米国関連

アイオワ級戦艦ニュージャージー、フィラデルフィア海軍造船所に移動中

アイオワ級戦艦2番艦のニュージャージーがフィラデルフィア海軍造船所の乾ドックに向けて移動を開始した。これは中国海軍とのギャップを埋めるため「記念艦のニュージャージーを現役復帰させる」という訳ではなく、20年毎に義務付けられているメンテナンスを行うためだ。

参考:Battleship New Jersey Leaves Pier for First Time in More than 20 Years
参考:Battleship New Jersey moves to Paulsboro Marine Terminal for dry dock maintenance
参考:Decorated Battleship New Jersey Set for $10M Repairs During Dry Docking

観光客が支払う入場料と寄付でニュージャージーの維持費用の大半が賄われている

第二次大戦中に建造されたアイオワ級戦艦4隻は退役後も記念艦として保存され、カリフォルニア州サンフランシスコ、ニュージャージー州カムデン、ハワイ州パールハーバー、バージニア州ノーフォークで観光客向けに一般公開されているのだが、21日に2番艦ニュージャージーがフィラデルフィア海軍造船所の乾ドックに向けて移動を開始した。

これは中国海軍とのギャップを埋めるため「記念艦のニュージャージーを現役復帰させる」という訳ではなく、20年毎に義務付けられているメンテナンスを行うためだが、ニュージャージーは義務付けられたメンテナンス時期を12年も過ぎている。

関係者によると乾ドックでのメンテナンス作業(約60日間)には1,000万ドルの費用がかかり、ニュージャージーを記念艦として維持するにも1日1万ドルの費用が必要で、観光客(昨年は約8万人)が支払う入場料と寄付で費用の大半が賄われているらしい。

出典:BATTLESHIP NEW JERSEY

因みに記念艦を運営するHomeport Allianceは「乾ドックを見学する特別ツアー(ガイド付)」のチケットを225ドル、戦艦キュレーターのライアン・シマンスキー氏が同行するツアーのチケットを1,500ドルで売り出しており、再オープン後のチケット価格はガイドなし30ドル/ガイドあり40ドルで、5インチ砲の発射トリガーを引くには追加で500ドル、40mm対空砲の発射トリガーを引くには追加で100ドル、戦艦キュレーターのツアーに参加するには600ドル、ライアン・シマンスキー氏のツアーに参加するには1,200ドルの寄付が必要だ。

関連記事:1セントで売却された空母キティホークが最後の出港、マゼラン海峡経由でテキサス州へ
関連記事:米海軍、退役済みの空母キティホークと空母ジョン・F・ケネディを約2円で売却

 

※アイキャッチ画像の出典:New Jersey Department of Military and Veterans Affairs photo by Mark C. Olsen

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コメント

    • たむごん
    • 2024年 3月 22日

    アイオワ級戦艦、デカくてロマンがありますね。
    最近は対艦ミサイルだけでなく、小国も自爆ドローンを使ってますから、16インチ砲の実戦を見る事もないでしょうが…。

    全長排水量を比較すれば、原子力空母の巨大さも同時に感じてしまいます。

    17
      • 戦略眼
      • 2024年 3月 22日

      ドローンでどうにかなる代物でもないが。

      4
        • たむごん
        • 2024年 3月 22日

        結局、装甲は大丈夫でも、レーダーなど破壊、ミサイル発射管の破壊リスクがあるなあと。

        主砲の距離まで接近は難しそうですし。

        ただ、やはりロマンがあります…

        12
          • Cosmonaut
          • 2024年 3月 22日

          真面目な話、どれだけレーダー系統がやられても最終的に1発でも当てたらイージス艦は沈むから、勝利条件が撃沈なら戦艦に軍配が上がる。
          ただ、勝利条件が戦闘能力の無力化の場合は書かれているようにアウトレンジから兵装を破壊できるイージス艦に軍配が上がる。

          ただ、アイオワ級に限っては、旧世代とはいえイージスシステム積んでるから正直作戦次第では後者の条件でも勝算はある。

          4
      • イーロンマスク
      • 2024年 3月 22日

      戦艦が簡単に沈むか!!

      5
        • たむごん
        • 2024年 3月 22日

        ロマン(主砲)に、艦上の各種レーダーなどを使うと思いますが、結局そこは剝き出しになるので破壊されたら機能が落ちるかなあと。

        オンステージするのが、個人的には見たいです…

    • ブルーピーコック
    • 2024年 3月 22日

    そんな事いって本当は宇宙人と戦うために改造するんだろ?俺は詳しいんだ

    102
      •    
      • 2024年 3月 22日

       砲弾がないからレーザー砲に改修するとの噂は本当だろうか?
       

