イエメンの反政府組織フーシによる攻撃に頭を痛めるアラブ首長国連邦は、エジプトにSkyguard/AMOUN防空システムの派遣を要請したと報じられている。
参考:UAE, Egypt and AMOUN air defense system
参考:Egypt offers to UAE air defense capabilities with its Skyguard AMOUN to counter Houthi air attacks
直ぐに役立つ防空システムを手当り次第探しているアラブ首長国連邦、今度はエジプトにSkyguard/AMOUNの派遣を打診か
イエメンの反政府組織フーシは巡航ミサイル、中距離弾道ミサイル、ドローンを使用してアラブ首長国連邦(UAE)の首都アブダビを今月17日に攻撃、同国を訪問中だった韓国の文在寅大統領とムハンマド皇太子の会談を妨害することに成功したが、30日に歴史的なUAE訪問を果たしたイスラエルのヘルツォーク大統領とムハンマド皇太子の会談を妨害するため再び弾道ミサイルを使用した攻撃を実行、UAE側に迎撃されたと報じられている。
ただ今回の攻撃でUAE側はヘルツォーク大統領とムハンマド皇太子の会談をキャンセルしなかったためフーシの目論見は外れた格好だが、UAEは韓国から調達する防空システム「天弓2/M-SAM BlockII」が稼働するまでの繋ぎとしてイスラエルに「デービッド・スリング、バラク-ER、バラク-8を緊急調達できないか」と水面下で打診していると報じられており、更に興味深いのはUAEがエジプトにフーシの攻撃阻止に必要な支援を要求している点だ。
UAEはエジプトとの協議で「UAEのミサイル防衛シールドを強化するための支援を含む共同防衛協力を要請した」と複数の海外メディアが報じており、エジプト防空軍が保有するSkyguard/AMOUN(スカイガードレーダー×1基、35mm連装高射機関銃/最大射程4,000m×2基、アスピーデ地対空ミサイルランチャー/最大射程20km×4基で構成された防空システム)のUAE派遣を希望しているらしい。
Skyguard Amoun Anti-Aircraft System Which consists of 2/4-cell Aspide missile launchers and 2 Oerlikon GDF-005 twin 35mm guns with one Skyguard Fire Control System per battery, According to several sources Egypt received more than 35+ Skyguard Amoun Battery. pic.twitter.com/dsqd7B6ljM
— Mahmoud Gamal (@mahmouedgamal44) June 30, 2018
つまりUAEは簡素な作りのミサイルとドローンにパトリオットとTHAADで構成されたミサイル防衛シールドを貫通されてしまい、これを補完する韓国製の天弓2は2024年以降にならないと稼働しないため直ぐに役立つ防空システムを手当り次第探しているという意味だ。
イスラエル国防軍は地上発射型のバラク-ERとバラク-8を保有していないため「デービッド・スリング、バラク-ER、バラク-8で構成されたミサイル防衛シールド」を直ぐに提供するのは不可能だと思われるが、エジプト防空軍は米国(パトリオットPAC-3、AN/TWQ-1アベンジャー)、欧州(クロタル、IRIS-T/SL)、ロシア(S-300、Buk-M2、Tor-M2)から膨大な防空システムを調達しているため、Skyguard/AMOUNを派遣してくれというUAEの要望に応えることは可能かもしれない。
しかしSkyguard/AMOUNが迎撃できるのは巡航ミサイルやドローンに限られるため、直ぐに入手可能な弾道ミサイル迎撃対応の防空システム探しは今後も続くものと思われる。
関連記事:アラブ首長国連邦、フーシの攻撃を受けイスラエル製防空システムの緊急調達を検討か
※アイキャッチ画像の出典:@Major_Gamer
お知らせ:記事化に追いつかない話題のTwitter(@grandfleet_info)発信を再開しました。 |
ただですら見つけるのが困難な移動式発射装置で
しかもUAVや巡航ミサイルは民間トラックみたいなどこにでもいそうな車両を使用
これは、もう地上軍を派遣して発射地域一帯を制圧するしかないような。
そして泥沼にはまっていく。
ちんけなテロリストでは無くて、イエメンの1/3を支配してる内戦の立派な一勢力だから、まず政権派が勝利できない限りそりゃ無理な話ですわ。