トルコがロシアとの停戦合意を破りシリア国内での戦闘を再開したとAMN(Al-Masdar News)が報じている。
参考:Turkish military launches attack against Syrian Army troops in Aleppo
遂にトルコが停戦合意を破りシリア政府軍を攻撃、シリア内戦再開は避けられないか?
トルコ軍は5月30日、アレッポ郊外に布陣していたシリア政府軍に対して榴弾砲で攻撃を開始、この攻撃に呼応するかのようにトルコを支持する過激派(恐らく反政府組織のシリア解放機構だと見られる)がシリア政府軍に対して攻撃を仕掛け双方に犠牲者が出たと中東系メディアAMNが報じている。
トルコ軍は最近、シリア国内の反政府組織「シリア解放機構」が拠点としているイドリブに米国製のM110 203mm自走榴弾砲(トルコ陸軍第106砲兵連隊所属)を4門配備したと報告されていたため、恐らくこれが今回の攻撃に使用された可能性が高い。
補足:M110 203mm自走榴弾砲の射程は18km~23kmだが射程延長弾を使用すれば射程は30km~50kmまで延長することが出来ると言われており、これを利用すればイドリブに配備されたM110はアレッポ郊外に布陣するシリア政府軍を射程に収める事ができる。
※トルコ軍がイドリブにM110自走榴弾砲を含む大量の装備を輸送している様子を捉えた動画
現時点でロシアは公式な声明を発表していないがトルコはロシアとの停戦合意でシリアから過激派勢力を排除することを約束していたにも関わらず、トルコを支持する過激派がシリア政府軍を攻撃したことで合意が破られたと判断するだろうと報じられておりロシアの動向が注目される。
もし合意が破られたと判断されれば今年3月に成立した停戦合意はたった2ヶ月しか役に立たなかったことになり、再びシリア国内で政府軍+ロシア軍VS反政府組織+トルコ軍の戦いが再開されことになるはずだ。
ただロシアもトルコも停戦合意が破られることを前提にシリア国内の装備や戦力を増強していたので、ある意味予定されていた戦闘再開なのかもしれない。
ロシア軍はトルコとの国境から約10kmの地点にあるアル・マリキヤ郊外にレーダー(型式不明)を設置して戦闘装甲車両12両を配備して、トルコ空軍唯一の無人航空機基地(軍民共用のバットマン空港)や、アル・マリキヤから北西へ約180km行ったところにあるシリア空爆の拠点として活用されているディヤルバクル空港を監視する体制を構築済みだ。
トルコ軍も停戦合意が終わりを迎えることを見越し、シリア空軍機やロシア空軍機による攻撃を防ぐためシリア国内に地対空ミサイルを持ち込んで防空網を構築している。
果たしてロシアはどのような判断を下すのか世界中が注目している。
関連記事:トルコ得意のUAV封じ?ロシア、トルコ空軍を監視するレーダー基地建設
関連記事:露戦闘機を無効化? トルコ、シリアでの戦闘再開を見越して地対空ミサイル配備
※アイキャッチ画像の出典:MoiraM / stock.adobe.com
トルコはいったいどこに向かっているのか
そういうが他もやべーラインナップ
イスラエルが一番まともなぐらい
いつも更新楽しみにしています。
動画を見る限り輸送された自走砲は砲身が細く、また長砲身に感じるので175mm砲のM107自走砲の可能性もありますね。
素人ですみません。
大砲4門でどのくらいの戦果を期待できるのでしょうか。
M110で精密射撃はできないでしょうし。
当然ですが、物資、車両、人員等の位置が偵察等で得られていれば、榴弾の範囲に着弾させて打撃を与えられるくらいの精度は出せます。
一方的に撃ち続けらる状況にあるのか、政府軍の反撃等で都度中断や移動をしているのか、反撃に対し防御は適切に行われているのか、次第で戦果は大きく変わるでしょう。
大砲は戦車のように移動しながらの射撃は無理です。
空爆より一日当たりの火力が高い
意外と怖いぞ
強力な砲兵がいるのは制空権を握ってるのと同じ効果がある。
下 朝鮮から導入したK9の出番は?
どうせまた味方陣地を誤射して「実績だ」とか威張るんじゃねーの?
www
T155な
1両は爆破されてるのは見た
あとはしらん
こういった速報+背景の分析は参考になります。
玉石様々なブログがありますが、ここは良い内容と思います。ありがとうございます。
トルコには悪いけど、ロシアとこのままずっと泥沼を演じ続けていてほしい。
それが極東にどれだけの影響となるのかは分からないけれども。
そもそもロシアには二正面で戦うほどの能力も国力もないので、常に混乱していると助かる。
そう言ってたけどウクライナ占拠されたまんまリビアやシリアで大暴れ。
ロシア分析ってあんま当たんないだよな。
良かれ悪かれ
大きな資源国で利益率が高く、その資金を軍事に大きく振り分けてるのがロシアの厄介な所。巨大なゲリラ組織とも言える。日本のような資金源が加工貿易では資金を多方面に振り分ける必要があるので、真似ができない。一方でアメリカはその両方において世界最高水準と言える。