反ミャンマー政府系新聞のIrrawaddy紙は25日、中国とパキスタンから導入したJF-17が技術的な問題と西側諸国の制裁で飛行停止に追い込まれていると報じており、どうやらミャンマー軍にとってJF-17は複雑過ぎたようだ。
参考:Technical Problems Ground Myanmar’s JF-17 Fighter Jets Bought From China
F-17をモノ出来ないミャンマー軍に発注済みのSu-30MEを運用できるのか非常に怪しい
ミャンマー軍は2021年にクーデターを起こし軍事政権を擁立することに成功したが、これに反対する民主派は国民統一政府を設立して民兵組織「国民防衛隊(PDF)」を組織、2022年11月時点でPDFの戦力は6万人を超えてミャンマー西部に一定の支配地域を持っており、ゲリラ戦術と改造した商用ドローンによる空からの攻撃で国軍に無視できないダメージを与え、逆に国軍は民間人とPDFの区別することなく攻撃しているため民間人に大きな犠牲が出ているが、ウクライナ侵攻の影に隠れてしまい国際的な関心はそれほど高くない。
PDFの抵抗に手を焼く国軍にとって航空機による空からの攻撃(PDFの拠点や兵士を訓練するキャンプなど)は最も頼りになる手段で、2018年に導入したJF-17の対地攻撃能力に期待されていたが、今のところ大金を投じたJF-17は全く役に立っていないと反ミャンマー政府系新聞のIrrawaddy紙が報じている。
Irrawaddy紙の説明によるとJF-17に搭載されている中国製レーダー(KLJ-7)は精度とメンテナンス性に問題があり、ミッションコンピューターも誤作動のせいで視界外射程ミサイルの有効範囲が縮小、飛行中に強烈な重力加速度が加わると翼端やハードポイントや損傷がすることが多く、西側諸国の制裁でアビオニクスに使用されているスペアパーツ=欧米企業製の部品が入手できず、F-17で使用する武器も中国やパキスタンが制裁下のミャンマーに輸出してくれないらしい。
最も致命的なのはJF-17で発生する問題を解決できる技術者も、複雑なJF-17のシステムを操作できるパイロットも育っておらず、ミャンマー空軍はパイロット養成や技術者派遣をパキスタンに頼っているものの就役から4年経ってもJF-17の戦力化は難しく、スペアパーツ不足でミャンマー軍のJF-17は地上に留まったまま=飛行停止に追い込まれているとIrrawaddy紙は指摘しているのが興味深い。
今のところ他の運用国(パキスタンとナイジェリア)で同様の問題は言及されていないため、ミャンマー軍が悩まされている問題はJF-17の製造や設計に起因するのではなく、運用する側のインフラ構築や保守体制の不備が原因でミャンマー軍に複雑な第4.5世代機を運用する能力がなかったのだろう。
因みにミャンマー軍はJF-17が戦力にならないため「扱いの簡単なYak-130、JL-8、MiG-29に益々頼っている」とIrrawaddy紙は指摘しているが、JF-17をモノ出来ないミャンマー軍に発注済みのSu-30SMEを運用できるのか非常に怪しい。
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※アイキャッチ画像の出典:Public domain パキスタン空軍のJF-17
所詮自国民に銃口を向けることしかできない五流軍隊か
ミャンマーに自由と民主主義が帰ってくることを強く願う
帰るもなにも、ミャンマーに自由や民主主義の時代なんて過去にないよ。
しかもスーチー含め、自称民主派も中身は権力欲しいだけの共産主義者なんで、
民主化プロセスとか民衆の命とか全く考えず直情的な武装革命闘争してて、マジでどうしようもないクソだよ。
というか、議会で調子に乗って民主化プロセスを先にぶち壊したのは自称民主派の方だし。
ミャンマーの実態は、軍閥vsアカの単なる権力闘争だからどちらにも肩入れする価値はないね。
多分携帯SAMが飛んでこないゲリラ相手ですとアフガン政府軍が使用したA-29 スーパーツカノのような精密誘導弾も運用できるコイン機の方が良さげでしょうが、売ってくれる国が今はなさげな状態ですが。
JF-17導入を検討していたアルゼンチンは難を逃れたな。経済制裁で部品も工作機械も手に入らない中共の戦闘機エンジンの寿命は西側の10分の一というのは知られているが、アビオニクスもやはり偽物だった。自由民主主義圏から離れて独自技術で自国のエゴを通そうなんて今の世の中では無理。
