ウクライナメディアのRBC Ukraineは20日「大統領周りの関係者はゼレンスキーとザルジニーの関係が冷え込んでいると認めた」「ゼレンスキーの型破りで攻撃的な外交手法も今年はマイナスにしか作用していない」と報じている。
参考:Political tensions caused by war and what will happen to West’s help for Ukraine
ゼレンスキーとザルジニーの間に対立は存在するのか?
RBC Ukraineの政治アナリスト(ミラン・レリック氏)は20日「大統領側近と大統領府の関係者はゼレンスキーとザルジニーの関係が冷え込んでいると認めた」「昨年よく機能した型破りで攻撃的な外交手法も今年はマイナスにしか作用していない」と報じており、非常に長い記事の主要ポイントを要約すると以下の通りになる。

出典:Командування Сил спеціальних операцій ЗС України ヴィクトル・ホレンコ少将
“ゼレンスキー大統領の周りは「政権内部の問題点に言及したTIME誌の記事」や「ロシアとの戦争や反攻作戦の問題点に言及したThe Economist紙の記事」によって慌ただしくなっており、特にザルジニー総司令官はEconomist紙の記事の件でジョフクヴァ大統領府副長官から激しく非難され、ホレンコ少将は何の前触れもなく特殊作戦軍司令官の地位を失った”
“RBC Ukraineによればザルジニー総司令官はホレンコ少将の解任を知らされておらず、解任理由についても複数の情報筋は「イエルマーク大統領府長官の下で軍事分野を担当するマショベツ副長官とホレンコ少将の間の対立が原因だ」と述べており、マショベツ副長官は我々のインタビューに応じなかったものの同氏が特殊作戦軍の創設メンバーだったことは注目に値する”

出典:ПРЕЗИДЕНТ УКРАЇНИ 軍の医療問題を米医療法人と協議するマショベツ副長官
“大統領の側近と大統領府の関係者はゼレンスキーとザルジニーの関係が冷え込んでいると認めている(その程度は西側メディアが報じるほどではない)。大統領の側近は「Economist紙への寄稿は純粋に『ウクライナの問題を西側諸国に説明して解決策を提示する』という意図から来ているが、ザルジニーは西側高官とのコミュニケーションが乏しく、そこでの意志決定プロセスがどのようなものなのか理解していない」と強調した”
“結局のところザルジニーの指摘は裏目に出た可能性が高く、ウクライナへの軍事支援に懐疑的な人々は「最高司令官のザルジニーまで戦争が膠着状態だと認めている」と新たな議論を巻き起こした。この寄稿の内容が大統領府と調整されたものかは不明だが、RBC Ukraineによれば大統領府は「ザルジニーがEconomist紙に寄稿する」と把握していたものの内容について認識していなかったらしい”

出典:PRESIDENT OF UKRAINE
“大統領府の関係者は「Economist紙の記事についてゼレンスキーは何らかの反応を示すべきだったが、政治的な理由でそれが出来なかった」と考えており、大統領選挙という背景がなければ「政権と軍部の分裂」について語る理由はもっと少なかっただろう”
“政権内の矛盾を積極的に攻撃すること自体はどの野党でも行うことだが、与党は野党の狙いについて「もっと別の計画がある=ザルジニーを政治の舞台に引っ張り出してゼレンスキーの対抗馬に仕立てるという意味」と考えており、同氏への国民人気を考えると「ザルジニーが選挙に参加するという可能性」は全ての計画を狂わせるだけのインパクトがある。本人は政治に興味はないと述べているが「擁立に動く者」も「排除に動く者」もいるはずだ”

出典:Головнокомандувач ЗСУ
“大統領の側近も「軍事的指導者としてのザルジニーの手腕は優れている」と認めており、今直ぐザルジニーを解任すると国民人気に加えて「潜在的な政治家としてのキャリアに大きなボーナス=ウクライナ軍の問題を指摘して解任されたという反ゼレンスキーの色」がつくだろう”
