日本関連

日本、極超音速ミサイルを探知するセンサーを宇宙空間に構築か?

日本も低軌道上に宇宙ベースのセンサーを配備して極超音速ミサイルや弾道ミサイルの探知や追跡を行うことを考えているようだ。

参考:小型衛星群で探知能力向上 ミサイル防衛、米国と連携―防衛省

日本が考えている小型衛星群で探知能力を向上される方法とは?

防衛省はミサイルを探知や追尾可能なセンサーシステムを宇宙ベースで構築する計画の検討を始める予定で、今月中に閣議決定される宇宙基本計画改定案に「米国との連携を踏まえ必要な措置を講じる」と明示すると日本メディアが報じている

出典:greenbutterfly / stock.adobe.com

これは米国の宇宙軍が進めている次世代の宇宙配備型赤外線探知システムと同じコンセプトで、静止軌道(高度3万6,000km前後)に配備されいる早期警戒衛星(DSP衛星)は搭載された赤外線センサーで弾道ミサイルの発射を検知することは可能だが極超音速ミサイルは弾道ミサイルよりも数十倍感知しにくいため、高度2,000km以下の低軌道上に新たな赤外線センサーを搭載した衛星を配備して極超音速ミサイルの探知や追尾を行うというものだ。

出典:public domain DSP衛星

ただ低軌道上に赤外線センサーを配備すると高度が低く地球に近いため、1基の衛星がカバーできる範囲が狭くなるのと対衛星攻撃兵器(ASAT)が届きやすなるため破壊される可能性が高くなる問題があるのだが、米国は衛星の小型化と低コスト化で乗り切ることを計画している。

要するに低軌道上に赤外線センサーを搭載した小型衛星(数百kg)を大量(数百基レベル)に配備することで範囲と脆弱性の問題を克服するという意味だが、米宇宙軍は低軌道上に張り巡らされる小型衛星を利用してメッシュネットワーク(小型衛星間の通信速度約1Gbps)を構築して世界中に展開する米軍に低遅延で高品質な通信環境を提供することも同時に狙っている。

補足:米宇宙軍は2022年中に最初の20基を打ち上げ能力の実証を行う予定で、これが上手く行けば2年後の2024年に150基打ち上げて本格的に宇宙空間のセンサー構築を始める予定になっている。

このような米国の取り組みを日本も真似て、極超音速ミサイルを探知や追尾可能なセンサーシステムを宇宙ベースで構築しようと言っているのだろう。

出典:防衛省 宇宙空間を作戦領域とする航空自衛隊の「宇宙作戦隊」

気になるのは日本が独自に宇宙ベースのセンサー網を構築するのか、それとも「米国との連携を踏まえて」と言っているので米国のセンサー網に便乗するのか果たしてどちらだろうか?

因みに、防衛省がミサイルの探知や追尾可能なセンサーシステムを宇宙ベースで構築する計画という内容は海外メディアも食いついて報じている。

関連記事:宇宙空間の監視だけ? 日本の「宇宙作戦隊」に求められる役割とは

関連記事:極超音速兵器に既存の迎撃システムが役に立たない理由

 

