米国がアラブ首長国連邦(UAE)に第5世代戦闘機F-35Aを売却することに伴い、UAEがギリシャのF-16E/Fを売却するのではないかと報じられている。
参考:Ahead of F-35 Buy UAE May Look to Sell Some of its F-16 Jets to Greece
UAEへのF-35A販売は最終的にフランスの動きを牽制することに役立つという理論
ギリシャはトルコと東地中海の排他的経済水域(EEZ)問題で極度の軍事的緊張に晒されており、特に問題なのはエーゲ海上空や東地中海上空における両国の航空戦力のバランスだ。ギリシャ空軍は計226機の戦闘機を保有しているのに対してトルコ空軍は計293機の戦闘機を保有しており、両国とも米国製戦闘機F-16C/D(ギリシャ153機/トルコ245機)が事実上の主力と言っていい。
問題はF-16C/Dのスペックでギリシャはトルコに劣っているという点だ。
ギリシャ空軍のF-16C/DはBlock30~Block52+が混在している状況だが、トルコ空軍のF-16C/DはアップグレードによってBlock50+に統一されており、独自のAESAレーダーや独自の電子戦装置を統合するアップグレード計画も進行中で両国の航空戦力には小さくない差が生じ始めている。
そのためギリシャは保有するF-16C/Dの約半分(84機)をBlock70(通称V仕様)にアップグレードする計画を発表、さらにフランスからラファールを18機導入することを最近発表したが、Block70へのアップグレードが完了するのは2027年頃、ラファールがギリシャに到着するのは2026年頃なので当面苦しい戦いになることが予想されていたのだが、ここにきてUAEがギリシャにF-16E/F(Block60/62)を売却する可能性が浮上してきた。
F-16E/FはUAEが約30億ドルを負担して開発された機体で、Block52をベースにAESAレーダー「AN/APG-80」や前方監視赤外線装置「AN/ASQ-28」を搭載、エンジン出力も10%ほど向上したF110-GE-132(F型は232)を採用するなど、後から開発されたF-16Vと比較しても決して見劣りしない性能を備えている存在だ。
ただ同機の調達価格は非常に高価でUAE以外に採用国はなく、後継のBlock70(V仕様)が比較的安価であったためF-16のアップグレードや新規調達需要はF-16Vに集中している。
この希少種とも言えるF-16E/FをUAEがギリシャに売却するという話のカラクリはこうだ。
当初ギリシャはF-16Vへのアップグレードを発表した際、F-35A導入にも前向きな発言を繰り返していたのだがトルコとの軍事的緊張が高まり予定にないラファール導入を急遽決定、このままラファールを追加導入するなどの流れに持っていかれるとギリシャ空軍の次期戦闘機の座をフランスに奪われてしまう。
UAEはトランプ政権の仲介のもとでイスラエルとの国交を樹立した見返りに、米国から第5世代戦闘機F-35A(推定12機+)の導入を進めているため将来的にF-16E/Fの一部を手放すことになるだろうと言われており、これをギリシャに売却できないか裏で動いているのが米国で今年8月にUAEがギリシャにF-16Eを4機派遣(ギリシャとの共同訓練目的)たのも売却に向けた交渉の一部(UAE軍の高官が演習視察目的でギリシャを訪問している)だったったと報じられている。
もしギリシャがUAEのF-16E/Fを購入すれば、追加のラファール調達阻止=フランスへの牽制に役立つだろうと言われており、米仏による防衛装備品売り込みの激しさを垣間見ることができる。
関連記事:米仏に続きUAEまで東地中海問題に介入、F-16Eをギリシャに派遣
関連記事:ギリシャ、F-35Aではなくラファールを選択したのは納期の違い
※アイキャッチ画像の出典:public domain UAE空軍のF-16E
国の命運が掛かった事情にこんなこと言うのもなんだが、世界中16と35ばっかでつまんない…
優秀だからね、仕方ないね
自身を途上国の空軍を統べる地位に想定して考えてみればいい
飛ぶたびに軽微な整備だとしても必要な戦闘機を浪漫を求めて双発を選ぶ阿呆は居ないってこと
単発機で事足りるのに何が悲しくて双発機を選ばなくてはならないのか
西側でいうとF100/110クラス以上で創発なら意味はあるが、同エンジンの単発の代わりにしょぼいF41クラス双発で補うとか洋上での生存性だけしかメリットがないしょぼいエンジンの双発とか論外だってこと
どこかの半島で今からそのしょぼいエンジンで・・・おっと誰か来たようだ・・・
仮にどっかの島国がF3開発に成功した上で奇跡的に政治的ハードル越えて本格的に武器輸出可能になったら、石油プラントの建設受注の見返りに戦闘機輸出しまーすみたいな交渉を三菱商事の商社マンが中東でする日が…来るん?
