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リトアニアの陸軍再編、戦車は後回しでいいが防空は今直ぐ必要だ

リトアニア陸軍は戦車大隊を創設するためレオパルト2調達を検討していたが、リトアニア国防省は戦車大隊を中隊規模で創設し「浮いた資金でNASAMS(2基)を追加導入したい」と提案、ランズベルギス外相も「戦車は後回しでいいが防空は今直ぐ必要だ」と述べた。

参考:Литва может отложить закупку танков, чтобы ускорить поставки средств ПВО

優先すべきは戦車大隊を含む師団への再編か、NASAMSの追加取得か

リトアニア陸軍は機械化歩兵旅団と志願兵や予備役に訓練を提供する国防義勇軍(予備旅団)の4個旅団で構成されており、バルデマラス・ルプシス中将は昨年3月「陸軍の編成を旅団から師団に再編する一貫として機械化歩兵大隊の1つを戦車大隊に変更することを政府に提案している」と、アヌシャウスカス国防相も「レオパルト2調達に関する意向表明書(LOI)をドイツ国防省に送付する提案を国防評議会に提出した」と明かしていたが、政府は戦車大隊の創設延期を検討しているらしい。

出典:Forsvaret

エストニア国営放送は20日「リトアニアのアヌシャウスカス国防相は予定されている戦車大隊を中隊規模で創設し、浮いた資金でNASAMS(2基)を追加導入したいと提案した。現行の計画でNASAMSを追加導入できるのは10年後になるため、リトアニア国防省は戦車よりも先に防空を強化したい考えだ。この提案にはランズベルギス外相も賛同している」と報じており、アヌシャウスカス国防相は創設した戦車中隊を最終的に戦車大隊に拡張することを予定している。

ランズベルギス外相は「NATO諸国で最も不足しているのは防空装備なので国防省の提案は妥当なものだ。防空への投資は我々とNATOのニーズに合致し、今最も必要とされている。戦車は後回しでいいが防空は今直ぐ必要だ」と主張しているものの、ナウセダ大統領は「旅団から師団への再編(2030年までに完成)を計画変更で遅らせるべきではない」と述べており、まだリトアニア国防省の提案が採用されるかどうか不明だ。

関連記事:リトアニア陸軍の選択はレオパルト2、エイブラムスとブラックパンサーは敗退
関連記事:主力戦車の需要が高まる欧州、リトアニアでも戦車大隊の創設が浮上

 

※アイキャッチ画像の出典:Admiralis-generalis-Aladeen/CC BY-SA 4.0

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コメント

    • 戦略眼
    • 2024年 4月 22日

    本当は全部必要だが、Leopard2より防空システムの方が手に入れやすいのかな。

    1
      • hogehoge
      • 2024年 4月 22日

      いや、SAMは高額で貴重で審査も厳しいから、緊急的に導入するというのも難しい。
      一方で戦車は、手ごろな価格で沢山生産され審査も緩い。

      それにバルト三国はNATOに加盟しているから露軍も陸軍を侵攻させるというのは、NATOとの完全な全面戦争を意味するけれど、
      誤射と言ったり、テロリストが居たからなどと言ってミサイル数発を撃ち込むぐらいは考えられるので、
      このような挑発行為に対応できるSANの整備の方が緊急性が高いと判断しているのかと。

      19
      • せい
      • 2024年 4月 23日

      寧ろ需要に対して列が長すぎるから、多少無理しても並ばないといけないくらい逼迫してるんじゃないかな

      11
    • 幽霊
    • 2024年 4月 22日

    戦車がいくらあっても防空能力が貧弱だと航空攻撃で破壊されやすいですからね
    ただ防空能力を優先しすぎると今度は地上戦力で相手に負ける事になるでしょうね
    防空能力・地上戦力をバランス良く揃えるのは難しそうです。

    25
    • ローテクおっさん
    • 2024年 4月 22日

    防空が基本なのは現代では当然
    3年前の段階で空自には120基のパトリオットがあったらしいが充分だろうか

    7
      • のー
      • 2024年 4月 23日

      もし戦争となれば、ドローンも巡航ミサイルも大量に飛来するでしょう。
      弾切れが心配ですね。
      大量の在庫も必要ですし、生産能力と輸送能力もいりますな。

      5
      • kitty
      • 2024年 4月 23日

      比較的最近の記事で定数にも足りていないという記事を見かけた記憶があります。
      今探したんだけど、見つからない…。

      1
    • あばばばば
    • 2024年 4月 22日

    リトアニア軍は規模が大きい国ではないし、資金と人材のリソースの問題だろう
    ロシアから侵略を受けた場合には、既存の戦力で時間を稼ぎつつNATOサポートでポーランド方面から戦車部隊の増援到着を待つような形で
    ベラルーシ-カリーニングラードの間を走られて制圧されたら、けっこう苦しいだろうが

