現在海外市場で最も人気が高い離陸重量5トン前後の中型無人航空機市場に、韓国が国産中型無人航空機「MUAV」で挑戦する。
参考:대한항공, 중고도 무인항공기(MUAV) 양산 시작
世界で最も人気が高い軍事用途の無人機航空機は、MQ-9リーパーなどが有名な中型無人航空機クラス
軍事用途に使用される無人航空機(UAV)には幾つかの分類方法が存在するが、その中の一つに離陸重量別に分類する方法があり離陸重量10トン前後の大型無人航空機、離陸重量5トン前後の中型無人航空機、離陸重量が1トン以下の小型無人航空機、離陸重量が100キロ以下の超軽量無人航空機の4つに分類される。
この中で現在最も人気が高く海外市場で注目を集めているのが、離陸重量5トン前後の中型無人航空機だ。

出典:public domain MQ-9リーパー
このクラスで最も有名なのは米国製の無人攻撃機「MQ-9リーパー」だが価格が約2,000万ドル(約21億円)前後、地上管制装置を含めると3,000万ドル(約32億円)を越え、さらにミサイル技術管理レジーム(MTCR)の輸出規制に引っかかるため輸出先が限られてしまい手が出せない国が多い。
そんな国から最も人気を集めているのはMTCRに参加していない中国の無人機攻撃機「翼竜シリーズ」や「彩虹シリーズ」で、地上管制装置を含めても1機300万ドル~1,000万ドル程度で調達できMTCR規制をクリアするための複雑な手続きすら必要ないのが魅力だ。

出典:Mztourist / CC BY-SA 4.0 中国が開発した軍用無人機 翼竜Ⅱ
特にMQ-9調達が難しい国(中東やアフリカなどの国)にとっては唯一の選択肢と言ってもよく翼竜シリーズは計8ヶ国に彩虹シリーズは計13ヶ国に販売され、最近ではセルビアが彩虹シリーズのCH-92Aを導入したため中国製無人機攻撃機が欧州に初上陸を果たしている。
このように中型無人航空機市場で売れまくる中国製無人機を見て多くの国で中型無人航空機を開発している中で、最も躍進が著しいのはトルコの無人航空機だ。

出典:CeeGee / CC BY-SA 4.0 バイラクタルTB2
トルコが開発した小型無人航空機「バイラクタルシリーズ(約500万ドル)」はトルコ軍による実戦での運用実績があるためカタールやウクライナに輸出が実現、この開発経験を生かしてトルコは双発エンジンタイプの低コスト中型無人航空機を現在開発中で、これが完成すればトルコ軍による実戦での運用実績次第で中国製無人航空機の強力な対抗馬になるかもしれない。
補足:トルコは既に中型無人航空機「Anka」を開発済みだが1機あたりの導入価格が約3,000万ドル~4,000万ドル(地上管制装置を含む)と高価で、比較的資金に余裕のあるチュニジアにしか輸出が実現できていない
さらに韓国でも大韓航空が開発を続けてきた国産中型無人航空機「MUAV(価格は不明だがMQ-9よりは安価だと言われている)」が完成、年内にも量産を開始する予定で「自国軍向けだけではなく海外輸出も視野に入れている」と報じられている。
ただトルコも韓国もMTCRに参加しているため、海外輸出を行う際に必要な手続きの「煩雑」は米国と同じかもしれないので、この点だけについてはMTCRに参加していない中国に分があるが、米国が取りこぼしている反中国を掲げる国にとっては非常に魅力的な選択肢になるだろう。
米国は中東の同盟国が中国製無人航空機に手を出している現状に危機感を感じおり、ミッチェル航空宇宙研究所は核兵器の運搬手段である弾道ミサイル(技術)の拡散を防止する目的で作られた国際合意「ミサイル技術管理レジーム(MTCR)」が無人航空機を核兵器を運搬可能な兵器に分類しているのが問題だと説明、無人航空機は航空機であり巡航ミサイルや弾道ミサイルとは異なるので「航空機と同じ扱いにするべき」と主張しているが、仮に海外輸出の手続きが簡略されたところで1機3,000万ドルもするMQ-9が売れるとは考えにくい。