アメリカ製でない自由主義陣営の高価格高スペックの装備品って競合相手は英独仏あたりなわけで、案外日本がこういうゴタゴタの端役になる日もそう遠くないんだろうか?
インドやらインドネシアやらの様子を見るに、兵器輸出は面倒極まりないから、利益よりも同盟強化目的程度に留めておいた方が幸せな予感
下手に大口契約取ってライン強化した後でキャンセル喰らった場合、国内軍事産業の維持どころかトドメを刺す結果になりかねませんし……
横からだが、長距離飛行可能な双発の制空戦闘機ってニーズが殆どないんじゃないかね
加えて値段もサポートも欧米と競えるわけでもなし…来そうにないな
東南アジア諸国への巡視船供与は海警の戦力分散にも繋がっていい線いってたと思うが兵器は難しいねえ
輸送機や爆撃機の護衛として。
でも航続距離が長い爆撃機をもつ国ってそんなに多くはないよな?適当だが20~30ヶ国ぐらいか?
やたらと領土が広い国もそんなに数多いわけでも無いしやはりニーズは少なそう。
マルチロールなら話は変わるんだろうがな・・・
アホか
爆撃機を作戦機としてマトモに運用している国は米露中しかないわ
いや、マルチロールにしても双発機でランニングコスト嵩むからどうかねえ
空自の状況が特殊なのよ
アメリカが国をあげてのドMにでもならない限り、そんなことしたらアメリカがブチ切れると思うよ。
多分、輸出する分の民間機や軍用機の独自開発は一切しない位の密約結ばないと許すはずがない。
日本は海に囲まれてるから海洋警察向けの装備やレーダーなど比較的小規模な案件に的を絞ったらいいと思う。
正面から見るラファール格好いい。
戦闘機をかき集めても、慣熟訓練が終わる頃には今の状態が終わってないかな?
来年あたりギリシャからキャンセルの嵐が。
ギリシャもトルコも所有するF-16はお互いに攻撃禁止という契約で販売されてるんじゃなかったっけ?
まだ実際に攻撃してないからセーフなのかね?よくわからん
輸出かー、今のところ日本にはあんまり縁のない話だなぁ
UAEのF-16E/Fは80機全てがF110-GE-132を積んだブロック60でF100-PW-232を積んだブロック62は採用事例がないと思いましたが、F型だけP&Wエンジン搭載なんでしょうか。
E/F型のAN/APG-80レーダーは既存機のアップグレードに使えないため、既存機改修用(=V型)にF-35のAN/APG-81のアンテナ部分を流用したAN/APG-83レーダーを開発した経緯があります。
F-35が買えるならF-16は減勢でも良さそうですが、買い取るギリシャとしては当面は良いとしても、将来の改修の際にV型よりコストアップしそうなトラップですね
どうでしょうね、同じF16でも中身がかなり別物の機体がいま入手できたとしても、それを慣熟して戦力化するのに日数はどのくらいのもんでしょうね、それこそパイロットだけでなく地上支援スタッフや機材まで手間が必要と思うんですが
手持ちのF-16を米国まで運んで近代化改修した方がマシなのでは?
