米空軍はKC-46Aと次世代の空中給油機KC-Zとの間のギャップを埋めるブリッジタンカーに関する情報提供を16日に発表して注目を集めている。
参考:Another Boeing-Airbus tanker war is coming soon
参考:Air Force Plans To Buy A New Tanker As Problems Persist With The One It’s Already Buying
米空軍、KC-46Aと次世代の空中給油機KC-Zとの間のギャップを埋めるブリッジタンカーの導入を表明
米空軍が調達を進めているKC-46Aは2027年までに179機を発注する契約が結ばれているのだが、この契約は老朽化したKC-135更新需要を全てカバーするものではなく研究が進められている次世代の空中給油機KC-Zも2029年頃に予定されている179機目のKC-46A引き渡しまでに実用化される予定がないためKC-46AとKC-Zとの間にはギャップが存在する。
このギャップを埋める最もシンプルな方法は米空軍がボーイングに新たな契約を与えてKC-46Aを追加発注すれば良いのだが、同機は複数の不具合に悩まされボーイングは空中給油機の主要機能を自社資金によって「再開発」する事態に陥っており、少なくとも2024年まではF-22、F-35、B-2といったステルス機やA-10への空中給油が制限される見込みでKC-46Aの調達継続する米空軍には批判が多く、この問題が影響したのかは不明だが米空軍はKC-46AとKC-Zとの間のギャップを埋めるブリッジタンカーを新たに選定する方針を明らかにした。
米空軍がブリッジタンカーに求める要件として2029年から納入可能な非開発の空中給油機を条件に挙げているため、ボーイングのKC-46AとエアバスのA330MRTTが再び受注を争うことになると複数の米メディアが予想しており、ボーイングの担当者とエアバスと組んでいるロッキード・マーティンの担当者は米空軍のブリッジタンカーに挑戦する意向を表明している。
この問題を更に複雑にしているのはKC-46Aに批判的な共和党のロブ・ウィットマン議員とマイク・ロジャース議員で、米空軍のブリッジタンカーに関する発表を受けて「既存のKC-46Aに関する契約も見直して再入札を行うべきだ」と下院軍事委員会で主張した。
両議員は「欧州に展開する米空軍の戦闘機はNATO所属のA330MRTTから問題なく燃料を受け取っている」と主張して120機以上のKC-46A未納分についてもブリッジタンカーで調達する新しい空中給油機に切り替えることを米空軍に要求しており、事実上KC-46AからA330MRTTへの調達切替を示唆している。
A330MRTTは問題続きのKC-46Aと異なり導入国で順調な運用が続けられておりKC-46Aが制限を受けているF-35Aへのフライングブーム方式による給油も正式に対応している。
さらにA330MRTTは世界初となる自動空中給油システム「A3R」の開発が完了、年内にも最終運用テストが行なわれ実用化される見込みで不具合の対応に忙殺され自動空中給油システムの開発もままならないKC-46Aとは明暗が分かれており、不具合の修正前に選定が実施されればKC-46Aは相当不利な状況に立たされるだろう。
仮に不具合が完全に修正されたとしてもKC-46Aの自動空中給油システムはいつ完成するのか目処が立っておらず、エアバスにとって最大の障害となっていた米国とEUの補助金に関する報復関税に関しても停止することで合意したとほうじられているためA330MRTTの優位性は相当なものになるはずだ。
KC-46Aの調達が179機で終了してA330MRTTの調達が始まったとしても驚きはないが、流石に46機目が引き渡されたばかりのKC-46A調達契約を見直してA330MRTT調達に切り替えられると同機を導入する日本やイスラエルは保守やスペアパーツのの入手面で不安を感じることになる。
果たしてボーイングは米空軍の空中給油機需要を死守する事ができるのだろうか?それともエアバスは念願の米空軍需要を手に入れることに成功するのだろうか?
関連記事:KC-46A受け入れ準備が進む空自、米国に派遣中の第405飛行隊が訓練が完了
関連記事:自動空中給油システムの開発が完了したA330MRTT、欠陥の修正に忙しいKC-46A
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※アイキャッチ画像の出典:AIRBUS
エアバス機が採用されたらボーイング機を導入した他の国は梯子を外された感じになるよね。
流石に既存の発注分は購入すると信じたい。
アメリカ以外だと導入したのって日本とイスラエルくらいだし傷が浅いうちに方針転換する可能性は十分あるな
その場合日本は購入をキャンセル出来るのでしょうか?
ポチにはできません
違約金きっちり払えばできるね
脳死で米国製を選んだ結果…
日本でどうやってA330を運用するんだ?
