米空軍はF-35のTR3構成機について「完全な戦闘能力を持たないまま引き渡される」と明かしていたが、ロッキード・マーティンも「訓練用バージョンを先にリリースする」と明かし、Defense Newsは「当面TR3構成機は訓練飛行のみで使用される」と報じている。
参考:First upgraded F-35s won’t be ready for combat until next year
もっと早くTR3構成機の戦力化を行いたが、これが現実なスケジュール
F-35Block4で予定されているアップグレードはソフトウェア、レーダー、電子戦、エンジン、冷却システム、コンピュータ等の刷新・改良で構成され、全要素を組み込んだBlock4の量産機は2029年以降に出てくると予想されていたが、下院の公聴会に出席したシュミット中将は「Block4で予定されている多くの能力は2030年代まで実現しない」「そのためBlock4自体を再構築することになった」「再構築されたBlock4は産業界が本当に提供可能なもので構成されなければならず、必須能力の提供のみに焦点を当てる」と明かした。

出典:Edwards AFB/USAF TR3のテストを行う検証機
さらにシュミット中将はTech Refresh3搭載機の引き渡し問題について「今年の7月~9月の間にTR3構成機の受け入れを開始する予定だが、TR3のソフトウェアは戦闘に不可欠な機能が含まれていない暫定バージョンになる見込みで、この計画をプログラムに参加する全てのパートナーが承認した。戦闘が可能なソフトウェアのリリースは1年以上先になるだろう」と述べ、TR3構成機は当面「完全な戦闘能力」を持たないまま引き渡されるらしい。
Breaking Defenseは再構築されるBlock4について「電子戦や通信能力の強化で構成される可能性が高い」と報じているが、もはやBlock4を構成する各要素の開発は破綻状態(いつ完成するのか誰にも分からない)に近く、戦術空陸軍小委員会のウィットマン委員長も「私は過剰な約束と過小な成果にうんざりしている」「Block4は現実を反映してほしい」「現実的に何ができるのか理解すべきだ」と述べている。

出典:U.S. Air Force photo by Staff Sgt. Andrew Lee
ロッキード・マーティンも23日の決算説明会で「我々がTR3で直面したのは複雑さの問題だ。新しいハードウェアを全てのシステムに統合しようとしているが、この作業は我々が想像していたよりも時間がかかっている」「TR3構成機向けの訓練用バージョンを先にリリースし、その後で実戦対応バージョンをリリースするのが正しいと確信している」「そうすれば空軍はTR3構成機を手に手に入れ訓練飛行を開始でき、同機に対するインフラを整えることが出来る」と述べ、もっと早くできるようにしたいが「これが現実なスケジュールだ」と付け加えた。
TR3構成機向けの訓練用バージョンとは「戦闘に不可欠な機能が含まれていない暫定バージョン」のことで、Defense Newsは「当面TR3構成機は訓練飛行のみで使用される」「来年までTR3構成機の戦闘準備は整わない」と報じている。