“どの組織でも設定目標に到達しなかった場合、非難、口論、犯人探しが始まるものだが、ウクライナの状況を客観的に見ると「2023年に設定された目標」を達成したとは言い難く、到底「勝利の年」とは呼べないものだった。政権の積極的過ぎる立場は侵攻初期の国民団結に役立ったものの今では逆効果になっている。結局のところ1年以上も叫び続けた「勝利は目前」というテーゼも「戦場での勝利」が伴っていないため、叫べば叫ぶほど政権への信頼が低下するだけだで、今直ぐにでも国民に対して誠実な対話を始めるべきだ”

出典:Сухопутні війська ЗС України
“さらに問題なのは敵であるロシアがこうした状況の矛盾を積極的に利用しようとしている点で、ゼレンスキーも最近「ウクライナ政権の転覆を狙ったマイダン3をロシアが準備している」と公の場で公言した。この計画が事実かどうかは不明だが、ウクライナの対外情勢はかつて無いほど厳しく団結の必要性が今ほど求められたことはない”
“深刻な対外状況を考えれば国内の争いは一刻も早く停戦(政治的もしくは国民間の対立を収めるという意味)しなければならない”
欧米の同盟国に何が期待できるのか
“ここ数ヶ月間の世界情勢が概ね「ウクライナにとって不利な状況にある」ということは容易に想像でき、慢性的な米下院の危機的状況、中東での大規模な戦争勃発、スロバキアで誕生した反ウクライナ政権などはウクライナの関与が及ばない範囲の問題だ。さらに脅威なのはトランプ前大統領の勢いが増して2024年にホワイトハウスへ戻ってくる可能性が高まっている点だろう”
“もしトランプ前大統領が政権に復帰すれば米国やウクライナだけでなく世界中に予測不可能な結果をもたらすだろう。このプロセスにウクライナが影響力を行使するのはほぼ不可能だが、それでも外交戦略やレトリックの調整は必要だ”

出典:U.S. Air Force photo by Airman 1st Class Monica Roybal
“昨年上手く機能した「型破りで攻撃的な外交手法」は明らかに効果を失っている。昨年に本手法で支援に消極的だったドイツを焚き付けることに成功したものの、この夏のNATO首脳会議では「ゼレンスキー大統領の攻撃的な口調」が裏目に出てしまった”
“RBC Ukraineは欧米当局者に取材し「政治的意志と国民の支持が失われていないためウクライナ支援を打ち切る国はない」という結論を得たが、まもなくEU加盟交渉が開始される可能性が高いという以外に明るい話題がなく、これもロシアとの戦争に直接的かつ即時的に影響を与えるものではない。逆にロシアは北朝鮮から100万発以上の砲弾を入手した可能性が高く、欧州は約束した100万発の砲弾供給が期日内に間に合わないと認めている”

出典:President.gov.ua/CC BY 4.0
“RBC Ukraineが取材した全ての欧米当局者は「ウクライナにとって2024年は今年よりも厳しい年になる」と認めており、その主な原因は米国の政治的混乱で、ゼレンスキー政権もバイデン政権との協力だけに集中するのはリスクが高いと気づき、現在は共和党の様々なグループとも積極的な接触を図っている”
“欧米諸国は「ウクライナとロシアの戦争を如何にして終わらせるのか」というビジョンを持っていないため「ウクライナが必要とするだけ支援を継続する」というチープなフレーズは依然として有効だが、トランプ前大統領の政権復帰によって全てがひっくり返らない限り、この戦争は長期化する可能性が高く、これを回避するため西側諸国は現在のアプローチを変更しなければならない”

出典:Генеральний штаб ЗСУ
“ウクライナ軍がどの方向に何キロ進んだかという大げさな注目から、西側諸国の利益に繋がる無条件で長期的な支援に目先を変える必要があり、このことは欧州の外交界やメディアでも注目され始めている。カーネギー国際平和基金はWSJ紙に寄稿した記事(ロシアの敗北に関する魔術的思考を終わらせる時がきた)の中で「西側の指導者達は経済制裁、反攻作戦の成功、新兵器の供給などのアプローチがプーチンを交渉テーブルに着かせることを強制するか、クーデターが発生して権力の座からプーチンが追放されると信じすぎている」と指摘した”
“この記事は冒頭部分で「消耗戦にロシアは耐えられる」「クーデター未遂はプーチンの権力掌握に寄与しただけだった」「制裁はロシア経済や防衛産業に決定的なダメージを与えていない」と指摘し、多くの読者はこの部分に注目したが、この記事が指摘した「NATOと対決するロシアの立場は旧ソ連時代よりも遥かに脆弱だ」という言及は注目されていない”