KC46は日本国内の航空キャリアで運用してる機種だから、整備、運用、教育を国内企業に委託できるので、運用インフラが既に整ってる。
A330にはそれがない
初期コストがどうやってもA330の方がかかるからKC46になっただけ
脳死とかいう前に少しは調べるぐらいはしてくれ
KC-767導入からの一連の流れ知ってたら脳死なんて言葉出てこないでしょう
KC30導入して、既存のE767やKC767はどうすんの?廃止すんの?
それともたった8機程度の767シリーズと僅か6機のKC30を併用するのか?
航空新聞でこれが流れていたのですが、何を意味するのかよくわからず、こっちにチェックに来ました。
米空軍、新空中給油機の情報提供企業募集へ
リンク
さすがです。
アメリカなら梯子外して来そうな気がする
それで日本向けの単価が急上昇しそう(震え)
普通にKC46だろう。
フライングブームに限定した問題なわけで、アメリカが大量の資金で力業のトライアンドエラーを繰り返すのは何時ものこと。
今までもそれで形にしてきた
特に今回は機体自体に問題あるわけでもないので、フライングブーム開発に失敗となった最悪の場合でも、
A330MRTTのフライングブームシステムのみを輸入、KC46へ換装するとかの方が現実的。
非開発だからA330MRTTのフライングブームシステムのみを輸入、KC46へ換装は無理じゃないの?
普通に無理だねえ
エアバスに旨味ないし
この分野だとA330が圧倒的なシェア持ってるしわざわざボーイングを助ける旨味は全く無いな
ただ航空機としてA330MRTTはKC46Aよりワンサイズでかいので
滑走路から誘導路、格納庫他に至るまで投資が必要になったりあるいは運用制限がつくかも?
KC-46A 全幅:48.1m 最大離陸重量:188.24トン
A330MRTT 全幅:60.3m 最大離陸重量:233.15トン
777F(参考) 全幅:64.8m 最大離陸重量:345.45トン
上記の差が有るので、A330MRTTを受け入れるには、B777級の機体を受け入れられるだけのスペースが必要なんですよね……
スペースもだし滑走路他の舗装厚とかもかわってくるのデース
んであめちゃんはわからんが空自基地でA330クラス受け入れる事できるの半分以下っぽいのよね
拡張工事すればって?そもそも敷地面積限界なところはどーするんよって話があって
道路とかでもそうだけど10年20年じゃ用地取得済まないのが日本の都市近郊部
おまけに機体規模がでかくなると騒音対策も更に厳しくなるのが目に見えてるし
地上の話クリアしないと日本ではA330MRTTの導入は難しいかな
KC-Xの選考でA330は767に一回勝ったことがあって、KC-45の名前がついている。
ただひっくり返ったのは貴方が指摘する再投資が必要だから。その点をボーイングが抗議して、再投資が不要な767が勝った。
アメリカが自国製品を捨ててまで乗り換えるかなぁ
ボーイングの経営自体が傾いてるし
記事によれば空軍は今のところKC-46Aの2029年までの調達計画を変更する気は無いわけで、納入が完了して以降KC-Z調達開始までのギャップを埋めるブリッジタンカーを調達したいて話ですよね。
ブリッジタンカー候補機はその頃までに不具合を修正済のKC-46AかエアバスA330MRTTかどちらかと複数の米メディアが予想していると。
それとは別に2名の共和党議員が下院軍事委員会でボーイングとの契約を見直し未納分をブリッジタンカー候補機(A330MRTT)にせよと空軍に要求したということですね。KC-46Aの不具合修正前に両議員の主張が通れば未納分とブリッジタンカーはA330MRTTに決まる可能性がある。
件の議員さんの主張って胡散臭くないですか?エアバスのロビー活動?
米国議員はボーイングに限らず、自国の工業力に不信感を持っていてもおかしくないと思う。
そう考えると、KC-46Aの修正がうまくいくと考えてないのではないか。
いろんな可能性あるわな
選挙区にエアバス機の部品納入出来そうな企業あるとか、機体サイズの違いで必要になるであろう空軍基地整備に目を付けてるとか。
F-15EXにせよKC46にせよF/A-18EFブロックⅢにせよ、問題を起こさないと気が済まない企業なのかボーイング
腐敗極まれり
B767MMTTを導入するという選択肢はないのかなぁ
A330MRTTを買うよりはるかに安上がりで楽なのに
開発国のイスラエルが導入せずコロンビアしか導入してないってことは、767MMTTも色々制限があるのでは?
HPとか見てきたけどフライングブーム方式の給油装置は搭載されていないようだね
推奨しているベースモデルが767-300だったのには驚いた