そのため米空軍が検討しているMQ-9の後継機、商用無人機を改造した低コスト中型無人航空機でも開発しないと中国と対等に勝負するのは不可能だ。

出典:DeffiSK / CC BY-SA 4.0 無人航空機「MALE RPAS」
因みに欧州のエアバスもお家芸とも言える「共同開発方式」で離陸重量10トンクラスの無人航空機「MALE RPAS(2025年に量産機出荷予定)」の開発を進めているが、これは米国のRQ-4グローバルホークのような高高度偵察に特化した大型無人航空機ではなく、中高度を飛行して搭載兵器で目標を攻撃できるMQ-9と同じ中型無人航空機と同じコンセプトで開発が進められているため「重すぎて高価すぎるため輸出は絶望的(※1)」と言われている。
※1補足:米軍でさえMQ-9の主戦場は防空システムが未熟な地域での「ローエンドの戦い」であり、これを中国やロシアなどとの「ハイエンドの戦い」に持ち込めば簡単に撃ち落とされると言っており、ローエンドの戦いで使用する中型無人航空機は携帯用地対空ミサイルで撃墜される可能性があるため調達コストが安価でなければならないというのが常識
では、なぜ重すぎて高価になったかと言うと、共同開発に参加しているドイツが「単発機の場合エンジンが停止すると最悪都市部に墜落する可能性があるので双発機として開発して欲しい」と要求したためだ。
以上のように、現在最も人気が高く海外市場で注目を集めている離陸重量5トン前後の中型無人航空機市場は欧米の手を離れて、中国やトルコなどの航空開発後発国に支配されつつあり、ここに韓国も国産中型無人航空機「MUAV」を引っさげて参入しようとしているのだが、果たして上手く食い込めるかは中国やトルコを下回る価格を提示できるかどうかに掛かっている。
関連記事:米空軍、高価な無人機「MQ-9リーパー」調達を中止し商用無人機を採用か?
関連記事:米国の危機感、なぜ米国の同盟国は中国から無人航空機を購入するのか?
関連記事:侮れないトルコの技術力、攻撃ヘリ「T129」のエンジン国産化に成功
関連記事:韓国、国産化に成功した赤外線誘導ミサイル妨害装置の海外輸出に期待
※アイキャッチ画像の出典:public domain MQ-9リーパー
まさかこれがKFX?
技術ぱくってそうなのはともかく、無人攻撃機を国産し配備する点は正しい
というか、今時まだ開発・配備してないうちが異常
数揃えるのはともかく、最低でも製造技術と運用経験は確保しておくべき
世界的に需要の高い低〜中高度滞空機は我が国では需要が少ないですからね。
ボーイングのロイヤルウィングマンやテンペストのコンセプトみたいに
未来の戦闘機が無人機を随伴する可能性が既に提示されててそれはないだろうさ
必要になってから無人・自律技術を開発してたら10年は遅れとる
配備しない理由としては妥当だけど技術を確保しない理由にはならない
主要な国がみなやることはひとまずやる
そこを怠ったら兵器開発に限らずちょくちょくうちの国が陥るガラパゴス化の奇形になってしまう
人でも企業でも国でも流行は押さえとかないとね
朝鮮製品の信頼性やパクりはともかく、我が国の自衛隊も無人航空機にはもっと力を入れて欲しい。
おーこれがKFXか(はなほじ)
敵基地攻撃能力が認可されたら日本も無人攻撃機持っていいんだよな?
できるだけ国産で行ってほしいけど対中国情勢がきな臭すぎて時間がなくてアメリカ製になったりするのかな
何故日本は作らない?