出典:Lockheed Martin
因みに受け取り拒否に直面して「ロッキード・マーティンが保管しているTR3構成機は70機以上に膨らんでいる」と予想され、引き渡しが第3四半期までずれ込むと同社の損失額は8億ドルを超える見込みだが、決算説明会でもロッキード・マーティンはTR3構成機の生産数に触れず「2024年に75機から110機のF-35を納品する予定だ」と明かした。
この数字は150機前後の年間生産量からかけ離れた数字で、しかも「75機から110機」という数字を達成するには「サプライヤーからTR3に必要なハードウェアをタイムリーに受け取る必要がある」と述べているため、Defense Newsは「TR3構成機の生産は部品供給の遅れにも直面している」と指摘している。
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※アイキャッチ画像の出典:U.S. Air Force photo by Airman 1st Class Zeeshan Naeem
多分もっと遅れると思いますよ
戦力化されることは永遠になかったりして・・・・
>当面TR3構成機は訓練飛行のみで使用される
TR2は不完全ながら作戦可能なのにTR3が訓練しか使えないというのは、TR3にはTR2と同じソフトウェア及びハードウェアが搭載できない、つまりTR3自体の動作が保証されていないことになる。こんなことならまだ使用できるTR2を当面の間出荷して、TR3でTR2と同等かそれ以上の能力が保証された時点で既存機をTR3仕様に改修するという段階を踏むべきだった。
民生品の開発製造でも製品を未熟な状態で販売などしない(新製品に欠陥が見つかることはあるが)。民生品以上に信頼性が求められる軍用品で信頼性を保証せずに堂々と販売できるのは信じがたい。ロシアやウクライナみたいに切羽詰まっている訳ではないのに、何故亀戦車みたいに迷走した兵器が作られるのか。
欧米のプログラム屋やメーカーって、
『最初から完璧である必要はない。問題や欠陥(バグ)が出たら、その都度アップデートで修正すればいい』
っていう考えが浸透していて、日本などの様に最初から問題のないレベルにしてから出そうという発想がない
だからこそ次々と新製品を展開できるのだけど、F-35の様な時はそういうわけにもいかない
いかないのだが、そんなことは自分の仕事(=給料分外の仕事なので)関係ないと言い切ってしまうのも欧米流の一般的な働き方も合わさった結果としか
欧米流の働き方や、メーカーの姿勢ををほめたたえる人もいるけど、こういう負の側面もあるって事を理解してない事が多いんだよなぁ
1から作り直した方がじつは楽だったのでは?>BLOCK4
周りがみんな買うから、欲張って色々な機能を追加しようとするんだけど、本来の拡張性がそれ程無いので苦労するパターンか。
いずれは実現する(?)のでしょうが。
当面はどうするのが最適解なのでしょうか。
F/A18-E/F+EA-18Gが正しいのでしょうか、それとも、
ベース機体をF22に変更するのが良いのでしょうか。
はたまた、ただ待つのでしょうか。素人にはよくは判りません。
日本はF3に邁進するのが良いのでしょうが。
別に現行のF-35が性能不足って訳ではないんだから、スペアパーツを量産して稼働率あげればいいんじゃない?
空を埋め尽くす大編隊を組むような機体ではないんだし
まあこうなるだろうなと・・・
高度に複雑化していくしていくシステム、軍事機密という性格上オープンにはできず限られた人員でソフトウエア開発がおこなわれていると思われます。最高の機体を目指すのは理解できますが今後の世代は更に複雑化して開発困難に陥ることになるでしょう。
ここで発想の転換が必要になると思います。例えば全てを同一機体に詰め込むのではなく複数の機体で役割分担させネットワークで繫ぐネットワークの規格だけは共通化、例えていうなら楽器のmidi方式。軍事でも電子戦機、早期警戒管制機みたいなのはあるので、これを更に進めれば開発の遅れた一部は旧式のままかもしれませんが他の部分はアップデートできるようになるんじゃないのかな。
アメリカも日本みたいな集中管理型の思考が軍事技術に根付いてしまっている…というわけでもなく、パトリオットなどはそれこそ分散型の傑作システムのはずなのですが
まあ冷戦後の平和ボケと技術革新で脳が焼かれた結果、芸術作品を作るかのような狂い方をした結果の複雑さで評価できないどころか完成しない状況なのですかね
F35はTR2の時点で既にエンジンの性能に比べて要求される発電、冷却能力が大き過ぎます
ここで更にTR3にしたらこうもなるでしょう
というわけでF35Block4はアメリカ的パワーでゴリ押し戦法で4発機にするのはどうでしょう?
サイズ、機動性、燃費は最悪になりますがパワーがあれば敵を粉砕出来るは実にアメリカ的で個人的に好みです
コクピットも復座にしてF-70ツインライトニングにしよう
推力に余裕もありそうだから、重装化してガトリングもつけよう
愛称はライトニングMaxで
そもそも仮想敵の性能を考えたらバンバン量産出来るblock3を作っておいて10年後くらいにバージョンアップで良いよねと。首無し飛燕するより
とりあえずJSMだけはなんとか使える様にしてもろて…。
国防の最前線で、役に立たないという事ですかね…。
>「当面TR3構成機は訓練飛行のみで使用される」
訓練にしか使えないなら訓練に必要無いパーツはモック載せとけばエエか!ってなりそう