欧州関連

トルコ、AH-64Eクラスの国産重攻撃ヘリ「ATAK2」にウクライナ製エンジンを採用

トルコは開発中の重攻撃ヘリ「T929 ATAK2」にウクライナ製のターボシャフトエンジンを採用すると明かして注目を集めている。

参考:Pakistan extends delayed T129 helo deal with Turkey — again
参考:Turkey to use Ukrainian engine in its heavy class attack helicopters 

トルコが開発を進めているAH-64Eクラスの重攻撃ヘリ「ATAK2」はウクライナ製エンジンを採用

トルコはイタリアのアグスタ(現アグスタウェストランド)が開発した攻撃ヘリ「A129マングスタ」に改良を加えた「T129ATAK」を製造中でパキスタン軍への輸出(30機/15億ドル)が決まっており、フィリピンも同機に調達に興味を示しているのだが、S-400導入問題の影響で米国から調達していたエンジン(LHTEC CTS800-4A)の第三国に対する輸出許可が得られないという問題に直面している。

この問題を解消するためトルコはパキスタンからT129ATAKの引き渡しを1年待ってくれるよう要請、多用途国産ヘリ「T625」向けに開発していた国産ターボシャフトエンジン「TS1400(1,400馬力)」の完成を急ぎATAKに統合する予定だったのだが、再び6ヶ月間の引き渡し延期をパキスタンに申し入れて許可されたらしい。

つまりATAKへの国産エンジン統合が遅れているという意味(TS1400自体は完成済みでT625への統合が進んでいる)でたった6ヶ月間で事態が好転するのか微妙なところだが、当初予定よりも18ヶ月遅れているため再び引き渡しが遅れるような事になればパキスタンは以前から興味を示してた中国製攻撃ヘリ「Z-10」に乗り換える可能性がある。

出典:TUSAS Engine Industries Inc

果たして今年の秋頃までにATAKへの国産エンジン統合が完了するのか?TS1400の性能にパキスタンが納得するのか?に注目が集まるが、今回の本題はATAKではなく新たに開発中のATAK2だ。

ATAKは軽攻撃ヘリに分類されサイズや最大離陸重量で言うと米国製のAH-1Sに近いのだが、トルコはATAKの製造で培った技術と経験を元にAH-64Eクラスの重攻撃ヘリ「T929ATAK2」を開発しており、同機の開発を担当しているトルコ航空宇宙産業(TAI)は14日「ATAK2が搭載するエンジンはウクライナから供給を受ける」と発表して注目を集めている。

ウクライナ企業のモトール・シーチはロシア製のMi-24やMi-28に採用されている「TV3-117(2,230馬力)」やKa-50やKa-52に採用されている「VK-2500(2,400馬力)」を開発・製造した経験をもっているので、多分モトール・シーチの製造するVK-2500をATAK2に採用するつもりなのだろう。

補足:ロシアはヘリ用エンジンの供給をモトール・シーチに依存していたが2014年のウクライナ危機以降は国内でVK-2500の製造を行っている。

現時点で公開されているATAK2の情報は少ないが、最大離陸重量は10トン~11トンになると言われているのでAH-64E(最大離陸重量10.4トン)を上回る重攻撃ヘリとして完成する可能性も秘めているが、トルコはATAK2とは別に多用途国産ヘリT625をベースにした無人攻撃ヘリ「T629」も開発中で2021年にプロトタイプをトルコ軍に引き渡す予定だ。

出典:Anna Zvereva / CC BY-SA 2.0 多用途ヘリ「T625」

この無人攻撃ヘリは有人版も作られる予定でどちらが本命なのかは不明だが、T625ベースなのでATAKとATAK2の中間に位置する機体になるのかもしれない。

以上のようにトルコの国産兵器は出来る部分から国産化を進めて欧米からの輸入に頼っていたコンポーネントも徐々に国産品に移行するか、軍事的に結びつきの強い国からの供給に切り替えているため外交や安全保障上の問題で独立性を高めていると言える。

関連記事:海外依存から脱却するトルコ、念願の国産ターボシャフトエンジン量産を開始
関連記事:侮れないトルコの技術力、攻撃ヘリ「T129」のエンジン国産化に成功

 

