POLITICOは「F-16のウクライナ提供を主張する勢いが増しているものの国防関係者も議会も意見が対立している」と報じており、戦闘機もよりも「防空システムと大砲の提供を優先すべき」という考えが支持を得ているように見える。
参考:At the Pentagon, push to send F-16s to Ukraine picks up steam
参考:Ukraine’s new tanks won’t be the instant game-changer some expect
高度で複雑な兵器ほど違いを発揮するまで時間がかかり、戦争はやはり兵站が勝敗を左右するのだろう
国防総省の高官や米軍関係者の一部は地対空ミサイルが不足することを懸念して「F-16のウクライナ提供」を働きかけており、このグループは「F-16Vならロシア軍の巡航ミサイルや無人機を撃墜することができ、地上配備型の防空システムと異なり素早く移動できるため広範囲の地域を守ることができる」と主張、しかしF-16提供に懐疑的なグループは「F-16を送っても巡航ミサイルや無人機の問題は解決しない」と主張して伝統的な防空手段の必要性が高いと主張している。
F-16の効果について意見が異なるのは「AN/APG-83を搭載するF-16V」と「AN/APG-68を搭載するF-16C/D」とではレーダー性能に差があるためで、米空軍関係者は昨年6月にBlock40/42やBlock50/52のレーダー換装について「AN/APG-68では1度に2つ以上の移動目標を追尾するのは不可能で、敵が使用する巡航ミサイルの検出能力も0に等しかったかった」と明かしており、懐疑的なグループはAN/APG-83を搭載したF-16(米空軍72機+台湾空軍100機+ギリシャ空軍1機か2機)をウクライナに供給出来るわけがないと考えているのだろう。
さらに興味深いのは国防総省が「まだウクライナは戦闘機の提供が最優先だと宣言していない=支援リストに戦闘機を含めているものの最優先指定は依然として戦車、大砲、防空システムなどの伝統的な兵器だという意味」と明かしている点で、ウクライナはF-16提供が正式決定させる前にパイロットの訓練を始めるよう要請(2023会計年度予算に含まれているウクライナ人パイロットの訓練予算が根拠)しているが、この提案に国防総省は乗り気ではなく、代替案として練習機による戦術訓練を検討しているらしい。
バイデン大統領も国防当局者も「戦闘機提供が依然ほど戦いをエスカーレションさせる危険はない」と考えているのだが、それでもF-16の提供に消極的なのはパトリオットやNASAMといった防空システムの方が重要であるという考え方を支持しているためで、限られた資金を防空システムと反攻作戦に必要な地上装備に集中させたいためだと推測されている。
議会でもF-16提供には賛否が分かれており、ウクライナの利益を代表するUkrainian Caucus所属のマイク・クイグリー議員は「中途半端な戦争は駄目だ。プーチンは中途半端な戦争はしないので武器には武器で対抗する必要があり、どんなものでも必要なものは全て送れ」と息巻いているが、下院軍事委員会のアダム・スミス議員は「提供に反対しないものの戦闘機は現在の優先順位の上位にはない。我々が本当に優先すべきはものは防空システムと大砲だ」と主張した。
因みに提供がきまった西側製戦車についてもCNNは「これが直ぐに戦場で違いをもたらす考える人々は期待値を修正する必要がある」と指摘しており、米陸軍の第1機甲師団を指揮した経験をもつマーク・ハートリング元中将も「戦車をよこせという連中は戦場で戦車を機能させるためにどれだけの苦労があるか知らないのだろう」と述べ、十分な兵站構築がないまま戦車を戦場に投入すれば直ぐに動かなくなって発砲もできないままトーチカと化すと警告している。
つまりウクライナ兵士に戦車の扱い方を訓練させれば数ヶ月後に動かせるようになっても、過酷な戦場で戦車の機能を維持するためにはウクライナ軍のメンテナンス能力は勿論、戦場から遠く離れたサプライチェーンとの物流を構築する必要があり、直ぐに戦場で違いをもたらす考える人々は兵站(米空軍のジェームズ・ヘッカー大将もF-16をウクライナに提供してもロジスティックスの問題で作戦投入まで2年はかかると発言している)複雑さを全く理解していないという意味だ。
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※アイキャッチ画像の出典:U.S. Air Force photo by Staff Sgt. Valerie Halbert
ウクライナに戦闘機の供与が必要になるのは
ロシア空軍による近接航空支援でウクライナ陸軍が一方的にやられる状況になったときに
それを防ぐために航空優勢を確保するためだけど
今のところロシア空軍はそういう動きをしてないんですよね
巡航ミサイルの迎撃で地対空ミサイルの消耗が激しいことについては
我が国でも話題の敵基地攻撃やら反撃能力とやらで
巡航ミサイルを発射しているTu-95が離着陸してる基地を破壊することで対処するのが理想だけど
こういう射程が長すぎる兵器はウクライナが自由に使える状態で供与するのはリスクが高い
比較的安全なウクライナ西部に義勇兵名目の運用する兵士と一緒に派遣して西側諸国の完全な管理下で運用するしかないけど
義勇兵という名目にしてもロシアには当然バレるからハードルは高い
支那事変のフライングタイガースや朝鮮戦争の中国人民志願軍のようなどうみても正規軍だろってバレてる義勇兵って現代だと通用するんですかね
最近のロシアもクリミアの時やってたけどね
f-16を防空だけで考えるのは違うだろ
f-16は空爆による地上攻撃こそが最大の強みだろ!
