米国関連

国防総省がLOT15~17をカバーするF-35製造契約を発表、3年間で最大398機を調達

米国防総省はロッキード・マーティンが2023年~2025年(LOT15~LOT17)で調達するF-35の複数年契約を正式に締結、調達数はLOT12~LOT14と比較して80機減の398機だが、エンジン契約が確定していないため調達コストは不明だ。

参考:F-35 deliveries halted after Texas mishap; new contract finalized
参考:Pentagon and Lockheed Martin Finalize Lot 15-17 Agreement, Capping a Year of International Growth

LOT15から遂にBlock4の追加要素に対応するF-35のベースバージョンが登場

米国防総省はロッキード・マーティンは30日「最大398機のF-35を2023年~2025年で調達する複数年契約(BlockBuy)を正式に締結した」と発表、この契約にはロッキード・マーティンは2023年/LOT15で145機、2024年/LOT16で127機、2025年/LOT17で126機のF-35を製造することになるのだが、LOT17だけはオプション扱いなので調達数が増減する可能性があり、LOT15~LOT17をカバーする搭載エンジンの契約も確定していないため調達コストも不明だ。

出典:U.S. Air National Guard photo by Staff Sgt. Mercedee Wilds

ただロッキード・マーティンは「エンジンを除いた機体価格の平均はLOT14と比較して6.5%上昇する」と明かしており、COVID‑19のサプライチェーンの混乱、インフレ率の高騰、発注数の削減(LOT12~LOT14と比較して80機減/米空軍が完全なblock4バージョンが完成するまで発注を削減)、Block4に対応したTechnical Refresh3(TR3)の適用がコスト上昇の原因だと見られている。

因みにTR3が適用されるF-35は新型のコックピットディスプレイ、処理能力が向上したコアプロセッサ、電子戦能力を向上させるソフトウェアが採用される予定で、今後実装されるBlock4の追加要素に対応するベースバージョンと呼ばれており、LOT15以前に生産されたF-35にBlock4の追加要素を統合するためにはTR3の適用が必要になるらしい。

出典:Pratt&Whitney

さらにAN/APG-81に替わるAN/APG-85の登場が米空軍のウオッシュリストに登場しているため、Block4で予定されている新機能の追加は「非常に広範囲」でF135の発電量や冷却性能では性能を完全に引き出すことがないためF135EEPもしくはAETPへの移行が確定している。

関連記事:米国防総省とLMが3年375機のF-35購入で合意、発注減で調達コストは増加
関連記事:F135EEPではダメ、F-35A Block4にAETPが必要な9つの理由
関連記事:答えが出ないF-35のエンジン問題、P&WがF135EEPの予備開発契約を獲得

 

※アイキャッチ画像の出典:U.S. Air Force photo by Staff Sgt. Beaux Hebert

日本の安全保障における弱点、サイバー領域における民間インフラの保護を検討前のページ

日本、2035年頃までに射程3,000kmの極超音速ミサイル配備を目指す次のページ

関連記事

  1. 米国関連

    米国がクラスター砲弾を含むウクライナ支援を発表、ATACMS提供は見送り

    米国はゼレンスキー大統領の訪米に合わせて新たなウクライナ支援パッケージ…

  2. 米国関連

    LM、米陸軍にMK.41を流用したタイフォン・ウェポン・システムを納品

    ロッキード・マーティンはMK.41を流用して「Typhon Weapo…

  3. 米国関連

    8月だけで3回目、米国が19番目のウクライナ支援パッケージをまもなく発表

    バイデン大統領は19番目のウクライナ支援パッケージ(8億ドル)を金曜日…

  4. 米国関連

    これで4件目、またボーイングの空中給油機KC-46Aに「カテゴリー1」の不具合が見つかる

    米空軍は30日、調達中の最新空中給油機KC-46A「ペガサス」に新たな…

  5. 米国関連

    米海兵隊、新設する沿岸連隊は味方原潜と協調して敵潜水艦を狩る

    米海兵隊は大規模な部隊再編計画「Force Design 2030」に…

  6. 米国関連

    ジョンソン米下院議長、上院がウクライナ支援を可決しても下院で葬る

    バイデン政権は移民政策について譲歩を提示、これを受けて上院はウクライナ…

コメント

    • hogehoge
    • 2022年 12月 31日

    まぁレーダーや電子戦のリアルタイム演算が発展して、戦闘機のコンピュータ性能はあればあるだけ使い道あるだろうからな。
    スマホのカメラだって高画質実現してるのはセンサーだけじゃなく、大規模に専用の半導体積んでリアルタイム解析しているからな訳で、性能はセンサー部分とコンピュータ部分との乗数。

    11
      • ヤゾフ
      • 2023年 1月 01日

      性能高めるほどに台湾の半導体産業の価値も上がるので米国はこれからも台湾へ介入せざるを得ないとも言えます。
      画像処理の前処理のISP部分と後処理のSoCでもここまで高性能になるとは思ってなかったです。

      1
  1. この記事へのトラックバックはありません。

  1. 軍事的雑学

    サプライズ過ぎた? 仏戦闘機ラファールが民間人を空中に射出した事故の真相
  2. 日本関連

    防衛装備庁、日英が共同で進めていた新型空対空ミサイルの研究終了を発表
  3. 欧州関連

    BAYKAR、TB2に搭載可能なジェットエンジン駆動の徘徊型弾薬を発表
  4. 米国関連

    F-35の設計は根本的に冷却要件を見誤り、エンジン寿命に問題を抱えている
  5. 北米/南米関連

    カナダ海軍は最大12隻の新型潜水艦を調達したい、乗組員はどうするの?
PAGE TOP