱うTactical Reportも現地メディアも「UAEへのC-2輸出」に関する続報を一切報じておらず、事前協議は一体どうなったのだろうか?
日本のC-2は今月15日に開幕する世界最大の航空ショー「ロイヤル・インターナショナル・エアタトゥー/RIAT」に派遣される予定だ。
関連記事:ウクライナ侵攻の影響で輸送機需要が活性化、C-390への関心が高まる
関連記事:エンブラエルのC-390、宿敵C-130Jを破りオランダ空軍採用を決める
関連記事:韓国航空宇宙産業が国産輸送機「KC-X」の詳細を公表、2033年に量産開始予定
関連記事:ドバイ航空ショーに参加したC-2関係者、アラブ首長国連邦との事前協議が実を結びつつある
※アイキャッチ画像の出典:Andrew Linnett/OGL v1.0 A400M
欧州…共同開発…輸送機…うっ頭が
きっと完成まで超時間掛かるだろうな
そして、日本も共同開発に参加してC-3として採用する計画に・・なったら皆でビックリ、そしてヨーロッパとの共同開発が普通になったり‥しないか。
A400Mが中型戦術輸送機ってのを思い出してしまった
そしてまたやるのか・・
販売数からしたら、アレの開発費なんて全く回収見込みついてないだろうに
C-2がいい機体かどうかは横においといて(>_<)
輸出に関しては無理でしょ(オフセット提案も出来ないし‥)
昔からの輸送機関連の記事も含めて永遠とコメント欄で、日本のC-2をとか輸出出来るできないで争ってるけど、いい加減無理ってことで統一してどうしたら売れるのかって議論にステージアップしたいと個人的に思う
別にオフセット提案ができないわけじゃないですよ。
ただ単に、日本にオフセットを提案するという発想が皆無なアホなだけで
相手国が望むオフセット契約を正しく把握し且つ満足いく提案ができるか否かの問題です。
これまでの失敗経験で、選定におけるオフセット契約の比重は政府も身に沁みて理解してます。その部分では経産省の役割が大だが、政府として対応しきれないケースが多々あるのが現実でしょう。
価格
性能
技術移転に現地生産等諸条件
政治的関係
相手国の諸々の複雑な要素を理解してないのは、当の日本人なのかもな
日本自身がどの国から何を輸入してきたのか、それもちゃんとした説明が出来ることと比較すればいい、では何で日本から買う意味があるのかを
軍用機の場合は1に要求仕様との整合性、2に導入コスト、3に維持コスト、4に自国産業への
波及効果、概ねこれらが検討条件になると思う
要求仕様にマッチしていて、導入コストと維持コストが予算に見合いそうで、自国産業にも
メリットがあれば候補として検討の遡上には乗る筈、それすら乗らないって事は、どこかが
外れている。
そこを分析して、どうすれば候補に名を連ねる事が出来るのか、今までの商談の失敗を誰が
分析して、次の売り込みにどう反映させるのか、それは防衛省なのか、経済産業省なのか、
製造メーカーなのか、代理店となる商社なのか、誰がどう決めて舵取りして次の商談に反映
させるのか、ちゃんと取り決めしているのだろうか。
どこかがやるだろうとか、言われてないからそんな分析とかしないとか、そんな状態には
なって無いだろうか。
やらせるのか
ODAなんかでは費用対効果の高い持続的で再生産性の高い支援を提案・実施できてるんだから、オフセットで同じ事ができなちはずはないんだけどね。
まあODAにしてもそのありがたみがイマイチ当事者にアピールできてないっぽいのでオフセット提案でもまんま同じ事やらかしてる可能性はあるか…。
C2輸送機はいい機体なんですけどね。
コストの問題や各種整備部品の調達性を考えるとどうしても他の機体上回るメリットが少ないと個人的には思います。
C2のコストは旧式エンジン(CF6-80C2)の量産終了に伴う問題なので、対応エンジンを増やせればある程度は解決するはずなんですがね。
というか、一種類しか対応してないとか輸出全く考えてないですし、輸出以前に自国分の製造コスト上昇にも繋がってますし。
CF6エンジンはエアライン機市場ではまたまだ沢山使われていて
部品供給、保守サービスの終焉まで20年や30年はあるでしょう
個人的には後継のGEnxエンジンに換装して性能向上型を作りたい
ですが、そんな金は出ないでしょうね
GEnxエンジンを輸出用オプションとしても良いですが、その為
には実証試験機が必要です。
いい機体の基準が純粋な性能の話ならそうですが、国内向けの部品調達すらも危うい機体が、果たして国防にとって”良い”機体なのかは疑念が残りますけどね。
>因みに昨年ドバイ航空ショーに参加したC-2の関係者は「アラブ首長国連邦との事前協議が実を結びつつある」とジェーンズに語っていたが、MENA地域の防衛市場分析を専門に扱うTactical Reportも現地メディアも「UAEへのC-2輸出」に関する続報を一切報じておらず、事前協議は一体どうなったのだろうか?
