インド太平洋関連

また同じ箇所が故障? 韓国海軍、新型フリゲート艦「大邱」の推進システムが再び停止

韓国メディアは、今年1月に故障した韓国海軍の最新鋭フリゲート艦「大邱(満載3,590トン)」が再び故障したと報じている。

参考:3400억 들였지만…또 고장난 해군 최신예 호위함

韓国、最新鋭のフリゲート艦が1年で2回故障しても欠陥ではない?

韓国海軍が調達したフリゲート艦「大邱」は、仁川級フリゲートの改良発展型として建造された「大邱級フリゲート艦」のネームシップ(1番艦)で2018年3月に就役したばかりだ。

この艦の推進システムには、韓国海軍では初となるガスタービンと電気モーターを組み合わせた「CODLOG方式」を選択し、ガスタービンエンジンには韓国海軍で運用実績のあったGE製LM2500ではなく、米海軍のズムウォルト級駆逐艦や、英海軍のクイーン・エリザベス級空母などに採用されているロールス・ロイス製MT30が採用されている。

出典:public domain ズムウォルト級ミサイル駆逐艦

CODLOG方式とは、ディーゼルエンジンで発電し電気推進で低速・巡航時を航行し、高速航行時のみガスタービンエンジンによる機械駆動に切り替える推進システムのことだ。

補足:日本語のウィキペディアには大邱級フリゲート艦の推進方式がCODLAG方式と記載されているがCODLOG方式が正しい。両方式とも低速・巡航時はディーゼル発電による電気推進だが、高速航行時、CODLAG方式は電気推進+ガスタービン併用で、CODLOG方式はガスタービンのみだ。

今年1月にフリゲート艦「大邱」の推進システムに異常が生じた際、当初、スクリューを回転させる電気モーターが異常過熱しせいで故障したと言われていたが、その後の調査で、この問題の原因は技術的な欠陥ではなく、乗組員の操作未熟が原因だったと結論が下された。

フリゲート艦「大邱」が埠頭に進入する際、海底にスクリューをぶつけ、その衝撃がプロペラと推進電動機の間で「機械的緩衝装置」の役割を果たすスナバ(摩擦で発生する振動を吸収する装置)を破損させたため、電気モーターが異常過熱したらしい。

しかし、今回は前回とは異なり、水深が深い日本海沖での任務中に推進システムが故障してしまったらしい。

韓国海軍の関係者の話によれば、前回と同じように推進システムが故障したが、前回と同じ部分が故障したのかについては現時点で判断できないと話している。

もし同じ部分が故障していれば、前回、技術的な欠陥ではないとした結論が間違っていたことになり、韓国海軍や国防部にとっては最も恐れている展開=欠陥を隠蔽しようとしたのではないか?→「国防不正」だとメディアや国民から糾弾されるという展開に発展する恐れがある。

そもそも大邱級フリゲート艦は試験運用段階の時から、ディーゼルエンジンとガスタービンエンジンの切り替えが上手くいかず、高速航行モードへの切り替えに標準で7分10秒(後に5分程度まで短縮された)、緊急モードで2分10秒かかり、敵からの攻撃(特に魚雷攻撃)を回避することが難しいと指摘されるなど、推進システムの設計に問題を抱えていた。

2回目となる故障の原因が、人為的ミスなのか技術的ミスなのかは不明だが、水深が深い日本海での故障だけに前回と同じ言い訳は通用しないだろう。

ただ、韓国海軍は艦自体に欠陥はないと言い出しているので、今後の展開が興味深い。

 

