欧州関連

6ヶ国9社で争われたエストニア国防軍のAFV・MRAP調達、勝者はトルコ企業

エストニア国防軍のAFV・MRAP契約を巡ってフィンランド、フランス、イタリア、イスラエル、スペイン、トルコが争っていたが、エストニア国防省は19日「トルコ企業2社と総額2億ユーロの契約(計230輌)を締結した」と発表した。

参考:Estonia to Purchase Approximately €200 Million Worth of New Armoured Vehicles

UAVに比べて規制や制限は少ない陸上プラットフォームは輸出し易い

エストニア国防省は「第2歩兵旅団向けの装甲戦闘車両(AFV)」「第1・第2旅団で使用する戦術車輌」を調達するため入札を実施、この契約をフィンランド、フランス、イタリア、イスラエル、スペイン、トルコの企業9社が争っていたが、エストニア国防省は「トルコ企業2社と総額2億ユーロの契約(計230輌)を締結した」と発表した。

契約を獲得したのは第2歩兵旅団向けの装甲戦闘車両に「ARMA6x6」を提案したオトカル社と、第1・第2旅団で使用する戦術車輌に「NMS4X4」を提案したヌロル・マキナ社で、エストニア国防省は「入札は9社による非常に激しい競争になり、(要求要件を満たしている上で)納期と価格を重視して選定した。オトカル社とヌロル・マキナ社は装甲車輌の製造に豊富な経験を有している」と、エストニア国防軍のヴェイコ・ヴェロ・パーム少将も「今回調達する装甲戦闘車両によって第2歩兵旅団の生存性と柔軟性が向上するだろう」と述べている。

オトカル社のARMA6x6はFNSS提案のPARS6x6に破れてトルコ陸軍採用を逃したものの、バーレーン(73輌)やアラブ首長国連邦(400輌)からの受注を獲得、カザフスタンも調達を検討中(約800輌)だと報じられており、ARMA6x6は海外から高い評価を獲得しているAFVだ。

出典:Nurol Makina NMS4X4の対空バージョン

ヌロル・マキナ社のNMS4X4は耐地雷・伏撃防護車両(MRAP)の一種で、同社のアヌル・カレル副社長は2022年6月「今年中に契約を締結した3ヶ国(詳細は不明)へNMS4X4を納車する予定だ」と述べているため、こちらもARMA6x6と同様に高い評価を獲得しているのだろう。

因みにトルコの武器輸出(44億ドル/国内売上を加えると122億ドル)を牽引するのはUAV/UCAVではなく伝統的な陸上装備で、トルコの軍事アナリストは「UAVに比べて規制や制限は少ない陸上プラットフォームは輸出し易い」と述べている。

関連記事:サウジアラビアがAkinci導入、トルコは史上最大の武器輸出契約を獲得
関連記事:トルコ、武器輸出を通じた2ヶ国関係の強化は利益の数字よりも価値がある

 

※アイキャッチ画像の出典:Otokar Savunma Sanayi

フィリピン軍参謀総長、安全保障分野における米国と日本の関係強化を発表前のページ

活気づく輸送機需要、オランダやオーストリアに続きチェコもC-390を選択次のページ

関連記事

  1. 欧州関連

    SAAB、スウェーデンから次世代戦闘機システムの概念研究を受注

    SAABは22日「スウェーデン軍国防資材局から次世代戦闘機システムの概…

  2. 欧州関連

    ドイツ軍、ウクライナ軍はもたらされるはずだった優位性を発揮してない

    ドイツのBild紙は25日、入手したドイツ連邦軍の機密文書に基づき「ウ…

  3. 欧州関連

    果たして売れるのか? トルコ製UAV「バイラクタルTB2」が衛星通信による遠隔制御に対応

    トルコメディアは9日、国産化に成功した小型の走行追尾型衛星端末(SOT…

  4. 欧州関連

    欧州、米国依存からの脱却を目指し電磁式レールガンを共同開発

    欧州防衛庁(EDA)は先端軍事技術の米国依存から脱却するため欧州は電磁…

  5. 欧州関連

    中国頼みの弾薬生産、ドイツ軍の弾薬備蓄量が数時間~数日分まで急減

    ドイツ軍の弾薬備蓄量は戦争が始まると数時間~数日しか保たないレベルまで…

  6. 欧州関連

    ウクライナ政府、ゼレンスキー大統領はG7にオンラインで出席すると発表

    Bloombergは「日本に向かい広島で開催されるG7に直接参加する予…

コメント

    • 7743
    • 2023年 10月 20日

    >陸上プラットフォームは輸出し易い

    確かに技術的な制約が少なく輸出はしやすいのでしょうが、それは他国にとっても同じで、それ故に厳しい受注競争となると言う話ですね。
    日本も昨今、武器輸出に関する議論が注目されるようになりましたが、日本側の事情だけでなく、相手国・他の競合国の視点も持ち合わせる必要がありそうですね。

    8
    • BUMAR-ŁABĘDY
    • 2023年 10月 20日

    管理人様
    記事本文の社名と製品名があべこべになっているように見受けられます。

    NMS4×4はヌロルマキナ社
    ARMA6×6はオトカル社

    8
      • 航空万能論GF管理人
      • 2023年 10月 20日

      完全に間違えました。ご指摘ありがとうございます。

      12
    • k.ziro
    • 2023年 10月 23日

    大阪の万博は海外パビリオンの出展が少なくて困っているのだから
    こういうのも展示してもいいじゃんと思ってしまう。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

  1. 中国関連

    中国は3つの新型エンジン開発を完了、サプライチェーン問題を解決すれば量産開始
  2. 中東アフリカ関連

    アラブ首長国連邦のEDGE、IDEX2023で無人戦闘機「Jeniah」を披露
  3. 米国関連

    米空軍の2023年調達コスト、F-35Aは1.06億ドル、F-15EXは1.01…
  4. 米国関連

    米陸軍の2023年調達コスト、AMPVは1,080万ドル、MPFは1,250万ド…
  5. 米国関連

    米海軍の2023年調達コスト、MQ-25Aは1.7億ドル、アーレイ・バーク級は1…
PAGE TOP