出典:PHOTO BY Senior Airman Duncan Bevan
“現在のロシアはソ連時代のようなイデオロギーモデルを提示できておらず、欧州は第二次大戦後のように荒廃していないし、NATOは新しい加盟国を受けいれて拡大し続けており、最も重要なのはウクライナが予想に反してロシアの攻撃に耐えていることだ。要するにウクライナ支援は西側諸国にとって「ロシア封じ込め戦略」の重要な要素になりえるこということで、カーネギー国際平和基金は記事の中で「この戦略について欧米諸国は長期的ものであると明確に理解しなければならない」と指摘している”
“もしウクライナに残された選択肢が「長期的なロシア封じ込め戦略における重要な要素」であった場合、このような考え方を西側政界に訴求していく以外に何が出来るのだろうか?”

出典:pixabay
“勿論、戦い続け、国を強化し続け、チャンスを待ち続けることだけだ。ある大統領府の関係者はRBC Ukraineの取材に「恐らくウクライナの国内情勢も、前線の状況も、西側諸国の政治情勢も春まで現状維持が続くだろう。我々は敵を撃退しながら米国の政策を監視するだけだ。何故なら米国の政策が我々の国内政治よりも重要だからだ」と述べている”
以上がウクライナ人政治アナリスト(ミラン・レリック氏)が主張した内容の主要ポイントで、特にザルジニー総司令官を取り巻く環境は「ゼレンスキー大統領がTIME誌の記事中で言及した内容=侵攻初期の危機を切り抜け前線が東部や南部に限定されたことでキーウに政治闘争が戻ってきたこと」という主張を裏付けている格好だ。

出典:PRESIDENT OF UKRAINE
さらに強気なゼレンスキー大統領の対外発言も「型破りで攻撃的な外交手法」と呼び「この手法がもう効果を失ってマイナスにしか働かない」という指摘も興味深く、何よりも海外メディアではなく現地メディア、ウクライナ人から見た国内状況の評価という点が目新しい。
関連記事:米タイム誌、大統領の頑固さがウクライナの柔軟性や選択肢を狭めている
関連記事:ザルジニー総司令官が反攻作戦の評価に言及、私が間違っていた
関連記事:ウクライナ側が否定するTIME誌の記事、記者は現大統領顧問が情報源と示唆
関連記事:Economist紙、反攻作戦の失敗を認めないと同じ結果を繰り返すだけ
※アイキャッチ画像の出典:左 PRESIDENT OF UKRAINE/右 Головнокомандувач ЗСУ
自国のメディアが鋭くも本質を突いた指摘をしてくるのは、ゼレンスキー政権にとっては辛い所だろうが、戦時においてもジャーナリズム的な視点で評価をする存在がいるというのはウクライナ国民にとっては良いことだろう。
政府にとって都合の良い内容しか出さなくなり、嘘を吐くことに罪悪感を抱かなくなるマスメディアが乱立するようになったなら、民主主義国家とは呼ぶに値しない。
ウクライナメディアからも見ても、ゼレンスキー大統領の外交が『攻撃的』という形で捉えられていた事には少し安心した。あれがウクライナ人のスタンダートな対話方法・訴求方法だとするなら、必要以上に関わりたくはないと感じていたからだ。
政府と軍部の関係については、前々から感じていたことだが、戦争が始まった以上、軍部に全県委任するのが正しい事であり、政府は大まかな方針以外は口を出すべきではないだろう。支援を取り付けるためとは言え、無茶を言って多大な損失を出す事をお互いに望んでいないだろう。
なんじゃこりゃ
政権の維持と武器から終戦計画まで丸投げした西側依存の成れの果てじゃないか
こんなもん西側の利益のためにウクライナ人に死ねといってるだけだろ
ザルジニー総司令官の手腕は国内からも、恐らくは敵方のロシアからも認められているのに、キエフの政治対立で失脚させられる危険性があり、現状でそれを留めているのが「潜在的な政治家としてのキャリアに大きなボーナス=ウクライナ軍の問題を指摘して解任されたという反ゼレンスキーの色」への警戒というのは、内ゲバの根深さが表れている。
当然、この記事の意見だけが全体ではないだろうが、キエフの政治層から庶民に至るまで一致団結とは言い難いのだけは感じ取れてしまう。果たしてこの情勢下で、前線への追加人員のための新規徴兵やローテーションは機能するのだろうか?