※アイキャッチ画像の出典:aapsky / stock.adobe.com

インド版F/A-18E/Fを開発? 印政府が海軍向け双発戦闘機の開発承認前のページ

勝つのは人間かAIか? 米軍、有人戦闘機と無人戦闘機とのドックファイトを実施予定次のページ

関連記事

  1. 日本関連

    戦後初の防衛装備品輸出に暗雲? 新型コロナの影響でレーダー「J/FPS-3ME」輸出交渉が停滞

    日本にとって戦後初となる国産防衛装備品の輸出交渉が新型コロナウイルス「…

  2. 日本関連

    陸自、輸送艦から発進する水陸両用車「AAV7」の乗車体験が味わえるVR動画を公開

    陸上自衛隊は今月8日、海自のおおすみ型輸送艦から出撃する水陸両用車「A…

  3. 日本関連

    先進国の中でも異例、自衛隊員へのワクチン投与を優先しない日本

    日本政府はなぜ不測の事態に備える自衛隊へのワクチン接種を優先させないの…

  4. 日本関連

    シンガポール軍がサイバー部門を第4軍化、新領域の重要性は陸海空に劣らない

    安全保障の観点からバーチャルとフィジカルに脅威を区別できなくなったシン…

  5. 日本関連

    英国主導のテンペスト参加に傾く日本へ圧力? 日本の次期戦闘機「F-3」を巡る米英の戦い

    米メディアは、日本が英国が主導する「テンペスト」プログラム参加に傾いて…

  6. 日本関連

    米空軍がRQ-4廃止を引き続き推進すると表明、日本のRQ-4導入に悪影響を及ぼす可能も

    米空軍は議会に提出した書面の中で「引き続きRQ-4グローバルホークのB…

コメント

    • 匿名
    • 2020年 6月 06日

    中国軍の超音速ミサイル対策は推進ガスを検出することを考えているようだが、こっちは赤外線探知かな。
    色々みんな頑張ってるがどれがいいだろうか

      • 匿名
      • 2020年 6月 06日

      光学系だと、赤外線と紫外線の二波利用かな?
      地上から空中を見上げる場合、紫外線源は太陽以外は人工物との話しで、ミサイル感知に利用し易いみたい。
      宇宙からの監視で有効なのかは知らないけど。

      1
    • 匿名
    • 2020年 6月 06日

    やっとSS520の出番が来る。ぜひとも日本独自の衛星網を構築して欲しい。

    1
      • 匿名
      • 2020年 6月 08日

      SS-520にはぜひ頑張ってほしいのですがペイロードの重量制限は厳しくありませんか。

    • 匿名
    • 2020年 6月 06日

    韓国すらアメリカから許可が出ないのに日本に出来る訳がない
    敗戦国に戦勝国側の信用なんてある訳ないじゃん
    ムリムリ

      • 匿名
      • 2020年 6月 06日

      敵国ならば信用できない、では米国が自ら日本を中国側に押しやる理由があるだろうか?
      中華が米国並みになるとき、それは米国も日本も互いの関係を再確認する必然に迫られますよ
      戦後体制にこだわるならば米中ともに先勝国だからどちらも日本の敵ですが(笑)

      3
      • 匿名
      • 2020年 6月 06日

      自力で満足に衛星打ち上げもできないテョンに言われてもねw
      さらに当時存在もしてなかったおまエラが戦勝国面とはなwww
      言ってることが支離滅裂だぞw
      テョンはさっさと中国の冊封国に戻れwww

      4
        • 匿名
        • 2020年 6月 06日

        なんか一部に「独自のうち有開発」とやらを矢鱈と持ち上げたがる風潮があるけど、日本が非効率的な「車輪の再生産」をやらざるを得なかったのは、単に「米ソ双方に信用の無い敗戦国」で相乗りさせてもらえなかっただけなんだよなぁ…

        まあH2AやM-Vなんかを持ち上げて「日本は実質核ミサイル保有国!」だのフンダララ言ってるネトウヨを見かける度に”そんなんだからアメちゃんもニュークリアシェアリングを許さねーんだよw “と苦笑する訳だが…

          • 匿名
          • 2020年 6月 07日

          君は現実と戦わなきゃw

          6
          • 匿名
          • 2020年 6月 07日

          韓国は宇宙開発で日本に50年遅れいている。
          それだけが事実だなwww

          5
          • 匿名
          • 2020年 7月 11日

          先ず水車を自力で作ってから、此処においで!

          東アジアで唯一、水車を作れなかった朝鮮半島の民族さんへ!

          現実を見れませんか? (見たくないんだねww)

          6
      • 匿名
      • 2020年 6月 06日

      WW2の事を持ち出すなら、韓国は旧日本帝国の一部だから、敗戦国側。

      5
        • 匿名
        • 2020年 6月 06日

        その通り!
        歴史的事実です。

        6
      • 匿名
      • 2020年 6月 06日

      日本の準天頂衛星システム「みちびき」の米軍利用の話しがある位なのですけどね。
      GPS補完だけでなく、米軍の宇宙状況監視(SSA)センサー搭載という形でも。
      「みちびき」搭載用のSSAは、まだ開発予算の計上の段階ですけど。

      3
      • 匿名
      • 2020年 6月 06日

      (こと宇宙やロケットの分野に関しては)韓国は色々とおんぶにだっこ状態になるからね
      最低限、自前のロケットで衛星を打ち上げれるようにならないと

      3
    • 匿名
    • 2020年 6月 06日

    どうせなら探知だけじゃなくて兵器を積んで衛星兵器にしてほしいね

    耐用年数を過ぎたら任意の都市への落下起動に乗るような仕組みを付けられればなお良し

    1
      • 匿名
      • 2020年 6月 07日

      それは条約とかで禁止されてなかったっけ?

