米空軍は27日、第5世代戦闘機F-22Aに対する機体構造のアップグレードが完了したと発表した。
参考:Air Force finishes structural upgrades to 247 F-22s
参考:The F-22 Raptor Got a Facelift, and Now It Might Just Live Forever
F-22Aの機体寿命が1万6,000飛行時間へと延長、2060年まで運用が可能になるものF-22Aの将来は雲行きが怪しい
F-22Aは製造工程のミスで欠陥(熱処理が不十分だった一部のチタン製パーツが想定よりも早く寿命を迎える問題など)を幾つか抱えており、米空軍は欠陥の修正に対応するため保有する全てのF-22Aに対して構造の変更を伴う大掛かりな修復プログラムを実施した結果、F-22Aの機体寿命は1万6,000飛行時間へと延長されることになった。
この1万6,000飛行時間という数字は当初設計の約2倍=つまりF-22Aを2060年まで運用することが可能という意味なのだが、後継機の開発が予想よりも早い進展を見せているため空軍が予定されているF-22Aのアップグレード(AIM-9Xのオフボアサイト能力を最大限生かすためJHMCSの統合やF-35が採用している電子光学式システムの搭載など)にどこまで資金を投資するのか怪しくなっている。
空軍が開発を進めている次世代戦闘機が初飛行に到達するのは早くても2030年に入ってからだと言われていたが、空軍でロジスティックスを担当しているウィル・ローパー次官補は昨年9月に「次世代戦闘機のプロトタイプを秘密裏に設計・製造して既に試験飛行を行っている」と明かしており、新たに採用された開発手法(デジタルエンジニアリング、ソフトウェアのアジャイル開発、オープンアーキテクチャ)が戦闘機の開発に革命を起こしているため2030年代に次世代戦闘機が登場しても何の不思議もない。
特にF-22Aが搭載するセンサーのアップグレードは予算の都合上、2020年後半にならないと資金が回ってこないため次世代戦闘機の開発と重複する関係にある。
勿論、次世代戦闘機が開発されたとしても直ぐに使い物になるかは不明なので予定通りF-22Aに対する各種アップグレードが継続されるとは思うが、一方で200機にも満たないF-22Aを維持するため空軍は非常に高額な維持コストを支払っているのも事実だ。
空軍は2019年末、今後5年間のメンテナンス費用と予備パーツの供給網(サプライチェーンの保護)を維持するため約70億ドル(約7,300億円)を支給する契約オプションを行使している。
この契約にはF-22のミッションコンピュターで使用しているソフトウェアをアップグレードして空対空ミサイルAIM-120DとAIM-9Xを統合する内容も含まれているので純粋な維持コストとは言えないが、約70億ドルの半分がステルスコーテイングの維持に費やされると言われており、ロッキード・マーティンは空軍の要請に応じてステルスコーテイングの耐久性向上や再コーテイング実施の際の作業量を減らす研究に取り組んでいる。
これが上手く行けばF-22Aの維持コストは大幅に削減されるかもしれないが、もし上手く行かなければ2045年までに空軍はF-22Aの維持コスト(主にステルスコーテイングの維持のため)として100億ドル以上(約1兆円以上)を投資しなければならない。
今のところ空軍はF-22Aの将来について何も語っていないが新型コロナウイルスの影響で経済は落ち込み、新たに誕生したバイデン政権は国防予算に偏った前政権の支出バランス是正を掲げているため国防予算の削減は避けられないというのが一般的な見方で、空軍はF-35Aの調達に関しても削減を示唆するような動きを見せている。
F-35Aの調達コストは第4.5世代機水準(8,000万ドル台)まで下がってきているが、依然として運用コストは3万ドル台を維持しているため計画通り1,763機もF-35Aを導入すれば高額な運用コストを負担しきれないと指摘されており、米空軍関係者がロッキード・マーティンとF-16の新規調達について話し合いを行なっていると最近報じられたばかりだ。
果たして米空軍はF-22Aを2060年まで運用するつもりなのか、F-35Aの変わりにF-16Vを新規に調達して戦闘機全体の運用コスト削減に方向に動くのか今のところ不明だが、一つだけ確実なのは米空軍の戦力構成は見直しに入っており既存の計画が維持される保証はどこにもないという点で、バイデン政権が2022会計年度予算の方針を示す5月以降(通常は3月までだが今年は政権交代があったので遅れる可能性が高い)に大きな変化が観測されるかもしれない。
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※アイキャッチ画像の出典:U.S. Air Force photo by Airman 1st Class Erin Baxter
競合する機種が存在しなければ延々と使用されるが、ライトニングやセンチュリーがその代換に育つのか、でなく育てないと。
とっくに生産ラインの閉じた機体を延命するのに努力しても未来には繋がらないと思います
