オーストラリア戦略政策研究所(ASPI)は6日午後に締結される日豪の相互アクセス協定に関連して、日本をアンザス条約の同盟国に招待できれば両国間の関係は更に深まると主張している。
参考:Australia, Japan to conclude unprecedented military deal
参考:Deeper ties with Japan send strong message to China
日本がアンザス条約に加われば米英豪の三ヶ国で構成された軍事同盟「AUKUS」に続くものになる
日本の岸田首相とオーストラリアはモリスン首相は6日午後、オンラインによる首脳会談を行い訓練目的で自衛隊と豪軍が互いの国に派遣される際の手続きを大幅に簡素化する「相互アクセス協定(円滑化協定)」に署名する予定で、モリスン首相は協定締結について「インド太平洋地域の安全と安定に貢献するという両国の積極性を示すもので豪日間の高度な防衛協力にとって新時代の幕開けであり、日本にとって本協定は米国以外の国と締結する初めての地位協定となる」と説明した。
現地メディアは日本との相互アクセス協定締結について「日本とオーストラリアは前例のない軍事協定を締結する」と報じるなど高い関心を示しているが、オーストラリア戦略政策研究所(ASPI)は今回の協定締結を契機に日本をアンザス条約の同盟国に招待できれば両国間の関係は更に深まると主張しており中々興味深い。
ASPIの主張を要約すると相互アクセス協定は訓練目的の派遣手続きを簡素化するだけだが航空自衛隊のF-35Aはオーストラリアの広大な空域で訓練することが容易になり、オーストラリア海軍の潜水艦は訓練目的で日本を訪問できるようになるので東アジア地域での活動が容易になるというメリットがあるものの「相互防衛協定ではないため互いの安全保障環境の危機には対応してない」と指摘、そのため米国、オーストラリア、ニュージーランドの3ヶ国で結成されたアンザス条約(構成国のいずれかが攻撃を受ければ三ヶ国が共同対処するための行動をとると規定)に日本を加えるべきだと言っているのだ。
ニュージーランドは1986年にアンザス条約から脱退しているため実質的には米豪二ヵ国の間の安全保障条約になっているが、多国間の安全保障条約としての枠組みが残っているため両国が日本をアンザス条約に招待することで合意すれば米英豪の三ヶ国で構成された軍事同盟「AUKUS」に続くものになるという意味で、実現に向けて協議を開始することで合意するだけでも価値があるとASPIは主張している。
今回の話は飽くまで豪シンクタンクの提案なので本当に米豪が日本をアンザス条約に招待するため動いているという話ではないが中々興味深い主張だ。
関連記事:日豪が「相互アクセス協定」大枠合意に6年もかかった理由
※アイキャッチ画像の出典:海上自衛隊
「共同対処」の内容にもよるでしょうけど、相互の防衛義務となると
そもそも日本が無理ですよねぇ。
最近は台湾防衛まで口に出しているから、(口先だけなら)相互防衛も出せるでしょう。
十年前なら口が裂けても無理だったが。
ところでオーストラリアの対日感情の方こそ大丈夫なのか?
