米国関連

米空軍がE-8C/Joint STARSの早期退役を開始、来年9月まで議会が認めた4機を処分

米空軍は21日、2022年度の国防権限法で認められた対地版の早期警戒管制機「E-8C/Joint STARS」の退役を来年9月までに実行する発表した。

参考:Robins to begin retiring JSTARS

対地版の早期警戒管制機E-8Cの早期退役を開始、GMTIが組み込まれたレーダー搭載衛星が実用化するまでRQ-4/Block40がギャップを埋める

米空軍は2015年頃、老朽化したE-8C/Joint STARSを更新するため後継機検討を開始してボーイング、ボンバルディア、ガルフストリームなど提案を行ったが、最終的に機能が集約して高価な従来式の機体では対空ミサイルに脆弱だという理由で後継開発をキャンセル、2030年までの運用維持も放棄して早期退役を議会に要求していたが来年度の国防権限法で4機のE-8C退役を承認。これを受けて米空軍は「来年9月までに承認された4機のE-8Cを退役させ余剰人員となる同機のパイロットやオペレータの配置転換を進める」と21日に発表して注目を集めている。

出典:Tomás Del Coro / CC BY-SA 2.0 E-8 JSTARS

米空軍はE-8Cを16機保有しているため来年の早期退役で同機が直ぐに姿を消すわけではないがE-7調達が現実味を帯びてきたE-3と状況が異なるため、対地版の早期警戒管制機という大型機は完全に姿を消す可能性が高い。

米空軍は高価で高性能な少数のセンサーに頼るのではなく、地上/海上/空中ベースの既存資産に宇宙ベースの監視資産を統合した分散型ネットワークを構築してE-3が提供していた戦場認識力の替わりにすることを目指しているのだが問題は実用化までに時間がかかる点だ。

ボーイング707ベースのE-3は機体が古すぎるという問題と商業運用が完全に終了した707のサプライチェーンは撤退してしまいスペアパーツ入手が困難になっている問題に直面している上、E-3の空中移動目標機能(AMTI/空中を移動する目標の認識能力)がE-7Aに搭載されているアクティブ・フェイズド・アレイ・レーダー/MESAほど性能が良くないという部分も問題視されており、米太平洋空軍司令官のウィルズバック大将は「第5世代機を保有する空軍は第5世代センサー(AMTI能力が優れたセンサーシステムのこと)を手に入れなければ真の第5世代空軍にはなりえない」と主張。

出典:U.S. Air Force photo/Airman 1st Class Chris Massey

分散型ネットワークのによる戦場認識力を手に入れるまでの「つなぎ」としてウィルズバック大将はE-7調達を要求していたが、米空軍はE-3後継機に関する取り組みを正式に開始したため来年度予算でE-7導入が実現する可能性が高く「早期警戒管制機」という機種が直ぐに米空軍から消えることはない。

逆にE-8Cの機能は地上を移動する目標の監視能力(GMTI)が組み込まれたレーダー搭載衛星で代替することが予定されており、E-8Cの早期退役で発生するギャップについて空軍の将来計画立案を担当するデビッド・ナホム中将は「老朽化したE-8の信頼性低下を埋めるのにRQ-4/Block40(地上監視に対応したタイプ)は重要なプラットフォームになる」と証言しているため、E-3のように繋ぎの後継機調達は行われない見込みだ。

出典:U.S. Air Force photo by Senior Airman Juan Torres

ただしAESAレーダーを搭載して静止及び移動目標指示(MTI)データを提供できるBlock40を米空軍は7機(今年8月に墜落して1機減)しか保有していないため残り12機のE-8Cを手放しても大丈夫なのか、来年以降もE-8Cの早期退役を進めのかについて今のところ謎だが、E-3と同じ707ベースなのでスペアパーツの入手問題で苦労するのは目に見えており2030年まで飛行状態を維持するのは難しいだろう。

関連記事:米空軍がE-3更新のための取り組みを正式に開始、E-7Aを米空軍仕様に変更
関連記事:米空軍トップがE-7導入へ前向きな発言、但し本命はレーダー衛星を活用した分散型ネットワーク
関連記事:米議会がF-15C/DやRQ-4/Block30など160機以上の早期退役に同意、但しA-10の退役はダメ

 

※アイキャッチ画像の出典:U.S. Air Force photo

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コメント

    • クローム
    • 2021年 12月 26日

    元英空軍のセンチネルR1が穴埋めかな?
    機体の状態についての情報が少ないけど。
    リンク

    3
    • 新・にわかミリオタ
    • 2021年 12月 26日

    >「第5世代機を保有する空軍は第5世代センサー(AMTI能力が優れたセンサーシステムのこと)を手に入れなければ真の第5世代空軍にはなりえない」と主張。

    E-767はE-3のブロック40/45に準ずる改修をしたばかりらしいので、こういった退役の話は当分先になるでしょう。
    空自が真の第5世代空軍になる日が待ち遠しいです。

    13
    • そら
    • 2021年 12月 26日

    対地用の早期管制機とかあったんか。

      • 名無し
      • 2021年 12月 26日

      >対地用の早期管制機とかあったんか。

      敵の後背地のトラック車列と戦車の動きを眺めて、燃料集積庫や弾薬庫の位置を特定していくのが楽しいらしい。

      5
        • そら
        • 2021年 12月 26日

        なるほど。
        外地に出なきゃいけない米軍ならではですね。

        1
    • ブルーピーコック
    • 2021年 12月 26日

    30年以上お疲れ様。
    ベストセラーの民間機ベースでも、長生きすれば部品の供給に問題をきたすんだなあ。まあB-52なんて例外も居るけどさ

    7
      • 2021年 12月 26日

      B52って部品どうしてるんだろう…ずっと生産し続けてるのかな?

      1
    • 名無し
    • 2021年 12月 26日

    空軍機って、均すと週に数回しか飛行しないので、メチャクチャ古い707ベース機でも、毎日6レグ飛んでる民間767よりよっぽど「機材が新しい」ことって、ままあるのよね。
    ただ、さすがに部品が手に入らないと。。。

    7
      • きっど
      • 2021年 12月 26日

      飛行時間という面では「新しく」ても、「経過時間」という面では確実に老朽化するからね。そこで交換パーツが手に入らなければアウトと
      そういう面で行くと、767ベースの機体であれば今フェデックスが主力機として新造機を大量調達しているので、2040年くらいまでは運用可能でしょうかねと

      1
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