F-22ってなんだかF-102みたいだな。あれがF-106にさっさと交代したみたいに次世代機に替わりそう
B-2でもアレだけどやっぱステルスコーティングの維持ってクソ高いんやな。本邦のX-2みたいに構造材からステルス性を追求するふうに思想が変わってく希ガス
B2は有事の時だけステルスコーティングして後は倉庫に寝かしといていいかもしれんが戦闘機はスクランブル任務もあるし予定通りいかんのやろうな
機体本体も維持費も高い何十年も前の飛行機を飛ばす意味が分かりません。F22をたたき台にF3を設計しなくて本当に良かった。日本はF15は廃棄してF35とF2で維持費を安くしたほうが良い。空自が航空機が三種類必要と言うならばF15を廃棄した方がF3の開発に真剣さが増して良い。F22もF15も要らないですよ。
F-22はアメリカ議会が輸出禁止にしたのがコスト上昇の原因なのだから意味不明では無いと思いますよ、通常はF-15は引退して既にF-22に更新されているのがアメリカ議会のせいで今の状況になっていますよ、という政治ショー的なものなのでそのまま捉えない方が良い。そしてロシアのSU-57、中国のJ-20の対抗馬としてアメリカのF-22が存在しておりこの状況は変化しないでしょう、結局はF-22後継戦闘機を前倒し導入する為の口実作る為の報道ですよ。それにパイロットも急に減らしたり増やしたり出来るようなものでもないですしスクランブル用戦闘機としてF-15は残しておいてF-35は事実上F-2後継ですし最高速度遅いですし維持費高騰を招くようなことは避けるべきですよ。インドの戦闘機選定ではSU-35優勢らしいのでロシア機に決まればボーイングも強気に出れなくなると思われるので様子見しておいて、F-15の近代化改修は最悪行わなくてもF-3スクランブル仕様が出てくるまでは維持してそのまま置き換えるのが得策ですよ。日本もF-22輸出禁止を受けてF-3を制空戦闘機として開発出来るので今のまま乗っかっていればいいです。金食い虫と騒ぐのはイージスアショアを船にしてしまった連中に対して行うのがスジですよ、違約金と追加の費用払わないからアショアに戻せと、JMUと今治造船救いたいなら違う方法(ステルス護衛艦の前倒し導入等)でどうぞ、とね。
F-15は確かに大型で余裕ありますが運用コスト高いですからね。早期退役はともかく大規模改修は中止が正解だと思います。
F-15Jをそのまま放置だと、性能寿命的にヤバいのでは?
中国もJ-11の近代化するみたいだし、今後長く使うのなら、せめてAESAは欲しいと思います。
その分の金払って「独自改修可能な範囲を拡大」みたいな事はできんのかね。
1〜2機エンジンやらレーダーやらVCSやらF-3用の部品のテストベッドにして
レーダーなんかは具合が良ければそのまま量産して正式採用。
失敗でもF-3の試作機が飛んでようやく問題が発覚する事を思えば安い損失だろう。
急進的だしF-15嫌いすぎで草
実際F-15JSIが雲行き怪しいから、F-3導入のタイミングでF-3増産と引き換えに未アップデートのF-15退役っていう筋書きがあってもおかしくは無いか
F-35Bに置換えられそうな気が。
いずも型に加え、輸送艦、掃海母艦計5隻がDDH任務もこなせる艦で更新されそうなので、此等の為の飛行隊に充てられるかも。
その通りですね。防衛省の資料にそう書いてありました>>F-35B
DDHだからって即F-35B配備可では無いと思いますが、、甲板の耐熱化とか
F-15JSIはかつてのF-4ポジションに落ち着くんだろうな
F-15は航続距離が広いから日本の事情に合っていてF-3は開発スタートの段階で影も形もないから限界まで使い倒すつもりでしょう
まあJSIの惨状みたらその気持ちも分かりますけどね、これはボーイング次第かな
叩き台としてのみF22のノウハウだけは欲しいけどね
売ってくれないから(笑)
F-35Aが順調にアップグレードが進み、特にエンジンの推力が上がればF-22の価値は相対的に下がりますね。
それでも虎の子として温存する価値があるのかどうか。
私が大統領なら欲しがっていた日本に押し付ける事を考えます。今となっては日本は拒否するだろうけど。
今となっては「導入しなくて良かったー」と言うのが本音ですね。
イスラエルに押し付ける手があるよ。
そうすれば軍事性優位を維持した上でF-35を売りまくれる。
まあ当の大統領がそれを望んでるかどうかが怪しいけど。
F22を次期戦闘機の選定で選ばなくてよかったなぁ。
大変なことになっていたかも。
こういうのって自称関係者の願望記事だし。関係者だとしても本人の願望でしかないからなぁ
>2030年代に次世代戦闘機が登場しても何の不思議もない
ここ2020
形すら存在しないF3を最強戦闘機前提で議論してる人たちは日本の現実を知るべき
誰もそのような話はしていないと思いますが。
MRJのときも国士サマが同じこと言ってた
国士サマが同じこと言ってたのか知りませんけど、形すらない状態だからこそ色々想像したりあれやこれやと議論するのが楽しいんじゃないですか。形すら存在しなければ議論してはいけないんですか?