※アイキャッチ画像の出典:대한민국 국군 / CC BY-SA 2.0 フリゲート艦「大邱」

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コメント

    • 匿名
    • 2019年 12月 19日

    艦艇に問題は無い。韓国に問題が有るのだ。

    • 匿名
    • 2019年 12月 19日

    乗員に同情を禁じ得ない。

    • 匿名
    • 2019年 12月 19日

    欠陥かどうか? は2021年の春以降にはっきりすると思います。
    2番艦、3番艦は進水済みで2021年の春以降に就役するからです。
    なお、建造は2016年、2019年、2019年になってるのはR&Rのマリーン・トレント・MT30(減速機は500ベース)の入手の問題+韓国が最初の1基を試験運転中に壊したから(人気なのでMT30の納期は長い、単体での試験運転中に異物混入でブレードを破壊、2番艦用のMT30を1番艦に搭載、納期が長いので2番艦の建造開始が遅れた)
    切り替えの仕組みは・・・CODLOGでの減速/切り替えの資料はネットにもあるけど、CODLOGのは・・あるのかな? 
     たぶんだけど、この機構も韓国企業でKD生産してるだろう(後述 ※)

    なお海上自衛隊の次期・3900トン型護衛艦も同じく、MT30ベースのCODLOGを採用してるが、就役は2022年
    (ただし、ディーゼル機関はMAN・ドイツ:1,000rpmを2基、大邱はMTU・ドイツ:1,300rpmを2基と構成が違う、当然ながら切り替えの機構・メーカーも違うでしょう)

    大邱級フリゲートは3隻で終わりです、継続艦を建造するにしても少なくとも3年後以降、理由はMT30は3基しか買ってないから

      • oominoomi
      • 2019年 12月 20日

      30FFMはCODAGですね。
      まや型DDGtとあさひ型DDがCOGLAGです。

    • 匿名
    • 2019年 12月 19日

    この推進軸以外にも問題があります
    ・最新の水中ソナーでは無い、仁川級フリゲートに対潜機能を搭載しのが大邱だけど、最新の対潜機器を外国から購入のするのは無理だから=売ってくれないから
    ・ディーゼル機関、MT30単体でも問題が多発してるとか・・・理由は知らない(ニュースに記載されていない)
    ・船尾からはライン型対潜ソナー(長く伸ばす紐状)を曳航するけど、そこから海水が船内に盛大に流入する

      • 匿名
      • 2019年 12月 19日

      ソナーは魚群探知機で代用するから大丈夫

      1
    • 匿名
    • 2019年 12月 19日

    >プロペラと推進電動機の間で機械的緩衝装置の役割をする板ベアリング形のスナバ(摩擦で発生する振動を吸収する装置)
    って記述を読むに、船尾管(Stern tube 軸受け、シールの2つの役目)の事かな?
    長いスクリュー軸の両端ではしなるし、回転数の1/60の周波数を基底とする振動(3次が一番多大きい 回転数が120rpmなら、6Hz程度)、軸の精度が低い、ボーリングして作る船尾管の取り付け部の精度が悪い、船尾管そのもの精度が悪い、注油の機構が悪い
    ・・・治せるの? 

    参考資料:
    推進装置に使用されている軸受およびシール装置における環境保全と省エネへの対応
    リンク
    お写真
    リンク

      • 匿名
      • 2019年 12月 20日

      仮にも造船大国を標榜しているのだから、頑張るんじゃないですかね。
      報われるかどうか知りませんが。

      1
    • 匿名
    • 2019年 12月 19日

    KF-X然り、韓国は試験もせず何でもぶっつけ本番で採用、量産するので、配備後に不具合だらけですね。

    1
    • 匿名
    • 2019年 12月 20日

    技術寄せ集め自作PCレベルだからどうにもならないだろう
    それぞれの技術体系の本質を理解できる基礎科学力がないからトラブルは必然的に

    1
    • どんぶり君
    • 2020年 6月 10日

    私は技術的な事はわかりませんが、とにかく水に浮くのなら 船として使えるのではないでしょうか?見た感じ軍艦らしければ格好はつくように思えるのですが。 フィリピン海軍はかわいそうですが、日本から巡視船を送って沿岸警備隊の能力を上げる方がフィリピンにとって喜ばれると思います。

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