またもし、国民にアンケートを取った場合「ゼレンスキー支持」と「ザルジニー支持」はどのような分布になるのだろうか興味はある。
戦争に勝つだけならザルジニー大統領による軍事独裁政権化がベストなんだろうけど、それだとEUや国民の求めていたものとは別の方向に行くからな。
こういうの見るとウクライナはなかなか民主主義的。
逆に抑え込めているロシアはすごい…
ただウクライナは総力戦をするしかないよ。
議論も政治闘争もすれば良いけど、いずれにせよウクライナのリソースを全て集めて活用するくらいじゃないとこの戦争には勝てない。
ある部分では対立しても、米国みたいに分断する余裕は無いはず。
現実には戦争の気勢には米国の対応が鍵だけど、米国の行方の不確かさ怪しさは、上手くいくとウクライナのより結集とモチベーションを産むかもしれない。
まぁ周囲を信じず周囲に依存しないのが過度になったのがイスラエルかもしれんけど。
>こういうの見るとウクライナはなかなか民主主義的。
>ただウクライナは総力戦をするしかない。
この2つが両立できないのが、体制面と経済面でのウクライナの泣き所だと思っています。
総力戦体制はこれまでよりもさらに民間への負荷が増大し、仮に戦争に勝っても(ロシア軍を撤退に追い込めても)国土は荒廃し、低所得者は生きていけない社会しか残らない。低所得者は“勝利のために犠牲にされる”ことが確定され、言い方を変えれば戦争の犠牲を徴兵される前線兵士から全国民へ拡大させ負担を強いるのが総力戦です。
民主主義体制のウクライナ国民全員がそれを許容するのは不可能であり、高所得者と低所得者の乖離が浮き彫りになれば、第一次大戦のドイツが似た経緯で瓦解したように、別の革命リスクが出てきます。(また、専制国家でもロシア革命は起きました)
G7のような元々の国力がある程度備蓄されている国々ならば、民主主義体制を根本的に崩さないまま2~4年程度の総力戦体制は維持できるでしょうが、国力が非常に低いウクライナでは【重病患者に強力すぎる抗生物質を投与】するような形になってしまうかと。外からのウィルス(ロシア軍)は駆逐できても、身体も壊れてしまい臓器の幾つか(低所得者)を切除せざるを得なくなる。
結局のところ、ウクライナとロシアの間に立ちはだかるのは、砲弾・兵数・兵器の物量もさることながら、根本的な【国力差】なのだと思います。アメリカからの援助が停滞、減少すればこの差は開く一方で、失う領土が増えるだけになる。
全体的にはおっしゃる通りです。しかし、民主主義という面から考えると、結論は、ウクライナもロシアもどっちもどっちです。
・まず、ウクライナもロシアもソ連ではありません。ソ連共産党の支配ではえりません。両者とも選挙があります。
・しかし、もし強いて順番をつけるとロシアの方がウクライナより民主的です。言論の自由や野党への対応などを含めて。
特に私は損失の推定のために動員に注目してきました。分かりやすいのですが、ウクライナは街角で拘束してその場で召集令状を作り動員できる国なんです。ロシアの方は、一般人の動員はできず、予備役の一部の召集が大騒ぎになる国です。
これは戦争の切迫感の違いもあるかもしれませんが、今のロシアは街角で拘束して動員できるような体質の国ではなく、この意味では、ソ連の残しはウクライナの方に強いと思います。これは、両国の個人に対するものでなく、制度的なところからの評価です。
ご意見ありがとうございます。参考になります。
なるほど、民主主義という面(政治体制)だと双方に差はないのですね。となると、人口差と領土の差もありますが、歳入の1/3が原油やガスの国営企業からによる経済の性質などのほうが両者の差としては出ていそうですね。農業生産大国である点は同じでしたし。