その対地攻撃もロシア本土の防空システムが健在なままではほとんどできません。
SEAD/DEADをするにしろ、最外層のS400から構成された多層的な防空システムはF-16はおろかF-35でも攻略が難しいと言われていて、供与されて数か月程度のウクライナ軍にやらせるなど無謀です。
また固定航空基地に配備することと、安価で長射程のドローン攻撃を執拗に受けている現状を考えれば地上での生存性も疑問。
地上攻撃は榴弾砲とロケットによるヒットアンドアウェイが最善です。
最近だとシリアにロシアや北朝鮮から派兵されてましたね。現状でも「元西側軍人有志」の何割かはそうだと思いますが
“優先すべきはF-16か防空システムか”。両方必要でしょう。
また、どちらを選んでも、必要数を急速に供与できるわけではないでしょう。
特に、新造をするならば、あり得ない話ですね。ロシアを侮りすぎているのでは。
Mig29を集める問題はどうなったのでしょうか。
先日の記事で、スロヴァキアが”譲渡の用意あり” と表明していたような。
戦後の武器市場のことを考えるのもいいですが、そちらの問題を片付けるのが先では。
旧式のMigだと巡航ミサイルや無人機に対応出来ないから、今回の議題に上がっていないのでしょう。
やはりフランカーも含めて旧ソ連機をかき集めてSEAD任務をさせるか、残っているF-16C/D Block 50/52にSEAD任務をさせて。ロシア国内の防空施設を潰し、ミサイル母機を落とすしかないな。
その前にギリシャのS300とトルコのS400を根こそぎ提供させたら、別の問題も解決して一石二鳥なんだが。
そもそもF16をミグに同じく国土防空機と考えてる時点で費用対効果で無理筋です。F16推しの人らの主張も戦略攻撃の策源地を破壊する=ロシア領内を打撃する為での供与にならない事を前提にしている。これでは何の為のF16なのかが説明になってません。だったらロシア領内の策源地を攻撃してるウ内製の自爆無人機の生産を支援するほうが合理的です。
将来的な備えではなく今ある脅威に対して最短で2年後以降に戦力化のF16なんてそもそもおかしい。旧ソ機の枯渇後の話ではないならあまりにナンセンスです。まずは旧ソ機の供給です。これでウ空軍をとにかく存続させるべきです。F16で実効性向上はそれからの話です。
両方やれよ(´・ω・`)
勿論それが理想だけど
如何にロシアより強い経済力を持つ西側諸国でもリソースは有限
せやから何事にも優先度を付けて資源の配分に気を使う必要がある。。。って事なんやね
一番必要なのはロシア国内の兵站を叩ける長距離ミサイルだろうと思います。
ゼレンスキーもミサイルの供与を願っていますね。
F-16等の航空戦力よりも供与の効果があるのは確実ですし、ロシア側の防空リソースを消耗させることもできる。
まあアメリカが供与に応じるかは難しいですが、本当にGLSDBなら供与に応じるのか、今回供与が決まった西側戦車群が消耗した次の手として西側が打つ手は何か、注目すべき点だと思っています。
長距離ミサイルはロシアで政変なりが起きない限り戦闘機や防空システムより可能性が最も低いでしょう。やっぱり全面戦争は避けたいでしょうから
F‐16を提供しようというなら、現在F‐16を運用している国の基地を提供するしかない。
パイロット・整備員込みで・・・
そんなことは現状あり得ない
理想は両方ですが、さすがに議会が許さないでしょう。
防空システム優先でよいのではないでしょうか。
厳しい言い方をしますが、戦後を見据えればウクライナの事をそこまで信用できません。
仮に戦闘機を供与するとしたら、F-16はMig保有国に供与して、ウクライナにはMigの押し出し式供与を加速させる方が良いでしょう。
マレーシアとかのフランカー採用国もかな・・・
結局のところバラバラの欧州はもちろんアメリカでさえ戦争のゴールと達成するための手段が明確でないんですね。
本気でウクライナの思い通り全てを取り戻して勝利させるなら戦力化の時間やコスパなんて言ってる余裕は無いし、逆に程々にロシアに代償を支払わせればいいのであれば現状は入れ込み過ぎとなる。
義勇兵の話を見ると戦闘員が目立つけど、整備兵、事務員とかも歓迎されるんじゃ?
