英BAEの豪法人(BAE Systems Australia)は28日、現地企業と共同開発したオーストラリア初の武装可能な無人垂直離着陸機「STRIX」を発表して大きな注目を集めており、無人機向けの精密誘導兵器「RAZER」も発表している。
参考:STRIX
機体全体を傾けるという斬新な方法で垂直離着陸を実現したSTRIX
現在、オーストラリアでは参加が業界関係者に限定されたアバロンエアショーが一足先に開幕(一般公開は3日から)しており、英BAEの豪法人(BAE Systems Australia)は豪Innovaeroと共同開発した武装可能な無人垂直離着陸機「STRIX」を発表して大きな注目を集めている。
何が注目されているかと言うとタンデム翼機のSTRIXは「水平飛行用とは別に上昇用の推進装置を別途搭載する」「ティルトローター機のように推進装置を傾ける」といった従来の方法ではなく「機体全体を傾ける(垂直といった方が正しい)」という斬新な方法で垂直離着陸を実現しており、上昇用の推進装置といった無駄がなく複雑な傾斜機構も必要としない。
BAE Systems Australiaは「最大160kgのペイロードを搭載して800km以上飛行できる。STRIXの機体サイズは2.6m×4.5mとコンパクトなので艦艇での運用に適しており、垂直離着陸にも対応しているため同機の運用は滑走路に依存しない。STRIXは豪軍で使用されているものを含む様々な弾薬が統合される予定で、STRIXの攻撃能力を補完するため『RAZER』と呼ばれる新たな低コストの精密誘導爆弾を組み込む予定だ」と説明しており、小直径爆弾(SDB)によく似た「滑空爆弾らしき兵器(BAE LC-PGM 001)」を2発搭載したイメージを公開している。
Discover STRIX, @BAESystemsAus‘s first domestically designed, manufactured & armed vertical take-off & landing uncrewed air system. https://t.co/f27dszYRjV pic.twitter.com/XnLjlBuS6A
— BAE Systems (@BAESystemsplc) February 28, 2023
現時点でSTRIXは紙の上の存在だが、BAE Systems Australiaは「STRIXプロトタイプの製造は始まっていて、これがオーストラリアで開発される最初のUCAVであることに興奮している」と述べており、豪軍を潜在的な顧客に想定しているのだろう。
因みに米国のマーティンUAV(現在は買収されShield AIブランドになっている)が開発したV-Batも機尾に搭載された1つの推進装置だけで垂直離着陸を実現しているためデットウェイトが発生せず、推進装置も構造が非常にシンプルな固定式なので保守や信頼性の妨げになる箇所が少ないという特徴を備えているが、米陸軍のRQ-7B後継機選定でAeroVironment製のJump20に敗れている。

出典:BAE Systems RAZERを搭載したSTRIX
追記:BAE Systems AustraliaはRAZERについて「40kg~50kgの無誘導爆弾を低コストで空中発射式の精密誘導兵器に変身させるよう設計されており、UCAVや回転翼機からの運用を想定している」と説明しているので、ノースロップ・グラマンに続きBAEもトルコが採用したコンセプト(無人機向けの小型な精密誘導兵器を採用してUCAVのサイズを小さく安価にする手法)に追従してきた格好だ。
関連記事:RQ-7B後継機選定の前哨戦にJump20が勝利、革命を起こすと評されたV-Batは敗退
関連記事:ノースロップ・グラマン、TB2クラスの無人機向け精密誘導弾薬が実戦配備に近い
※アイキャッチ画像の出典:BAE Systems STRIX
UCAVの進化は日進月歩。
油断すると、すぐに旧式化してしまう。
日本もチャレンジしてほしい。
チャレンジしようにも技術が無いんですよ・・・
日本だって必要技術は幾らでも転がってると思いますよ。
昨今の兵器見本市に出展されるUCAV達を眺めても、そんなに高度なテクノロジー
は使っていません、出展も新興国が多数です、いずれもアイデア勝負、内容的には
既存の確立された技術の寄せ集めです。
日本だって空飛ぶ自動車とか試作していますから、あれぐらいのもんを作る技術が
あれば十分です。
日本がこの分野の国際兵器市場で存在感が無いのは、
・アイデア
・投資力
・販売意欲
これらの欠如です、そしてこれらが盛り上がらない原因は
・この手の兵器は地域紛争での需要が高い、そこで使われる可能性が高い
・それを禁止(販売規制)なんてしたら、そんなもんは国際市場では売れない
・自国の兵器が紛争地域で使われる事に対して忌避感が強い、その覚悟が無い
企業として、国として、この手のもんにチャレンジしないのは、日の丸無人機が
地域紛争でカミカゼ特攻したり、誘導ミサイルを撃ったり誘導役したり、人殺し
に利用される事に対しての忌避意識はもはや骨の髄まで擦り込まれてるって感じ
でしょう。
そして、それが嫌で国内限定とかにしたら市場なんてたかがしれています。
国が金を出して無理やり民間に作らせても、恐ろしく高価になるか、浮き世離れ
した出来の悪い無人兵器が出来るだけでしょう。
根本的な意識改革が起きないとこの手の兵器への国際チャレンジは無理でしょうね。
>根本的な意識改革
岸田首相が陸自の外征に言及しましたので、そこら辺の意識も根本的に変わるんじゃないですかね?