後は、兵器を自国で製造しているか、他国から援助してもらっているかが決定的に異なる点か。
しかしバイデン大統領が再選すれば、支援が継続されて、十分な武器が供給されてウクライナ軍が有利になるかというと、そういう見込みも乏しく、その象徴的な話が
「百万発の砲弾」
です。
現状ではバイデンが大統領のままでも、アメリカ軍がウクライナ軍に供給できる砲弾はすでにクラスター砲弾しかなく、EUは百万発の砲弾を約束通りに供与できない、北朝鮮は百万発の砲弾を供給できてるらしい、ということで、欧米各国で現状の政治体制がこのまま継続しても、ウクライナ軍に十分な砲弾が補給されない現実は変わりません。最前線のウクライナ軍が必要としているのは百万本のバラよりも百万発の砲弾なのです。
しかしザルジニ司令官が理解できない西側高官とのコミュニケーションによる意思決定のプロセスというのは、一体全体どういうもんなんでしょうか?西側高官に言われた通りにやれといわれたからただ黙って言われた通りにやるみたいな話でしょうか?
ザルジニーは良くも悪くも軍人さんなんでしょう
今回の寄稿を見ても所謂政治的な駆け引きは専門外って事では
最近ゼレンスキー大統領が質の悪い”ギレンの尻尾”に見えてきた。
「型破りで攻撃的な外交手法」
ゼレンスキー大統領は会う人すべてに“ウクライナへの招待状”を送っていそうなイメージがあります
口を開けば「ウクライナに来てほしい」としか言わないというか
上記の招待状を送られた人がウクライナへの支援に好意的になるとは思えないのであまり良いやり方だとは思えないと常々思っています
ウクライナへの支援継続を続けてもらうために国際社会にアピールしたいならイスラエルやハマスみたいなセンセーショナルなプロパガンダ戦略を取るのがいいと思うのですがウクライナはあまりやりませんよね
どちらかというとロシアの息がかかってそうな親露派のプロパガンダの方が目立っている気がします(キーウやオデーサは平和だとか高官の子供が豪遊してるとか)
正確な未来などどこの国でも最高機密であり、一般メディアで語れるのはあくまで推測
推測に期待し過ぎている人間が多過ぎるし、気持ちが強過ぎ
確かに、メディアの語る反転攻勢に欧米側の人間は期待しすぎてました。反動として“期待外れ”の失望感と支援疲れが蔓延しているのが今なのでしょうが。
期待させたのもウクライナなので、要するにウクライナの戦略のツケが回ってきたという事ですね…
去年の今ごろにはブダノフに「来年の春には戦は終わり、夏には全て終わる」(当時の時制。つまり今年夏には全て終わるとの意味だった)と
一時的な負担だからとの言い訳を持たせて最大限の支援を捻出できるよう宣伝戦を行いました
それで反攻作戦に必要な戦車が集まった訳です
(ドイツに関してはノルドストリーム爆破で追い詰められた面が大きいと思いますが)
これからのウクライナはどのような展望を打ち出して支援を取り付けるのか、興味深いですね
>ロシアは北朝鮮から100万発以上の砲弾を入手した可能性が高く、欧州は約束した100万発の砲弾供給が期日内に間に合わない
これは並べてみると強烈なレトリックですねえ。
ほぼ全EU<<北朝鮮って
まあ、単純にアタマ悪い考えで言えば「ウクライナ囃し立てたケツ持ちであるバイデンが、ゼレンスキーとザルジニーのどっちを切り捨てるか?」に尽きるんだろうな、と。
このまま戦争続けたいのならザルジニー切りさせて泥沼化の継続。
既にバイデンが自分の尻にまで火が付きだしてる現状でアフガン同様にウクライナを放り出すのなら、ゼレンスキー切りして選挙を強要し、後は適当に「先細りの援助」して西側の協力責任をポーズしつつザルジニーもしくはそれ以外に「あなたたちの問題です」と丸投げ。
