ロシア関連

SM-3迎撃実験への対抗? ロシアが対弾道ミサイル迎撃システム「A-235」をテスト

ロシア国防省は26日、開発中の対弾道ミサイル迎撃システム「A-235」のテストを実施して性能を確認したと発表した。

参考:Воздушно-космические силы выполнили пуск новой противоракеты системы ПРО

ICBMを想定したSM-3Block2Aの迎撃実験に対抗か?ロシアが対弾道ミサイル迎撃システム「A-235」のテストを実施

ソ連は冷戦時代に首都モスクワを米国の大陸間弾道ミサイルや中距離弾道ミサイルを使用した攻撃から保護するため、対弾道ミサイル迎撃システム「A-135(NATOコード:ABM-4 Gorgon)」を開発して運用してきた実績をもつが、現在「A-235 Nudol」と呼ばれる新しいシステムを開発中だ。

A-135は地上に固定設置されたレーダーやミサイル発射基で構成され迎撃ミサイルに核弾頭を使用していたが、A-235は移動式で通常弾頭を使用した迎撃ミサイル(一応、核弾頭も搭載可能らしい)で構成されており、各種コンポーネントはA-135で使用されていたものをアップーグレードしたもの使用しているらしい。

出典:public domain ソ連が冷戦時代に開発した対弾道ミサイル迎撃システム「A-135(NATOコード:ABM-4 Gorgon)」のイラスト

ただ弾道弾迎撃ミサイルは新しいものを含めて4種類準備している。

1つ目は高度50km以下で弾頭ミサイル迎撃を担当するPRS-1M/45T6、2つ目は高度120km以下で弾頭ミサイル迎撃を担当する58R6の派生型、3つ目は高度800km以下で弾頭ミサイル迎撃を担当する51T6の派生型、4つ目が新規に開発された「14Ts033」でロシアは大陸間弾道ミサイルや低軌道上の衛星を破壊できると主張しているため迎撃高度は1,500km~2,000kmに達している可能性が高く、ロシアの主張が正しいのならA-235は対弾道ミサイル迎撃システムと対宇宙攻撃兵器の性格を併せ持った唯一の兵器と言える。

出典:ロシア国防省 2018年に実施されたA-235のテスト風景

ロシアが今回実施したテストで14Ts033を使用したのではないかと海外メディアが報じているが、ロシア国防省自体はテストしたミサイルの種類やターゲットの情報などを明かしていない。

しかしロシアがICBMを想定したSM-3Block2Aの迎撃実験に対抗してA-235のテストを実施したと見るなら、大陸間弾道ミサイルや低軌道上の衛星を破壊できると主張している14Ts033を使用して米国側に実力を確認させた可能性は十分に想像できる。

恐らく米国側が14Ts033を使用したのか?どの様なテストを実施したのか?大陸間弾道ミサイルや低軌道上の衛星を破壊する性能があるのか?などに公に言及することはないだろうが、ミサイル防衛(MD)技術は米国の専売特許ではないという事だけは覚えておかなければならない。

関連記事:日米が共同開発したSM-3Block2A、ICBMを想定した迎撃実験に初成功

 

※アイキャッチの出典:elen31 / stock.adobe.com

沿岸部に集中していた戦力が分散? 中国がインド方面にJ-16配備を開始前のページ

イタリア空軍、ビーストモードで訓練するF-35AとF-35Bを初公開次のページ

関連記事

  1. ロシア関連

    ナゴルノ・カラバフ紛争、ロシア国内でアルメニアに空挺部隊派遣の動き

    露メディアは22日、与党「統一ロシア」所属のザトゥリン議員が「アルメニ…

  2. ロシア関連

    ロシアのペテンが中国にバレた? S-400は極超音速兵器と交戦できない

    中国がロシア製防空システム「S-400」に不満を述べている原因について…

  3. ロシア関連

    世界で最も非常識な兵器、ロシアが極超音速ミサイル「ジルコン」の大規模量産を開始

    ロシアのアレクセイ・クリボルチコ副国防相は30日、2022年にフルレー…

  4. ロシア関連

    ロシア、第5世代戦闘機「Su-57」の製造ラインにAR技術を採用か

    ロシアが第5世代戦闘機「Su-57」の大規模量産に拡張現実(AR)技術…

  5. ロシア関連

    努力するロシア軍、地上拠点をUAVによる攻撃から保護する新戦術をテスト

    ロシア国防省は25日、敵の無人航空機から地上拠点を保護するため新しい戦…

  6. ロシア関連

    日本も射程圏内、ロシアがカムチャツカ半島に極超音速ミサイル搭載のMiG-31Kを配備

    ロシアは太平洋方面に極超音速ミサイル「Kh-47M2 キンジャール」を…

コメント

    • 匿名
    • 2020年 11月 27日

    ひぇ〜MDもすごいなロシアは…

    1
    • 匿名
    • 2020年 11月 27日

    技術はともかくとしてどこにそんな金があるのだろう?