20年以上前の「常識」であれば、即座に内閣が転覆していたレベルの発言ですから
昭和・平成の「常識」も、遠くなったもんだ
敵基地攻撃 爆撃や上陸作戦も 首相「あり得る」 2/28(火)
リンク
それ、無人機どころか「国産兵器全般」に言えることなんですよね。出来が悪いというわけではないけど。
40kg~50kgの物体を斜めに取り付けるのって言うほど簡単なのだろうか?
地上で待機状態の時に風の影響を受けやすいと思うんだが気のせいなのだろうか?
技術的なアプローチの仕方が、イギリスっぽくて草
黎明期の戦車や航空機もそうだったけど、発達途中の兵器って、時々変な外見のものが出てくるな(笑)
後の時代で「奇抜な形のUCAV特集」のネタにされそう。
これ形かっこいいと感じましたわww
スツーカを連想しました
ガルウィングは男のロマン
記事の表紙画像はコウモリっぽくというかバットマンっぽく見えて面白い外見に見えますね確かに
ドイツ軍のあのロケットみたいなのが浮かんだ。
形状は違うけど。
あれ…
この記事と一字一句一緒なページを見っけた
記事盗まれてません?
タイガーモス号を彷彿さセル
アメリカの民間有人軽量飛行機Opener BlackFlyの設計思想丸パクリの軍用版ですね。
機体部品点数少なく、機体構造が単純なので堅実
ただ、ヨー制御が難しいんですよね翼があるくせに垂直尾翼ないから
>ただ、ヨー制御が難しいんですよね翼があるくせに垂直尾翼ないから
現在の(静安定性を負にした)戦闘機やマルチコプターが、計算力の力業で成立しているのと同様に、コレも計算力の力業で成立させるつもりなのではと
基本的にクアッドコプター・ドローンの変形なのかと。
なので姿勢制御と方向安定はローター個々の回転数制御に依存。
この形、無駄が無くていいね。
空飛ぶ車とかもこういう形の方が使いやすいんじゃないのかな?
座席下をガラスで透明にすれば、股の間から前方見えそうだしね。
これぞモスキートっていう形だねー
英国製だけに
↑間違えました。BAEだけどオーストラリア製ですね。
離陸シーケンスのCG映像が無いんでなんともですが、地上発進なら極短距離の滑走を入れるんじゃないですかね。
その場での垂直機首上げは最も不安定な瞬間で風に弱いように思えます。艦上発進の場合は船足があるので、相対的にVTOL発進になるのかなと。
オ、ナイスデザイン
V-Batは推力偏向以外の操舵機構ついてないけどこっちは一応主翼にも動翼ついてんのね
構造距離800km近くもあると当然内燃機関だろうけど各ロータ―への動力伝達はどうしてるんだか
ディーゼル・エレクトリック方式みたいなのか、それとも燃料電池?
いや、エアインテークが見当たらない。まさかバッテリーで800kmも飛ばすつもりなのか?
はっきり言って採用される可能性は限りなく低いと思う。RQ-7B後継機選定もそうだけど、オーソドックスなスタイルのほうが受けがいい。
なんか英国面って言葉が似合う気がする