現段階ではあくまでシンクタンクの話ではありますが、もしオーストラリア政府が条約を積極的に推進した場合、日本は専守防衛という現代戦において致命的な足かせを外すきっかけになりえるため、個人的には是非推進してほしいところですね
軍事同盟は相互的な安全保障が約束されたものでなければ結ぶメリットがありません
ただ一方的に頼られるだけで、いざ自国の危機の時に何の役にも立たなければ結ぶ価値が
がありません(これが日米安保ではアメリカ国内から言われちゃう所ではあるんですが)
日本は頼りになるとおだてられて乗せられるのも結構ですが、日本にとって挙げられた
メリットに価値があるのか、相互防衛への深化も、いざ日本の有事の際にはそれが具体的
にどんな形で機能するのか、ちゃんと議論して結んでほしいもんです
日本の国際的な地位が上がるとかそんな曖昧な理由で安易に結んでほしくはありません
特に豪州はちょっと信用出来ない相手って気がしてます
オーストラリアの仮想敵国は中国であり、日豪軍事同盟を結びそれが効力を発揮する場合、日本のほうがオーストラリアより先に危険にさらされている可能性がはるかに高く、むしろ日本にとって有利なものです
そのような条件を豪シンクタンクが提案する理由として、中国は第二列島線(オーストラリアすぐ北の島々)までの侵攻・支配を戦略目標としており、そのため近年オーストラリア軍関係では第二列島線までの侵攻を許して自力で本土防衛するよりは第一列島線防衛国と協力してそこで食い止めたほうが最終的なオーストラリアの負担や危険性が少なくなると考える傾向にあるからです
当然日本としても第一列島線防衛戦力が強化されることになるため、歓迎することこそあれ望まない理由はないかと
ちょっと前まではかなりな親中国だったんですけどね、オーストラリアは
中国とは経時的な結び付きが強かったせいで、貿易でこじれてから一気に嫌中に
なりましたけど、親中派の首相から交代してかなり極端です
リンク
貿易がこじれて嫌中に転じたとは言え、依然として資源国として中国との関係を
無視出来ないのは変わりません
こんな国はまたどう転ぶか分かりません
>こんな国はまたどう転ぶか分かりません
それは日本と中国の関係にも言えるでしょ。
どれだけ中国から輸入してると思ってるの?
日本なんて中曽根総理以降ずっと親中総理だろ
>日豪の相互アクセス協定
>アンザス条約
オーストラリアの原潜導入までの穴埋めに日本の退役潜水艦を中古導入するという話が噂程度でありましたけど、その実現に向けてでしょうかね
オーストラリアからだと通常動力型では無補給での第一列島線防衛戦力としては難しいので、その燃料や魚雷、食料などの補充や連携能力向上を目的としている協定や条約の可能性はありそうに思えますが
死刑制度をどうクリアするかですね。
円滑化協定では死刑適用を避けるみたいですけれども、両国相互ですが重大犯罪の治外法権化にならないでしょうか。
死刑を廃止したた他国と同様の協定締結のためには良い前例にはなるでしょうが法治国家としてはもやもやします。
もっともそんなことも安全が確保できてこその議論なのでそれが危うい現状が良くないのもわかるんですが…
いい案だと思う。
懸念は日本人に当たり前の国としての軍事行動が出来るか。
中露や北への抑止力として太平洋版NATOみたいなのを整備するのは悪くないと思うんですけど、豪州の動かす対中戦略に日本がオブザーバーとして参加していくというのは個人的にはあまり気乗りしないですね。
別に国家間の序列意識の話をするつもりはないんですが、中国問題において日豪で当事性が高いのがどっちかと言えば絶対日本のほうで、同問題に直面する上での緊迫度合いも日本が勝る訳ですよね。豪州の軍事力は一定水準ではあるものの、赤道を越えて東シナ海にまで派遣できる戦力としては駆逐艦が数隻程度な訳で、日豪間の協定で日本が得られるメリットは0でこそないものの決して多くはありません。
もっと言えば現在の豪州が対中対決姿勢を取っているのは貿易問題や国内の人種的対立を政界が支持固めに取り入れた結果と、中国本土と7,000km以上の距離で隔てられているという安心感に基づくものであり、必ずしも安全保障的に模範的とも言えない(過剰に攻撃的な)部分も見て取れます。特に最近の豪州は対中関係や軍事力整備を政治主導で進めている様子が見て取れます。
無能な働き者とまでは言いませんが、中国問題に関しては米台日韓あたりを第一の当事者としたうえで、豪州こそオブザーバー的な参加に留まってもらうほうが穏当なのではと個人的には思っています。特に領土紛争地域のグレーゾーン事態から発展する限定戦争などの、現実的に起こりうるシナリオでのエスカレーション管理には繊細な配慮が求められる訳で、戦争上等!などと息巻いている味方のせいで全面戦争に突入なんてあまり考えたい話ではありませんし。
オーストラリアの必死さが伝わってくる。
もし中国が日本を下してアジアの覇権を手に入れれば、オセアニアは目と鼻の先になるからな。WW2でダーウィン港を日本軍に攻撃されたように中国軍が攻めてくると考えてもおかしくはない。