自国で全く使いみちがないから
自分とこで使って減価償却、輸出して上手く行けば外貨獲得ってなるわけで
輸出専用で作って売れなかったら完全に無駄だもん
そんな博打みたいなことに国家予算使えませんわ
記事にも書かれているように、周辺国が中露ではハイエンドの戦闘環境なので、世界的に流行っているローエンド戦向けのUVAでは簡単に落されて無力化されるから
時代に乗り遅れて今更な感じのタイプに限られた予算と時間は使わないと思う。運よく時代に乗れていたとしても価格では中華製に勝てない感じになっていたと思うし攻撃可能なタイプを輸出できたかというと難しい。海洋監視目的では海保がガーディアンを導入しそうでグローバルホークと違って日本の通信衛星とリンクでき運用コストも低いのでなおさら開発する動機はない感じかな。監視目的に絞って開発していたとしてもガーディアンに勝てるかというと難しい感じだしね。日本への輸出に不確実性があり輸出されても思い通りになりそうもないハイエンド機の開発に集中する方が無難だと思う。
将来無人装備に関する研究開発ビジョン
リンク
技術開発してはいますけど配備はされてないですね
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一応ロイヤルウイングマン系のやつは開発中らしい、それ以外は本文中に答えがある。
海洋監視用のグローバルホーク級以外は無駄に開発するより市販のドローンやラジコンを買った方が良いし実際そうしている。
地上型小型ドローンとかは開発してるよ。
>中国やトルコなどの航空開発後発国に支配されつつあり
よし!なら日本も開発後進国だ!やれるぞ!
ロシア Su-57、ウエポンベイからの発射が公開されたね
凄い機動中に見える、、
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日本の場合、ハイエンドの戦いしか発生しそうにないしな
どちらかというと海上で使用する機会が多いだろう
そう考えると、急ぐ必要は無いのかな
水中用ドローンは開発してるね、スクリュー推進だけでなく昔の漫画に出て来た方式で推進するタイプとか。
現実が漫画に追いついた。
日本がやるとしたら無人戦闘機だろうな
F-3とセットで運用する奴
以前米空母から離着陸実験に成功したという、無人ジェット機はハイエンド向きなのかな?
ハイエンド
あれって結局開発中止になったっぽいね
海保が日本海の哨戒に米国の非武装無人機を導入するけど
自前で用意してヘルファイアつもうよ
アメリカから輸入でもしようもんなら
即座に中国に叱られるもんな
とはいえ韓国産なら叱られないという保障は無いがね
>即座に中国に叱られるもんな
即座に叱られるのは、国の成り立ちが帯方郡・楽浪郡(=中国直轄の植民地!!)の、朝鮮人ですヨ。
正しい歴史認識を持たねば民族が滅ぶんでは?
ああ 持たないんで滅びかけてますねネww
落ち着け。
元スレの人は「韓国」がアメリカから輸入したら叱られると言ってるんだぞ。
で、アメリカからの輸入じゃなく国産(韓国産)だからって叱られない保証は無いけどな、って話。
なんで米はそんなに高いんや
>共同開発に参加しているドイツが「単発機の場合エンジンが停止すると最悪都市部に墜落する可能性があるので双発機として開発して欲しい」と要求したためだ。
ドイツェ・・・・・・
ホント、余計な事ばっか口出すなオイ
表向きとは言え、ブースターが民家に当たる可能性があるから防空施設を断念した国もあったよね…
それとこれと、どう関係あんの?
頭だいじょうぶか?www
しかも当のドイツ軍は運用できていない状態という有様
陸続きの国境紛争が頻発してる国での需要だから日本は無関係なんだよね。
この無人機とハインドレベルの対人ヘリが該当国では脅威の対ゲリラ戦装備。
中国は極限技術が必要な先端戦闘機などでなければ開発できる。
中レベル以下の相手なら有効だが、強力なレーダーを持つステルス機が出張ってきたら簡単に撃墜される。
軍用ドローンはいかにコストパフォーマンスが高い機体を量産出来るかが重要だからね
アメリカも高級ドローンよりもコスト優先に舵を切っている
日本は安価で高性能な製品を作る技術を苦手としているからこの分野はむづかしいだろうな
無人航空機分野の遅れは自衛隊の弱体化に拍車をかけるぞ
自衛隊内でも相当危機感あるみたいで毎月の様に軍事研究に掲載される無人機記事で民間軍事ジャーナリスト元自将官問わず口を酸っぱくして指摘されとるね