      1
    • 匿名
    • 2020年 6月 06日

    GPS衛星も同じようなことをやってるからセンサーさえつければ当然可能だろう。

    • 匿名
    • 2020年 6月 06日

    >対衛星攻撃兵器(ASAT)が届きやすなるため破壊される可能性が高くなる問題があるのだが

    これが起きると、スペースデブリが飛躍的に増えて、ケスラーシンドローム発生の危険が。

    低軌道上故に、破壊された時に発生するデブリは比較的短期間で落下消失するだろうけど、
    狭い空間に大量配備だと連鎖し易い環境にはなるので、連鎖が起きる前に落下仕切って欲しいものです。

    ケスラーシンドロームが発生して、人類の宇宙空間利用に深刻な障害が起きるのは勘弁して欲しいので。

      • 匿名
      • 2020年 6月 06日

      自国が核戦争やってる時にケスラーシンドローム気にする国があるだろうか…

      2
        • 匿名
        • 2020年 6月 06日

        別に核戦争でなくても、目先の事しか考えられない人はやらかすでしょうね。
        そして、不都合な事実から目を逸らしても事実が変わる訳でないので、後でその報いを受けるたけ、と。

      • 匿名
      • 2020年 6月 06日

      まるでエースコンバット7(衛星破壊による大混乱)とかアーマードコア フォーアンサー(人類が地球に閉じ込められる)みたいですね
      そう考えると面白そう

        • 匿名
        • 2020年 6月 06日

        その状態だと、確か50~60年程閉じ籠り衛星打ち上げも一切止めたら、デブリが落下して再び使えるようになるみたいです。

          • 匿名
          • 2020年 6月 07日

          ただのデブリじゃ半世紀しか効果がないんですね
          世界規模でアサルトセルの開発を頑張ってもらわないと…

        • 匿名
        • 2020年 6月 07日

        後はアーセナルバードだ!

    • 匿名
    • 2020年 6月 06日

    センサー網って事は静止衛星になるのかな?
    静止衛星ってずっと浮いている訳じゃなくて、地球の重力に引っ張られて高度が低下する。
    大型衛星の場合は、推進剤で定期的に高度上昇させられるけど、
    小型衛星はそれが出来ないのはどうするんだろうか?

      • PO
      • 2020年 6月 06日

      静止衛星ってのは高度3万5-6千キロの静止軌道にある衛星のことで、今の早期警戒衛星や衛星放送なんかの通信衛星のことで、記事にあるこれから構築する警戒衛星は、低軌道の衛星なので静止衛星とは言わないですね。
      低軌道の衛星が定期的に高度を上げるのはその通りだけど、低軌道は薄い大気が存在するためその空気抵抗で速度が落ちるのが原因ですね。重力に引っ張られているのはその通りだけど、軌道修正の原因が重力なら軌道を回る速度を上げるだけでいいので、この場合はちょっと違うかな。ちなみに偵察衛星は低軌道の衛星で、日本の情報収集衛星は平均高度500㎞でアメリカの偵察衛星は300~1000㎞らしいですね。
      また、小型衛星っていっても重さ数百㎏ってありますから、小型衛星の中でもかなり大きいものですよ。はやぶさ2で重さ510㎏ですからね。はやぶさ2よりひと回り小型ってくらいじゃないかと。もちろん軌道修正可能なものでしょうが、問題はその燃料で、その残量によって運用年数が決まるのでね。

      1
        • 匿名
        • 2020年 6月 07日

        なので、JAXAの「つばめ」研究があるんでしょうね。
        超低高度衛星技術試験機(SLATS)イオンエンジン 

    • 匿名
    • 2020年 6月 06日

    イージスの情報共有を切られている血盟同盟国には関係のない話

    4
  1. この記事へのトラックバックはありません。

  1. インド太平洋関連

    米英豪が豪州の原潜取得に関する合意を発表、米戦闘システムを採用するAUKUS級を…
  2. 中国関連

    中国、量産中の052DL型駆逐艦が進水間近、055型駆逐艦7番艦が初期作戦能力を…
  3. 米国関連

    米空軍の2023年調達コスト、F-35Aは1.06億ドル、F-15EXは1.01…
  4. 米国関連

    F-35の設計は根本的に冷却要件を見誤り、エンジン寿命に問題を抱えている
  5. 北米/南米関連

    カナダ海軍は最大12隻の新型潜水艦を調達したい、乗組員はどうするの?
PAGE TOP