    6
      • 匿名
      • 2020年 11月 27日

      中国もロシアもbricsとか言って西側諸国がじゃぶじゃぶお金あげて経済発展させてきたじゃん。

      8
    • 匿名
    • 2020年 11月 27日

    ロシア側はアメリカのミサイルディフェンスに猛烈に抗議していたが
    自国に似たような防衛策が無かったからだろう
    でもロシアが似たような計画を進めているとなると抗議はしなくなるだろうし
    完成した暁には大人しくなるだろうな

      • 匿名
      • 2020年 11月 27日

      いえ、しますよ
      しない理由がありません

      9
      • 匿名
      • 2020年 11月 28日

      ロシアがそんなかわいいタマか!
      俺はやるがお前はやるなが世界のスタンダード
      旧東側とアメリカとフランスと半島では特に

      10
    • 匿名
    • 2020年 11月 27日

    SM3も宇宙空間の攻撃できるよね?
    前に衛星破壊してなかったっけ

    2
    • 匿名
    • 2020年 11月 27日

    イメージとして、ICBM転用の巨大ABMでICBM迎撃?
    以前のABMは命中精度を出せなかったから核爆発で核弾頭破壊という荒技兵器だったが、ロシアなら今度のも同じパターンあり得る

    3
      • 匿名
      • 2020年 11月 27日

      リンク
      初速がかなり速いから転用じゃなくて新規開発だね
      弾頭は核であってる

        • 匿名
        • 2020年 11月 28日

        ミサイルの発射車両が無事とは思えない。

    • 匿名
    • 2020年 11月 27日

    アメリカの極超音速滑空兵器開発を後押しし、中国を震え上がらせる
    おそロシア

    • 匿名
    • 2020年 11月 27日

    弾道弾が無力化されれば、核兵器廃絶につながるだろうか?

      • 匿名
      • 2020年 11月 27日

      答えはより大量・小型・複数のキャリアによる核兵器配備でしょうな。
      ネタ枠だがアタッシュケースに収まる核兵器なんてのも研究再開されるかもしれん

      3
      • 匿名
      • 2020年 11月 28日

      ロシアの冷戦時の方針は、迎撃されるなら迎撃しきれないほどの数のミサイルを撃ち込めばいいじゃない、だった
      それに弾道弾は迎撃するよりも撃ち込むほうが遥かに簡単なので、核軍拡して迎撃し切れないほどの核ミサイルで飽和核攻撃する方向に行くんじゃないかね

      4
        • 匿名
        • 2020年 11月 28日

        戦いは数だよ兄貴!

        1
    • 匿名
    • 2020年 11月 27日

    そこで徘徊型核搭載ドローンでの飽和攻撃ですよ
    雑草一本残りません

    2
    • 匿名
    • 2020年 11月 28日

    で、結局当たったのかな?
    ロシアの兵器っていつも最後の最後が公表されない。
    フランカーの空中機動はたくさん動画を出しているけれどミサイル関連は命中できないから動画を出せないのかも。
    当たらなければどうと言うことは無いって誰かが言ってましたね。

    2
      • 匿名
      • 2020年 11月 28日

      ロシアメディアを視てて感じるのは、強いロシアを国内向けに演出することを心掛けてるなと。
      これは戦勝国の共通心理なのだろうが、もうひとつ感じるのは、祖国防衛を強調してること、すなわちロシアは敵に狙われてるイメージの創造ねw
      日本から見たら誰がロシアを襲えるのかって笑えるくらい
      なのに、唯一その可能性ありそうな中国への批判は皆無w
      つまり出してくる情報がご都合主義なんですよ

      3
      • 匿名
      • 2020年 11月 28日

      そもそもマッハ20で落下してくる弾道ミサイルを成層圏かそれより上で迎撃する場面を映像化するのが難しくコストがかかる。
      空対空ミサイルの迎撃の瞬間の映像はアメリカも広報ビデオで発射はあっても命中する瞬間はない。
      ロシアの空対空ミサイルのR-77はインド空軍も大量採用してて、当たらないから金返せなんて話はないから問題ない。

    • 匿名
    • 2020年 11月 28日

    相変わらずロシアの対空ミサイルってくそデカサイズだよね

    3
  1. この記事へのトラックバックはありません。

ポチって応援してくれると頑張れます!

にほんブログ村 その他趣味ブログ ミリタリーへ

最近の記事

関連コンテンツ

  1. 米国関連

    本当に笑えない、米空母ジェラルド・R・フォードを苦しめるエレベーターの呪い
  2. 軍事的雑学

    ようやく本領発揮、世界最強の戦闘機F-22Aが「神の視点」を味方に提供
  3. 欧州関連

    再掲載|英海軍の闇、原潜用原子炉の欠陥と退役済み原潜の処分費用
  4. 軍事的雑学

    空飛ぶスナイパー? ロシアの戦闘機「Su-57」は米軍の航空支配を効果的に破壊す…
  5. 軍事的雑学

    打つ手なし? ドイツ軍兵士は一般的な乗用車を「プーマ歩兵戦闘車」と思い込まされ訓…
PAGE TOP