機密の問題が歩兵よりも大きいかなと
戦闘機での巡航ミサイル/自爆ドローン対処、日本(空自/米空軍/米海兵隊の基地防空)のケースだと批判されてる手段なんですよね。滑走路を潰されるとまとめて作戦能力を喪失するし、陸上型と違って再装填が基地帰投→着陸→再武装→戦域復帰という手順をふまねばならない。地上配備型と比較して地図上のカバー範囲は広くなるんですけど、火力投射力や持続性は大きく劣るんです。
ウクライナの場合は地上配備型システムが足りていないし、充足しても前線に近くて配備できない場所をカバーする意味では航空部隊によるミサイル迎撃は決して無駄にはならないですが、そういった地域は自爆ドローンやミサイル以前に長距離ロケットや榴弾砲の攻撃に晒されている地域ですからね。優先順位を考えるとまずは地上配備型の充足じゃないかと思うんです。
巡航ミサイル攻撃といえば、南部管区の戦略爆撃機基地をウクライナの巡航ミサイルで脅かされたロシアは航空発射型巡航ミサイルを積んだTu95を極東の基地から飛ばしているらしいですね。今までは往復数百キロの距離だった戦域が片道6000kmかけて飛んでいかねばいけなくなった訳ですが(これは東京急行の那覇行きより遠い)、これこそ航空発射型兵器の脆弱性だと思います。
ですよね。
たとえ戦闘機があっても、イラン製カミカゼドローンの全弾を迎撃はできないのだろうから、ドローンで空軍基地を撃たれ続けたら手数不足でそのうち地上でやられてしまいますよね。
当事者のロシアからして、ドローンを入手するために戦闘機を手放してるので優先順位がドローン>>戦闘機な環境なのでしょう。だから優先はドローンまたはその対策で、近接信管を撃てる対空砲に個人的にはロマンを感じます。もしロシアのドローンを低コストで無効化できれば、ドローンと交換してるロシア戦闘機が勝手に減っていく理屈になる
豆鉄砲ではなく、せめてハーピークラスの自爆ドローンとミサイルがあればね。
装甲車両を潰せる長距離兵器が一番効きそう。
本当に湾岸戦争のドクトリンを再現するなら、まず相当数のミサイルでロシアの兵站を叩き潰さないと無理だし。
F-16で対地攻撃させるなら数十機程度じゃ焼け石に水だろうし、防空戦に使うならそもそも露側が航空兵力を積極的に使ってこない以上巡航ミサイルとドローン狩りさせることになるけど自前のAEWを展開出来ない宇軍ではルックダウン能力に乏しいバージョンのF-16だけ供与しても…って感じか
既に宇軍独力で露本土への長距離攻撃に成功してるわけだし、露本土への攻撃に制限かけてATACMSなり長距離打撃力を供与、東部〜南部への兵站拠点攻撃させるほうがいいんじゃないかなと思ってしまう
もちろんそれで全てが解決するわけじゃないけど、地上部隊が領土奪還するまでの間防御一辺倒で耐え続けるのはちょっと厳しくないですかね…
ロシアの反応がショボい事は分かったわけだから、このチャンスに少量でも提供すればいいのに
対空システム用の弾薬供給量がロシアの攻撃を上回るならば対空システムだけでも乗り切れるかもしれません。
そうでないならば、攻撃元を航空機やミサイルで断つしかありません。