とまあ、ごちゃごちゃ細かい事をいちいち考えなければそうなるかも。
ウクライナは長期戦に備える必要があるのでしょう。
大統領と総司令官とで喧嘩してる場合ではないのでは。
互いに能力を認めるなら、そこは妥協をするのでは。外向きはともかく。
この場合、長期戦とは、ウクライナの出せるものと、西側の援助できるものを
加算して、ロシアの総力戦で出てくるものを上回ることでしょう。
現在西側で、国家予算に対しロシアに匹敵するような劇的な国防比率を
実現した国は一つもないでしょう。
今回、ロシアにはWW2の米国のレンドリースの様なものもありません。
西側は中共を牽制しつつ、数年かけて総力戦状態のロシアを締め上げるべきでは。
ロシアは国家予算の大半を天然資源等の国有企業からの上がりで賄っている国であり、
基本的に国民負担率が低いうえ、非民主的な側面があり国家権力が非常に強いため
かなり自由が利くという意味で西側諸国とは根本的に違うでしょう。
西側で劇的な国防比率を上げようとしたら、国民からの大増税が必要だから、
よほどのことがない限り無理だ
これだけ赤字国債を発行しているにも関わらず、日本の国民負担率は約50%ですよ
それで原油価格を抑えているのですから。
今度は、輸送部門(パイプライン/鉄道)を抑えないとでしょうか。
う~ん、私はザルジニー最高司令官のエコノミストへのインタビューと寄稿が何でそんな問題になるのかがわかんないだよね。
政治的に戦争目標がクリミア半島奪還てゆうとんでもなく無理クリに決められてしまっていて、その中でやはり政治的に反攻作戦の時期と目標と戦術までほぼほぼ強制または限定されていたのが
反攻緒戦でやっぱり不可能となってしまったのに、何とかかんとかロシア軍に大きな損失を与えつつも西側の援助は先細り、動員すら激減してしまった。
このままでは長期戦でロシア軍有利となってしまう為、これは戦略の誤りを一旦認めて冬の間に新たな戦略を練り直し、自軍の窮状を晒すと共に新たな支援とその方向性を示そう、と。
それは軍の士気が下がるだの各支援国の思惑がどうなる言われますが、前線に何十万人も張り付いてる兵はザルジニーが率直に言おうが言わまいが目茶苦茶キツいの敏感に感じ取ってるだろし
それぞれの支援国の都合はどうしょうもないのは分かっていて大本営発表続けていても意味は無いのだから、失敗を認め勝つためのフェーズに入ろう。
究極の現実主義に直面する軍人として全うな対応と思うんですが、どうもウクライナ政権内どころか軍内でも権力闘争と言うのか
足の引っ張り合いと少しでも自分が手柄を挙げたいみたいな雑な作戦が目立つだよね。
何が言いたいかというと、自滅の方向へ向かうのは絶対に止めてもらいたいし、支持率の下がってきたゼレンスキーの政権運営を軌道修正していただきたい。
あと、ちょっとでいいから一兵士の目線で物を考えて欲しい。昨年のセベロドネツクからずっと前線の兵の悲惨さは語られているのに一向に待遇が良くならないどころか鬼のように悪化して行っているように見える。
そういう時は反対側を考えれば良いのです
ゼレンスキーの領分である外交とウクライナ支援の維持を
地味に堅実に戦うのが軍事的合理性とは言うが、それで軽佻浮薄な民主主義国家はウクライナ援助を維持あるは欲を言うなら拡大できるのか?と
ゼレンスキーが軍事的合理性を軽視したような主張をするのは、結局のところ支援国の国民という根本的に制御不可能で浮動的な意思をどうウクライナ支援に肯定的に持って行くのかという困難な課題への取り組みなので…
こればっかりは誰も正解を知りませんからね
民意を自由に操れるのなら選挙で負ける政治家は出ません