管理人さんも皮肉が上手くなってきましたね。
C-2に関しては競合他社が割と良い輸送機作ってるのにわざわざ選ぶ意味ある?っていうシンプルな話だな
その競合他社の機体と比べてもC-2は「割と良い輸送機を作ってる」と
思うけどね。
それが候補としても選ばれ無いのは、機体性能以外の要因があるんだろう
シンプルに言えば「売り込み熱意に欠け、セールス下手」それに尽きると思うが
やや大型過ぎてニーズに合っていない、との線は? >売れない要因
これまではそうかもしれないけど、将来IFVが軒並み装軌/装輪でも
重装甲大型大重量化の流れになって来ていて30トン級がざらになり
そうだから、そうなると戦術輸送機でも20トン級では不足となって
30トン級積める大ペイロードはこれからは評価されるんじゃないかな。
大型になったのは要求航続力も影響してます。
C-17とC-2では最大積載量で倍以上の差がありますが、それぞれ空貨と最大積載状態での航続力はほぼ同等です。C-2が戦術任務もこなす戦略輸送機を目指して開発されたと思われる理由です。
その要求仕様は自衛隊の運用計画に最適化した結果であって、外国軍の運用計画にマッチしないのが普通ならばC-2もガラパゴス装備なわけです。
国産の信奉については否定的な考え持ってるけど、ことC-2については客観的に見てもめっちゃいい機体だと思うんだが…
ペイロードよし、速度よし、高度よし、容積よし
エンジンも旧式だけどそこら辺に転がってる信頼性の高いエンジンだし、故障時の換装も比較的容易
ネックは…
価格と実績になるんかなぁやっぱり
でも何とかなりそうな装備品だから、何としても売り込んでほしいわ
非殺傷装備だから国内的なハードルも低いだろうし
本文より
『オランダ空軍はC-390を採用した理由に「平均稼働率、運用性、メンテナンス性、技術要件の全てでC-130JよりC-390の方が優れていた」と明かしており…』
C-390の優秀さよりも、2022年の今に至っても性能面でC-130を全般に上回る同クラス輸送機が存在しなかったことに、C-130の凄さを再認識する
C-130は性能というより、ずば抜けた汎用性の高さにあると思いますよ。
採用国がずば抜けて多いという、収穫逓増の原則が強く働くため、維持コストも安いし、どこに持っていってもコストが跳ね上がったりはしない。
もちろんそれは有事が起こった際にも同じ。
「過酷な状況に置かれたとしても、稼働が見込める」
非常に強い利点だと考えます
C-130は日本や東南アジア,その他の発展途上国におけるハイエースwみたいな存在ですよね。
ハイエースみたいに各種カスタム仕様もあるし、ブラックホークなど機体に合わせて企画された兵器もたくさんあるし、まさにハイエースみたいにこの胴体だけ活かす動きもあるかもしれないです。
#C-130ハイエース説
名称がギリシャの大英雄だしね。>C-130
というか未だにC-2が輸出出来るなんて考えているのは国士様ぐらいだろう
頭が悪くなければこんなモンが売れるとは絶対に思わない
じゃあ、早速空自のC-130Hの後継機にC-390をお勧めしましょう…と、ここまでは皮肉ですが、C-390の製造元であるエンブラエル社は日本の民間航空では結構使用実績が有るので、意外と自衛隊で使っても問題無いかも知れないですね。
売れない具体的な説明をお願いします。
それ、説明の要らない単なる現実では
売れる根拠のほうが説明困難
一応、不整地離着陸の実証もやったぐらいだから、UAEから引き合いがあったのは間違いない。ただ国も川崎もやる気がイマイチなんじゃないかなぁ。裏の手でも使って意地でも売ってやるという気概がない。
>裏の手でも使って意地でも売ってやるという気概がない。
川崎がその手を使わないのは、
﹙バレた際の﹚不正競争防止法の外国公務員贈賄罪での3億円の罰金より、
国内外で入札への参加資格停止処分を受けるの恐れたから、
といった感じだったりして。
欧州でC-130を代替するために開発されたはずのA400Mは?
いくらなんでももう受注してないなんてことはないだろ?
欧州あるあるの域内生産以外許せない病の発作でしょうが、果たしてこれからの欧州情勢で共同開発にして大丈夫かな?という気もしますよね…。
欧州が装備の欧州開発・製造にこだわるのは開発製造にかかるコストを欧州経済の外に流出させないという貿易差額主義的な発想に基づくものですが、K9自走砲の成功例にあるように「政治的発言力が弱い域外国の製品を欧州でライセンス生産したほうがトータルで安くない?」という事に気付いた関係者は多いのでは(欧州の兵器メーカーはなべて優秀ですが人件費が高いので人月ぶん開発費がどんどん嵩んでいく)。それに欧州と言っても東西南北に広く山岳から海洋まで環境も千差万別で、共同開発で単一機種にするメリットが常に存在する訳では無いのですよね。そこへいくと、C-130後継枠としてはクラスが全然違いますがKAIの提案していた汎用輸送機案は案外チャンスなのではという気がします。まぁKAIなら小型モデルも作ってくれるでしょう。
C-2に関してはエンジンが廃版寸前の古い機種なので、これから売ろうと思ったらその辺を踏まえて改設計するくらいの気力出さないといけない気がしますが、そこまで頑張るほどの客は見込めてないという事なんでしょうね。エンジン問題は空自装備機でもいずれぶつかる問題で、輸送機型とは別の電子情報収集機や電子戦機ベースとしてのC-2新造需要はまだ残ってるので将来的にどうする気なのかはちょっと気になりますね…。