ギリシャとトルコがお互いに非難し合って緊張状態かと思ったら、今度はアメリカとフランスでなりふり構わない戦闘機のシェア争いか・・
NATOの結束はもうボロボロ(泣
>>ラファールがギリシャに到着するのは2026年頃なので
やっぱそのくらい先になるよな
インドもラファール緊急調達してるし
ラファールの生産ラインもそんな大きくないだろうしな
アメリカは、イスラエル製の防空システムあたりもチラつかせて、フランスを出し抜こうとしているのかも。
ただ、後からF-16C/Dを出しても、相手がラファールではアダバンテージは高くない。
どう転んでも当面はギリシャ不利には違いないね、増強プランが具現化した頃には関係が落ち着いてしまってたりとかありそう
それで武器商人のみ儲けると
F-16E/Fはレーダーやエンジンなど独自の装備品を搭載したため、設計変更されている部分が多く、他のF-16との互換性が失われており、Vへの改修が難しいという話があります。
今回のF-16売却の話は、UAEがF-16E/Fの改修に見切りをつけている部分もあるのではないでしょうか。
当面そのままで使えるから、いいんじゃないかな?
今すぐ必要だから。
この手の駆け引きが一切出来ない日本が武器輸出とかw
真面目に言ってるなら聞いて呆れるね
駆け引き?それ以前の問題だろ?
仮にA国に最新武器を売りました。
しばらくしてA国はB国に襲われました。
A国を助けないとB国に日本の武器のデーターが渡ってしまいます。
A国を助けますか?もしくはB国に核を撃ち込みますか?
アメリカ(最近のアメリカはなんかヘタレぎみだが)、ロシア、フランス、イギリス、中国なら問題はない。EUの盟主ドイツもなんとか出来るだろう。
では日本は? 自分がA国ならそこらへんのオプションが期待できない日本の武器は駆け引き関係なく買いにくいに決まってるわ。
盗られてもそこまで痛くない武器なら可能性あるかもな。まあそのあたりはかなり競争が激しいが。
それが嫌なら憲法改正するべきだな。
軍事技術の漏洩が怖いから核使うとか、
軍事技術の漏洩が嫌だから軍事支援するとか、
前提条件が異常すぎる。
四半世紀前のF16が改良されているとはいえ世界的なベストセラーで各国から引っ張りだこ。
しかし各国にV型が行き渡った後、その次の機体がアメリカを含めどこの国でも開発されていない。
このまま20年以上もF16を使い続けるしかない。
まあ日本はF16の速度・レーダー・兵装・航続距離をはるかにしのぐ完全ステルスのF-3を開発するからF16のユーザーグループに無関係でいられる。
愛車がGTRやスープラで知人がカローラしか持っていないような状況がこの先長く続くことになる。
そして余裕のある国はしばらくすればカローラでは満足できなくなる。
そのアメリカを破ってフィリピンの防空レーダー(防衛の要)を受注した日本ってやっぱすげぇんだなぁ
そこで納得してたら商売にならんよ、他国ならばそのレーダーと連携出来るミサイル、航空機まで後からセットでお薦めしてくるのに
国内防衛メーカーはオールジャパン体制で輸出専門の複合体を作るべき段階に入ってるよ
オールジャパン?何人日本人いましたっけね?
米国の兵器に材料や部品の供給した方がリスクが無くてお金になるような気がしますが
ノーリスクねえ、米国もなかなか商売人だから下請けに利益出させてくれるかどうか
全く出なかったら下請けがつぶれるから最低減の利益は出してくれるでしょうけど。
そのから抜け出せるか次第ですかね
日本は「防衛装備移転三原則」遵守が前提ですので、まずは「防衛装備技術移転協定」締結の元に政府間でレールを敷かないと企業は勝手に動けません。つまり案件ごとの事前承認が必要です。
豪州の次期潜水艦計画でMHIとKHIが入札参加の要請に応じなかったのはそのためです。
現状では輸出を前提としたオールジャパン体制の常設は次期尚早でしょう。