ザルジニーの記事への批判はこのゼレンスキーの仕事と衝突しているのではないか、政府内での摺り合わせはできていたのか?って事ですね
勿論摺り合わせ済みなら批判は不当です
>「NATOと対決するロシアの立場は旧ソ連時代よりも遥かに脆弱だ」
そしてそのソ連の残り滓のロシアと張り合うくらい今のNATOも脆弱なんだが気づいていないようだ
直接戦っているのはロシアとウクライナだが、既に事態は中露vs米欧宇の世界大戦
高みで見物していれば勝手にロシアを消耗させられると驕ったNATOは既に足元が燃えているにもかかわらず当事者意識がない
そして後世の歴史家はこの戦争をこう総括するだろう
旧覇権国家米国の落伍、そして新覇権国家中国の戴冠
中国は中国で足元が焦げ付き始めてるのが問題なんですけどね
それで国内がグラついた時にどう転ぶか判らんから周りが戦々恐々としてんのが今の東アジア情勢でしょう
現代の欧米や日本の様に緩やかな衰退であれば良いんだけど、かつての本邦しかり欧米しかりで大抵の覇権国家は過激な手法で解決を図るのが通り相場なので
そりゃまあ、裸の王様が裸で練り歩いてるのをみんなで必死に見ないフリしてるところに、ザルジニー将軍が海外メディアに「率直に言って、王様は何も着ていないことが分かった」とか書いちゃったわけですよ。
これは大問題です。
ただ、問題は、真の問題はどこにあるのかってことでして。
裸の王様が悪いのか,王様を裸で歩かせてるイギリスが悪いのか。見ないフリをしている連中は共犯なのか。それとも,空気を読まなかったザルジニーが悪いのか。
謎は深まるばかりです。
もう少し慎重に考えるべきかも知れません
ウクライナのドローンも根っこが中国部品なので、中国を中立的立場に留めた露北vs米欧宇ですらこの体たらく、と
中国が本格的に米欧との対立に踏み切った時、欧米の生産力はどの程度残るのやら
ウクライナ人政治アナリストの主張で、違和感のある部分です。
戦い続ければ、国は強化できるのではなく、荒廃して弱体化していくのではないでしょうか(本土決戦のため)。
チャンスがくるかどうか、相手(ロシア)と支援に分けて考えればですが。
ロシアは戦時体制を整えていますし、支援国の庶民生活はインフレでボロボロのため(政治的な)余力は減っています。
ウクライナ人が、ウクライナ軍・周辺国の現状を報道して、ウクライナ国民が現実を理解しなければ何も始まらないのでしょうね。
>勿論、戦い続け、国を強化し続け、チャンスを待ち続けることだけだ。
戦争には相手がいてウクライナがやーめたと言っても止めてくれる訳じゃないんですよ
ましてや各地の占領地で繰り返された事をおもえば
安易な停戦は主張出来ないでしょう
いや、今の状況が続けばウクライナは強くなります。
軍事費を全て外国から支援してもらい,さらには財政支出も西側から兆円単位で支給されるとなれば、ウクライナの未来は輝くほど明るいと言えますでしょう。
もちろん,その前提条件としては西側諸国が毎年毎年兆円単位の支援金を送ってくれる、ことが必須となりますが。
西側諸国はウクライナの勝利のために支援を続けると力強く約束してくれておりますから、穴の空いたバケツに水を注ぎ込むかのようにウクライナに投資をしてくれることでしょう。
たしかに、仰る通りですね。
ウクライナに対して、いつまでも兆円単位の支援や投資が続けば、輝かしい未来があるかもしれません。
あの欧州が約束を守って、いつまでも続けばですが…。
出典忘れているようなので張っておきます
Political tensions caused by war and what will happen to West’s help for Ukraine | RBC-Ukraine
リンク
完全につけわすれました。ご指摘ありがとうございます。