妄想、期待と事実を混同して話されても対応できません
別に難しく考える必要はないですし対応すれば良いじゃないですか。
貴方は次期戦闘機が成功して欲しくないんですか?
夢は強く願えばかなうんですか?
そういう次元で防衛問題語るのもね
ねえ、君は清谷信一か文谷数重の信者かい?
日本の現実とやらについて論じるのは勝手だが、その美名の元に噓八百を並べるのは止めろよな
だれそれ(笑)話をいつものつまんない方向に向けないでね
飽きてるから
え、誰だかマジで知らないの?
ネストが8個も掘れるんですね。
そこに驚き。
よく見かけますよ、自画自賛大好きさん
何の根拠もなくても自分に都合のよい話を事実にしたがる、トランプ信者ぽい
>よく見かけますよ[どこで?]、自画自賛大好きさん[だれ?]
>何の根拠もなくても自分に都合のよい話を事実にしたがる
ただの自己紹介やん。
わざわざ噛みつくほどのこと?
そういうとこを云われてるのに気がついてよ(笑)
ボケと突っ込みの様式美だし、
そこに文句垂れるのも野暮かと。
そういう話どうでもいいから
F-3は日本の要求に合うように設計されるってのが事実で、上手くいけば日本で最強の戦闘機になるだけ
国家的プロジェクトなんだから失敗されたら困るのは、ここの全員異論なし
しかし成功する保証もない
人間の為すことに絶対は無いんだから
それが?
市井の我々が気にすることではないな。精々願うだけだ
完成した時には世界水準から周回遅れどころか更に半周遅れになりそうだけど
私はそんなのこのブログで見た記憶がないし、
いたとしてもF-3を最強だと評価する事を「自画自賛」とは言いませんね。
少なくとも日本育ちの日本語ネイティブな真っ当な日本人は。
> F-3を最強だと評価する事を「自画自賛」とは言いませんね。
あ、失礼。
言ってるのが「F-3開発関係者等『F-3を作った人間達』」である場合は除きます。
日本がF-22を選定して輸出が許可されていたら最終的に100機くらいは調達してたでしょうし、イスラエルも採用してアメリカと合わせて350機になれば生産ラインが今も継続してアップグレードコストも下がってたかもですね。
その場合、F-35はもっと中途半端なスペックになっていたかもしれませんが
単価が下がればアメリカ自身の調達数だってもう少し増えてた可能性ありますしね。
まあその場合、仰る通りF-35のスペックダウンや、下手すれば開発中止になってても不思議じゃない訳ですが。
アメリカ議会「冷戦も終わってるのにそんな高級な戦闘機を何百機も買う必要があるんですか?(迫真」
(冷戦)もう始まってる!
米議会はもう次の展開見越して動き始めてるじゃん…
今頃そんな寝ぼけたこと言ってるのは日本の野党ぐらいだよ
F-22は、ほとんどまったく実戦経験がなく、F-14のデ・ジャブのように感じる。
あれ、無かったけ?
イランのは除くとして。
F-14も22も本格的な空中戦の経験が殆ど無いだけで、実戦経験はあるんだよな……(米海軍のF-14はリビア空軍の戦闘機相手に2度空中戦をやって4機撃墜、更に湾岸戦争時にイラク軍のヘリを1機撃墜している。F-22は空中戦の経験は無いが、シリア内戦への介入で実戦に投入されており、爆撃任務をこなしている)