      8
        • 戦略眼
        • 2024年 3月 22日

        いや、使徒だろう!

        7
        • ドリルスキー
        • 2024年 3月 22日

        俺の聞いた噂では艦首に超大型回転衝角を取り付けると聞いたぞ

        8
      • トムホーネット
      • 2024年 3月 22日

      戦艦だからね。簡単に沈まないからね。

      14
      • のー
      • 2024年 3月 23日

      ひょっとして、こいつが宇宙戦艦になるやつですかね。
      大和の方は船体が3つに割れてて、修復は無理でしょうから。

      4
    • AH-X
    • 2024年 3月 22日

    戦艦ってやっぱりロマンありますねえ。

    コストを無視すればですがこういう重装甲の船って復活しそうですが。

    11
    • gobu
    • 2024年 3月 22日

    重厚な戦艦の装甲の前では
    自爆ドローンごときや自爆艇なんぞ蚊が刺したほどにもならない
    かつて神風特攻の対策したように
    安い機関砲をハリネズミのように搭載し
    対ドローン艦として現役復帰を夢想してみる。

    いやデカすぎ遅すぎかな……
    いやいや狭い湾の出入り口に置いとけばあるいは

    9
      • うみ
      • 2024年 3月 23日

      200基以上のVLSを備えた超ミサイル戦艦なんてのもロマンは感じるな。

      1
    • マラソン
    • 2024年 3月 22日

    ウクライナじゃ時代遅れと叫ばれていた大砲がドローンとの連携という形で復活を遂げた訳ですからね。
    台湾有事が発生したらこういう戦艦の有用性が案外再認識されて復活するんでしょうかね?

    12
      • jimama
      • 2024年 3月 22日

      有り得るかもですね
      大型砲が廃れていったのって結局距離が伸びすぎて命中率に難が出たからでしょうし
      ドローンで着弾観測と最終誘導を
      有翼型やロケットアシストといった砲弾形状や補助具追加で最大射程を
      レーザー誘導とかで命中率を
      と補ってやれば結構いけるかも?
      中国軍が155㎜52口径で有翼砲弾使って100㎞達成してますし
      古くはパリ砲で130㎞で達成してるから
      火薬式砲弾で射程250㎞とか300㎞とか実現できなくもないかもですし
      そうなれば結構使いどころはある、かもしれない

      12
        • 58式素人
        • 2024年 3月 22日

        昔のHARP計画のことを思い出しました。
        暗殺されたジェラルド・ブル博士が関係した計画です。
        米海軍の16インチ砲身を2本繋いで90口径長に伸ばし、
        滑腔化して初速2,100m/sくらいで、高度180kmの
        超低高度衛星軌道にまで打ち上げるものでした。
        ペイロードは435kgくらいでした。
        もちろん、火薬推進砲です。大き過ぎ(笑)ですが。

        4
      • ホテルラウンジ
      • 2024年 3月 23日

      本ブログでも過去に管理人さんが記事紹介してくれていますが、砲弾は進化しており、ラムジェットエンジンを積んだ砲弾の発射実験に成功しています。
      リンク
      大和型の主砲は射程50kmぐらいですが、ラムジェットエンジンを積んだ155mm砲弾は150km程度みたいです。
      これを更に改良して射程400kmぐらいまで持って行けたら空母艦載機に爆弾積んで持っていく必要が無くなり、戦艦は対地ミサイルキャリア的な使い方として使えますよね。
      空で言えば現在B52の使われ方をしてるやり方です。スマート爆弾満載して取りあえず戦場の上空を回遊して、地上からオーダーがあればオーダー地点に爆弾をデリバリーする
      同じように、陸から安物の対艦ミサイルや自爆ドローンが届かない沖合で待機して地上のトーチカとか大物の障害物を吹っ飛ばすオーダーがあれば40cm砲にラムジェット付き誘導弾を発射してオーダー地点のトーチカを吹っ飛ばす、又はクラスター爆弾を撒き散らすみたいな使い方が出来そうです。
      空母艦載機でデリバリーするより遥かに低コストで実現できるので、砲弾の進化で戦艦の復活はあり得ると思います。

      5
    • gepard
    • 2024年 3月 22日

    ズムウォルトで遊んでまともに駆逐艦の更新も出来ていない弛んだ米海軍の危機に現役復帰するアイオワ級戦艦先輩を見たいです

    34
      • T.T
      • 2024年 3月 22日

      今度こそ頓挫した航空戦艦改装案を復活させて、後部飛行甲板にF-35を乗せるんだよ!
      主砲弾はズムウォルトで頓挫した射程延長誘導砲弾!SPY-6もSAMもC-RAMも乗せて現役復帰だ!