そのアルゼンチン、フォークランド紛争後から続く英国の制裁でマーチンベーカー製の射出座席等の部品が導入不可能なので、もしもJF-17がダメなら今後も現用のA-4ARファイティングホークをレストアしながら運用し続けないと行けない事になるのですが…(戦慄)
・他の運用国(パキスタンとナイジェリア)で同様の問題は言及されていない。
・JF-17の製造や設計に起因するのではなく運用する側(ミャンマー側)に原因あり。
と管理人さんは書いていますが。
整備能力が貧弱な上に、経済制裁で部品も工作機械も手に入らなければ不具合は多発すると思いますよ。
ナイジェリアのJF-17は対ボコ・ハラム戦に投入されており、ナイジェリアからの評判は上々とのこと。
>Irrawaddy紙の説明によるとJF-17に搭載されている中国製レーダー(KLJ-7)は精度とメンテナンス性に問題があり、
>ミッションコンピューターも誤作動のせいで視界外射程ミサイルの有効範囲が縮小、
>飛行中に強烈な重力加速度が加わると翼端やハードポイントや損傷がすることが多く
上記指摘箇所は、設計上の問題な印象も。
中国製レーダー(KLJ-7)やミッションコンピューターの問題については、ミャンマー軍がちゃんと調整・整備できているか疑問ですし、オーバーGや無茶な飛び方で機体が損傷することはあります。
ただし、JF-17は軽量化を追求した機体で、試作機の時に機体の強度不足が問題になったので、問題は完全に解決していない可能性がありますね。
>飛行中に強烈な重力加速度が加わると翼端やハードポイントや損傷がすることが多く
> JF-17は軽量化を追求した機体で、試作機の時に機体の強度不足が問題になったので、問題は完全に解決していない可能性がありますね。
もしそうならナイジェリアは運用でGを制限しててそれで問題が出てないのかもしれませんね。
ボコ・ハラム相手に高G機動が必要とは思えませんし。
ミャンマー軍だって対ゲリラ戦しか行わないし、BVRAAMを使うこともまず無いだろう、と考えると、言われている問題が直接運用に影響を及ぼすとは考えにくい。運用に習熟する前に中国側が支援を絞っているんではないかね。
>中国製レーダー(KLJ-7)やミッションコンピューターの問題については、ミャンマー軍がちゃんと調整・整備できているか疑問です
レーダーについては、ミャンマー軍による整備不良で問題をより悪化させている可能性は否定しませんが、
>>中国製レーダー(KLJ-7)は精度とメンテナンス性に問題があり、
との記述が正しいなら、問題は設計起因とも言えると思います。
ミッションコンピューターについても、導入して余り年月が経たない状態で誤動作を招く整備ってどんな代物なのだろう、と疑問を感じました。
動作不良な個体に対して、下手な整備を施してより症状を悪化させたのなら兎も角。
あと「小まめな整備を必要とするミッションコンピューター」だった場合、それはそれで問題な気がします。
ディレーティングを確保していないなど、基本的な問題を抱えているかも。
中国独自の輸出用戦闘機というから交換部品くらい自前で用意してあると思っていたんですが、そこが欧米依存で制裁されてるから飛べないという趣旨です。
JF-17の射出座席はイギリス製でしたし、輸出向けの兵器は海外サプライヤーと協力して、販路拡大に勤しんだ方が得ですからねぇ。
JF-17の射出座席のように中国が代替品を開発する可能性もありますが、世界中から制裁されている軍隊にそこまで投資はしないと思います。
アルメニア軍のSu-30SMを彷彿とさせる話ですね(一部からアゼル戦の敗因の一つと言われている)。日本やアメリカですら軍の買い物失敗が定期的にあるのだから、組織規模が小さくて意思決定も不透明でいい加減な途上国の軍隊においておや…ていうかミャンマーもSu-30買おうとしてるんですね。
こういっちゃあれですけど
中国ってなんだかんだ西側の経済制裁には空気読むんだなと
中国の科学技術は、アメリカと比べると、まだまだ遅れている。特に半導体に関しては、今のところはアメリカに依存しているという自覚がある。
だから中国はアメリカから本気で嫌われたくないし、アメリカは中国の本音が分っているから最近は中国との輸出入を規制しだした。
中国とパキスタンが制裁を守っているのに、逆にびっくりした。
今のミャンマーと仲良くしても、得るものが一つもない。
技術や利権、貿易などの表面からは見えにくい部分を西側が押さえているのが世界の実情ならば、権威主義国家の脅威も政策的に強調された虚像であり、実はロシアも中国も西側の威圧を深刻に感じているのかも知れん
まあ中国四千年は勝つべくして勝てる時までは動かないよ
制裁もそうだが、金銭の問題もありそうだ