欧州関連

ウクライナ軍、ドニエプル川河口のボリショイ・ポチョムキンスキー島を解放

ウクライナ最高議会のオレクシー・ゴンチャレンコ議員は2日「ドニエプル川河口に位置するボリショイ・ポチョムキンスキー島を解放した」と発表、同島に国旗を掲げる兵士を映した動画もTelegram上で公開している。

参考:ВСУ освободили остров Большой Потемкинский между левым и правым берегом Днепра (видео)
参考:ВСУ освободили остров Большой Потемкинский в Херсонской области – источники

ボリショイ・ポチョムキンスキー島の解放はウクライナ人にとって久々に明るい話題

オレクシー・ゴンチャレンコ議員が解放したと発表した「ボリショイ・ポチョムキンスキー島」はヘルソン州の右岸と左岸の間にある島(面積約21平方km)で、昨年の12月8日に大統領府顧問を務めるオレクシイ・アレストビッチ氏が「ドニエプル川河口を支配するためボリショイ・ポチョムキンスキー島にロシア軍が兵士を送り込んだ」と報告していた。

出典:GoogleMap 南部戦線の戦況/管理人加工(クリックで拡大可能)

つまり「ボリショイ・ポチョムキンスキー島に上陸したロシア軍兵士を追い出してウクライナ軍が島の支配を確立した」という意味になるが、参謀本部は昨年の12月5日に「ロシア軍がボリショイ・ポチョムキンスキー島の住民を左岸地域に強制避難させた」と発表しているため、恐らく住民の強制避難が完了した同島は無人のまま放置されていた可能性が高い。

どちらしても「ボリショイ・ポチョムキンスキー島の解放」という知らせは、目立った変化が乏しいまま緊迫した状況が続く東部戦線のことを考えると「最もポジティブな部類のニュース」なので、ウクライナ人にとって「久々に明るい話題」と言えるだろう。

因みに年末から年明けにかけてクリミアのセバストポリでロシア軍の防空システムが作動、ウクライナ軍のものと見られる複数の無人機が繰り返し侵入している。

追記:ウクライナ軍は「ボリショイ・ポチョムキンスキー島の解放」を論じるのは時期尚早と発表、恐らく国旗を同島の一部に掲げただけで島全体を支配しているわけではない可能性が高い。

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※アイキャッチ画像の出典:ГОНЧАРЕНКО

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コメント

    • mun
    • 2023年 1月 03日

    前々から、地面が凍る厳寒期が来たら再び戦線が動き出すとの見方がありましたが
    予想に反してなかなか零下まで気温が下がらなかったため、地面は凍っていなかったのでしょう

    ロシア軍は地面が凍るのを見越してウクライナ軍よりも先に
    少し早めに攻勢をかけた感がありますが、それが裏目に出てしまったのかも知れません
    攻勢の勢いが弱くなっています

    予報によれば、今週末には今度こそ本格的に気温が下がりそうです
    ロシア軍が先走って攻勢をかけ息切れしているのであれば、ウクライナ軍が有利になるでしょうし
    ロシア軍にはまだ余力があり、予報を見越して力を蓄えているのであれば要注意ですね

    17
    • マロリー
    • 2023年 1月 03日

    ここ、人が住んでたんだな。というか戦地(占領地)だったんだ。 
    ほぼ中州だし、日本で言う、瀬戸内海にある無数の無人島的なヤツだと思ってた。

    ロシアとしてもこんな攻めるにも守るにも逃げるにも補給や兵站も大変な最前線の島なんかいらんくね?ここも東側に全部引き上げてたときに引き上げれれば良かったのでは…。

    1
      • 774rr
      • 2023年 1月 03日

      それなりに広い島っぽいよ
      グーグルマップで見ると橋は無いけどマリーナとかホテル?は在るみたい
      戦争中で無ければ素敵な1日が楽しめそうな所やいね

      6
    • 774rr
    • 2023年 1月 03日

    新年早々素晴らしいニュース!
    ロシア側からの砲撃がキツそうな場所だけど負けずに確保し続けられると良いね

    3
    •  
    • 2023年 1月 03日

    うーん大本営発表……
    しかしこの微妙に地面の凍りきらない暖冬で発表出来る戦果が出てこないという状況は、ウクライナにとっては長く続いた夏季の攻勢から体勢を立て直す時間を稼げているということであり、冬季の攻勢を予定していたロシアは歯がゆい思いをしているでしょうし、この時期にこのニュースが出てくるということ自体がいいニュースなのかもしれませんね。

    4
    • 通りすがりの動物号
    • 2023年 1月 04日

    左岸のロシア軍から砲弾がバンバン飛んでくるので、解放したといっても住民が戻れる状況ではないということですね。

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