既に現代戦では小中大全ての規模の無人航空機が必要不可欠になっているのにそこが遅れてる
例えるなら先進国海軍においてミサイル駆逐艦全盛の70~80年代に砲熕兵器主体の在来型駆逐艦が殆どでミサイル駆逐艦が少数しか無い、レベルの有り様
あればあるなり何かにはつかえそうだけど、ウチの国は他にもっと買わないといけない物が沢山あるからね…
貧乏って辛い。
突然空から防衛予算降ってこないかな
我が国の無人機戦略を考えるうえで興味深い記事です。
現在の中型無人機に代表される固定もしくは低速の目標への攻撃能力を有する機体の需要が高いと見ています。既に各国に技術・ノウハウが分散された現状から次世代の技術競争に入りつつあると見ております。
本ブログの過去記事で、F-3が実現する予定の「忠実な僚機(Loyal Wingman)とも表現される無人機の制御能力」がありました。
過去記事リンク
F-3に制御される無人機が偵察、対艦又は対地攻撃、対航空戦(いわゆるドッグファイト)までを支援するのか、どこまで能力を持たせるのか非常に興味があります。
中国の利権がとんでもないことになってますね…
日本の場合、洋上などでの偵察任務だけだから無人機は非武装でいいでしょう。
遠隔地からの攻撃任務は操縦士の負担になるだろうし。
それはそれとして、
衛星回線も使った高級なUAVでも誤爆が問題なっているのに、通信設備も貧弱と思われる格安機で現場の状況をどこまでリアルタイムで把握できるのかは気になります。
中国が日本に対して、無人機を投入してくる可能性もある。
せめて対策は立ててほしい。
これみよがしに領空を侵犯するなら、落としても良いのかな?
安い無人機は中国製でも気兼ね無く買いやすいってのは大きいのだろうね、事故で人的損害も出ないし墜とされても気にならない。
日本が自国で使わないなら今更開発しても輸出市場で中国製に太刀打ちできないから参入するのは無理。
さて、できるかな? (ちゃんと量産できるかな?)
KUS-15
リンク
上から4つ目 (この記事当時ではモデル名は無い、ADD:国防研究所での開発ステージだったから)
主管はADD
システムの開発と量産は大韓航空
電子光学、赤外線(EO / IR)カメラの開発は、ハンファタレス(※)
合成開口レーダ(SAR)の開発はLIGネックスワン
その他の航空電子機器は、大韓航空+LIGネックスワン
現在(2016年)ナビゲーションの開発は完了、2017年までにシステム開発を完了し、2018年から戦力化
運用高度は10〜12km、レーダー探知距離は最大100km、そして24時間滞空が可能
※ タレスはサムスンがサムスンタレスをハンファに売却した時点で合弁を解消したので、ハンファ(韓火)システム
下からの画像 KUS-FSって名前ですね
リンク
なお、その上のKUS-7?も大韓航空が開発担当で落としまくって、 開発は放棄?
北朝鮮の工作船の上陸からもわかる通り日本も国境線が長大だから、監視の目としては重要だと思う。
日本の場合ハイエンドとローエンドの使い分けはどうしているんでしょうか?
いまいち情報がないなあと
さて、できるかな? (ちゃんと量産できるかな?)
KUS-15
上から4つ目 (この記事当時ではモデル名は無い、ADD:国防研究所での開発ステージだったから、その後、KUS-FSで、KUS-15)
主管はADD
システムの開発と量産は大韓航空
電子光学、赤外線(EO / IR)カメラの開発は、ハンファタレス(※)
合成開口レーダ(SAR)の開発はLIGネックスワン
その他の航空電子機器は、大韓航空+LIGネックスワン
現在(2016年)ナビゲーションの開発は完了、2017年までにシステム開発を完了し、2018年から戦力化
運用高度は10~12km、レーダー探知距離は最大100km、そして24時間滞空が可能
※ タレスはサムスンがサムスンタレスをハンファに売却した時点で合弁を解消したので、ハンファ(韓火)システム
URL書くとだめ?
국내 군용무인기 개발 현주소는? タイトル
現在は対応できなくても、無人機は将来ハイエンドに対応する可能性大だし、技術蓄積と実経験積んで世界で最初にハイエンド対応可能な無人機を投入すべきでは?このままだと中国からハイエンド(対日本)に可能な無人機が出てきたとき、航空戦力が圧倒的に非対称になる。