※アイキャッチ画像の出典:CeeGee / CC BY-SA 4.0 ATAK2のモックアップ

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コメント

    • 皇帝エルドアン1世
    • 2021年 3月 16日

    トルコ国家警察は、対テロ用にT-129攻撃ヘリコプターを導入するそうですね。
    日本も沖縄県警に離島警備用のAH-1Zでも導入するか(笑)

    11
      • 匿名
      • 2021年 3月 16日

      これが本当の西部警察

      9
    • 匿名
    • 2021年 3月 16日

    主に西側の兵器を運用している国に対しては
    装備体系の乱雑さを招くであろう露系エンジンでは、販売がしづらくなりそうだし。
    逆に、中露系を主に採用している国では、西側のセンサー類やアビオニクスが
    載っている事に対する、不審や供給への不安などが出たりしないのだろうか。
    つまり、東西兵器のちゃんぽんが招く、美味しくないとこ取りにならんかね。

    3
      • 匿名
      • 2021年 3月 16日

      その事なら、あろう事かロシア軍で実例がある
      Su-35S戦闘機や戦闘車輛の一部で欧米やウクライナ製の部品が使われていたので、ロシアのクリミア侵攻に伴う経済制裁で部品の輸入が途絶えた結果、一時生産や部品供給が滞った時期があった様だ
      更に、ロシアは旧ソ連時代ミサイルや輸送機の開発と生産をウクライナに頼っていた為、ソ連崩壊後これらの装備の入手がし辛くなり、最終的にロシア国内で生産出来る様に長期間を掛けて開発・生産基盤を作り直す破目に陥っている

      7
      • 匿名
      • 2021年 3月 16日

      そもそもどのような国に向けた商品であるのかが分かれば、そのような心配は不要だというのが分かると思う。
      あと、陸戦兵器なのでそれが尚更なわけ。

      1
    • 匿名
    • 2021年 3月 16日

    ヘリ作って採算が取れるのが凄いな。それなりに売れるあてがあるのかね。

    1
      • 匿名
      • 2021年 3月 16日

      国の威信とプライドにかけて赤字上等で進めてるんじゃね?

      11
      • 匿名
      • 2021年 3月 16日

      赤字でも国産化最優先で、あとは海外に売れたら元がとれるかも程度の話として、そういう希望的前提すら立てにくい我が国のほうが異常なんだろうね

      5
        • 匿名
        • 2021年 3月 17日

        日本はなんやかんや言っても国産化最優先赤字上等な国でしょ
        まぁヘリ開発は軍民揃ってグダグダな開発ばかりだけど

        3
    • 匿名
    • 2021年 3月 16日

    うちの国もこれくらいの攻撃ヘリ作れればなぁ(遠い目)

    2
      • 匿名
      • 2021年 3月 17日

      OH-1という名の日本の航空宇宙産業のレベルを国内外へ示す決定的駄作機ェ…
      この分野に置いては日本は中華どころか韓国にも劣る事実を実績として残してしまったね

      3
      • 匿名
      • 2021年 3月 20日

      アメリカのFARAに参加する位でないとね、逆に2028年以降に考えるのかも?
      リンク

    • 匿名
    • 2021年 3月 16日

    所詮は寄せ集め部品の組み合わせだ。必ず不具合が
    発生するだろう。航空機の製造をナメちゃいけない。外側だけ形になってりゃいいってもんじゃない。

    4
      • 匿名
      • 2021年 3月 16日

      航空産業にでもお勤めの方ですか?

      8
        • 匿名
        • 2021年 3月 16日

        やめたれw

        1
        • 匿名
        • 2021年 3月 17日

        つまらん突っ込みは止めようよ。

        2
    • 匿名
    • 2021年 3月 17日

    ウクライナから導入したかったのはこっちのエンジンだったかあ
    戦車用じゃなかったのね

    1
    • 匿名
    • 2021年 3月 17日

    ウクライナは少し前は中国に無節操に軍事技術を切り売りしていたのに、今はトルコに無節操に軍事技術を切り売りしているな。遠からずまたアメリカから圧力掛かりそう。

    5
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