欧州関連

トルコ、米国製の無人戦闘機MQ-1Cと同クラスのAnka-Sをウクライナと共同製造

トルコ航空宇宙産業(TAI)が開発した衛星通信対応の無人戦闘機(UCAV)「アンカ/Anka」をウクライナで共同生産すると報じられている。

参考:Ukraine, Turkey to jointly produce new-gen armed drones

アンカSの共同製造にロシアが文句を言ってくる可能性が高いがエルドアン大統領は耳を貸すことはないだろう

トルコ航空宇宙産業(TAI)が開発した武装可能な「アンカ/Anka(最大滞空時間30時間+)」は米国製のMQ-1C グレイ・イーグル(最大滞空時間25時間+)とほぼ同クラスの比較的大型な無人戦闘機(UCAV)で、最新バージョンのアンカSは衛星通信に対応しているため見通し通信距離を超えた範囲での運用が可能でトルコ軍以外にもチュニジア軍が採用しており、アンカSの導入コストは1機あたり2,660万ドル(チュニジア輸出契約から算出した数字で管制装置込み)で低コストで小型のTB2と比較すると高価だが、競合するMQ-1Cの調達単価は2,150万ドル(2013年の古い数字で管制装置などの関連費用を含んでいない)と言われている。

出典:Türk Havacılık ve Uzay Sanayii A.Ş Anka-S

このアンカSにウクライナ製のエンジンを採用したモデルをウクライナに建設される新工場で両国が共同製造するらしく、2022年末までに初期バッチ分が製造されるらしい。

ウクライナはトルコと共同でTB2の製造も行う契約を結んでおり、アンカSの共同製造が事実ならウクライナは計2機種のトルコ製UCAVを国内から調達できるという意味だ。

ロシアはトルコが供給に手を貸すTB2についてウクライナを悪化させるだけだと批判しており当然アンカSの共同製造にも文句を言ってくる可能性が高いが、トルコはウクライナと昨年10月に2ヶ国間の軍事協定(中身は非公開)を結んだばかりなのでエルドアン大統領はロシアの文句などに耳を貸すことはないだろう。

関連記事:トルコとウクライナが軍事協定を締結、バイラクタルTB2とエンジン技術を交換か
関連記事:トルコ、AH-64Eクラスの国産重攻撃ヘリ「ATAK2」にウクライナ製エンジンを採用
関連記事:ウクライナ、トルコ製無人航空機「バイラクタルTB2」を48機追加調達か

 

※アイキャッチ画像の出典:Türk Havacılık ve Uzay Sanayii A.Ş Anka-S

石油時代の終焉を見越したサウジアラビアの国防改革、2030年までに海外依存を是正前のページ

米国に武器禁輸を含む制裁を課されたカンボジア、米国製兵器は顧客の独立性を毀損するだけ次のページ

関連記事

  1. 欧州関連

    26日目に突入したウクライナ国境の封鎖、スロバキア人も12月1日から封鎖に合流

    ポーランドの運送業者による国境封鎖は26日目に突入、ウクライナの経済損…

  2. 欧州関連

    空中給油技術で先行するエアバス、今度はプローブ&ドローグ方式の自動化

    エアバスはフライングブーム方式の自動空中給油システム「A3R」を完成さ…

  3. 欧州関連

    トルコのBaykar、まもなくTB2でShahed-136を迎撃出来るようになる

    トルコのBaykar社はウクライナの主権を守る戦いを全面的に支持してお…

  4. 欧州関連

    ロッキード・マーティン、英陸軍にK9A2提案するTeam Thunder参加を決定

    ロッキード・マーティンは英陸軍の次期自走砲にK9A2を提案するコンソー…

  5. 欧州関連

    ドイツ陸軍、レオパルト2を保護するためイスラエル製APS「トロフィー」を導入

    ドイツ陸軍は対戦車ミサイルやHEAT弾などから主力戦車「レオパルト2」…

  6. 欧州関連

    スイスの次期戦闘機候補、エアバスがタイフーン現地組立を認めて優位に?

    次期戦闘機調達プログラムを進めるスイスはロッキード・マーティン、ボーイ…

コメント

    • 匿名
    • 2021年 12月 14日

    大きくなったらトルコ製といえども結構な値段になるな。
    圧倒的コスパのTB2の様には行かないか?

    5
    • 匿名
    • 2021年 12月 14日

    バイラクタルのアクンジュに比べたら見劣りしますな

    1
    • 匿名
    • 2021年 12月 14日

    日本は(ry

    3
    • 匿名
    • 2021年 12月 14日

    対露でウクライナで見るとまともに動いているのはトルコだけか?>NATO

    7
      • 匿名
      • 2021年 12月 15日

      トルコとウクライナの接近は面白いね、と言っても、このネタ(無人機共同開発)自体は1年前に
      既に報じられているんだけどね
      黒海の出入り口を押さえているのもトルコだし、地中海や中近東にも睨みが効くトルコは地政学的
      に良い政治カードを幾つも持ってると思うよ
      だからエルドアン大統領も強気の政策が打てるんだけど、ただちょっと彼は根本的な資質で問題が・・
      色々ともったいない国だと思う、親日だし、政治がまともなら、色々と協力したい分野あるんだけど

      1
    • 匿名
    • 2021年 12月 14日

    プー○ン「数が揃う前に潰すから問題ない」

    8
    • 匿名
    • 2021年 12月 14日

    この時期にトルコ(NATO加盟国)がウクライナと共同でとはロシアを挑発することにならんかね

    3
      • 匿名
      • 2021年 12月 14日

      このブログ防衛問題研究家の桜林氏見てるんだな~
      すげーわ

      • 匿名
      • 2021年 12月 15日

      この話自体は2020年11月に既に共同声明出してますから、今さらです。

      (ニュースリンク貼ります)
      リンク
      トルコのエルドアン大統領は10月16日、イスタンブールでウクライナのゼレンスキー大統領と会談し
      会見でこう説明した。
      「(ロシアによる)クリミア半島併合をトルコは認めない」

      つまり1年前ですら、エルドアン大統領はこう公言している訳ですが、それでもロシアはトルコに技術移転
      でS-400の現地生産を発表したり、トルコとロシアの関係が続いているのは面白いところです
      トルコの持つ地政学的な重要性ゆえですが、エルドアン大統領が調子に乗るわけです

    • 匿名
    • 2021年 12月 14日

    バイラクタルに比べてコウカな安価か

    1
  1. この記事へのトラックバックはありません。

  1. 米国関連

    米空軍の2023年調達コスト、F-35Aは1.06億ドル、F-15EXは1.01…
  2. インド太平洋関連

    米英豪が豪州の原潜取得に関する合意を発表、米戦闘システムを採用するAUKUS級を…
  3. 中国関連

    中国、量産中の052DL型駆逐艦が進水間近、055型駆逐艦7番艦が初期作戦能力を…
  4. 日本関連

    防衛装備庁、日英が共同で進めていた新型空対空ミサイルの研究終了を発表
  5. 軍事的雑学

    4/28更新|西側諸国がウクライナに提供を約束した重装備のリスト
PAGE TOP