    6
      • ネコ歩き
      • 2024年 4月 22日

      ロシアが地上侵攻を始めようとすれば国境線付近への部隊集結で事前に警戒できます。演習を装っても規模に対応して対空部隊を含むNATO地上軍即応部隊がリトアニア国内に展開するでしょう。いずれリトアニア一国ではロシアの地上侵攻軍相手は圧倒されるかと。
      航空攻撃は奇襲を受ける可能性がより高いので、限られた予算とリソースの中で独自の地対空防衛力を優先強化するのは当然に思われます。

      2
        • hiroさん
        • 2024年 4月 23日

        NATOの即応部隊って総数25,000名規模だけど、陸上兵力は3個旅団12,000名程度。
        戦車等の重装備は極めて脆弱で、即応と言っても5〜30日以内に出動というレベルで、ロシア軍が10万人規模でバルト三国を侵攻する場合は展開しても対処出来ないでしょう。
        リトアニアもそんなことは百も承知の上で綱引きをしている様に思われます。

        1
    • T.T
    • 2024年 4月 22日

    まあ、想定としては防御に徹する側だろうから、防空・砲兵・FPVドローンが最優先で、他は二の次になりますね。

    2
    • ぽわうふふ
    • 2024年 4月 22日

    リトアニアにはドイツ軍を中核とする1,000人規模のNATO多国籍戦闘グループが駐留しています。
    ドイツは2027年までに一個装甲旅団(5,000人規模)をリトアニアに駐留させる計画を推進中で、NATO多国籍戦闘グループはドイツ軍旅団に統合される予定です。
    リトアニア国防省の戦車は後に回すという案はドイツ軍増強が念頭にあるのでは。

    4
      • 暇な人
      • 2024年 4月 22日

      元々はNATOには加盟するけどNATO基地は置かないからってことで加盟を認めてもらったのに駐留してさらに増派するつもりなのか、これは揉めそうだな。

      7
        • やうやうあおくなりゆくせとぎわ
        • 2024年 4月 23日

        ロシアによるクリミア併合後、バルト三国にNATO多国籍戦闘グループが配置されました。
        リトアニアはドイツ軍、ラトビアはカナダ軍、エストニアは英軍が中核となり、これにNATO各国の部隊が加わって戦闘グループを編成しています。
        戦闘グループはローテーション配置で各国の部隊は一定期間ごとに入れ替わっています。
        ウクライナ戦争勃発後、リトアニアはローテーション配置ではなく恒久配置することをドイツと協議して合意にいたりました。
        リトアニアはドイツ軍旅団を受け入れるための基地、演習地、ドイツ軍人の家族のための住宅や学校などの施設を整備します。
        ドイツ軍は今年1月に部隊配置の準備のための第一陣の人員をリトアニアに派遣しました。
        2025~2026年にかけて部隊のリトアニアへの移動を行い2027年に旅団編成を完了する予定です。

        3
    • たむごん
    • 2024年 4月 23日

    リトアニアは、ベラルーシをワンクッション挟んでロシア本土ですから、難しい所ですね。
    スヴァウキ回廊の問題もありますから、これをどう見るのかでしょうか。

    NATO(アメリカ除く)は、アメリカに防衛を頼りすぎてきましたから、今から防衛体制を整えるのは大事ですね。
    国境沿いの防衛、要塞建設などは、ほぼされていなかった記憶があるのですが、その辺りも気になりますね。

    4
    • せい
    • 2024年 4月 23日

    ドローンのおかげで、あらゆる防空システムが足りんくなってるなぁ
    安価で途上国でも数を揃えられる近距離防空システムが出来れば馬鹿売れするんだろうなぁ

    2
    • 58式素人
    • 2024年 4月 23日

    NASAMS購入の列に早めに並ぶのは良いのでは。
    でも、NASAMSに使うAIM-120はできるだけ射程を大きくして欲しいような。
    今のウクライナを見ると、滑空爆弾は50km以上遠方でリリースされるようだし。
    こんな物はいずれ補助推進ロケットが付けば、直ぐに100kmまでに遠くなるだろうし。
    かといって、PAC-2/3は入手が更に困難でしょうし。
    国土の大部分が樹林/湿地だそうだから、敵機甲戦力の侵入は街道沿いになるだろうし。
    敵が侵入してきたら、直ぐに街道を遮断できるものがあると良いですね。
    今ではKV-2を一台だけで、という事にはならないだろうし。

    4
    • kitty
    • 2024年 4月 23日

    またウクライナ海軍のネプチューンミサイルが、セヴァストポリ港に停泊中のロシアのサルベージ船Kommunaを撃破したという話です。
    USVは無理ゲーですが、なんでロシアは、セヴァストポリ港という狭い要所を巡航ミサイルから守れないんでしょうね。
    ロシア側の防空の話はあまり聞かない。

    しかし、Kommunaは1913年進水で未だ現役というすげえおばあちゃんだったのね。
    まあ、DSRVなんかの荷物が運べて、クレーンがちゃんと動けば問題なかったのかもしれませんが物持ちが良すぎる。

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