タイフーン調達にまつわる汚職を調査していたクウェート政府は24日、契約金額を釣り上げるため陸軍士官が合意されていた金額を上回る契約をエアバスに発行したと発表した。
参考:Kuwait pursues corruption charges in Eurofighter plane deal
装備品調達にまつわるスキャンダルで悩まされるクウェート、やはりタイフーン調達契約は不正まみれか
エアバスが旅客機を売り込むため世界各国の政府関係者に多額の賄賂をばら撒いた汚職事件(約4,300億円の罰金を米英仏当局に支払うことで和解)に関連してクウェート政府も独自の調査を実施、他国と同じように不正が見つかったためエアバスはクウェートにも多額の罰金(金額非公開)を支払うことハメになったが、クウェート政府は前々から馬鹿げた金額で契約したタイフーンにも不正が潜んでいると見て捜査を開始した。
クウェートはトランシェ3ベース(P3Eb対応機)の機体にAESAレーダーを搭載したタイフーンを28機購入するため87億ドル(1機あたりの調達コストは3.1億ドル)支払う契約に署名、しかしカタールは同じ構成のトランシェ3×24機を69億ドル(1機あたり2.8億ドル)で、サウジアラビアはトランシェ2×72機を139億ドル(1機あたり2億ドル)で契約しているため「クウェートが契約した金額は馬鹿げている」と以前から指摘されていた部分だ。
2020年時点で国家予算の大規模な流用やエアバス側からの不正な資金が政府高官に渡ったことが確認されたと報じらていたが、クウェート政府は24日「タイフーンの契約金額を釣り上げるため陸軍士官が合意されていた金額を上回る契約をエアバスに発行した」と調査結果を発表したため、再びクウェートは装備品調達にまつわるスキャンダル(2年前にも国防資金8億ドルが横領され前首相と前国防相が勾留中)に悩まされることが予想される。
今のところクウェート政府は契約の当事者であるエアバスについて何も言及していないが、エアバスも契約が合意した金額を上回ることを知って署名に応じている=オフセットを通じた資金の還流に協力した疑いがあるので罪を免れるのは難しいだろう。
因みにサウジアラビアとのタイフーン契約も王室や政府関係者への賄賂で成立したと告発され調査(賄賂の送金に使用されたスイス銀行の口座調査など)が進められたが、サウジアラビアの追加購入交渉に影響を及ぼすことを恐れた政府が調査の打ち切りを命じて有耶無耶になっており、オーストリアとの契約も賄賂を政府高官にばらまいてねじ込んだことばバレて1億ドルの賠償を行うことで和解している。
関連記事:またエアバスが不正? クウェートに売りつけたタイフーンの価格が問題に
関連記事:導入自体が間違い?タイフーンを導入したオーストリアの後悔
関連記事:戦闘機導入の相場、タイフーンが中東以外に人気がない理由
※アイキャッチ画像の出典:Kuwait Air Force
お知らせ:記事化に追いつかない話題のTwitter(@grandfleet_info)発信を再開しました。 |
ワイロファイターだったか。性能は悪くなさそうなのに
>ワイロファイター
すき
ワイドハイターの語感なのに「賄賂も腐敗も分解消臭!」とはいかなかったんだな。
不毛地帯だの、ロッキード事件の真相はどうでしょうね、本命はP3C疑惑だったという話もあったけど
正直賄賂をしたせいで自滅したように見えるんだよな>ロッキード事件
アラブ世界は賄賂だの裏金だの当たり前の領域かも知れないけど、防衛関連予算が微妙な立場にある我が国が同じような汚職をやってたら、それこそ左派や反政府どもが、防衛費は汚職が出るから必要ないとか意味不明な騒ぎ起こしていきり立つから、国防へのマイナスは計り知れないよ
シーメンス事件なんて歴史もあるから、国民が国防意識を高めて監視してないと危ないよ
確かサウジもこの話が出たはずで、導入機数やトランシェの差があるから一概には言えないがどの辺の金額が正当なんだろうな。
カタールは機数とトランシェ3で同じではあるが、レーダーだ違うから比較できない。
もっとも中東はこの手の話は多すぎではあるけどな。
そんなことばっかりしているから信用されない機体扱いなんだよな>タイフーン
余程なことがない限り、選ぶことはない機体なんだな
こういう用途の兵器も、装備調達の世界には存在するんですねぇ()
エアバスさん陸自にX9蹴られて激おこだったけど賄賂通じない国でよかったわ😭