      6
    •  
    • 2024年 3月 22日

    このご時世に乾ドックが埋まるのは痛いねぇ…
    でも保存したいししゃーない

    10
    • daishi
    • 2024年 3月 22日

    記念艦とはいえど、露天で水に浮かべている以上メンテは必須ですからね。
    B52はデビスモンサンから発掘して損耗分を補填していますが、発掘戦艦とはいかないですよね。

    12
      • AH-X
      • 2024年 3月 22日

      不思議の海のナディア懐かしいですね。

      11
    • 折口
    • 2024年 3月 22日

    アイオワ級もコンスティテューションと同じく永代で保存艦にするんですかね。木造帆船の維持もえらい金がかかってるらしいですが、戦艦となるとさぞ大変でしょうね

    9
    • あばばばば
    • 2024年 3月 22日

    メンテナンス(本当にメンテナンスできるとは言っていない)が今のアメリカだしな
    これから保存しておくならば、劣化の激しい海の上はやめて、陸揚げしてボトルシップにするべきだろう

    1
    • 戦略眼
    • 2024年 3月 22日

    復活させて、天津や上海、深圳を耕す。
    先ず、動かせないか。

    3
      • ブルーピーコック
      • 2024年 3月 22日

      似たような艦砲積みまくりの艦を作っても、射程距離に収めるには苦労するかと。
      中国の南側、特に沿岸部はまさしく『富の源泉』なので、更地にすることは致命傷に繋がります。だからこそ9段線だの台湾統一だの空海軍の増大など、拡張政策と並行しつつも守ろうとしている訳で。今更ながら南部だけ勢力下に収めて権益を得ていたイギリスって、やっぱり凄かったんだなと思ったり(過去形)

      11
    • nanashi
    • 2024年 3月 22日

    ウクライナ戦争ではロシア軍が数百キロ離れたパトリオットの様な小さな目標に、弾道ミサイルを寸分たがわぬ精度でぶち込んでいますからね。
    戦艦なんて前時代のデカブツはそれこそタダの的でしょう。
    ミサイルキャリアーとして運用するのなら自慢の主砲はムダでしかありませんね。

    5
      • gobu
      • 2024年 3月 22日

      そんなことはみんな知ってますがな
      ロマンですよ

      37
    • ザコ
    • 2024年 3月 22日

    宇宙戦艦とまでは言わないので初代ガンダムに出てきた地上戦艦に改造してオデッサに上陸してほしいところ

    2
      • 戦略眼
      • 2024年 3月 22日

      いや、そこは陸戦艇じゃなくて、Vガンダムのモトラッド艦隊で。

      1
    • すえすえ
    • 2024年 3月 22日

    戦艦の重装甲にミサイル打ち込みまくったらどこまで耐えられうのか興味あるなぁ
    どうなんだろ?

    5
      • kitty
      • 2024年 3月 23日

      長門ですら核兵器の至近弾で沈まないのが実性されてまんがな。
      なお上部構造

      5
    • 理想はこの翼では届かない
    • 2024年 3月 22日

    この巨大な戦艦が80年も維持されてる事が凄いですよほんと
    実用性はともかくロマンはありますよね

    6
      • 最新鋭のH型
      • 2024年 3月 22日

      B52「80年以上も維持されるとかホンマ浪漫あるわ〜
       ところで俺の退役はいつになるんすかね?」

      10
      • hiroさん
      • 2024年 3月 23日

      日本は三笠を引上げて保存しております。
      動かせはしないでしょうが。

      3
        • T.T
        • 2024年 3月 23日

        ワシントン海軍軍縮条約も既に無効だし、同じく日本海海戦参加艦であるロシアのアヴローラと同じようにレストアして動態保存して欲しいものですわ。もちろん観艦式では御召艦にして欲しいところ。

        2
    • 無印
    • 2024年 3月 22日

    主砲の発射にはいくらの寄付金が必要なんだろう

    3
    • Natto
    • 2024年 3月 22日

    コメント欄が平和だ…

    30
      • 戦略眼
      • 2024年 3月 22日

      こういうのが、良いよね。

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